R描写手前まであり。
◆
「えっと……今日も、シャンフロ、ですか?」
同棲している、恋人である玲さんにそう聞かれる。
「うん、そう。玲さんも一緒にやる?」
恋人なんて自分からは程遠い存在だと思っていたのに、それでも俺に恋人がいるのは、なにも『好き』だと言われたから、だけではないのだ。
「…………えと、やり、ます」
んー、何かフラグとか踏んだか? 何かを迷い、諦めたようにみえる玲さんは、どこか複雑そうな顔をしていたが、まあバグるのはいつものことか、と流す。
「じゃあ俺先にログインしてるから」
「は、はい」
玲さんと行くならどこがいいかと想いを馳せ、俺はシャンフロにログインした。
◇
(行って、しまいました……)
夜のお誘いというものを、玲はしようと思い詰めていたのだが、結局口にすらできないまま、彼は電脳の世界へ旅立ってしまった。
玲はもう、カボチャを模したキャラクターなどが描かれたそれを、外側から眺めることしかできない。
はしたない女だと思われないだろうか、そもそもそれを言う勇気が出ない、なんていう理由もあるけど。一番は彼の楽しむ時間を邪魔したくないからで。
ずっと見てきた、あの楽しそうな笑顔の邪魔を、玲はしたくない。
ゲームが長引けば明日の為に眠らなければならず、すでに
(あ、明日には……い、いえそ、そんな、楽郎君の邪魔をしてまでしたいという訳では……)
結局明日も誘えないんだろうな、と悟りながら、玲は自分のVR機でシャンフロにログインした。
……
…………
………………
誘おうとして三日目にして、玲は学んだ。
「えと、今日も、シャンフロ……です、よね」
誘い方をではない。楽郎が聞かずともシャンフロをするということを、だ。
一応玲にもまだ誘おうという気持ちはあるのだが、長年染み付いたヘタレ属性がまだ後回しでいいだろうとの判断を下させていた。楽郎が楽しめるのなら、そして結局ゲームでも二人っきりなので実質デートなのだから、という気持ちもあった。誘えないならもう……の諦観である。
ここで先伸ばしにして今を諦めてしまう所が、玲がヘタレたる所以なのだ。
「玲さん」
「はい?」
ログインするための準備をしようとし、呼び止められたので彼の方を見ると、彼がゆらりと動いた。
「玲さんは今そういう気分じゃないかもしれないし、こういうのはズルいってわかってるけど」
「え? ひゃあっ」
玲の服の下からスルリと楽郎の手が潜り込んできて、お風呂後だったので下着を着けていない玲の身体をまさぐる。
そもそも誘おうとしていたのだから、気分じゃないも何もなく、玲の身体は簡単に解きほぐされていく。
ドロドロに溶け、自分と彼の熱の境もわからず、思考回路はもう働いていない。
「ね、玲さん、いい?」
熱を孕んだその問いに、玲はコクリと頷いた。
誘えない玲さん絶対いるよね、いるいる。玲さんがお誘い成功する前に楽郎くんのムラムラゲージが限界に来てしまったやつ。玲さんシャンフロするとか言ってたから気分じゃないんだろうし、ぐちゃぐちゃにしてから聞くのはズルいって知ってるけど。