黒の水   作:matome0101

10 / 12
つたない文章ですが、お楽しみいただければ幸いです


帰る

「は?さっき言っただろう。不死身の化け物だって。」

 

 私がそう言うと、少年は、

 

「ああ、いや、今のは答えてほしくて聞いたんじゃねぇ、あんたが、あんまりえげつない魔法かけられてるもんだから、あんたが、一体何についての記憶を消されてんだろうなって思ってさ。」

 

と言った。

 

「私にかけられてる魔法って、そんなにやばいものなのなのか?」

 

「ああ、ヤバいね。超ヤバいね。」

 

「具体的にはどの位やばいんだ?」

 

「その魔法をかけるには、生贄が10人は必要だって言えば、伝わるかな?」  

 

「え」

 

「わぁ~お。すごいね~。おじさんのために~、たくさんの命が~、ギセイになったんだね~。」 

 

 今まで全くしゃべらなかった女の子が、突然口を挟んだ。

 

「その魔法を~、かけた人は~、よっぽどおじさんに~忘れてほしいことが~、あったんだね~。」

 

「少年、この魔法は、どうやったら解ける?」

 

 私は、少年に尋ねた。

 

「ああ、解くのは無理だぜ。」

 

「え?何でだ。」

 

「それ解いたら、おっさんが死んじまうから。」

 

「何だと。」

 

「その魔法、かけられちまった時点で、おっさんが忘れてる何かを、思い出すのは不可能ってこった。諦めな。」

 

「・・・・・・わかった。」

 

 私は、一体、なにを忘れているんだ?

 

「ところで、おっさん。あんた、自分がここに来た理由、忘れてねぇか。」

 

「え?理由なんてあったっけ?」

 

「黒い液体、だろ。」

 

「あ、そうだった。」

 

「おっさん。ぼけてんじゃねえのか?」

 

「失礼な。私はまだ825才だぞ。ぼけるわけがない。」

 

「まあいいや。で、その黒い液体だけど、ちょっと直接見ないことには判断できなさそうだから、その液体のとこまで、案内してくんねえか。」

 

「ああ、かまわんぞ。」

 

「おっさん、今すぐ出発できるか?」

 

「え、まあ、出来はできるが」

 

「よし、じゃあいくか。」

 

「いってらっしゃ~い」

 

女の子がのんきな声でそう言うと

 

「おう、いってくるぜ。」

 

と少年が返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっさん、宿まで後どれぐらいだ。」

 

「この吹雪の中で、私にそれが分かると思うか。」

 

「思わねえ。」

 

「わかっているなら聞くな。」

 

 街を出てからかなり経つが、宿屋白梟に全然着かない。

 

 こんなに遠かったか?

 

 もしかしたら、この吹雪のせいで、方向を間違えたのかも知れない。

 

 だとしたら、かなりまずい。

 

 私の住んでいるあの盆地までの間に、宿はあそこしかないのだ。

 

「兎に角、今は歩くしかあるまい。」

 

「あ~~寒っむ!」

 

 少年がくしゃみをする。

 

 ん?あれ?我々は不死身だったよな?

 

 あ、じゃあ別に休まなくったって、死にはしないのか。

 

「少年、盆地まで歩き通すぞ。」

 

「はぁ?」

 

「我々は不死身だから、多少無理は効くはずだ。だから、歩くぞ。」

 

「え?やだ。」

 

「え?いやなの?」

 

「あったり前だろ。これ以上歩いたら、疲れちまうじゃねえか。」

 

「いや、でも死なないんだし、もう少し根性出してさ。」

 

「うわっ、出た、根性論。これだから昔の人間はいやなんだ。」

 

「お前だって、最近の人間ではないだろう。」

 

「800年生きてるおっさんに比べりゃ、十分最近の人間だろ?」

 

「いや、お前、人間じゃないじゃん。」

 

「・・・・・・おっさん。」

 

 あ、いかん。怒らせてしまったかな。

 

「なんだ。」

 

「確かにそうだな。」

 

 良かった。怒ってないっぽい。

 

「でも、俺が人間かどうかは今重要なことじゃあねえ、だろ?」

 

「ああ、その通りだ。」

 

「今重要なのは、おっさんは古い、俺は新しいってことだろ。」

 

「ああ、その通りだ。」

 

「で、おっさんは古くせぇ奴だ、だろ?」

 

「・・・ああ、その通りだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 




お粗末様でした
評価、感想等頂けると、制作陣が泣いて喜びます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。