Twitterでどのコンビか好きかとか、屠殺というダーク系小説とかを考えていたら、もうこんな話数が溜まっちまったよ!
(投稿遅れてすみません)
あ、屠殺というのはこちらから(保証はできません)(https://privatter.net/p/7109511)
『Например, тебе было больно
Когда вы чувствуете, что у вас проблемы
Я всегда рядом со мной
Я поддержу тебя』
「ここのところ、明日人さんにお会いになされてませんね。少し言い合いでもしまして?」
エレンは、スタジアムの遠くから、試合を眺めていた。だがそこに、魔界での仕事を終えたミラがやってきた。そして、心配そうに(本人がどう思っているかは知らないが)エレンに声をかけた。本当は、自分がどうして明日人に会おうとしないのか、わかっているくせに。ミラはそういうところがある。既にわかっていることを、わざわざ本人に言ってくるのだ。全く、意地悪な性格だ。
「そうね、ちょっと本当のことを言い過ぎたわ。でも、私は全然気にしていないわよ? むしろ、あの子達には世界を救うことについて考える時間が得たのだから」
誰かに問われた時のために、用意していた言葉をエレンは並べる。それを聞いて、ミラは不快な気持ちになる。胡散臭いのだ。昔から、エレンは。何を考えているのか、何を思って行動しているのか、それがわからない。仕事をさぼっている理由だって、単純にたぼりたいからというわけではありませんし。
「サッカーギャンブル、のことで、明日人さんと喧嘩をなされたのですの?」
「えぇ。まぁ、喧嘩はこっちの勝ち。明日人は、私に勝とうとしたみたいだけど、無理だったわね」
喧嘩のところで、エレンはミラにVサインを作る。
「ところで、街を襲撃したのは貴方よね。ミラ」
「それがどうかいたしまして?」
「それに関しては、私は何も言わないわ。だけど、今度からはちゃんと理由を言ってからにしてほしいわ。まぁ、貴方は理由すらも考えてなさそうだけれど」
「そうですわね」
くすくす、とミラは扇子で口を隠しながら笑う。エレンは、こういう言い回しをしてくれるから、好きだ。意地悪な性格なのは、そっちだというのに。
「恐れ入りますが、私からもお聞きしたいことですけど、貴方は明日人さんに会って、何をしたくて?」
まさか、ミラからそんな言葉が出るとは。相手のことなんて、自分が気に入ったもの以外皆興味ないくせに。
「ふふふ、あははははははははは! ミラ、貴方にもそんな冗談が言えるのね! 驚いたわ! 明日人? 明日人はね、私が唯一『恋した』人間よ。あ、だからって嫉妬はしないでね。貴方の部下を使って殺そうとも考えないことね。いくらあなたが私の友人だからと言っても、容赦しないわよ?」
最後の言葉に、ミラは背筋が凍りつくのを感じる。エレンは、時折こういう脅しをしてくる。まぁ、嫌いではないが、たまに友人である自分にすら、殺すことを厭わないほどの冷酷さを持っているような、そんな感じがする。
慣れあいとも、腹の読みあいともとれるエレンとミラの会話がある中、試合はラストプロテクターの歓声に包まれていた。伝説のキャプテンの名を持つ円堂が、ハーツアンロックと同時に、スペクトルフォーメーションを完了させたのだから。太陽を象徴とするオレンジ色の髪が風に揺れ、円堂は深呼吸をする。
「…みんな!」
一段と大きい声で、円堂はフィールドプレイヤーの十人に声を励ます。
「まだ一点だ! ここから取り返すぞ!」
以前このチームのキャプテンだっただけはあり、円堂の全員をやる気にさせる大声に、鬼道たちはユースティティアの出したタクティクスへの諦めの表情に、明かりがともった。
「…諦めるな! まだ試合は終わっていない! ここから巻き返せばいい!」
先に希望の日に包まれた豪炎寺が、一星たち九人に精神的に熱い炎のような高ぶりの喝を入れる。
「まずはあのタクティクスを打破するぞ!」
その次に、鬼道が残りの者にこの試合で行うべき目的を伝える。すると、確実に一人一人が、希望に胸を高鳴らせていた。雷神が鳴らす大太鼓のように。
「三人とも、ようやく希望の太陽を手に入れたのね」
円堂、豪炎寺、鬼道の姿を目にして、夏美は微笑む。なぜならば、彼女の目には、一年前のあの情景が写っていたからだ。
「行くぞおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」
大地にスパイクを踏みしめて、豪炎寺たちは走る。
「…頑張ったって、変えられないことはあるのに…」
自分の渾身のシュートを止められて、すっかり自信を無くしてしまったメリーは、たった一点だけを求めて走る豪炎寺たちを見て、茫然自失をしていた。
『円堂のハーツアンロックとスペクトルフォーメーションによって、豪炎寺たちの動きが素早くなっています! 観客も、拍手喝采するかのように大声でラストプロテクターを応援しております!』
せめて、一点だけでも、一点だけは、なんとしてでも取りたい。そして、勝つ。それだけの想いで、豪炎寺たちの本能はたった一つのボールに集中していた。
「…私は」
以前、自分の身に何が起こったのか。その光景を思い出し、メリーは拳を握りしめる。人間として最低で、惨い世界で、メリーは__
「あんな、惨いことを経験するのは、私だけでいいわ!」
今は、今だけは、レンお兄様の言うことは聞けない悪い子になる! だけど、私は世界を救いたい! そう両足に鞭を入れて、勢いよくメリーは地面を蹴った。両手を振り回して、転ぶという可能性など頭にないくらいに前のめりになりながらボールへと走る。
「貰ったわ!」
フィールドの表面に接したままで滑らかに足を出して、メリーは野坂からボールを奪う。
「今までお兄様とお姉さまの指示に従って生きてきたけど…それはもうおしまい! 私は、私の力で世界を救うわ!」
一切荒いプレーになることを躊躇せず、メリーはボールを適度に蹴りながら走る。メリーを遮るディフェンダーたちを、その身でかわし、少女ながらのフィジカルの強さで突破する。
「させるかぁ!」
メリーの横に青い風が突っ切る。その風の正体は、スペクトルフォーメーションとハーツアンロックの効果で足が速くなった一星で、軸足の左足で地面を抉り、右手の平を地面につけてブレーキをかけ、スピードを緩め、メリーと向き合う。しかしその向き合った時間というのは刹那のように短く、一星は先ほどの左足と膝を折った右足で地面を蹴り、メリーの前を走る。
「ハーツアンロックとスペクトルフォーメーションで速くしたって、無駄よ!」
以前のシュートを止められた時とは違って、己の自信を落としていないメリーは、一星と同じように、真っすぐと走った。人間にはわからないほどの短い時間で、横に移動するだけだ。
「うぉおおおおおおぉぉぉぉおおおおおおおおぉぉぉおおおおおおおお!!」
声を上げて自分を鼓舞させながら、一星は走る。一星とメリーがぶつかったその時、閃光のような光が走る。それを近くで見ていた者達には、何が起こったのかわからないでいたが、実際の二人には、およそ何分ともいえる程の速すぎるが故の長さの間で、一星とメリーは一瞬の相手の行動だけで、オフェンスとディフェンスを繰り返していた。
ボールを取ったかと思えば、取られ、相手の動きに合わせ、一瞬という何分間を二人は過ごしたのだ。
「もらったあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁッッ!!」
そして、一瞬にして何分かの後、一星は、メリーからボールを奪うことに成功した。
「しまった!」
メリーがボールを奪いにこないよう、一直線の風のように走る。
『一星、これ以上はやめろ! お前の適合率が、減少方向にあるぞ!』
走っていると、悟蠍が焦ったように一星に声を上げた。自分の適合率のことだろう。だが、そんなの今は、考えている暇など無い。
「悟蠍、それでも俺は、戦いたいんです! 皆のために!」
悟蠍の説得を無視し、一星は弾丸のように走る。ゴール前に近づくと、守りが固くなってくる。しかしそれでも、短いながらも相手の行動パターンを見切った一星には一切通用せず、相手を通り抜けると同時に、ボールを上げて高く飛ぶ。
『スターライト・ミルキーウェイ!』
天の川の光を背に、一星は己が引き裂かれることになろうとも、必ず勝とうと思っていた。ボールを蹴る右足と共に、背後の星は光りだし、流星のように降り注ぐ。だがその時だった。
『死二ゾコナイガ__!!』
フィールドに五寸釘を差し込んだ女性が一星の前に大々的な大きさの手でボールを跳ね返した。そのボールは、一気にラストプロテクターのゴールへと突っ切っていく。
「しまった!」
そのボールの速さと言ったら、一星のハーツアンロック時の足の速さよりもかなり上で、それは光陰矢の如しと言ったところだった。
「な、なんだ!?」
「まるで、風の刃のようだ!」
鬼道も豪炎寺も、ボールが通りかかり、風が抜けていくという感覚で、やっとボールの存在に気づくほどだった。これには、円堂も気づくことはできない。と思いきや、円堂は迫りくる嵐のような風に、全ての精神をボールに集中していた。
「……颯馬、共に戦ってくれるか?」
颯馬は返事をしない。だが、それだけでわかる。颯馬は、円堂を信じて、その背中を預けている。
「…これが俺の…ハーツアンロックだぁああああああああッッ!!」
ボールを受け止める為の腕に力を籠め、大きく後ろに反る。すると、円堂の背中から稲妻の形をした槍を持ち、背中に丸い円のリングが浮いている、オレンジ色の魔神が、スタジアムの上の曇天の空を作りながら現れる。稲妻が後ろで地上に落ちている中、円堂は右手を掲げる。すると、稲妻は円堂の右手の中に落ち、槍状の刃が柄の上下に一つずつ付いた金剛杵に、黄色のエネルギー波の刃が着いたデバイスが現れる。しかしそれを、円堂は『デバイス』として扱うわけではなく、同じく『ゴールを守る者』として、デバイスを己の右手の平に力として蓄えた。
「虹弓の…ゴッドヴァジュラ!」
淡い虹色の両手と、金剛杵が合わさった円堂の新たな必殺技。そしてそのボールは、勢いを失い、円堂の足元に落ちた。
『円堂、止めましたーっ!!』
シュートを止めたことに、観客たちは歓喜の渦に巻き込まれている。やった、止めたぞ。さすが円堂守だ。と。
「…いくぞ、颯馬!!」
拳を握り、円堂はフィールドを見渡す。一年前の尾狩斗中と同じように、きっと何か裏があるに違いない。それが確か__かはわからない。だが、今は考えている暇などないのだ。今は、走るしかないッ!!
「豪炎寺! 鬼道!」
二人の名を呼びながら、円堂はボールを蹴りながら風のように駆ける。
「あぁ!」
円堂の行動の意図を読み取った豪炎寺と鬼道は、円堂とは横並びに走る。
まず、円堂が軌道にボールをパスすると、鬼道がボールを打ち上げる。すると、曇天の雲にボールは突き刺さり、雷鳴と大量の稲妻とともに、ボールは雷のように落ちる。それを、鬼道、円堂、豪炎寺と、同時に蹴った。
『イナズマブレイク! サンダートロヴァオン!』
稲妻のようなジグザグな線を走らせながら、光芒はユースティティアのゴールへと走る。
すると、光の束はフィールドの中心で、何かに塞き止められているかのように、ビームは分かれたのだ!
「す、すごい…」
息の合ったプレー。お互いを信用しているかのように行動を共にしている三人に、フロイは言葉を漏らした。
バリン!
その直後、光芒を塞き止めていた障壁はガラスのように砕け散り、女性がゴール前で正体を現す。
『オノレ__』
それだけを言い残して、女性は灰となって消える。
「__しまっ」
『ゴ―――ルッ! 円堂、豪炎寺と鬼道の必殺技、イナズマブレイク・サンダートロヴァオンによって、ラストプロテクターに一点をもたらしましたーっ!』
タクティクスが破られてしまった衝撃に、カデンツァはイナズマブレイクの光に反応しきれず、ゴールを許してしまった。そのすぐそばで、円堂たちは喜びに抱き合っていた。
これが雷門の底力。明日人はそれを、初めて実感した。
しかし、その傍で、どうしてなのかと困惑している者が居た。それは、ユースティティアの天使では無かった。ラストプロテクターの方だった。
「…なんであの人たちは、あんな仲間を信じているようなプレーが出来るんだろう…?」
同点に追いついたことに喜び合っている円堂達を見て、フロイは困惑した。なぜ、仲間を信じられて、仲間を大切に思えるのだろうかと。
いつか、裏切られるかもしれないのに…
「…フロイ」
思考に浸っているフロイに、明日人が声をかける。明日人はベンチで、明日人はフロイのことを考えていた。仲間なのだから、自分達のことを信じてほしい。とは思うのだが、それは今のフロイには難しいだろう。だけど、言ってみるしかないのだ。仲間の為にも。
「アスト?」
フロイが明日人の方を向く。すると、明日人はフロイの両手を、母親のように優しく包み込んだ。そして、フロイの首に両腕を通し、抱きしめる。
「…お前が俺達を信じられなくても…俺は信じている」
明日人の抱きしめる力が強くなり、フロイは茫然とする。
「もしそれでも信じられないっていうんなら、俺はお前には元気でいて欲しいんだ。キャプテンとしてじゃなくて、俺自身がフロイには元気になってほしいんだって思うんだ」
それだけを言い終わると、明日人はベンチに戻った。
アストが自分にしたことに、フロイは胸の内が温まるのを感じていた。その瞬間だった。
(ららららららら、ららららら)
歌が聞こえる。
(君が傷ついたときには、僕が傍にいてあげる。)
歌と共に、閉じかけていた心の扉が、また開くように、心に光が差し込んできた。
「かあ、さん…」
脳裏に聞こえてきた歌は、昔母親が歌ってくれた歌だ。するとフロイは、ユニホームの青いズボンのポケットに入れていたロケットに手を伸ばし、ダイヤモンドが飾られた蓋を、手を震わせながら開ける。そこには、家族全員の写真。そこから糸を辿るように、昔の記憶が思い出される。当たり前のように思える記憶だとしても、フロイが涙を流すには十分すぎる記憶だった。
「ごめん…」
『もう、いいのよ』
フロイが両手で涙を流す目を隠すと、かつての母親の声が遠くから聞こえた。その声にフロイが顔を上げると、周りが白いカーネーションで包まれた花畑にフロイは立っていた。
「母さん? なんでここに」
『…ごめんね、フロイ。あんなことをさせてしまって』
目の前の母親は、姿こそ半透明になっていたが、自分は母親に抱きしめられているということは、感じられた。
「ううん…僕も、母さんと父さんのこと、信じなくてごめん…」
母親に抱きしめられたのは、いつぶりだろうか。その思い出に、フロイは母親の肩を濡らす。しかし、目の前の母親は、フロイを叩きも怒りもしなかった。。
『…いいのよ。家族は、不完全だからこそ成り立つものなの。それに、貴方の兄さんもね』
「…兄さん?」
フロイが後ろを向くと、そこには髪を短く切った兄の姿が見えた。今は監督として、世界を救おうとしている兄の姿が。
『ベルナルド、今までごめんね。こんなお母さんを、許してくれる?』
カーネーションの花畑にいることに困惑しているベルナルドにも、母親は構わず抱きしめる。
「…マーマ、俺は、ずっと信じてた…マーマは、きっと何か理由があるんだって…」
どんなことをされても、どんなに酷い事をされても、自分は、母親のことが好きだった。だけど、その母親は、今は居ない。それが、どれだけ残酷か。
『……ベルナルド、フロイ。貴方たちは、貴方たちの信じる世界を守り抜きなさい。そして、世界中が笑顔になれる世界を作りなさい』
二人の涙が散っていく中、目の前の母親が、カーネーションの花びらに包まれて、消える。
「…消えてしまったな」
「…うん」
だけど、母親はいつもそこで見守っている。カーネーションの花として。
すると、フロイの持つロケットが光りだし、カーネーションの花びらが集まる。それを見たベルナルドは、フロイから離れ、フロイはというと、ロケットを上に掲げた。それは希望という思いを乗せて、力に変える。絶望という負の念も、浄化するように。
「…スペクトルフォーメーション、ハーツアンロック」
『リライズ!』
フロイが涙と共に花が弾けると、花畑の花びらはフロイを包み込み、水色を主とした色に戻る。そして、フロイの髪も、後ろ髪が伸びて四つに分かれ、水色になった。そして、胸元にはロケットがぶら下がっている。
フロイが変身を終え、地面に優しく降りる。すると、足元に花が咲いた。
「…フロイ!」
希望という思いが積もった目を見て、一星は感激する。
「ヒカル…僕、世界の為にこの力を使うよ」
愛する、母親と父親の為に____。
『なんとぉー! ここでフロイがハーツアンロックとスペクトルフォーメーションです!』
試合は同点に持ち込まれ、お互い緊迫とした状況になっていた。その頃ラストプロテクターのベンチでは、ハーツアンロックの確認を行っていた。
「杏奈ちゃん、あのハーツアンロックは?」
「はい、円堂さんとフロイさんは…『
「アテナってことは、戦いの女神!?」
明日人たちが驚いたように立ち上がっていると、フロイは花の紋章が彩られたレイピアのようなタクトを、右手で空にかざす。
「…さぁ、僕らの進むべき道は見えている! 行こう!」
フロイがレイピアのタクト、いわゆるデバイスを正面に向け、指示を出す。
『必殺タクティクス、希望の花!』
するとフロイの足元から淡い黄緑色の、所々花が咲いた蔓が何本も現れる。
「いっておいで!」
すると蔓は、フロイの指示に従って、ボールを取ろうとするユースティティアの天使を遮るように蔓が壁となる。
しかしそれでもボールを奪ったレンは、足の甲でボールを支え、翼を開こうとする。しかし、翼に蔓が巻きつき、飛ぶことが出来ない。
「…こんな蔓、避ければいいだけの話だ!」
なんとレンはその場で一回転をして翼に巻きついた蔓を薙ぎ払い、足の甲でボールを支えながら迫りくる蔓を避けつつ、前線へと翔ける。
「はぁっ!」
右手から札を取りだしたレンは、札に力を籠め、ボールを中心として巨大な陰陽玉を創りだす。
「神珠・陰陽玉!」
レンはそれを蹴りだす。だが、その標的はゴールではなく、フロイへと向かって行った。フロイは指示を出すのに集中しており、それに気がついたときにはもう目の前だった。
「しま__」
しかし、もう一つの翼と銀の刃が陰陽玉に向けて、ボールに傷一つ付けないまま斬り落としたのだ。
「あいつらにばっかいい思いはさせねぇよ」
背中のマントのような翼を降ろし、ヒロトは剣を地面に突き刺してハーツアンロックを解いた。
「おらよっ!」
ヒロトがボールを蹴りだした! その瞬間に、観客と実況がざわめく!
『さぁ、残り時間もあとわずかです!』
ボールが宙を飛ぶ中、一星とフロイは目と目を合わせ、お互いに指示を出した。
「行こう、」
『フロイ!』
『ヒカル!』
一星がボールを足でトラップし、走りだす中、一星の両手に星の光が混ざった短剣が現れた。それと同時に、一星の後ろ髪に赤い三つ編みが現れ、白い服を身に纏う。
「神門さん! 一星くんがデバイスを!」
茜が一星がデバイスを持っていることに気づき、スペクトルハーツをかざすようにと、指を指した。
「本当ですか!? えっとデバイスは…クラウ・ソラスです! そしてフロイさんのは、パラディオン!」」
フロイと一星が同時に迫ってくることに、メリーは表情を高鳴らせていた。
「ヒカルも本気を出したんだね! じゃあ私も! 変身クロスハート!」
もう一度変身をしたメリー。今度は大きなハサミを持っている。
『
フロイがパラディオンを振るうと、地面からラフレシアのように真ん中に穴が開いた巨大な花が、蔓と共に現れる。その花は、ゴールへと標的を決めた。
「ゴールはさせ…」
「このシュートは、私が止める!!」
カデンツァが構えようとしたところに、メリーが混ざる。ハサミを閉じ、その切っ先を花へと向ける。
『絶対に…サッカーを取り戻すッッ!!』
なんと花の後ろ側から一星が現れ、スタジアムは天の川の夜になる。
『ビリーヴ』
フロイが指を鳴らすと、
『フラワー…』
一星がクラウ・ソラスを空に投げると、
『ザ・フューチャ―スター!!』
花からは未来を象徴する淡い虹色のじーむが現れ、所々に花が咲き誇っている。そして一星は、天の川の光と共に振り続ける水色の光の剣を流れ星のように降らせていた。
「はぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ハサミの切っ先で、花の光芒と剣を止めようとするメリー。しかし、ハサミの切っ先は砕け散った。
目を見開いたメリーに見えたのは、美しい花と星の光景だった。
『ゴ―――ル!! ここで試合終了! 勝利者は、ラストプロテクターとなりましたー!!』
「勝った…やったあああああああああああ!」
明日人はもはや試合前の元気のなさとはうって変わって、灰崎とハイタッチしている。
「これで、解散は無くなるんだな!」
「やったぁ!」
それぞれが、解散を免れたことに喜んでいる。普段あまり喜ぶ素振りを見せない不動も、こっそりガッツポーズしているに違いない。それを、明日人は見つめていた。仲間を見守るキャプテンとして。
「あーすとくん!」
思いに浸っていると、夜舞が後ろから肩を掴んできた。転びそうになったが、何とかそれを防ぐ。
「今、おばあちゃんが勝利記念の宴会をしてくれてるんだって!」
ほら! とスマホには、宴会の準備してるからな! というメッセージと共に、子供たちと一緒に宴会の準備をしている夜舞の祖母の姿があった。
「お、じゃあ早く帰るか!」
「ちょっと待って」
剛陣が速く帰りたそうにすると、フロイがそれを止める。
「少し、寄りたいところがあるんだ。」
そうなのかと? 皆がフロイに着いていく中、明日人はグラウンドのゴール前で倒れているメリーを見つめていた。
「…メリー」
あの時、明日人はメリーに、昔は友達だったと言われた。前は、あまりそう思えなかった。だけど、今こうしてメリーのことを心配しているのは、やはり昔に何かがあったからなのだろうか。
「稲森明日人」
すると、後ろから声をかけられた。エレンの声じゃない。ミラの声じゃない。恐る恐る振り返ると、そこにはレンが居た。
「あ、えっと」
どうしよう。逃げなきゃ。だけど、足が動かない。
「エレンは、お前に興味など無い。そして、世界を救おうなどと思うな」
それだけを言うと、レンはメリーの所へ行ってしまい、メリーを抱き上げた。
「…レン」
「明日人くん? いくよー!」
「あ、わかったー!!」
「サッカー協会の皆さま、このたびは当職人の皆様に危害を加えた上に、不快な思いをさせ、さらに建物を倒壊させるということをしてしまいました。その点に関しては、誠に申し訳ございません」
「建物の損壊は、我らオリオン財団が懸命に立て直させていただきいます。どうか、お許しください」
フロイとベルナルドがやってきたのは、サッカー協会の本部だった。そこには明日人たちも居て、一斉に頭を下げている。
「…私たちも、君たちが愛するサッカーを穢してしまい、申し訳ない。私も本当に知らなかったことだが、今回の剣で、警備の強化とそれによって被害に遭った人たちの謝罪を行おうと思う。そして、解散のこともすまなかった。これからも私達に貢献してくれるか?」
轟音羽は、頭を下げた。だが、明日人たちは解散を取りやめてほしかっただけだった。
「わかりました。これからも最善を尽くします」
それだけを言って、明日人たちはフロイを連れて宿所に帰った。
その夜。
『ラストプロテクターふっかつ、おめでとー!!!』
花伽羅村の子供達が、宿所の食堂で待ち構えており、クラッカーを鳴らしてきたのだ。
テーブルにはチキンやポテト、サラダに刺身など、いっぱい並んでいた。
「ほらほら、こいつらに豪華な食事を与えるよ!」
「「はーーい!!」」
子供達は明日人たちを席に着かせ、食事を用意させる。
「おいしい! これ全部作ったの!?」
「色んな人に協力してもらって、なんとかやってけたよ!」
と、夜舞の祖母、夜舞緋華里はいう。
「ありがとうございます! それじゃあいただきます!」
解散が免れたことへの記念のパーティは、とても楽しいものだった。
「ベルナルド~もう一杯いくぞぉ?」
「緋華里さん、飲み過ぎです」
「んな固いこというなよぉ?」
ベルナルドを誘いながら、ぐびぐびと、夜舞緋華里は日本酒を飲む。
「夜舞お姉ちゃん! オレンジジュースとって!」
「からあげ!」
「はいはーい!」
夜舞は子供たちからのお願いに答えている。大変そうだ。
「それにしても、解散にならなくてよかったな」
「あぁ! これからも頑張るぞ!」
風丸たちは大谷たちが一生懸命作ってくれた豪華な食事を堪能し、幸せな夜を過ごしている。
「みなさーん! ケーキですよー!」
『待ってましたー!』
茜が持ってきたケーキに、明日人たちは嬉しそうにする。
「食べたあとはちゃんと運動するんだよー!」
あまりに糖質と脂質の多い食事に、折谷は一応と声をかけている。
こんなに幸せなチームは、きっと他にない。
今も、そしてこれからも、彼らを信じていこう。
君がくじけそうなときは、いつだって、僕らがいる。
だから、もう大丈夫だよ。
いや~やっと終わりましたね。
もう十話くらいでしょうか。
それにしても、シリアスな話が多すぎてしまったと思う…次からは、ギャグを含めた日常回にしようかと思っております!
「恐怖」「絶望」「闇」
それにしても、これらがかなり当てはまる章になってしまったと思います。オリオン・アレスで解消されなかった絶望を、今ここで晴らしたーみたいな感じでしょうか。私にも分かりません(汗)
ちなみに、最初の3つの言葉は、全部フロイに当てはまります。
サッカー協会に対する絶望。
みんながみんなを信じられないという恐怖。
そして、怪異という闇です。
最初、この小説を書いた理由は、『無印に近い3期を書こう』と思って書いたものです。ですが、いつの間にか自分の書きたいことをかなり書くようになってしまいました…ごめんなさい
あと、イナイレってどのくらいの深さの絶望がちょうどいいんでしょうか…深すぎると暗い気持ちになるし、軽すぎてもダメ。微妙ですね。
______________
あと、最初のロシア語は、believeの最初の歌詞の部分です。
え?虹弓のゴッドヴァジュラの演出が短い?ネタ切()
この小説の中でどのコンビが好きですか?
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明日人とエレン
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不知火と月夜
-
エレンとレン
-
エレンとメリー
-
エレンとミラ
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不知火とベルナルド
-
明日人と月夜