ついにこの日がやって来た。
ホープはカーテンを開くと外は雲ひとつない晴天だった。
「チャンピオンになるぞ!!!」
ホープの声が家中に響き渡る。ホープが喜んでいると階段を上ってくる音が聞こえる。
「ちょっと、朝からうるさいわよ」
「あっはっは、ホープもいよいよジムチャレンジに挑戦するんだな」
そこには父ホップ、母ソニアの2人がいた。
「父さん、母さん!俺、絶対チャンピオンになるから!」
「わかったから顔を洗ってきなさい。朝ごはんできてるから早くね」
ソニアがそう言うと、ホープは顔を洗いに向かった。
ホップはその姿を見て懐かしさを感じた。
「全く、どこかの誰かに似て元気ね」
「ああ、ついにホープも10歳か。時が経つのは早いな」
「……今年も届いてたわよ、どうするの?ホープが出るんだからホップも出れば?」
「……んーそうだな、研究も落ち着いてきたしアイツらにも会いたいから出ようかな」
「じゃあ、ユウリに伝えておきなさい。きっと喜ぶわ」
「ははっ、そうだな」
ホップは外を眺めた。
あれから30年、ユウリはチャンピオンの座を誰にも渡していなかった。兄である前チャンピオンであるダンテでさえ、1度も勝つことはなかった。
ホップは初めて出場してからジムチャレンジをすることは無かった。
ソニアの助手となりポケモンを研究していく内に、ソニアのことが好きになり結婚して夫婦でポケモン博士となり、ポケモンバトルは殆どすることが無くなっていた。
それに伴い、ユウリと会う機会も減っていた。それでもユウリは毎年、ホップにジムチャレンジの推薦状を書きホップに渡していた。
「ロトム、ユウリに今年はジムチャレンジに俺と息子のホープが参加するって伝えておいてくれ」
「かしこまロト!」
「じゃあ、ホップも朝ごはんを食べましょ。下に来て」
「ああ、今行くゾ」
親子揃ってジムチャレンジの参加が決まった。
「メールが届いたロト!」
ロトムの声が聞こえ目を覚ます。メールなんて一体誰だろうと思いながらユウリはメールを確認する。
ホップからだ。今年も断りのメールかな。
そんな事を思っていたが、メールを見てビックリした。
(……ホップがジムチャレンジに参加する!しかもホープも参加するんだ。そうか、もうホープも10歳なんだ…)
時の流れを感じ、ユウリは身体を起こした。
「ようやく、時が動き出すんだね……」
ユウリは出掛ける準備を始めた。懐かしい服を取り出す。
鏡の前で自分の姿を確認した。身長は少し伸びたが容姿は昔のままだった。そして、鏡の中に幻影を思い浮かべる。
隣りには幼きホップ。2人で旅をし、競い合ったことの記憶が蘇ってくる。
「これがラストチャンス……まってるよ、ホップ」