イナズマイレブン テミスの正義   作:暁月の太陽

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少しメンタルが死んでて投稿に遅れを取っちゃいました。

注意
キャラが死にます。


第二十五話 魔女の最期

「あら、どうしたの? ■■」

 エレンが天界の教会のベランダで佇んでいると、後ろに天使がエレンに向かって歩いてき、エレンに話しかけた。その天使の翼は虹色にグラデーションされており、服もドレス上に仕立て上げられていた。

「………そう、明日が処刑日なのね。あの人も、災難ね…」

 私達に捕まらなければ。と、エレンは小声で呟いた。それが後ろの天使に聞こえていないといいのだが。

「……処刑しないでほしいなんて言っているわけではないのよ。ただ、反省しているのに処刑は可哀想ね、と言いたいだけよ?」

 すると、天使が指を鳴らした。その直後、エレンの後ろに銃弾が迫ってくるのがわかった。

「無駄よ」

 しかし、それをエレンはバリアで受け止める。すると、銃弾が石レンガの上に転がった。

「ねぇ■■。もし世界中から嫌われていて、それでも一人だけその人のことが好きな人間が居たとしても、貴方はその人を処刑するつもりなの?」

 エレンの質問に、天使は頷いた。どうやら天使の意志は固いらしい。

「いい? 先輩として助言しておくわね」

 エレンが目の前の天使に話し出す。それは、人を救う天使にとっては何も関係ない話だったが、それでもエレンはしなければならなかった理由があった。

「貴方には到底無理な話だろうけど…どんな罪人にも、必ずその罪人が好きな人は居るわよ? たとえそれが、一人だけだとしても___ね?」

 

 ***

 

 世界選抜の必殺タクティクスによって、一点を奪われた時点で前半は終了した。

「そうか…世界選抜も、ひっかけな必殺タクティクスを用意したもんだな…」

 鬼道が明日人たちからの話を聞いて、顎に手を当てる。

「鬼道さん、もしかしたらあのタクティクスはもうしてこないと思います」

「本当か?」

「うん、一度出したひっかけ問題は、もう出せないのと同じで、回数に限りがあるんだと思います。一回出してみます。『お雑煮の中には何が入っているでしょうか』」

 タクティクスの話からひっかけ問題の話になり、野坂は明日人たちにひっかけ問題を出した。

「えーっと…お餅!」

「違うよ」

 坂野上が妥当な答えを出すも、違うと言われてしまった。

「じゃあ、お野菜?」

「違いますよ、吹雪さん」

「だったら、お魚!」

「なんでお魚!?」

 夜舞の家にはお雑煮にお魚を入れる風習でもあるのだろうかと、明日人が突っ込む。

「いやだって、お魚は高級食材だし…」

「確かにそうだけど…」

 確かに花伽羅村の状況を考えたら、魚が重要食材であることは確かだろう。あそこに海はない。

「じゃあいっそのこと、『地域によって違う』!」

「違いますよ」

「え~じゃあなんですか~!」

 何度も野坂の問題に破れ、大谷もこれには根を上げる。

「…もしかして、()()かい?」

 アフロディが答えを出す。

 すると、野坂が口を開いた。

「正解です、アフロディさん」

「ええ!?」

 これには明日人たちも驚かざるを得ない。なぜお雑煮にぞうが入るのだろうか。

「なんでだ? 野坂」

「お雑煮と何度も言ってみてください。円堂さん」

「えっと、お雑煮、おぞうに、おぞう…あっ!」

 円堂も野坂のひっかけクイズに気づいたみたいだ。

「あ、まさか!」

 明日人も気づいたみたいだ。

『「おぞうに」の中に、「ぞう」の文字が入ってる!』

 その通り! と言いたそうに野坂は拍手する。

「野坂さん、そのクイズはどこから…」

「図書館で『ひっかけクイズ百問』っていう本を借りたんだ。君も読んでみるかい?」

「いや、いいです…」

 野坂からの誘いに、西蔭はなんか嫌な予感を感じ、遠慮した。

「もしかしたら、野坂のひっかけクイズの様に、敵は同じ手を二度も使わないということか?」

「その通りです砂木沼さん。」

「じゃあ! 俺達は俺達で頑張って勝とうよ!」

 明日人の勇気づけの言葉に、野坂は微笑んだ。

「そうだね、明日人くん」

 すると、ハーフタイムも終わり、明日人たちはグラウンドに向かうことにした。

「なぁ夜舞。「お雑煮の中に入っているものはなーんだ」」

 すると、アツヤが夜舞に話しかけてきた。

「え? それって野坂くんが出した問題…まぁいいや。ぞう!」

「違うぜ。答えは餅と野菜だ」

「あっ! 騙したなアツヤくん!!」

 夜舞がアツヤを追いかける中、後半戦は始まろうとしていた。

 

 

『試合再開です!』

 世界選抜がボールを進める。クラリオを中心としたパスは誰にも止められず、いよいよ西蔭のいるゴールにまで来ようとしていた。

『ダイヤモンドレイ、V2!!」

 パワーアップしたクラリオのシュートが、西蔭に襲いかかる!」

「野坂さんの為にも、二度と点はやらせない! ハァッ!」

 西蔭が気を溜めると、右手から赤と黒の混じった巨人のような手が、ダイヤモンドハンドを受け止めようとする。

「キャスティングアーム! G3!!」

 しばらくの小競り合いが続くと、西蔭の手にはダイヤモンドレイを受け止めたボールがあった。

「よし、野坂さん!!」

 西蔭がキックで野坂にパスをする。そのボールは野坂の元に向かう筈だったがぺクにボールをカットされてしまった。

「させねぇよ!」

「なっ!」

「『メニ―バッファロー!!』」

 すると、ボールを取ったぺクの後ろに、大量のバッファローがやってくる。そのリーダーらしきバッファローにぺクはまたがると、バッファロー達はゴールに向かって突き進む。

『おっとー!! ぺク、新しい必殺技で、一気にラストプロテクターのゴールへと突き進んでいきます!!』

「させない! ライトチェーン・ダークロープ!!」

 自身のブロック技で、夜舞はぺクの大量のバッファローたちの幻影を掻き消す。しかし、ぺクの乗っているバッファローだけは消すことが出来ず、おまけにぺクのバッファローが夜舞にぶつかりそうだ!」

「仕上げは俺に任せろ! ゾーン・オブ・ペンタグラム!」

 すると、ぺクの乗っているバッファローが水神矢のゾーンに入り、ぺクのバッファローの速度を遅くする。

「今だ!」

 水神矢がその隙にボールを取ると、そのまま風丸と共にゴールまで走った。

「夜舞! フォローしてくれ!」

「ど、どうするんですか!?」

「あの技を使うんだ!」

 風丸がなんの技なのかは教えてくれなかったが、イナズマジャパンのファンである夜舞はすぐに気づいた。

「…わかりました! 任せてください!」

 夜舞も走り出し、風丸と水神矢のフォローをする。

「明日人くん! 水神矢くんと風丸先輩のフォローをしてー!!」

「わかった!」

 明日人も率先して、風丸たちの道を塞ぐ相手を引き付ける役割をする。夜舞もブロック技で相手のドリブル技と小競り合いをしている。

 しかし。

『ここは通させない!』

 夜舞と風丸、水神矢の道を四人で塞がれたのだ。

「風丸さん!」

 明日人が駆けつけようとするも、明日人もクラリオに道を塞がれる。

「くっ…ここまでか…」

 と、風丸が悔やんだその時、風丸と水神矢の腹に夜舞の鎖とロープが巻きついた。

「えっ、夜舞さ__!!?」

 

「いっけえええええええええええええええええええ!!」

 

 なんと夜舞は風丸と水神矢にライトチェーン・ダークロープを巻きつき、そのまま前方へと投げ飛ばしたのだ。

「夜舞、こんなに力があったのか!?」

「でも風丸さん! 今ですよ!」

「……あぁ! 灰崎!」

 風丸たちが宙に浮いている中、風丸たちは例の必殺技を実行した。

「皇帝ペンギン2号…」

『feat.シャーク!!』

 ペンギンとサメが一気に襲いかかり、それは世界選抜のゴールへと向かう。

「ザ・ボヨン!」

 キーパー技とシュート技との小競り合いが続く中、アロンソの必殺技によって風丸たちの必殺技が止められそうなその時___

「くっ、駄目か…」

『まだだああああああああああああああ!!』

「氷結の!」

「グングニルぅぅぅぅ!!!」

 後ろから吹雪兄弟が走り、アロンソが止めているボールにさらに必殺技を決めることで、必殺シュートの威力を高めた!!

「わぁっ!」

 アロンソもこれには止めることが出来ず、さらに一点を許してしまった。

『ゴール!! ラストプロテクター、夜舞、吹雪兄弟との連携によって、必殺シュートを決めましたー!!』

 ここで試合終了のホイッスルが鳴り、明日人たちは勝利の喜びに包まれた!

「よくやったな! 夜舞さん!」

「えへへ…急に投げ飛ばしてごめんなさい~」

「明日人も、よくやったな」

「はい! 風丸さん!」

 ラストプロテクター全体が勝利に包まれている中、世界選抜はラストプロテクターを見つめていた。

「…負けてしまったな」

 クラリオが呟く。すると、一之瀬がクラリオを励ました。

「大丈夫さ! 俺たちもラストプロテクターに負けないほど強くなろうぜ!」

「…そうだな」

 

 ***

 

 おはよう。

 おはようございます。

 といった朝の挨拶が宿所内で聞こえる中、夜舞と明日人は宿所の屋根の上で日向ぼっこ…というより、屋根から見える景色を眺めていた。

「昨日の試合、楽しかったね! 明日人くん!」

「あぁ! 色んな選手と戦えて、俺はFFIの時みたいで嬉しかった!」

 そういえば、明日人からFFIの話を聞いてなかったなと、夜舞は思いついた。

「そうなんだ。あ、そういえば明日人くん、FFIの時って何があったの?」

「FFI? そうだな~」

 明日人は、夜舞にFFIの事を話し出した。

 一星充がオリオンの使徒だったということ、オリオン財団のこと、世界中の選手たちのこと、シャドウ・オブ・オリオンのことなどを、明日人は話した。

「………そんなことがあったんだね」

「うん、世界のてっぺんになれると思っていたのに、オリオン財団との戦いになっちゃってさ、驚いたよ~」

「それは凄いね! あれ? でも私がテレビで見た時はシャドウ・オブ・オリオンなんて無かったよ?」

「あ~それはなんか趙金雲監督とベルナルドさんが上手い事調整したっぽくてさ」

「お~…」

 マスコミやらは夜舞は知らないが、おそらくそうなのだろうかと夜舞は察した。

 しばらくこうして屋根の上で寝転がっていると、東の方に流れ星のような光が落ちたのを目にした。

「あれ? 流れ星?」

「え? 朝なのに…」

 明日人たちが起き上がった直後、流れ星の落ちた方から爆発音が聞こえた。それも、空耳ではない。

「え!? なになに!?」

「急に爆発した!?」

 明日人たちは、急いで屋根から降りた。爆発のした場所まで行こうとすると、風丸が宿所から明日人たちに言った。

「明日人! 夜舞!」

「風丸先輩!?」

「実は、国会議事堂がユースティティアに襲撃されたというニュースがやってきたんだ!」

『ええ!?」

 風丸曰く、テレビにユースティティアの天使情報という警報が流れていたため、急いで皆を集めに来ていたのだ。

 この国の重要機関である国会議事堂が襲われたのを知り、明日人たちは一瞬理解が追いつかなかった。

「他の皆が準備している、すぐに行こう!」

 

 

 国会周りは、酷い惨劇状態となっていた。それもまるで、戦場のように木々と地面が焼け焦げており、国会の正面玄関ではユースティティアの天使がメガホンを持って総理大臣に降伏をするように言い渡した。そのユースティティアの天使の近くには、ボディガードの人間や世界選抜の人間達が一斉に倒れていた。

「この国の総理大臣に告ぐ。この国は今から我らのものだ。大人しく降伏せよ!」

 レンの隣に居る部下の天使が、国会に降伏を申し出る。しかし、そんな簡単に降伏をするわけにはいかず、軍かラストプロテクターが来るまで時間を稼ごうとしていた。

「ユースティティアの天使よ、お前達は私達人間に何がしたいというのだ!」

 国会議事堂の私有地にあるスピーカーで、総理大臣である財前総理はユースティティアの天使に申し出た。

「我らは、この世界を救うためにやってきた。もはや人間は、この世界を理想郷(エデン)にすることを諦めた。人間はこの地をいつか滅ぼす。それを防ぐために、我らがやってきたのだ」

 部下がレンにメガホンを渡すと、レンはメガホンで、国会の中にいるであろう財前総理に申し出た。

「……今この時代に、この世界を救うものなど来ない。救世主(キリスト)は消えたのだ。争いを好む民衆によってな…」

 レンがこの曇天の空を見上げながら、この世界の不条理を身に染みさせた。

「…レンお兄様?」

 メリーがレンに話しかけようとすると、レンは国会とは逆の方向を向いた。そこには戦車に乗った軍の人間がレンたちに向かっている。レンたちの前で止まった選手は、砲台をレンたちに向けた。

「来たな…」

『ユースティティアの天使よ! 君たちは既に包囲されている! 大人しく投降せよ!』

「…どうする? やっちゃう?」

 メリーがハサミを出して、戦車に対して迎え撃とうとする。

「いや…クロスハーツを使うまでも無い」

 それをレンが止める。するとレンから白いオーラが現れ、オーラから呪文が描かれた札を作りあげる。

『臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!』

 札を持って戦車の方向に九字切りすると、空から雷が降り注ぎ、戦車たちを爆発させる。

「…酷い…」

 それを、明日人たちはビルの影から見ていた。

「しかしっ、まだ私達には秘策がある! いいか! ミサイル投下だ!」

「し、しかし中には総理大臣が…」

「構わん!」

 隊長と兵士との会話に、レンはため息をついた。

「ミサイルなんて持ってたんだね~」

 いけないんだ~。と、メリーがミサイルに爆発させる隙を与えないまま、ハサミで切り刻む。

「なっ…」

「ミサイルが、切り刻まれた…」

「投降するのは、貴方たちだよ?」

 ハサミの切っ先を隊長に向けながら、メリーは脅しをかける。

「やめろ!」

 すると、何者かがユースティティアの前に飛び出してきた。

 明日人だ。

「稲森明日人…」

「あれ? 一人?」

「明日人くん! 前に飛び出しちゃまずいですって!」

 明日人の次に、一星、そして円堂達がユースティティアに立ち塞がる。

「…奇遇だな、まさかここで会いまみえるとはな」

「ラッキーだね! レンお兄様!」

 隊長を突き飛ばし、レンの元にやってくるメリー。

 それに、円堂達は明日人を守ろうと明日人を囲む。

『前回は逃げられたからな…今回は決める…』

 臨兵闘者皆陣列在前。と、レンがもう一度九字切りを行う。

「___カハッ」

「明日人っ!」

 すると、突然明日人の首が絞まり、レンの元へと引っ張られるのを見て、灰崎は抑えようとする。

「ア…ア、ハ…」

 明日人の目は虚ろになって必死に空気を取り込もうとしており、灰崎たちの声など届いていなかった。

「くそ! 見えねぇから何が明日人の首を絞めているのかがわかんねぇ!」

「灰崎くん! 狼が!」

 灰崎が明日人を引き戻す一方で、明日人の中から狼が現れた。

「…グルル…」

「あの時の狼か。メリー」

「はーい!」

 するとメリーは、ハサミを杖に変えて、狼に向けてビームを放った。それは狼を拘束するための結界であり、狼はそれに包まれ、動けなくなる。

「動かないでね? 明日人を傷つけたくないでしょ?」

「___フゥー…フゥー…」

 狼は今も唸っており、明日人を守ろうとしている。

「これはお兄様の拘束術と私の魔法を組み合わせた結界なの。ね? 魔法少女はどこまでも強くなれるんだよ~!」

 メリーが話している間にも、明日人の足はどんどんレンの方に向かっており、おまけに首が絞められることによって明日人が気絶してしまいそうだ。

「明日人っ!」

「ア___も、もう、む____」

 明日人が声を出したその時、パンパンと手を鳴らす音が聞こえた。

「ご静粛に」

『!?』

 国会の方からレンたちの方に歩いてきたのは、虹色の翼を持ち、黒いイブニングドレスと白いマントを身に着けた___ミラだった。

「…み、ら…」

 

 ***

 

「ごきげんよう、人間界の皆さま」

 と、ミラは手を広げながら明日人たちの元にやってくる。四枚の虹色の翼、黒と白のドレスは、まさにミラがユースティティアの天使であることを示していた。明日人のことで必死になっていた為一瞬わからなかったが、特徴的なあの喋りかたは、まさにミラ・U・ツェシェルで、明日人たちはその場に硬直した。

「ミラお姉さまー!!」

 メリーがミラに抱きついた。

「ふふ…久方ぶりですわね、メリー」

「…ミラ、俺達を、騙していたのか!?」

 円堂は信じたかった。ミラはユースティティアの天使ではないと。

「騙していた…? 私は初めから貴方達を騙すつもりでいらしました。自己紹介が遅れました。私はミラ・マアト。天秤の天使にして主天使、ですわ」

 レンやメリーという大天使とは違い、ミラはなんと主天使だった。恐らく、レンたちよりも強い力を持っているのだろう。しかし、人間にとって絶望的な状況だというのに、各地から拍手喝采が巻き起こった。しかし、拍手をしていたのは人間ではなく、妖怪のように恐ろしい魔界の住民たちで、明日人たちはいつの間にか魔界の住民たちに囲まれていた。

「今日はあいにくの天気ですわね…ですが、オーケストラ(処刑)にしては十分ですわね」

 ミラが指を鳴らした。

 すると、振り子時計の針が揺れる音が耳に強く響いた。

 まるで、時を遡っているかのように。

 

 

 

 

 明日人は、首に痛みが無くなったことに気づき、目を開ける。

 そこには、現代の国会議事堂前ではなく、中世の街が明日人たちの目に広がっていた。広場には木の柱が建てられており、街は闇色の空に包まれていた。

「これから執り行われるのは、世界を我が物にしようとした傲慢な魔女の裁判。さぁ皆さま、お手を拝借」

 手を合わせ、魔界の住民たちが拍手を行う。

「…ミラ、何をするつもりなの」

「裁判、そして処刑。ですわ」

 すると、明日人たちの周りに鉄格子が掛けられ、明日人たちはそこに閉じ込められる。

「こ、これは!?」

「鉄格子!?」

 明日人たちが、空から降ってきた鉄格子に周りをきょろきょろとする。あとに何とかこの鉄格子を壊そうとしたが、それはハーツアンロックでもスペクトルフォーメーションでも壊せなかった。

「傍聴人も揃ったことですし、さぁ、処刑人をここに」

 魔界の住民が、処刑人を連れて行く。黒いドレスに黒いヴェールを被っていた為、誰なのかはわからなかった。しかし、ミラの前で外されたヴェールの素顔は、あの『魔女』だった。

「___母さん!?」

 フロイが処刑人の正体に気づき、叫ぶ。

「まさか、イリーナか!?」

「だが、なんでここにっ」

 豪炎寺と鬼道が驚く。それもそうだろう。なぜならイリーナ・ギリカナンは、シャドウ・オブ・オリオンの戦いのあと、ロシア警察によって逮捕されたからだ。それがなぜここに居るのか。

「それはね、レンお兄様が連れてきたの」

「メリー、それはどういうことですか」

「だからー、ミラお姉さまの言っているとおりだよ。ヒカル。ミラお姉さまに処刑してもらうために、ここまで連れてきたの」

「…なんで…」

「それは私にもわかんないよ? ヒカルのお友達さん!」

 フロイは、なぜ自分の母が処刑されなくてはいけないのかがわからなかった。確かに自分の母は罪を犯した。だが、それは警察の方で償っていくつもりだった。なぜ、それをユースティティアが処刑と見なすのか。

「処刑人、頭を地面に付けなさい」

 ミラが命令する。しかし、イリーナはそれを従わない。

「………」

 すると、ミラがハイヒールの爪先で、イリーナの腹を蹴った。

「ぐっ…」

 イリーナは仰向けに倒れ、立ち上がろうとする。しかしミラにまたお腹を蹴られた為、それは叶わなかった。

「母さん! ミラ、止めてくれ!」

「それは出来ませんわ。この魔女は禁忌を犯しましたの。あ、貴方が代わりに処刑されるというのなら、構いませんわ」

「わかった! 僕が代わりに処刑される!」

「フロイ!」

 明日人たちがそんなことしちゃだめだと、命を投げ出そうとするフロイを止めようとする。しかし、フロイはイリーナが救えるならと、この命を投げ出すつもりだった。

「……よろしくて?」

 ミラがファイナルアンサーを出す。

「…あぁ」

 それでも、フロイは構わなかった。

 すると、フロイから牢屋から出される。すると、フロイの腕は後ろで縛られ、処刑台へと導かれる。

「フロイ!」

 明日人がフロイに手を伸ばす。しかし、フロイにその声は届かなかった。

「…さぁ、僕を代わりに___!?」

 フロイがイリーナの前に立ったその時、フロイの後ろに十字架が現れた。すると、フロイの腕を縛っているロープが十字架の横木に繋がり、引っ張られる。

「フロイ!」

「フロイくん!」

 明日人は、鉄格子の向こうから見ていた。

 十字架に貼りつけられて、今から処刑されるフロイの姿を。

 しかし、それは少し語弊があった。

「…生憎ですが、貴方には処刑されるような罪など持ってませんわ。よって、この魔女の処刑を再開しますわ」

「ミラ__」

 ミラの策略に嵌められたことを知り、フロイは顔を青ざめた。自分の目の前で、自分の母親が処刑されるのだから。

「さぁ、始めますわ」

 魔界の住民がサッカーボールほどの鉄球をミラの足元に置くと、立ち上がったイリーナの腹にシュートした。

「ゲホッゲホッ!」

 イリーナが咳き込む。

「こんなものでは終わりませんわよ? 貴方の罪の重さは、まるでこの地球の重さ。まだまだ処刑され足りませんわよ?」

「ミラ…もう、やめてくれ…」

 目を瞑って、イリーナの処刑から目を離すフロイ。しかし、耳にはイリーナの悲鳴や咳き込み音が聞こえ、その瞼を開けた先に何があるのかを知りたかったが、知ってはいけないような気がした。

「さぁ、そろそろフィナーレといきましょう」

 ミラがイリーナを蹴り飛ばした瞬間、イリーナの後ろに木で出来た鉄の処女が現れ、イリーナを中に閉じ込める。

「母さん! ミラ! そんなこと、しないでくれ! 殺すなら、僕にしろ!」

「……」

 フロイの言葉に耳を傾けたのか、ミラ鉄の処女に近づき____

 そのカギを、締めた。

「残念でしたわね」

 それはフロイに向けられた言葉だった。

 それを聞いたフロイは、絶望した。

 そして、明日人たちも絶望した。

 イリーナは、助からない。これから処刑されてしまうのだ。

「さようなら、地獄旅行の始まり___ですわね」

 ミラが、鉄の子女を、炎の窯の中に蹴り入れた。

 

 ***

 

「これにて、裁判は終了ですわ」

 すると、明日人たちを閉じ込めていた檻、フロイを貼りつけていた十字架は消え、西洋の街も元の国会議事堂に戻った。

「ミラお姉さま! 今回もかっこよかったよー!」

「ありがとうございます」

 今回も。

 その言葉を聞いて、フロイの理性は紐のように切れた。

「___ミラぁあああああああああ!!」

「フロイ!」

「イノセント・ドライブ!!」

 フロイが、崩れた建物の岩を使って、ミラに必殺シュートを放つ。しかしミラに触れるまでに、岩は粉々に砕け散ってしまった。

「無駄ですわ」

「なっ、銃…」

 なんとミラは、右手に持ったハンドガンで、フロイの蹴った岩を一発で壊したのだ。

「それに、貴方たちも知っているでしょう。あの魔女の罪を。あの魔女は、処刑されなくてはならない。そうだとは思いません?」

「…………」

 ミラの言い分に、明日人たちは黙り込む。

 確かにミラの言い分はわかる。イリーナは、サッカーを使って世界経済を操ろうとしていた。しかしそれにもちゃんと理由があり、悪か正義かなんてわかんなかったからだ。

「…だとしても、人を殺すなんておかしいだろ!」

「そうです? これを見て下さい」

 ミラが円堂に、一枚の紙を飛ばす。それを手に取ると、円堂は膝をついた。

「…な、なんだよ、これ…」

 そこに乗っていたのは、イリーナ・ギリカナンの罪状。そこには、()()()()という罪状が書かれていたのだ。

「わかるでしょう? 自分の意見が通らないからって夫を殺すなんて、なんて愚かなんでしょう」

 ミラの声は、フロイには届かない。

 自分は、父によって構成されたようなものだから。

 その父が自分の母に殺されたということを知り、フロイは膝と手を地面に着いた。

「か、かあ、さんは、そんなこと、していない」

「…可哀想に…あの魔女に()()()()()されて、今まで無垢のままでいらしてのですね___ですが、世の中には知らないこともいいこともあるでしょう。例えば…」『イリーナ・ギリカナンの最期を』」

 ミラのいうことが、明日人たちには一瞬何のことはわからなかったが、しばらく経った後に、その言葉の意味がわかった。

 そう、最後を見て貰えないということは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

「…ミラは、なんで、そんなことを」

「私は天秤の天使。悪を処刑するのが私の仕事。明日人さんのことは見逃してあげますわ」

 貴方達のこれまでの行動が、善であることを祈りますと言って、ミラは消えてしまった。

 

 ***

 

 フロイは、イリーナが処刑された国会議事堂に、今も立っている。

 ビルの陰では、明日人たちラストプロテクターの全員が、フロイを見守っている。

「…辛い、だろうな…」

「誰だって辛いさ…家族の一人が死ぬのは」

 家族を失くしたことのある鬼道が、円堂の声に返事する。

「…誰にも見て貰えないまま、死ぬなんて…」

 寂しい、だろうな。と、夜舞は一言話す。

 

 そう、誰もかれもが、魔女の最期を知らない。

 明日人たちが公表したとしても、誰も信じて貰えないだろう。

 それに、相手は悪人だ。相手にしてもらえない。

 それに気づいたフロイは、膝をつく。その直後に、大雨が降った。それはまるで、フロイの涙のようだ。

「…かあ、さん」

 会いたい、よ。

 しかしその声は、雨の中に消えた。

 




 添削大変でした。
 はい、ミラ・U・ツェシェルは、ユースティティアの天使でした。
 わかりましたか?
 実はドsな子って大好き…上げて落とすという手法が大好き…
 というか本編でもミラちゃんみらいな女の子、出てもよかったのよ?

この小説の中でどのコンビが好きですか?

  • 明日人とエレン
  • 不知火と月夜
  • エレンとレン
  • エレンとメリー
  • エレンとミラ
  • 不知火とベルナルド
  • 明日人と月夜
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