「うちの玄関ぶっ壊したのは~、あんたで4人目なんだ~。あんたの前は~、あたしの父ちゃんで~、その前が~、あたしの兄ちゃんで~、その前が~、あたしっ!」
キャハハッと、女の子は楽しそうに笑う。
女の子は、この建物と同じようにボロボロで、苔の生えた椅子に座っている。
「ドアのことは~、気にしなくていいよ~。兄ちゃんに~、なおしてもらうから~」
女の子は話し続ける。
「兄ちゃんは~、すごいんだよ~。どんな~、ビョウキも~、まほうで~、なおしちゃうんだ~」
「えっと、一つ聞いてm」
「それに~、兄ちゃんは~、ハクシキだから~、どんなことでも~、知ってるんだ~」
「あの、そのお兄さんは一体どこn」
「このあいだも~、あたしが~、おそらは~、どうして~、あおいの~って、聞いたら~、おとなりの~、サトウさんが~、色をぬったからだって~、教えてくれたんだ~」
「だからそのお兄さんはどこにいr 」
「それに~、お兄ちゃんは~、未来も~、よめちゃうんだ~。だから~、今朝も~、「黒い液体の事で尋ねてくる人がいるからそいつが来たら起こしてくれ」っていって~、二度寝しちゃったんだ~」
「え?」
「でも~、お兄ちゃんは~、シンケイシツだから~、あんたが~、扉ぶっ壊した音で~、起きちゃったみたいだね~」
「お陰で最高の目覚めだったよ、おっさん」
その声は、私の足元からした。
「そこにいられると、ドアが開けられねえんだ。退いてくんねえかな」
「え?ああ、すまない」
私が慌てて退くと、先程、私のいた場所の苔むした床が、バコッという音を立てて外れ、四角い穴があいた。
そしてその下から、出てきた黒髪の少年は、にやにやしながら、私に向かって言った。
「俺が、今年で200歳になるっていったら、あんた、信じるか?」
「信じない」
私は即答した。
「じゃあ帰ってくれ」
少年は言った。
「俺が、13歳の普通の坊主に見えるってんなら、俺は、あんたの力にはなれない。出口はこっちd」
「サバを読むな」
私は続ける。
「お前、300はいってるだろ」
「なっ!」
少年は驚いた様子で言った。
「・・・おっさん、一体なにもんだ?」
そう聞かれたので答えてやった。
「私はお前と同じ、不死身の化け物だよ」
2月15日 雪
私は、不死身の化け物だ。
始めからそうだった訳ではない。
私が不死身になったのは、今から800年以上前。
私が、5歳の頃だった。
ある晴れた日、私は、故郷の森で、いつものように遊んでいた。
木々の間を走り抜け、小川を飛び越え、森の中を駆け回っていた。
ふと、甘い匂いがして、足を止めた。
辺りを見回すと、ある木の枝に、一つの果実がなっているのが、目に入った。
私は、その木に登り、その果実を、枝からもぎ取った。
とても甘い匂いのするその果実は、拳くらいの大きさの球形で、皮には、虹色の斑模様が浮かんでいる。
甘ったるい香りが辺りを包む。
果実の皮の斑模様が、ゆっくりと動くのを見ているうちに、私は、だんだんまともに考えられなくなっていった。
手が、その実を口に運ぶ。
その果実を齧ると、芳醇な甘い香りが口の中一杯に広が───────────
「!?!?!?」
らなかった。口の中に広がったのは、期待していたような甘い香りではなく、圧倒的な腐卵臭だった。
私は、果実を吐き出そうとした。
だが、口は、私の思いに反して、その果実を咀嚼する。
何度も、何度も、何度も。
その度に、口の中に腐卵臭が広がる。
その匂いのきつさに耐えかねて、私が気絶しかけたとき、私の喉は、勝手に果実を飲み込んだ。
と同時に、私はギリギリ保っていた意識を失い、木から落ちる。
幸いなことに、私が意識を失ったのは、地面に激突して、首の骨を折る前だった。
お粗末さまでした
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この話は最早、ファンタジー以外の何者でもない