千里に思える道のりを   作:ぽんる

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 付き合ってる大学生時空
 間接的R描写あり。


チョーカーの活用法

「斎賀さん、今日チョーカーつけてるんだ」

「えと……こ、恋人に、もらったんです」

 

 大学に入学してから仲良くなった友人へ、耳や顔だけでなく、首まで真っ赤にしながら玲は答える。

 

「ふーん、彼に、かぁ……」

 

 熱持つ首をそっとさわると、質感の良い布が指に触れた。にやにやしている友人がさらに続ける。

 

「キスマーク隠しにもちょうどよさそうだしね」

「キっっっっっ!?」

「あは、慌てちゃってかーわいー」

 

 うぶだねぇ、と彼女が笑う。

 

 高校の頃よりも伸びた髪は、首を隠してくれるけど、時々チラリと見えてしまうことがあるようで。うなじによくキスマークをつける彼が、それを見て玲にチョーカーを買ってきてくれたのだった。

 

 少し前まで楽郎は自分で把握していなかったようだが、彼はうなじが好きらしい。

 よく視線を感じるし、()()()()()()をするときにはわりと高確率でそこにキスを落とし、さらにはキスマークをつけることもよくある。

 それを玲が指摘したのは、つい最近のことで。

 

 『うなじ(ここ)をさわるとすぐに反応するよね』なんてどの口が言うのかと。そういうことをする度に楽郎が触れたから玲は過敏になったのだ。玲は楽郎に変えられてしまったのに、それを自覚していない楽郎が、少し憎らしかった。

 『ら、楽郎君が、いつもふ、ふれるから、ですよ?』と指摘すると、自覚が無かった為か最初は慌てていたものの、開き直って自覚的にふれるようになり、あまつさえ玲をからかう材料にし始めた。

 

(べ、別にそれが悪いという訳では……)

 

 玲が恥ずかしいだけである。彼の隣で歩いていくためにも、もう少ししっかりしたいとはいつも思っているが、まだ楽郎と共にいることすら心臓が痛いのだから、玲が楽郎に仕返しできる日はきっと遠い。(実際は楽郎に向かって玲はよくカウンターを食らわせているのだが、玲はそれを知らない)

 

 「玲さんに似合うと思って」なんて笑いながらチョーカーを渡してきてくれたのだから、玲は死にそうだった。そしてうなじにキスマークをつけた後、玲にチョーカーを巻いて彼は言うのだ。

 「ほら、隠せた」と。

 

「あー、なんか思い出してる? 顔の赤さヤバいよ?」

「ぃ、いえ、あの、そんな……」

 

 楽郎の事だから、玲をからかうためか、いや、その後の反応を見るに、ただ隠せることを確認しただけの可能性が高い。確認為だけにそんなことをするのか? 彼はするのだ。なぜなら自分がしたことの影響力をあまり考えない人だから。

 無自覚でも、自覚的でも。どれだけ玲が楽郎に振り回されているのか、きっと彼は知らない。

 

「あ、彼氏くん来たよ」

「玲さん」

「ら、らくろ、くっっっ!?」

 

 振り返ると、楽郎がそこにいた。先ほど思い出したことで赤みが取れない。今このチョーカーの下にあるキスマークのことを思い、玲は身悶えする。

 

「いつも玲さんがお世話になってます」

「なに? マウントかな?」

「俺はそんなに狭量な訳じゃないんでね。ただの挨拶」

「ふーん、そう」

 

 玲が何も言えない状態だとわかったからか、友人と楽郎が話し始めたのを見て、玲は話せるまでなんとか自分を落ち着かせるのだった。

 




 チョーカー玲さんの概念マジマジに最高じゃないですか? ヤバい。うなじフェチの彼氏が贈るチョーカー、普通にえろすぎる。ヤバい。もはや首に手を添えるだけでえっち。好き。

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