「見えてきましたよ」
と老人に言われて、私は、自分が少し眠っていたことに気が付いた。
老人の指さす方を見れば、遠くに、街が見えた。
交易所と、それを取り囲む建物群の作る街だ。
日はまだ暮れていない。
暫くして、
老人に礼を言おうと
老人は、乗っていた
現れたときと同様に、いつの間にか消えていた。
「おい、あんた街に入るのか?」
はっとして振り返ると、先程こちらに歩いてきていた男だった。
「今ここに、
私は
「いや、そんなものは見なかったぜ。そんな事より、入るのか、入らないのかを教えてくれ。そろそろ門を閉めるんだ。」
私は男の言葉に驚いた。この街は、一日中出入り自由だったはずだ。どうして門を閉めるのか聞くと、
「最近、夜になるとこの辺に怪物が出るんだよ。それで、そいつが待ちに入ってこないように、最近は夜になると門を閉めることになってんだ。今日はもう閉めるから、入るならとっとと入ってくれ。あ、それと名前と街に来た理由、どのくらい滞在するつもりかを教えてもらってもいいか?」
私は質問に答えながら男と門に向かって歩いた。男が門を閉めるとき門の隙間から見えた雪原は、一面真っ平らで、
「─────と言う訳なんだが、お前はあの黒い液体について何か知らないか?」
「さあ。すまねぇが、俺はそんな物のことは聞いたことがねぇ。」
と、トバゴは申しわけなさそうに言った。
ここは酒場
「そうか、すまないな、変なことを聞いて。」
「いいってことよ。あ、そういえば、最近近くに新しい呪術屋ができたんだ。そこの呪術師なら何か知ってるかもしれないぜ。あいつらはそういう摩訶不思議な現象に詳しいからな。」
「そうなのか、因みになんていう店なんだ?」
「ああ、その店の名前は─────」
その日はトバゴの家に泊めてもらった。
トバゴと酒を飲みつつ夜中まで話したあと眠りについた。
10月30日 雪
頭が痛い。二日酔いだ。昨日トバゴと飲み過ぎた。
元々酒に強い方ではないのに、どうしてあんなに飲んでしまったのだろうか。
布団の中で苦しげに呻いているところをトバゴに見られ、盛大に笑われた。
彼は私の5倍は飲んでいたはずだ。
にもかかわらず、彼はピンピンしている。
少し理不尽だと思った。
トバゴの奥さんの作ってくれた朝食を食べて(二日酔いのせいで殆ど食べられなかったが、)トバゴ夫妻に礼を言い、呪術屋へ出発した──────────
あるところに一つの岩があった。
それといった特徴があるわけでもない、所謂普通の岩である(断じて洒落ではない)。
その岩は、他の同じような岩がそうであるように、長い間そこにいて、自らの意志(岩→石→意志とかいう寒いギャグではない)で動くことは出来なかった。
彼女(この岩は女です)はずっとこの盆地を上の方から見下ろしていた。
一年間ずっと雪が降り続き、太陽が顔を出すことは殆どない、そんな気候だから彼女の目(の用に見えなくもない凹み)に映る景色は当然変わり映えしない。
この盆地を満たしているこの黒い液体もずっと昔から変わらず、私の足下でちゃぷちゃぷいっt ─────
─────────
お粗末さまでした
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