市役所で倒れた明日人は、伊那国島の病院に運ばれた。
医者からは、命にかかわることはないらしいと言われ、ここまで運んできた氷浦たちは安堵する。だが、学校は臨時休校となり、花伽羅中の練習試合も中止。
だが、今は明日人の目覚めを待つのが優先だと、サッカー部に確認しに行った万作に残された二人は、病室に居た。
そんな中、先ほどまでサッカー部まで走った万作が大慌てで、病室に入ってくる。
「大変だ! 今、俺達のサッカー部の部室が、壊されているんだ…!」
万作の言葉に、二人は青ざめる。
じつは、伊那国島サッカー部が有名になる前、部室とグラウンドが壊されたことがあったのだ。実質、部室が壊されるなんて、これで二度目。せっかく廃部から免れたというのに、また廃部にさせられた。
氷浦はその中で、また何かが起こっているんじゃないかと、頭を巡らせた。
「テレビを見たんだが、これは俺達だけの中学校だけじゃないらしい…全中学校が、サッカー部の廃部を余儀なくされたらしい…」
嘘だろ…? と、道成と氷浦は半信半疑で検索することにした。
すると、その表情は驚愕の表情へと変わる。
「__!! 星章学園が!?」
「王帝月ノ宮まで!!」
それ以外にも、これまでFFで戦ってきた学校の名と、無名のサッカーチームの名が廃部となっており、それはサッカー協会のホームページでも確認出来た。
しかも、どの学校も廃部から逃れるのに失敗している。
「…あの雷門中もだ…」
と、万作が言った直後、病室の雰囲気が暗鬱となる。
「サッカーが禁止…しかも国が決めた…? 万作、これは何かありそうだ」
***
「サッカーが…禁止…?」
その邪見とした雰囲気は、雷門中にも広がっていた。
円堂が手に持っているのは、「サッカーが禁止されたので、サッカーに関するサッカー部は、廃部とさせていただきます」と、パソコンで撃たれたような文字が並んだ紙。
そして今円堂が目にしているのは、以前までここで活動を続けていた部室が、国から派遣されたショベルカーやブルドーザー等で破壊されている。
先ほどまで、朝練を楽しみに雷門中に来た円堂だったが、このことを告知され、目の前の出来事に絶句していた。
ここに居る雷門サッカー部のメンバー全員、そしてマネージャー達が、この状況を受け入れられずにいた。
円堂自身、極度のサッカー馬鹿な為、このショックは、誰よりもが大きいだろう。
「しかも…国がそれを決めた…だと…」
鬼道のゴーグルの下の赤き瞳は、揺れていた。
そして、サッカーを禁止されたことの悲しみと、目の前で部室が壊されているというのに何も出来ないという自分へと怒りで出来た涙が、瞳に滲み出ていた。
「そんな…酷いッス…」
「雷門サッカー部が集結したばかりだってやんスのに…」
二年生となった壁山と栗松がショックを受けている中、豪炎寺は自分のやるせなさに拳を握っていた。それは、手の平から血が滲み出るくらいに。
「…でもっ! 国がそんな簡単にサッカーを禁止する筈がない! きっと何か理由が…」
円堂には、まだ希望があった。国がそんな簡単にサッカーを禁止にするはずがないと、信じていた。
「で、ですが、理由なんてどうやって…」
「円堂…その理由を結論づける為にはまず、情報収集だ。まずはそれからだ…」
震える鬼道の声を聞き、円堂はすぐに察する。
鬼道は今、自分を隠している。
いつもの鬼道を、装っている。
「…鬼道…辛いなら、泣いていいんだぞ…」
「……だが、今は泣いている暇はない……そう言うお前も、平穏を装っているだろう…」
今この日本で起きている現状に、誰もが暗鬱となっている病室に、今も雑音によって掻き消されそうな声が響いた。
「ん…」
それに気がついた氷浦達は、明日人が眠っているベットに近づく。
「明日人!!」
「稲森!」
「あ……ここは……」
まだ意識が朦朧しているのか、明日人は今の現状を把握できてないようだ。
「ここは病院だ。明日人、お前は市役所で国からのサッカー禁止令が出されて、それを聞いたお前は倒れたんだ。それで俺達はお前をここまで運んで…」
状況を明日人に説明する万作の声を、曖昧な意識で聞いていた。だが、「サッカー禁止令」という単語を聞くと、その刹那に自分に何があったのかを把握し、明日人の意識をはっきりとさせた。
「__! そうだ…俺はあの時倒れて…」
「あぁ、国がサッカーを禁止したせいで、日本中のサッカー部の活動が、廃部を余儀なくされているんだ…」
廃部。その単語で、明日人は以前に起きた光景を思い出す。
今から約四か月前、一年前にFFでの雷門中優勝によって、サッカーは、日本中で今莫大な人気を誇るスポーツとなった。サッカーチーム運営の要件として、大規模な資金を有する「スポンサー」がつかなくてはならなくなった。
その影響下もあり、当時スポンサーを持ってなかった伊那国島サッカー部は、廃部となってしまった。
だが今は、以前のFFで一勝をあげた為、活動出来てはいたが、それもたったの、一か月の間だけとなってしまった。
「……なんでなんだよ…なんでサッカーが、禁止されなきゃ…」
「明日人!!」
病室の扉が勢いよく開かれる。そこに居たのは、昨夜に花伽羅中のことを聞きだした、稲森琢磨が居た。
「父ちゃん!?」
「…お前が倒れたと聞いて、日本支部のオリオン財団からここまできた」
よく見ると、スーツのボタンがずれている等と、自分の身だしなみを放って置いてまで、一刻も早く自分の息子の元へと、走ってきたようだ。
「明日人…もう大丈夫なのか?」
「うん…サッカーのことはショックだったけど、もう大丈夫だよ」
と笑う明日人を見て、琢磨は、明日人の心の底の心情を感じ取り、心の中で噛みしめた。そして、重い口を開いた。
「明日人…まだ病み上がりかもしれないし、少し責任を問われる問題かもしれないから、この要件を「出来ない」と感じたら、すぐに拒否するんだ。…オリオンと共に、この現状を変える手伝いをしてくれ」
「…え?」
時は少し遡り…日本に混乱が起きる前の日本に入国してきた少年たちがいた。
「着いたよ、兄さん。まずはホテルに行って、荷物をそこに置いておくね」
日本についたことを兄に報告するのは、二か月前イナズマジャパンが決勝で戦ったロシアチームのキャプテン、フロイ・ギリカナンだった。
『いや、まずは趙金雲の所に行ってくれ、あいつなら宿くらいは用意してくれるだろう。ちなみにあいつの住所なら、お前のトランクに入れておいた』
フロイのスマホ越しに会話するのは、オリオン財団の現理事長であり、フロイの兄であるベルナルド・ギリカナンだ。以前の長かった髪を切り落としており、今はいかにも涼しそうなショートになっていた。
「兄さんったら、いつの間にそんな準備を…」
『部下が荷物の確認をする時にこっそり入れておいた』
「いつの間に…えっと、トランクのポケットなんだよね…あった」
フロイは、スマホを右肩で支えながら、銀色のトランクのポケットを探る。
『見つかったみたいだな。じゃああいつの所に荷物を置きに行ったら、次は明日人に連絡してくれ』
「…え? 明日人に?」
フロイは、なぜ稲森琢磨の息子である明日人に連絡をするのかが気になった。あの子には、関係が無い筈…と。
『あぁ、明日人にはこっちでお前達の手伝いをするようにと言っている。……どうした? フロイ』
「…あっ、なんでもないよ。兄さん」
フロイは、新条とは自分の兄の同僚だということも知っており、息子のことも何となくだが気になってはいた。
しかし、フロイは明日人に対し、罪悪感を覚えていた。
かつてのオリオンは、戦力を確保するが為、当時父親を捜していた明日人に偽物の父親を送り込み、明日人を口述で誘拐したのだ。
自分の母であるイリーナがしでかしただけで、自分は当時のオリオンの悪事を暴こうとしていたのだが、それでもフロイは、明日人に対し、自分の母に対して申し訳ないという気持ちが混ざっていた。
「じゃあ、切るね」
フロイは、通話終了のアイコンを押す。
「……マリク、ルース、そろそろ行くよ」
フロイの向こうに居るのは、売店で日本の民芸品を眺めているマリクとルースが居た。
二人は、日本へ来るのが初めてだったこともあり、ロシアでは滅多に見かけない珍しい物がゴロゴロある。
「フロイさん! これ凄いよ! 一つ百円なのに猫のパンケーキが簡単に作れるモールドとかもあるんだよ!」
「………」
マリクは、日本の百均グッズを見て称賛しており、ルースは、おそらく売店で購入してきただろう、タピオカミルクを飲んでいた。
「まずは、イナズマジャパンの監督だった趙金雲を訪ねて来てって。それから、明日人に電話して、こっちに…」
「え!? 明日人が!? 明日人に会えるの!?」
明日人という言葉を聞き、マリクはすぐさま喜んだ。
だが、それを見てフロイは、「まずは趙金雲を訪ねてからだよ」と付け加えた。だがその瞬間、目の前は図体の大きい男性が目の前に居り、それに気がつかなかったフロイは、驚きのあまり床に尻餅をついた。
「呼びましたかぁ?」
「いっ、いつの間に…」
マリクに手を貸してもらいながら、フロイは立ち上がり、ズボンについた汚れを払いながら趙金雲に返事を返す。
「せっかくハワイ旅行を楽しんでる時に、オリオン財団から連絡が入りましてね~たった今帰国してきましたぁ~」
「そ…そうなんだ…」
よく見たらハワイシャツ着てるし。と、マリクは思った。
「じゃあ、最初の目的である私に会えたので、早速私の家に行きましょ~!」
と、趙金雲はフロイ達の前線を歩く。
「フロイ…なんかこの人怪しい」
「ルース、それを言っちゃ駄目」
伊那国島の船着き場では、琢磨と明日人が、東京行きへの船に乗ろうとしていた。明日人の右手には、必要最低限の荷物がまとめられたトランク。
明日人は、琢磨の頼みを承諾し、オリオン財団の手伝いをすることにした。
明日人自身、また東京に行くことになるとは思いもしなかった。大人になったらまた行きたいなと思ったくらいだ。
「たまには帰ってこいよ~」
「お土産宜しくね~」
「東京での話いっぱい聞かせてよ~」
と、伊那国島のサッカー部員が、明日人にせんべつを送ってくれた。
「それじゃあ…行ってきます!」
明日人が手を振り返した直後に、東京行きの船が出る。
その船は、航路の後を水面に描きながら、伊那国島を離れていく。
明日人を見送った氷浦たちは、明日人が離れていったことに関する寂しさを感じながら、船着き場を後にしようとする。
しかし、氷浦たちの後ろには、市役所でサッカー禁止令を告知したあの少年少女たちが立っていた。
***
「野坂さん」
西蔭が野坂に呼びかける。
「野坂さん」
それに続いて一星も呼びかける。
対して呼ばれている野坂は、なんと廊下の壁にもたれ、眼を瞑っていた。
あまりにありえない光景であの人がしなさそうなことで、二人は困惑していた。
だが、周りからは好評のよう。
「……もしかして野坂さん、寝ているんですか?」
「寝ていたら返事が出来ないよ、一星くん」
「そうですね…って! 起きてたんですか!?」
一星が確認に野坂に話しかけると、と野坂は寝ながら返事をした…というよりは、元から起きていた。
「ごめんね、少し考え事をしていて」
「野坂さん。考え事なら別の場所でもよかったのでは…」
「西蔭、考え事をするのに場所を選ぶことはないよ。それに、考え事というのは、国がなぜサッカーを禁止したか…についてを考えていたんだ。サッカー部が、廃部になったからね…」
先ほどまで着崩していた感じとはうって変わって、野坂は真剣に話を切り出した。
「それに、国が一日でそんな簡単にサッカーを禁止にするとは思えない。なんの事前報告も無しにするなんて、そんなことがありえるかい?」
「まぁ…確かにこの日本じゃ、何か重要な発表をするときは、事前に時間などを言いますね…」
「一星」
「なんですか西蔭さん」
「たまに事前報告も無しにその重要なことを決めることがある」
「…ま、まぁ、事前報告が無いなんて、ありますし…特に野坂さんなんて…」
「おや? 何か言ったかい?」
「何でもありません…」
詳しく話をしようと、王帝月ノ宮中の寮にある、野坂の部屋に歩く最中、三人はこのような会話をしていた。
事前報告も無しに、何をしたのだ。野坂は。
「さぁ、着いた…」
野坂が部屋の扉を開けたその時、野坂の机近くに、女の子が居た。
制服を着ていない、仮面を付けた白いワンピースの少女は、先日明日人が見たあの天使。
「…貴様、ここで何を…」
「待て、西蔭。……君は、ここの生徒じゃなさそうだけど、どこから来たんだい?」
西蔭を止め、部屋に居る天使に、野坂は話しかける。
「……先日、島に居たあの少年に、天使と言われたわ。あの子が私のことを天使だと思ったように、貴方が私のことを天使と思うなら、私は天使…なのかもしれないわね」
まるで、自分は何者でもないと主張をしているかのような発言に、西蔭と一星は茫然とする。
「じゃあ『天使さん』。君はどうして、ここに来たんだい? それに、僕達に会う前にも、誰かと会っているような口ぶりだけど…一応、先日君に会ったというその子の特徴はなんだい?」
野坂の問いに、天使は少し考えてから答えた。
「どうしてここに来たか、というのは、ここに来てはならないという決まりでもあるのかしら? そうには思えなかったけどね___」
立ち話に疲れたのか、天使は野坂のベットに片膝を抱えて座り、首をかしげて野坂の顔を覗く。
「……」
天使の返し方、その行動を少し予想だにしてなかったのか、野坂は沈黙する。
「あえて、言うとなれば…少し忠告をしに来た、とでも思ってほしいわ…でも、皇帝の名の持つ貴方からすれば、忠告にはならなさそうだけど…いや、これは忠告、なのかしら…」
「…野坂さんを挑発しているのか」
「挑発だなんて、した覚えはないわ。それよりも、皇帝の犬には黙って貰いたいわ、今そこの皇帝と話しているのだから__」
「…西蔭、僕は今この子と話しているんだ。僕に質問をするなら、後にしてくれ」
「……すみません」
天使の野坂に対するその挑発的、嘲笑的な、抽象的な態度が西蔭の逆鱗に触れたのか、天使との話に割り込む。
だがそれでも、天使は態度を改めることはなく、西蔭を[[rb:皇帝 > 野坂]]の犬だと罵った。
「忠告その一。この世界は、いつの日か神が治めることになるわ。神は長らく、貴方達人間を見守ってきたそうだけど…もうそろそろ限界のようみたい。だけど、その時が来たら、貴方達はすぐに神に従いなさい」
神。通常ではあまり聞き慣れない言葉に、三人は半信半疑になっていた。だが、妙にこの天使の言うことは、簡単に脳に入ってしまう。
「忠告その二。もうすぐこの地上に天使が舞い降りる…いや、もう舞い降りているわね」
「…その天使というのは、君のことではないのかい?」
「勘違いしないでほしいわ。私は勘違いのする男は嫌いなのだから。それに、舞い降りた天使というのは、私のことではないわ。私はただの通りすがりの天使。偶然に、貴方達の所に来たのだから。それに、私は貴方達には一切危害なんて加えないわ。私は人を傷つけるのなんて趣味ではないの。人を傷つけるというか、痛めつける天使は、他に居るわ」
通りすがりの天使は、人のベットに座るものなのだろうかと、一星は困惑した。というか、人を痛めつけるのが趣味な天使も居るのかと、同時に思った。
「そういえば、貴方はどうしてここに来たという質問の他に、先日私に会った少年の事を質問してきたわね。あの子のことは、特に供述すべきことはないわ。私はただ帽子をあの子に返しただけ。…さぁ、これで質問は終わったわ。そろそろ私は、帰らせてもらうわね」
すると、天使はベットから降りたかと思えば、一つだけ部屋にある窓の壁に手をかけた。
その瞬間、少女に翼が生えた。汚れのない、純白の天使の羽が。
「あぁそれと、サッカーが禁止された…というのは、知っているけれど、私から教える事なんて無いわね」
そう言った後に、天使は窓から外に出た。
野坂が窓の近くに行った時には、天使なんて居なかった。
「えっと…確かここで待ち合わせるんだよね? 父ちゃん」
久しぶりの東京に足を踏み入れた明日人は、フロイから言われた待ち合わせ場所__何の変哲もない公園に、琢磨ときていた。
普段はサッカーをしている子供たちが居て騒がしいのだが、今さっきサッカーが禁止された為、子供達は居ない。
本当にサッカーが禁止されたんだ。と、身に染みてわかる。
「明日人~~~!!」
「うわっ!」
「明日人!?」
後ろから自分を呼ぶ声が大きくなり、思わず振り向くと、そこには二か月前にオリオン財団の練習施設で知り合ったマリクが、明日人に飛びついてきた。
「久しぶり! 明日人!」
「痛っててて…あっ! マリク…ルース!!」
「明日人とはここで待ち合わせるってフロイさんが言ってたから、先に待ち伏せてたんだ!」
ま、待ち伏せてたんだ…と、明日人は思った。
「明日人、大丈夫か?」
「うん…ありがと、父ちゃん」
琢磨が差し伸べた手を、明日人は手に取る。
「マリク、いくら明日人に会えたからって、飛びつくのはよくないよ。ほら、謝って」
遅れてきたフロイが、マリクを叱る。
「フロイさん…明日人…ごめん」
「いやいいよ、俺もマリクにあえて嬉しかったし」
マリクに笑顔で返す明日人。
しかし、その笑顔の理由は、言い訳で作られていた。
「フロイ、そろそろ…」
と、ルースがフロイに耳打ちする。
「うん、わかった。……久しぶりだね、明日人。正直の所、僕は君と会うのは少し気まずかったけどね…でも、元気そうで何よりだよ。君がここに来たということは、今日本で起きている騒動、国が公表した「サッカー禁止令」を解決したくて来たんだね」
明日人の表情を見る限り、覚悟は出来ているようだった。
「正直、あのことを知った時は、僕も驚いたよ。オリオン財団は国と情報を共有しているし、なんなら国しか知らないことまで調べ上げられるから、事前に分かっていたんだけどね…明日人、この騒動は、もはや日本だけの問題じゃなくなった。サッカーが世界中で人気となっている今、世界中は日本がサッカーを禁止したというのを知って、大騒ぎさ。話を戻すとして、なぜ日本がサッカーを禁止したのか…それは、国にある。だから、これから僕達で、今日本で何が起きているのかを調べよう。そうすれば、きっと何か道は見えるはずだ」
淡々と、フロイは事を述べた。
公園に、少しの間が訪れた。
そして、明日人が、口を開ける。
「…俺、許せないんだ。なんで…なんでサッカーが禁止されなきゃいけないんだよ…俺達、昨日まではあんなに楽しくサッカーをしていた筈なのに…なんで、そんな簡単にサッカーを禁止になんかするんだよ…」
誰よりもサッカーを愛している明日人の言葉は、とても強く、そして悲しかった。
その空間を破るかのように、着信音が鳴り響く。
「……はい」
着信音の元は、明日人だった。
『稲森明日人か?』
「…? はい。そうですけど……」
知らない相手からの電話に、戸惑いを見せる。
『伊那国島のサッカー部の彼らはもう救済し終えた。残るはお前だけだ』
「__それってどういうこと!?」
まるで、自分が東京に居る間の伊那国島の事を知っているかのような口ぶりだ。
『お前は、積りに積もった深い闇を抱かえており、誰にも打ち解けない心に傷がついている。だから、お前はあの者たちとは違う救助法を試す。何、命は取らん。お前は救われるべき者なのだからな』
「あ…貴方は何なんですか』
電話を、今すぐにでも切りたかった。
だが、切ってはいけないような気がした。
『だが、その為にはお前にここまで来てもらう必要がある。いいか、場所は…』
『明日人!! そいつの口車に乗せられるな!! お前まで…』』
「氷浦!?」
確かに、氷浦の声が聞こえた。
だが確認をする前に、こっちから電話が切られてしまった。
明日人は瞬時に察した。
氷浦たち皆が危ないと。
人にこの先の未来を忠告をした天使。
それを聞いた人は、何を思い、何をするのか。
この小説の中でどのコンビが好きですか?
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明日人とエレン
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不知火と月夜
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エレンとレン
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エレンとメリー
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エレンとミラ
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不知火とベルナルド
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明日人と月夜