イナズマイレブン テミスの正義   作:暁月の太陽

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サブタイトルの読み仮名は、「あいぼあいしょう」と読みます。
愛慕は愛して、懐かしみ慕うこと。
哀傷は悲しみ,心をいためること。特に,人の死などを悲しみ惜しむこと。また,その悲しみ。
という意味になります。
タイトルで次回のネタバレをしてしまっているじゃないかと思われてしまいそうですね(笑)


第四十六話 愛慕哀傷

 るんるん気分で地上から天界に帰ってきたエレンは、お土産にと思っていたお菓子を右手に、天界の状況を部下から伝えられた。地上に偵察しに行った天使たちが、罠にはまって人間たちに捕まっているということ。そして、現在人間から天界はどこだのと尋問を受けているとのこと。

 そのことを知ったエレンは、土産の菓子を部屋の机にゆっくりと置き、手帳から定期会議の予定を確かめた。もちろん、今回の会議では人間たちに捕まっている天使たちの話になるだろう。

 その時のためにまとめておいたメモを、エレンは片手で取り出した。これは自分が地上に行っている間にささっと書いたもので、このメモを部下たちに渡して会議の議題にでもしようかと考えていた。

「(私が独自に調べた情報では、人たちがここ(天界)を攻撃する兵器を作り終えたみたいね。人がどうやってそんな兵器を造ったのかは知らないけれど、注意するに越したことはないわ、壊しておきましょう)」

 さすがにエレンでもどうやって造られたのかはわからなかったため、エレンは気にせずいつも持っている日傘を剣に戻し、念を込めた。

「アンシャルの剣……天載無窮を壊しなさい」

 地上に作られた兵器の破壊を剣に命ずると、アンシャルの剣はほのかに輝き、そして光の量を減らしながらエレンの右手で普通の剣となった。

「これで問題ないわね」

 剣を日傘に戻し、エレンは会議室へと歩き出した。

 

 ***

 

 咲が攫われたという事実を知った明日人たちは、その翌日に予定より少し早めの便に乗った。本来ならば、咲が攫われてしまうという想定外のことが起きなかったら、予定通りの便に乗るつもりだったが。しかし、大事な仲間が何者かに攫われたとなれば、予定通りに事は運んでなど居られない。

 現に、その大事な仲間が攫われて、心が落ち着いていない者だっているのだ。

 坂野上昇のように。

 

 

 自分たちが不知火一誠の看病に夢中になっているせいで、大事な仲間が攫われてしまった。そのことに自身の不甲斐なさを感じ、明日人は右手拳を握りしめていた。しかし、このままずっとそうしているわけにもいかないため、明日人は拳を開いて趙金雲に問いかけた。

「監督……一応聞きますが、ユースティティアの天使が攫ったという可能性は……?」

「残念ながら、その線は薄いですね。私が見たのは天使ではなく、黒いスーツを身にまとった男たちです。天使に仕えている神父とはまた違いますし、仮に天使だとすれば、私が倒れていた場所に羽根の一つでも落ちていなければいけませんし」

「そうですか……」

 天使ではないという趙金雲からの証言に、明日人は落胆すると同時に、少し安心感も覚えた。それは咲が救済による誘拐ではなくてよかったという面か、もしくは……。

「監督、咲ちゃんとその天戴無窮って、何か関係があるんですか?」

「もしかして、日本奪還計画の一端で、何か聞いているんじゃありませんか?」

 口を閉じた明日人に続いて、夜舞とフロイが次に質問した。

「そうですね、そろそろ説明いたしましょう」

 手当が終わった趙金雲は、大谷たちにお礼をいいつつ椅子に座った。そして、腕を組んでゆっくりと話し始めた。

「天戴無窮は、先ほども仰ったように、この地球に存在する天界を探し当て、攻撃をしかけるという兵器です。その兵器は大砲のようなもので、大量のビーコンを詰め込んだ弾を成層圏まで飛ばし、その後大量のビーコンが地球を覆いつくして、それから発せられる赤外線センサーによって天界を見つけるというものです。これくらいならば今の人間の技術で開発できます。しかし、その後が問題なのですよ。センサーで天界が見つかったら、今度はビーコンからレーザー砲が現れて、天界に向けて総発射するのですが……そのレーザーの正体が、咲さんの歌による能力によってできるものなのです」

「……咲さんの能力、それってなんですか」

 天戴無窮の概要を聞いていた全員は、そのスケールの高さに呆然としていたが、坂野上だけは、下を俯きながら趙金雲に質問した。

 その坂野上の気持ちを汲み取りつつも、ここにいる皆のために話さなければならないと、趙金雲は口を開く。

「咲さんの歌には、人の精神に入り込む作用があります。歌で精神世界に入り込まれてしまえば、咲さんの歌に魅了されてしまい、脳が麻痺してしまいます。最悪の場合は、彼女の歌によって人を操ることすらも可能になってしまいますね」

「………………」

 想像していたよりも、辛いものだった。

 普通の人間だと思っていた彼女に、能力があるという事実。そして、その能力ゆえに悪用されてしまうのではないかという危惧の感情に、坂野上の情緒はめちゃくちゃになっていた。それでもここで暴れて人に迷惑をかけるわけにもいかないため、坂野上はぐっと感情を堪えた。

「坂野上くん、休むかい?」

「いえ……大丈夫です」

 坂野上の表情を見て心配したアフロディが、坂野上に椅子に座るよう促すも、坂野上はこれを拒否し、そのまま趙金雲の話を聞いた。

「黙っていてすまんの。儂も、彼女を見てすぐに、先ほど趙金雲が言ったような能力があるということに気づいたのじゃよ。しかし、彼女のその能力は、元々あったわけではないのじゃ。()()である狐、零儚(れいみょう)が、彼女に能力を与えているのじゃよ」

 零儚。その言葉に、坂野上の中にあった猿の怪異、猿恋が坂野上に話しかけてきた。

『零儚? 零儚といやぁ、怪異の王である神威様の反乱を企てた狐の怪異だな』

「猿恋……気づかなかったんですか?」

『零儚は怪異の中でもトップクラスの実力者でよ、誰かに取りついても気づかねぇもんなんだよ。悪いな、あの子に怪異がいるってことに気づけなくてよ』

「いや、猿恋が悪いんじゃないよ。俺だって、もっとあの子に目を向けていればよかったんだよ」

 人の過去を気にしない。人の過去を模索しない。

 それが自分だったから。

 過去は過去でしかない。その人の過去に何があろうと、その人はその人で間違いはない。悪いことをした=悪人というわけではないのだから。

 それはたとえどんな過去があってもその人を受け入れるといういい意味ともとれるが、その代わり過去を知らないせいで()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということにもなってしまう。

 なぜならば、人の行動や感情には、何かしら過去が絡んでくるものなのだから。

『にしても、あいつあの子に取りついて何をしてぇんだ? 俺もそこまで零儚って奴のことは知らねぇけど、俺たちを生み出したルアシェル様を心から尊敬してたらしいな。だけど、人間の愚かさに気づいちゃって、今は人類を滅亡させようと動いてるってことを聞いたな』

「そうなんだ……」

 猿恋と話していて周りが見えていなかったが、外では一星の怪異、悟蠍が零儚の名を聞いて尻尾をテーブルに叩きつけていた。

「どうやら咲は、幼い頃からあの零儚に取りつかれておったのじゃよ。じゃからこそ、零儚は咲と繋がって離れてはくれんし、咲はその零儚に取りついているということすらも忘れてしまっているのじゃよ。だからこそ、自身がその能力を持っていることに気づいてないのじゃ」

「確かに、幼稚園の頃の記憶とかは、今の俺たちの年齢じゃあもう思い出せないもんな……」

 風丸は咲と零儚の関係を、年齢が上がるに連れて幼少期の頃の記憶を忘れていってしまうという表現で示し、説明がわからない人の為に例えた。

「……咲さん」

 嫌だ、そう言いたかった。

 しかし、これが現実なのだと、坂野上もわかっていた。

 

 

 その後、趙金雲によって天戴無窮の稼働に咲が利用されているということ、そしてその咲の囚われている場所として、イタリアにいることがわかっているということを聞いたのだ。そのため、明日人たちは一刻も咲に咲を助けなければと、少し早めの便に乗ったのだ。

 しかし、前日の真実に、坂野上の心は落ち着いていなかった。

 前日の趙金雲の説明でようやく、憑坐柑奈、いや七光咲のことを改めて知ったような感じだ。

 自分は今まで、彼女の上っ面しか見ていなかったのではないかと。

 彼女のことはテレビでしか知らなかった。小学生でアイドルデビューし、その後は大ヒット曲を何本も出した。そして今になって自分がタイの公園で出会い、その後に天使たちの救済の手紙が来てこのチームにマネージャーとして保護された。

 そこで初めて坂野上は、アイドル(憑坐柑奈)としての彼女ではなく、人としての彼女に出会った気がしたのだ。だが、それも結局は上辺だけなのだと、痛感している。

「坂野上……」

 そんな坂野上を一番心配していたのは円堂だ。坂野上には円堂以外のチームメイトはいない。だからこそ心配するのは当然かと思われるが、彼は心の中から彼のことを心配していた。

「あっ、すみません円堂さん。俺、これからイタリアに向かうのに、情けないですね……」

「いや、そうじゃないんだ坂野上。ただ、お前のことが心配になってさ。ほら、咲のことがあっただろ? それでお前、苦しんでいるんじゃないかって」

「……………………………」

 自身が憧れている先輩に言われては、坂野上も何も言えなかった。

「あのな坂野上。咲はきっとお前の助けを待っている。だから助けられた時に、安心しきって咲が泣いちゃうかもしれない。だけどな、もし咲が泣いちゃったら、その時は涙を拭いてやれよ。それで、涙はもう乾くはずだからさ」

 

 ***

 

 イタリアの国際空港、フィウミチーノ空港の時刻はとっくに午後6時を回っていた。人々は旅行を終え、故郷に帰ろうとしていた。まぁ、通過場所やこれから出国するという人もいるが、人盛りは昼に比べて少なくなっていた。そんな中でも、一人の少年は空港の待合室でとある人たちを待っていた。

 銀髪を基本に、アシンメトリーの青い前髪、横髪をしており、水色の瞳はスマホ……ではなく、懐中時計を見ていた。

 そんな彼が顔をあげた先は、タイからイタリアと12時間にも及ぶフライトを終え、すでにクタクタの明日人たちであった。彼は懐中時計を黒い鞄の中にしまい、彼らの前に立った。しかし、明日人たちはその少年の姿に驚きの表情を見せた。

 そう、彼はタイの王を守る親衛隊のチームの一人、アーロン・クロノスピュライだったからだ。

「お待ちしてました、ラストプロテクターの皆さん」

「お前、あの時親衛隊にいたっ……」

「はい、アーロン・クロノスピュライです。ヒロトさん」

 どうしてテメェがここにいんだよ、と言いたげに指を指すヒロトに、アーロンは冷静に自己紹介を行った。

「どういうことなんだ? アーロンは俺たちの敵だったけど、なんで俺たちを待っていたんだ?」

「僕がこれから話すことは、ここでしては周りの人に失礼な上に、内容が他の者に知られてしまう可能性があります。まずは僕のホテルに来てください。住所はこのメモに書いてありますので」

 剛陣が訳を説明したげに、アーロンの前に出る。しかし、アーロンはそんな剛陣に見向きもせずに、ただここでは話せないと彼らに説明した後に、メモを明日人の右手に手渡した。

「失礼します」

 そして、アーロンは明日人たちに頭を下げた後に、空港を去ってしまった。

「礼儀正しい少年だな……見たところ中学一年生、といったところか?」

「なんだよ水神矢、じーっと俺のことを見つめてきやがって」

 水神矢を睨みつける灰崎に、鬼道は「ここではやめろ」と静止する。

「あの子が、アーロン……咲さんの友達……」

「坂野上、大丈夫?」

 咲の友人であるアーロンの姿を見た坂野上は、何かを思ったのか、小さな声でつぶやいた。それに明日人が気づいたのか、心配の声をあげる。

「俺でよかったら、いつでも言ってよ」

「あ、ありがとうございます。明日人さん。とりあえずそのメモに書いてある場所に向かいませんか? アーロンだって、話したいことがあるかもしれませんし」

「そうだね、うん行こう」

 

 

 明日人たちはバスで、ひとまずアーロンが渡してきたメモに書かれた住所へと向かった。そこは外装も内装も一見西洋の王子様とお姫様が過ごすようなお城のように思えたが、ちゃんとしたホテルのようで、受付に行けば明日人たちを見るなり「明日人様御一行ですね。アーロン様がホールでお待ちです」と受付嬢によって客室やロビーとは別の地下ホールに通された。

 そこは壁こそ豪華だが、内装的には講義室のようで、その教壇らしき机にはアーロンが立っていた。

「来てくれたんですね、待ってました」

 普通の少年なら、ここで少しの嬉しさを感じるものなのだろうが、アーロンは表情筋を一切動かさなかった。アーロンは教壇のマイクからこのホールのスピーカーで明日人たちに話しかけており、座るように諭した。

「あの、ここって高級ホテルよね。料金とか大丈夫なの?」

 アーロンに言われるがままに座った後に、何かふと考えたかのように杏奈が質問した。

「そこは僕がヴァイオリンで稼いだお金で予約しております。あ、心配しなくても問題ありませんよ。僕は貴方たちと共に咲さんを助ける会議をしたいので、ここのホールの予約はちゃんとしています。貸切にしてますので、皆さんの納得が行くまで話し合いができるよう配慮いたしております」

 アーロンは杏奈の質問にも的確に答えた。

「あ、そうです。質問がありましたら聞きますよ」

 杏奈の質問から、アーロンは次もまた質問が来るのではないかと思ったのか、好きに質問しろとの姿勢を明日人たちに見せた。

「じゃあ、君が言う俺たちに話したいことって何?」

 早速キャプテンの明日人が、アーロンに質問した。

「それは、貴方たちと共に咲を助けようという話がしたかったのです。僕は確かに世界が認めるヴァイオリニストとは呼ばれていますが、僕程度では大人達から咲さんを助けることはできません。そのため、利用という形にはなってしまいますが、ここはひとつハーツアンロックの力を持つ明日人さんたちに協力を申し出たのですよ」

「そうなんだ……咲も俺たちの仲間だからさ。君も俺たちも咲を助けたいってことで目的は同じだと思うよ。な、野坂」

「そうだね、利害は一致していると思うよ」

 今のところ怪しいところは見当たらない。協力してもいいかな。そう思った明日人は、一度チームの司令塔で頭の斬れる野坂にアーロンとの協力を申し出た。結果、野坂の判断はOKとのことだ。

「質問は以上ですか? それでは本題に入ります」

 これ以上質問がないことを確認したアーロンは、教壇のスイッチを押し、教壇の後ろにスクリーンを下ろし、プロジェクターも起動した。そしてアーロンがパソコンを操作すると、スクリーンにピサの斜塔の画像が映し出される。

「これは、世界遺産に登録されているピサの斜塔です。ここの広場で天戴無窮が設置され、式典が行われます。おそらく咲さんもここにいるでしょう」

 アーロンはレーザーポインターでピサの斜塔の広場、そして屋上と赤い点を動かして、明日人たちに状況を説明する。

「少しいいか?」

「はい」

 すると、アーロンの説明に疑問を持った灰崎が質問した。

「どうしてお前はそこに咲がいるって知っているんだ?」

「そこは僕のコネですね。今話すことではないので、教えられません」

 灰崎は、自分たちしかしらない情報をなぜ知っているのかという質問をしたが、アーロンはそれを冷静に違うと答えた為、理由がアーロンの口から話されることはなかった。

「天戴無窮の件も知っています。あの兵器の稼働に、咲さんの歌が必要とされることも。ですから、僕は咲さんを助けたいんです。知り合いがそんなことに巻き込まれてしまうのは見ていられないので」

 灰崎の質問を終わらせ、アーロンは本題に戻る。

「中はおそらく、屋上に入らせないために閉鎖されるでしょうね。ですが、当日の夜8時に僕が最初に市民に混ざって中に入り、裏口のルートを明けておきます。皆さんは、その裏口から中に侵入してください」

 アーロンが淡々と作戦を話す中、鬼道が手をあげ、立ち上がった。

 その理由は、鬼道が明日人とは違い、アーロンに対して疑惑の念を抱いていたからだ。そのため、自分たちと協力するに値するかを確かめたいと思ったのだ。

「それに俺も加わっていいか? 信頼に値するかを確かめたい」

「鬼道さん!」

「構いませんよ」

 水神矢も鬼道と同じようにアーロンを怪しんでいたのか、自ら敵か味方かもわからない人間と共に行くという鬼道の身を案じていた。 

「だったら俺も行く。鬼道一人じゃ何かあったときに対処しづれぇだろ」

「決まりですね。では、裏口のルートを明けるのは僕と鬼道さんと灰崎さん……と」

 アーロンはメモに、ささっと名前を記載する。

「次に、裏口から侵入する人を決めます。大人数で行っても目立つだけですし。ここは、一星さん」

「は、はい」

「ヒロトさん」

「おー」

「フロイさん」

「僕かい?」

「円堂さん」

「俺だな、よし」

「明日人さん」

「俺?」

「坂野上さん」

「俺もですか!?

「に侵入していただきます」

 大人数で侵入しては、確実にバレる可能性が高い。そのため、アーロンが「少人数で侵入する」という計画には利点が大量にあった。そのため、指名された明日人たちは責任は重大だと決意を固めた。

「ハーツアンロックを持っている子たちで侵入というわけだね」

「……にしては、なんで坂野上なんだ?」

「それには吹雪さん、アツヤさん、理由があります。彼女の身と心を案じて、彼女が助けられたときに一目見て安心できる人が必要だと考えたわけです。人は一度自身の命に関わることが起きた後に助けられると、感情が高ぶってしまうと言いますし」

 咲の身を案じるアーロンの姿に、明日人はやっぱりアーロンは咲の友達なんだと考えた。

「ヒロトさんとフロイさん、円堂さんは斜塔内で人が居たら、錯乱を起こして残りの一星さん明日人さん坂野上さんを上手く屋上に誘導してください。そして屋上についたら、咲さんをハーツアンロックで救出してください」

「……という感じで、咲さんを助けに行くんだね」

「はい。僕が話したいことは以上です」

 明日の夜8時に決行する。ということを言いつつ、アーロンはプロジェクターの電源を切り、スクリーンをあげた。

 

 ***

 

 午後十時。仲間たちは、とっくに明日に備えて寝静まっていた。一部の仲間は、明日の作戦の準備や整理などをするために少し起きている者もいるが、大多数は眠っていた。そんな中、アーロンは個室の机で紙をまとめていた。その紙の整理も一段落ついたのか、そろそろ眠ろうかとアーロンが目を擦りながら考えていた。すると、扉のノックオンが部屋に響いた。

「どうぞ」

 一言アーロンが言うと、扉が開いた。

「……なんでしょうか、坂野上さん」

 ノック音の正体は、坂野上であった。アーロンは彼の存在を視認すると、ホテルに備えるけられてあったケトルを付け、カフェインのないお茶の準備を始めた。

「あのさ、アーロン」

「はい」

「君は、咲さんの『何』なの?」

 坂野上の質問の内容に、アーロンは目を見開いた。坂野上に背を向けていたため、その表情に彼に見られることはなかったが。

「……質問の意図がわかりませんが……おそらく咲さんと僕の関係についてを問いたいわけですね。僕と咲さんはただの知り合いです。それ以下でも、それ以上でも……」

「違う」

 坂野上はつぶやく。

「違うんだ……俺が知りたいのは、咲さんのことをどこまで知っているかだよ。君が咲さんの友達だっていうなら、それだけ関係が長いってことだよね……」

 すると、坂野上はアーロンの肩をつかんだ。

「教えてよ。このままじゃ俺、あの子のこと何もしらないまま、別れることになるんじゃないかって思って、胸が苦しいんだよ……」

 ズキズキする胸に苦しさを覚えたのか、坂野上の目には涙が浮かび上がっていた。

 

 

 

 恋に痛みはつきものだ。

 




最近イナイレに再熱している暁月です。
これは完全に個人の意見となりますが、イナイレっていろんな人がいろんなことを考えて、子供から大人になっていく物語だと思います。
それは今回というか最近の話でもあるような、『恋』も関係します。

この話ではオリキャラで坂野上くんに恋をさせていますが、なぜそのようなことをするのかというと、彼にもう少しの見せ場が欲しかったからなんですよね。
恋とかなんなりをしても、よかったのではないかと。
まぁ、この話が恋といえるのかどうかはわかりませんが(笑)
(サブタイトルの時点で中学生の初々しい恋ではない気がする)

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  • 明日人とエレン
  • 不知火と月夜
  • エレンとレン
  • エレンとメリー
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