光輪の侍は平穏を望む   作:レイ1020

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このまさかの展開に巌勝はどう対応するのか?


其ノ玖 光と月

 

 

 

 

私には忌むべき者が()()いた。一人は私の双子の弟、縁壱。類稀見ぬ剣技を持ち、私など遠く及ばぬ特別な存在だった。私が今使っている呼吸【月の呼吸】も縁壱の【日の呼吸】の派生でしかなかった・・・・・・。

 

 

そしてもう一人。それは私のもう一人の弟、昌継。私たちよりも歳は一つ下だが、その才は縁壱と同等、もしくは凌ぐほどのものを持っていた。もちろん私をもゆうに凌ぐ。昌継は縁壱とともに呼吸を極め【光の呼吸】を会得したと聞いたが、実際にその剣技を見たことは無かった。だが私の勘ではおそらく縁壱同様、これまでに類を見ないほどの呼吸であると判断した。だからこそ思う。・・・・・・昌継もまた、神に選ばれし特別な存在なのだろうと・・・・・・。

 

 

 

この事実に私は今の今日まで、骨が灼き尽くされるような嫉妬と怨毒のような感情を抱きつつ生きてきた。・・・・・・鬼になってまでして剣を鍛えるほどにだ。私には二人のような天性的な才がないと悟った時、ならばそれを補うだけの努力をすれば良い。だがそれをするだけの時間が無かった。額にできた痣がそれを証明しているように、これが発現したものは齢二十五になる前に死ぬらしい。だから私はこのまま何もできずに死ぬのだろうと・・・・・・そう思っていた。

 

 

だがそんな折、あの方に出会った。あの方は私の想いを組んでくださり、鬼になさってくれた。これにより、私は長い時を生きることが可能となり、剣の鍛錬に励むことができた。そんな時を過ごして六十年・・・・・・私は、縁壱と再会を果たした。若い頃の面影はすでに無く、シワがただれ、あの猛々しくそれゆえの威圧感などは鳴りを潜めていた。何より、なぜ縁壱が生きてるのかが気がかりだった。痣者は二十五には死ぬはず・・・・・・。だが実際に目の前に奴はいる。やはりお前は特別なのだと・・・・・・虚無感を抱いた。

 

 

私が鬼である以上、縁壱と戦うことは避けられず戦ったのだが、老いが進んで剣技が鈍っていると思われた縁壱の剣技は鈍るどころか若かりし時と全く変わらない物を見せた。私の今までの努力を無に返すほどの・・・・・・。やられる!そう思った時、目の前の縁壱に異変を感じた。よく見ると、縁壱は立ったまま身動き一つせず顔を伏せていた。・・・・・・どうやら縁壱はこの場で寿命を迎えたようだった。そしてこの時、私に一つの思いがこみ上げてきたのだ。

 

 

 

「鬼狩りの歴史上最も優れた剣士が死んだ以上・・・・・・私は誰にも負けぬわけにはいかない!どんなことがあろうとも!」

 

 

 

その時、私は決意を固めたのだ。決して誰にも負けぬと・・・・・・。だが、今私の目の前にその決意を阻もうとする者・・・・・・私のもう一人の弟・・・・・・昌継が現れたのだ。・・・・・・それも、若かりしときの姿のままで・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

 

 

「巌勝兄上・・・・・・その姿は・・・・・・」

 

 

 

「昌継・・・・・・何故この時代に・・・・・・?お前ならばとうの昔に死んでいるはず・・・・・・」

 

 

 

私と兄上の間に剣呑な空気が流れた。いつ刀を抜いてもおかしくない状況だった。

 

 

 

「私はある鬼によって時代を飛ばされたのです。それ故、私は元の時代に戻る手段を探す手間、この時代の鬼どもを滅しているところでありまする・・・・・・」

 

 

 

「時代を・・・・・・。まさか四百年の時を超えて、お前とこうして会うとは思いもしなかったがな・・・・・・」

 

 

 

「兄上・・・・・・何故鬼になられた?気高い兄上がそのような醜い姿になるなど・・・・・・耐えられませぬ」

 

 

 

「お前に何がわかる?神に選ばれし特別な存在である”お前達”に?何も用いていなかった私は鬼になることで強さを手に入れたのだ。もはやお前なども手につけられぬほどのな・・・・・・私を舐めぬほうが良いぞ?」

 

 

 

兄上・・・・・・何をおっしゃられている?私には理解し難いことだった。なぜなら・・・・・・。

 

 

 

「兄上、私はそこまでたいそうな存在ではありませぬ。あくまで歴史に身を流す一欠片に過ぎませぬ。私より剣技や才に溢れたものなど、この時代にも多く・・・・・・」

 

 

 

「縁壱も同じことを言っていたが、はっきりと言おう。お前や縁壱を凌ぐほどのものは現れていない。四百年間鬼狩りどもを消してきたが、どれも大した腕では無かった・・・・・・これでもまだ現れるというのか?」

 

 

 

「まだ分からぬではありませぬか。いつどんな時にそのようなものが現れるか分からぬ。ですが、それもまた面白いではありませぬか。そのものが如何様にして芽を出すのか。いかようにして私たちのもとまでたどり着くのか見届けたいとは思いませぬか?だが、鬼が存在している以上、それを見ることは難しくなっていることも事実。・・・・・・ですので兄上・・・・・・」

 

 

 

そう言い、私はすっと刀を抜いた。

 

 

 

「貴方が鬼である以上、私は貴方に刃を向けることとなります。・・・・・・不本意ではありますが、ご覚悟を・・・・・・」

 

 

 

「私を舐めるなと・・・・・・言ったはずだ!」

 

 

 

兄上もそう叫び、私に刀を向けた。そして先に仕掛けたのは兄上だった。

 

 

 

「月の呼吸・捌の型【月龍輪尾】!」

 

 

 

兄上の横なぎの一閃が私に襲い掛かる。素早い攻撃速度、太刀筋、気迫・・・・・・確かにこれを見れば兄上がどれだけの修練を積んだかはわかった。だがそれでも・・・・・・。

 

 

 

「光の呼吸【輝月蓮華】」

 

 

 

私が放った光の斬撃は兄上の斬撃を最も簡単に打ち消した。

 

 

 

「ちっ・・・・・・月の呼吸・弐の型【珠華ノ弄月】!」

 

 

 

「光の呼吸【照魂刺突】」

 

 

 

「なっ!ぐっ・・・・・・」

 

 

 

月輪の斬撃が私に襲いかかってきたが、それらに捕まる前に私は凄まじい突きを兄上に見舞った。私の突きは兄上の斬撃を掻い潜り、兄上の右肩あたりを貫いた。

 

 

 

「兄上・・・・・・努力は認めますが・・・・・・鬼になった兄上の剣など、私には届きませぬ・・・・・・」

 

 

 

「くっ・・・・・・おのれ〜!!月の呼吸・玖の型【降り月・連面】!!」

 

 

 

「光の呼吸【光天の舞】」

 

 

 

無数の斬撃が私に降り注いできたが、私の【光天の舞】はそれらを全て無に返すかの如く受け流し、合間ごとに兄上に斬撃を浴びせて行った。

 

 

 

「わかってくだされ兄上。貴方は私が憧れた数少ない御人なのです・・・・・・。ですから、せめて私の手で眠らせて差し上げましょう・・・・・・」

 

 

 

「くっ・・・・・・(なぜだ!?なぜ勝てない!私はこの四百年間、今までにないほどの修練を重ねた!もはや誰にも負けぬと自負ができるほどに!だが、この目の前の怪物にはそれさえも無意味だというのか!・・・・・・なぜなんだ。やはり私ではお前達には勝てぬのか?)」

 

 

 

もはやボロボロの兄上。ご安心を・・・・・・兄上。貴方を倒した後、必ずや私の手で鬼を殲滅して見せます故。今は静かに・・・・・・眠ってくだされ。私は刀を振り上げた。

 

 

 

「巌勝兄上・・・・・・さらばです」

 

 

 

「っ・・・・・・」

 

 

 

(ぺペンッ)

 

 

 

「・・・・・・?」

 

 

 

私の刀が兄上の頸をはねようとした刹那、どこからか三味線の音が聞こえたと思ったら・・・・・・目の前から兄上が消えていた。

 

 

 

「消えた・・・・・・か。逃してしまったな・・・・・・不甲斐なし」

 

 

 

どこか不快な気持ちになりながら、私は刀をしまいその場を後にしたのだった。




ひとまずの決着です。今後も絶対にこの戦いがあるので見逃さないでください!


【大正コソコソ噂話】

巌勝が昌継の呼吸を知ったのは、ある時に縁壱とあった際に聞かされたかららしい。





光の呼吸【輝月蓮華】


満月のような光輪を無数放ち、敵を追い詰める技。四方八方から迫りくる斬撃のため、食らったものはよほどの手だれでも無い限り、生きて帰れるものはいない。



光の呼吸【照魂刺突】


光の呼吸最強の突き技。とにかく速さが桁違いで、この技を見たものは始めは何かが光ったと錯覚するほどであり、気がついた時には自分が貫かれているということもしばしばあるらしい。威力も凄まじいため生半可な斬撃では止めることは不可能。

炭治郎の家族は助ける?助けない?

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  • 助けないで!
  • 禰 豆子以外助けて!
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