時刻は夕方。完全に夜と呼ぶには微妙な、いわゆる黄昏時。
アブラクサス学舎、潜入組の個室が居並ぶ廊下にて。
潜入組の内、ザガンを除く3人とライアが語らっている。
ライア
「それではぁ! 『定例パーティー』の説明は以上でお~るおっけ~でしょうかぁ!」
グレモリー
「ああ。私は問題ない。既に『お目付け役』から話を聞いているザガンも良しとして……」
「ハーゲンティ、ハルファス、質問はあるか?」
ハーゲンティ
「ダイジョーブ! 大切な事はしっかり頭に焼き付けたから!」
「ドレスコードなし! ご飯食べ放題! 会費無料!」
ハルファス
「私は、説明は覚えられたかもしれないけど、どうだろう……」
「分からなかったら、グレモリーに聞いても良い?」
グレモリー
「ああ、それでいい。手が空いている限りは存分に頼れ」
ハーゲンティ
「でもラッキーだったよね、潜入初日からシュラーに会えるかもなんて」
「お仕事が捗れば、偉い人も期待してくれる……つまり、報酬もガッポリ期待できる!」
グレモリー
「そこまで上手く事が進むかは、実際に参加してみなければ分からんがな」
「しかし、日取りについては確かに好都合だった。これもライア、貴様の手配か?」
ライア
「いやぁ~流石にそこまではぁ。たまたま潜入決行の日と被ったってだけですよぉ」
「『私が入国審査担当の週にパーティー開く日入ってるじゃん』って気付いてはいましたけどぉ」
話していると、ザガンの個室の扉が開いた。
出てきたザガンは、シンプルだが高級感のあるドレスに身を包んでいた。
ザガン
「ゴメンお待たせ、慣れない事して手間取っちゃった」
ハーゲンティ
「おぉっ!? ザガン姉さん、どしたのその格好!」
ハルファス
「わあ。多分、とっても似合ってると思う」
ザガン
「ふふっ、ありがと」
「肩出しとか他にも色々普段と違ってて落ち着かないけど、折角だしね」
グレモリー
「ほう、貴様の部屋にも届いていたか……」
ザガン
「えっ、じゃあ、グレモリーの所にも?」
グレモリー
「うむ。『入国審査での活躍に感動した』との匿名の手紙を添えて、部屋にドレスが置かれていた」
ハーゲンティ
「マジっすか!? あたいの部屋には何にも無かったのに!」
ハルファス
「私も、それっぽい物は無かったと思う」
ザガン
「え、そうだったの? てっきり皆の所に届いてるとばっかり……」
「私の手紙には『古着だけど、お近づきの印に』って感じで、パーティーにもぜひ出席してねって」
ライア
「うぅ~むぅ……新入りさんに歓迎の品が届けられる事って、ここではよくありますけどぉ……」
「ドレスなんて大層な物は余り前例が……」
グレモリー
「やはり妙だな。私だけならともかく、あの場で目立っていたわけでないザガンにまで……」
「元から礼を欠かぬ服を着ているからと、袖を通さなかったのは正解だったかもしれん」
ザガン
「ちょ、ちょっとちょっと、よしてよ……私もう着ちゃってるし」
「あ、ほら、私とグレモリーだけなのは、ハーゲンティ達にはちょっと早いなって思われたとか……」
ハーゲンティ
「うーん、ちょっと引っかかるけど、そうかもなあ……」
「あたいやハルちゃんくらいの歳って、まだまだ世の中的にお子様だし……」
ザガン
「あ、いやゴメン、別にハーゲンティ達が子供っぽいって言ってるつもりじゃなくて……」
ハルファス
「よく分からないけど、小さい頃に見た事あるドレスと雰囲気が違うから……そうなのかも?」
ザガン
「えっと……? た、多分そういう事だよ、うん!」
「ドレスでも何でも贈れる品物の中に、たまたま2人が喜びそうなのが見つからなかったとかさ」
ライア
「あのぉ、実はですねぇ……」
「ここの習わしで、新入りさんの個室の両隣は『お目付け役』が一時的に引っ越してるんですよぉ」
「新入りさんが早く暮らしに馴染めるための一環って形でぇ」
グレモリー
「今回で言えば、私と『サシヨン』の隣室に、4人のお目付け役から2人選ばれていると?」
「(生活補助の他に、我々のように『企み』で入国した者を牽制する意味もありそうだな)」
ライア
「はいぃ。今は2人とも出払ってるみたいですけどぉ──」
「お目付け役の誰が隣室担当なのかまでは私も知らなくってぇ……そのぉ……」
「サイティ派の方が隣室担当なら、何か『仕掛ける』のは簡単なわけでしてぇ」
ハルファス
「そういえば、個室には鍵が付いてないんだったっけ」
グレモリー
「少なくとも、私のお目付け役は例の取り巻き3人……4分の1の確率は保証されているな」
ザガン
「だ、だからさあ! そんなの……もしもの話だろ!?」
ライア
「言っちゃ悪いかもなんですけどぉ……カリナさん、ちょっとムキになってません?」
ザガン
「そりゃ……まあ、ね」
「……だってさ、『お目付け役』の人たちに会って、ちょっと思う所があるって言うか……」
「サイティ達みたいな初対面から嫌がらせしてくるようなのなんて、全体のごく『一部』でしょ?」
「そんな奴らのせいで何でも疑ってかかるなんて……何か、格好悪いよ。私はそんな事したくない」
「好意で贈るって言われたなら、まずはちゃんと信じてみたいよ。着ている時にも変な感じはしなかったし」
グレモリー
「やれやれ……」
「(ドレスの送り主が、その『一部』でないという保証も無いのだがな)」
「良いだろう、貴様はそうでなくてはな。何か起こるなら、私が存分に付き合おう」
ザガン
「ありがと。でも、グレモリーの言い分が間違いだなんてつもりも無いからね」
「私なりに、自分の事はちゃんと気をつけるから」
グレモリー
「当然だ。さて──」
「ライア、これで全員揃った。解散する前に、『連絡』についての説明を頼む」
ライア
「了解でぇす!」
ザガン
「『連絡』……?」
「っていうか、解散って事は、ライアと一緒にパーティー出席するんじゃない感じ?」
グレモリー
「待機組に潜入活動の経過を報告するための『連絡』……その手段についてだ」
ライア
「ちなみにぃ、私は今夜もお仕事が入ってるのでぇ、今回のパーティーは欠席でぇす!」
ハーゲンティ
「わあ、ちょっぴりヤケクソ気味だあ……」
グレモリー
「さておき……主な連絡手段は『郵送』だと聞いているが?」
ライア
「はぁい! アブラクサスは周辺領に協力頂いて、配達員さんに立ち寄ってもらってるのでぇ!」
「そこでお手紙や小包を預けて、アブラクサスの外ともやり取りができるんですねぇ!」
ザガン
「郵便屋さんにアブラクサスへ立ち寄ってもらって、私たちの手紙も預かってもらうって事?」
ライア
「いっえ〜すざっつら〜い! おっほん……」
「しかも王都は郵便屋さんに根回し済みなのでぇ──」
「目印付けた荷物だけこっそり騎士団に受け渡すって段取りもバッチリでぇす」
周囲に人が居ない事を確認済みだが、任務に関する事柄だけは音量を下げて伝えるライア。
ただしそれでも声は十分大きい。
グレモリー
「エルプシャフトの公共福祉を臆面もなく間借りするとは、つくづく肝の太い事だ」
「アブラクサス独自の手段を用いていないお陰で、介入も容易かったとも言えるが」
ライア
「一部の領地はぁ、苦労して支え合っている住民に感動したとかで人道援助を施しているのでぇ!」
「『表向きは』でしょうけどねぇ……」
グレモリー
「(原種の薔薇に魅せられた者共が、操られるまま道徳を盾に便宜を図っているわけか)」
ザガン
「何にしても、待機組とは手紙でやり取りするって事か……ん?」
「でも、もうすぐ日も暮れる頃だよ? 配達の人、こんな遅くにアブラクサスまで来てくれるの?」
グレモリー
「確かに、真っ当な領地なら郵便物の受付時刻はとうに過ぎているが……」
ライア
「それが……来るんですねぇ!」
「あくまでアブラクサスには、お手紙を遠方に届けるついでに立ち寄ってもらうって形なのでぇ!」
グレモリー
「ふむ。夜間に配達を行うための職員がアブラクサスを通り掛かる時間帯──」
「そこがアブラクサスでの『受付時間』という事か」
ハーゲンティ
「はえー……郵便屋さんって夜中も働いてるんだぁ」
グレモリー
「最近までは、朝から夕方までの定刻に全ての業務を並行して行っていたのだがな」
「幻獣被害や諸々で、専門の仕事ができる人員がどこも不足している」
「一方で、決められた場所に物を届ける程度の労働ならできるという失業者は増える一方だ」
ザガン
「じゃあ、責任とか技術が要る仕事は、昼間に限られた人たちで専念して──」
「仕事探してる人の働き口のためにも、夜の間に手紙とか届けちゃうんだね」
グレモリー
「あくまでも夜間の配達は特例だがな。配達それ自体は昼間も誠実に執り行われているが──」
「現状、配達だけでも夜間に伸ばして、どうにか『遅れ』を出さんのが精一杯らしい」
ハルファス
「どこも大変だと、仕送りとかで物を届けて欲しいって人も増えちゃいそうだもんね」
ザガン
「そっか、人手が少ないのに捌く量ばっかり増えて、届ける仕事まで時間内に手が回らないのか……」
「普通に暮らしてるように見える人たちも、こうしてる間も色々工夫して頑張ってるんだなあ」
グレモリー
「話を戻すぞ。それでライア、配達人がアブラクサスに立ち寄る時間帯は?」
ライア
「深夜の日付が変わる頃と、翌朝の朝ごはんと食後の一服終わるくらいの時間の2回でぇす!」
「なのでぇ、今日の分の手紙はぁ、パーティー終わってから寝る前くらいにお願いしまぁす!」
「私に預けてくださればぁ、後はスッキリバッチリ届けておきますんでぇ!」
ハーゲンティ
「了解! アジトで暮らすようになってから読み書きも出来るようになったし、お安い御用だよ!」
ザガン
「でも、手紙かあ……改めて考えると、何を書いたら良いのかな……」
ハルファス
「うん」
グレモリー
「身構える必要は無い、まだ初日だ」
「寝支度までの些事も含めれば、執筆に取れる時間も多くはあるまい」
「余程の事柄で無い限りは、肩慣らし程度で十分。待機組もそのつもりだろうからな」
ザガン
「そう言ってくれると少しは緊張もほぐれるけど……手紙なんて余り書かないからなあ」
ハルファス
「うん」
グレモリー
「……ハルファスについては、後で大まかな手解きくらいはしてやろう」
「今から頭を悩ませても仕方あるまい。とにかく、パーティー会場へ向かうぞ」
「まずはシュラーの調査だ。ライア、連絡手段について他に付け加える事は無いな?」
ライア
「はぁい! お疲れさまでしたぁ!」
「会場への道順はぁ、途中まで私も一緒に案内しますのでぇ!」
若干の手紙への苦手意識が拭えないザガンや、培った技術を活かせる機会に目をキラキラさせるハーゲンティを引っ張るようにして、パーティー会場へ移動する潜入組。
・ ・ ・ ・ ・ ・
パーティー会場へ向かう潜入組。
時刻は夕方から夜に移り終えた頃。
どこかの階段を昇り終え、喧騒が漏れてくる扉の前に立つ4人。
ザガン
「思ったより簡単に着けちゃったね」
グレモリー
「窓の景色からして……場所は学舎と給水棟との中間あたりと言った所か」
ハーゲンティ
「学舎と会場が地下通路で繋がってるって、なんかゴージャスだね!」
ハルファス
「そうなのかな? よく分からないけど」
グレモリー
「宴席だけでなく、入学卒業の歓送迎会、諸々の講義や説明会にも用いられたらしい」
「多目的ホールとでも言った所か。故に、学生や職員の移動の便を図っての地下通路なのだろう」
ザガン
「回り道しなくても真っ直ぐ一直線で移動できるようにだね」
ハーゲンティ
「でも、連絡橋ってのじゃないのがちょっと惜しかったなー。興味あったのに……」
グレモリー
「それは単純に、ホールが設けられているのが1階だからだろう」
「出入りの必要の多い設備が2階以上にあるなら連絡橋、そうでなければ地下通路だ」
ハルファス
「どこに行くにも空に連絡橋を伸ばしちゃったら、日陰だらけになっちゃうもんね」
グレモリー
「この辺りで話は切り上げるぞ。いつまでも突っ立っている理由もない」
「これらの情報にしても、会場の住民に聞くほうが遥かに確実だろうしな」
ハーゲンティ
「イエス、マム! ドアはあたいが開けてみたいんだけど、良いっすよね?」
「こういうでっかいドアをガバーってやるの、一度やってみたかったし!」
グレモリー
「ああ、好きにしろ」
パーティー会場へ入場した潜入組。
暫し、入り口前で会場を見渡す。
ザガン
「おお~……廃墟とは思えないくらい豪勢だね」
グレモリー
「元より保存状態も悪くなかったのだろうが、清掃も装飾もよく行き届いている」
「内装だけなら貴族の寄り合いにも引けは取らんな」
ザガン
「サイティとか、元はお嬢様だった住民も居るみたいだから、そのお陰かもね」
ハーゲンティ
「マム、マム! パーティって、入ったらすぐご飯食べても大丈夫!?」
グレモリー
「まあ待て。任務と『状況』を忘れるな」
「サイティ傘下のような連中が『格付け』をするには、ここは格好の『狩場』だからな」
ザガン
「『狩場』って……」
グレモリー
「無様な他者を見下すのではなく、見下すために他者が無様である理屈を探す……そういうものだ」
「特に私は、やむを得んとは言え少々派手にやり過ぎた。いつ因縁を付けられるとも分からん」
ハーゲンティ
「う、うっす……」
グレモリー
「『本場』にしても、がっつくような振る舞いは良くは思われんしな」
「まずは無難そうな参加者を見繕って、パーティーの勝手について情報を得るべきだ」
???
「そういう事なら、私に任せてもらえないかしら?」
グレモリー
「む?」
声のした方を見ると、女が1人立っている。
如何にも女給の格好をして、手に持った盆には、水差しと幾つかのコップが載っていた。
ハーゲンティが、女の顔を見てパッと笑顔になった。
ハーゲンティ
「あ、ミーナ姉さん!」
ミーナ
「ようこそ、サシヨンちゃん」
ザガン
「ハー……サ、サシヨン、知り合いなの?」
ミーナ
「お仲間の皆さんも初めまして。サシヨンちゃんのお目付け役の1人、ミーナよ」
「後、名前が『2つ』あるって事情もサシヨンちゃんから聞いてるから、普通に喋ってくれて大丈夫」
ザガン
「ああ……そ、そりゃどうも」
「(ハーゲンティ、話したのは、ちゃんと『筋書き』通りの事だけだよね?)」
ハーゲンティ
「(もっちろん! あたいだって、やれる時はちゃんとやれるのさ!)」
グレモリー
「ふむ……」
「(ハーゲンティは、これで中々他人の本性を『映し出す』事には素質がある──)」
「(今のやり取りからして、ライア級の『プロ』でも無い限り、腹に一物ある可能性は低そうだな)」
ミーナ
「取り敢えず、話してると喉も渇くだろうし、駆け付け一杯ってね」
ミーナが盆からコップを取って4人に配り、水差しから水を注いでいく。
ザガン
「これも……もしかして、アブラクサスの?」
ミーナ
「あら、もう知ってた? お察しの通り、アブラクサスの『うっすい』水よ」
「流石にこれだけ水があるのに、飲み水だけ他所から買うのもアレだからねえ」
ハーゲンティ
「使わないでガマンできそうなお金は使わないのが1番だよね」
「あたいなんかもうゴクゴクいけちゃうし、慣れればザガン姉さんたちも大丈夫だよ!」
ザガン
「まあ、私もイヤってわけじゃないけど……」
グレモリー
「失礼。挨拶が遅れたな、ミーナ。もう知っているかもしれんが、私はギーメイだ」
「『ハーゲンティ』の面倒を見てくれた件、私からも感謝する」
ミーナ
「いえいえとんでもない、別に大それた事もしてないし」
「それに、むしろ私たちの方こそ……まあ、ともかく──」
「サシヨンちゃんのお友達なら私たち協力は惜しまないから、遠慮なく頼ってね!」
グレモリー
「う、うむ……?」
「(いやにハーゲンティに好感を持っているように見えるな……)」
「(ハーゲンティからは、お目付け役と衝突事故を起こし、その後に打ち解けたとしか聞いていない)」
「(何が有ったかしらんが……まあ良いだろう)」
ハーゲンティ
「『私たち』って言えば、他の2人はどうしてんの? それにミーナ姉さんはバイト中?」
ミーナ
「ハズレ。バイトじゃないのよ、これも参加の仕方の1つって事」
「毎回、定例パーティーの運営は当番が決まってて、そこに自主的な手伝いが加わって開催されるの」
「私は今回、当番組ね。ここに来る前は使用人とか接客業よくやってたから、給仕担当ってわけ」
グレモリー
「ふむ。だいたい見えてきた」
「パーティーそのものが、住民の好意でシュラーをもてなす意味もあるのだな」
「パーティーを『客』として楽しむのも『運営』として楽しむのも、本質的には同じという事か」
ミーナ
「まあ、そんなとこ。サシヨンちゃんのお目付け役はもう2人居るんだけど──」
「今はえーっと……あ、ホラ、あそこよ」
ミーナが指差した先、会場の壁際の目立つ所に、複数の女性達が居並んでいた。
それぞれが楽器を持って、比較的簡単な曲でもって会場のBGMを担当し、時に中断して、連携や楽器の調整などを話し合っている。
ミーナ
「金管楽器もってるのと、指揮者がその2人よ。名前はそれぞれ、ワレミアとフォロア」
ハーゲンティ
「へ~、あの2人、音楽も出来たんだねえ」
ミーナ
「特にフォロアがね、大きなコンテストにも出たことある本格派だったりするのよ」
ザガン
「あの人達も、『当番』?」
ミーナ
「いいえ、2人はさっき言った、自主的な『手伝い』組。私が当番の時はよく付き合ってくれるの」
ハルファス
「仲良しさんなんだね」
ミーナ
「ふふっ、まあね」
「それに、音楽担当は毎回、半分は『手伝い』で、もう半分は『飛び入り参加』なのよ」
「だからああやって、シュラー様が到着するまで、簡単な合奏から入って打ち合わせしてるの」
ザガン
「飛び入り参加って事は、準備もせずに、今日になっていきなり?」
「つまり……演奏する人の中に『当番』は居なくて、行きあたりばったりでやってる?」
ミーナ
「そういう事。『当番』は最低限の人数しか居ないからね」
「音楽とか、最悪ナシでも何とかなりそうな所は、毎回そんな感じよ」
ザガン
「それ……あの、グダグダになっちゃったりしない? 人が全然集まらないとか……」
ミーナ
「私が知ってる限りは一度も無いわね。なんたって、シュラー様はカリスマあるから」
「何かやってる方が、『シュラー様が目にかけてくれてる』って思えるんでしょうね」
「手伝い含めた『運営』の定員は決まってるから、たまに椅子の取り合いまで起きるくらいよ」
グレモリー
「打算と言えばそれまでだが、自ずと奉仕したくなる魅力か何かがあるという事か」
「(今の口ぶりからすると、少なくともミーナは『シュラー派』ではない……か)」
ザガン
「(『シュラー様の愛』とか、私のお目付け役の人も言ってたな……)」
「(自分から、その人の為になりたい気持ちって事かな……分かるような、分からないような……)」
ミーナ
「そういう人達の気持ち、私も今日になって初めて……っと、私の話は置いといてと」
「4人とも、普通に参加って事で良いのよね。私が簡単に案内してあげるわ」
「と言っても、知り合い同士の親睦会みたいなもんだから、マナーとか有って無いようなものだけど」
会場の奥へと4人を誘導するミーナ。
数分後、ごく簡単に全ての説明が済んだ潜入組は、パーティーに馴染み始めていた。
ハーゲンティ
「んもっ……んもっ……」
ミーナ
「ふふっ、もうサシヨンちゃん、ハムスターみたいになっちゃってるわよ」
ザガン
「『大食い職人』って感じの真剣な顔だねえ……でも、ハーゲンティらしいかも」
「そういえば、私のお目付け役が言ってた通りだね。パーティーの料理、本当に何ていうか……」
ミーナ
「『満足感』みたいなのあるわよね」
「カリナちゃんのお皿の野菜とか、アブラクサスで唯一の『恵み』の作物なのよ」
ザガン
「えっ……あ、『コレ』がか! 本当に区別つかないくらい『しっかり』してるなあ」
ミーナ
「あら、それも知ってた? お目付け役の中に農業担当の子が居たみたいね」
「最初は色々戸惑うけど、みんな結構、この食生活を気に入り始めるのよね」
「『外』では大地の恵みが当たり前な生活してたから、何だか『教えられた』みたいな」
ザガン
「ありがたみってやつか……ちょっと分かっちゃうかも」
「(シュラーの人気が物凄いのも、こういう『特別な体験』が後押ししてるのかな)」
ミーナ
「さて……定例パーティーが見た目より気楽な集まりだって、分かってもらえたかしら?」
ザガン
「あ、そっか……ミーナはパーティーの『運営』しないとだもんね」
「うん、お陰で凄く助かったよ、ありがと」
ハルファス
「これからどうしたら良いかは分からないけど、いつも通りにしてても大丈夫なのは分かったと思う」
ミーナ
「それでオッケーよ、チータちゃん。立派なお姉さん達と一緒に楽しんでいってね」
「それじゃ、私はそろそろ給仕に戻るから、ゆっくりしていってちょうだいね」
グレモリー
「世話をかけたな。構わず、パーティーの盛りたてに戻ってくれ」
「ハーゲンティはこちらで面倒を見るから心配ない」
ミーナ
「良いのよ、これも役目の一部だもの。じゃあ」
グレモリー
「うむ」
「(ミーナの案内で一回りしている間、不審な視線を何度か感じた……)」
「(サイティ派も少なからず参加している。なるべく4人で固まってパーティーを過ごすべきか)」
手に持った水を一口呷るグレモリー。
グレモリー
「ふむ……この水にも、なるべく早く慣れておかんとな」
「(ザガンが言っていた通り、山から引いた水にフォトンが含まれていない原因も気になる)」
「(数を飲んだ所で解決には繋がらんだろうが、身近に置くに越したこともあるまい)」
ザガン
「でも、普通にジュースとかもあるんだねえ。それもちゃんとフォトン入りの」
ザガンはコップを近くのテーブルに置き、瓶詰めの炭酸レモネードを飲んでいた。
炭酸抜け防止の栓に使われたビー玉が瓶内に残るため、これと格闘して余り飲み進められていない。
ドレス姿もお構いなしの、花より団子な風情だった。
グレモリー
「潜入捜査である以上、資金源の怪しいフォトン食材とて目くじら立てる気は無いが──」
「酒類まであるとはな。流石にこれは嗜めん。間違いなく酒税も何もあったものでは無かろう」
ザガン
「潜入組にグレモリーが居て正解だったかもね」
「ブネみたいな酒飲み組だったら、気にせずグビグビ飲んでそうだし」
ハルファス
「でも、ここは男の人は入れないから……ブネは女の子の格好しなくちゃいけないのかな?」
ザガン
「ぶふっ!? ゲホッゲホッ……!」
ハルファス
「ザ、ザガン? 大丈夫?」
ザガン
「けふっ……だ、大丈夫」
「(一瞬だけ想像しちゃった……)」
不意打ちをくらって派手に噴き出したザガンの陰で、グレモリーが口元を押さえて小さく咳払いした。少しプルプルしてるかもしれない。
ザガン
「う~、喉の変な所入っちゃった……ちょっと、水おかわりしてくるね」
グレモリー
「……わかった。余り離れすぎるなよ」
さり気なく呼吸を整えながらザガンを送り出すグレモリー。
ハーゲンティ
「ごっきゅん……あたいも、他にもお料理探してくる!」
グレモリー
「ハーゲンティは待て。動くのはザガンが戻ってからだ」
ハーゲンティ
「はうあっ! な、何故っすかマム!?」
グレモリー
「貴様は1人で行かせると、どこまでも遠くへ行きかねん」
「さっきも言った通り、こういう場ほど、いつ狙われないとも限らん」
「少なくともシュラーが会場に到着するまでは、互いに互いを見守れる状態を維持しろ」
ハーゲンティ
「りょ、了解……」
「でも、何でシュラーが来るまで?」
グレモリー
「シュラーが現れれば、サイティ派も軽率な真似はできなくなるからだ」
「シュラーが居る場でサイティ派が騒ぎを起こせば、水を差したも同然だ」
「それも騒ぎの原因が『嫌がらせ』なら、サイティに迎合できる雰囲気には、まずならない」
ハーゲンティ
「なるほどー、もっと偉い人のカゲに隠れるんだね」
グレモリー
「有り体に言えばそういう事だ。私としては気に食わん『手』だが、状況が状況だからな」
ハルファス
「もぐもぐ……ごくん」
「でも、私たちが『悪者になる』ように何かされたら、まずいんじゃないかな?」
ハーゲンティがよそって来てあげた料理を淡々と食べていたハルファスが意見した。
グレモリー
「シュラーまで我々を断罪すべしと誤解した場合か」
「あり得ない話では無いが、その可能性は懸念に値するほど大きくない」
「サイティが対立している以上、シュラーとサイティの方針は相容れないもののはずだ」
「必然、『やり口』についても同様だ。トップを維持しているからにはシュラーも暗愚ではない」
ハルファス
「えっと……サイティの仲間に嫌がらせ受けてるって、シュラーもすぐに分かるって事?」
グレモリー
「そうだ。そして少なくとも名目上、シュラーは住人全員の『シンボル』だ」
「『故あれば見捨てる』……そんな指導者では、こんな環境でこれほどの求心力は保てん」
会場の住人を見渡すグレモリー。住人たちがシュラーのため、自主的にパーティー運営に従事しているというミーナの話を思い返す。
ハーゲンティ
「それ、あたい知ってる! 『大人の対応』ってやつだね」
グレモリー
「まあな。つまり住人達が見ている前では、シュラーは指導者に相応しい態度を取らざるを得ない」
「即ち、仮にも住人である我々の窮地に対して、『味方にならない』という選択肢はあり得ん」
ハルファス
「うん。多分、分かったと思う」
「シュラーが来るまで、何も起きなければ、ひとまず安全って事だよね?」
ハーゲンティ
「なら、早くシュラー来~いシュラー来~い……それかザガン姉さん戻って来~い」
グレモリー
「期待の主賓は後から壇上に上がるのが『お約束』だからな。こればかりは──」
ザガンの声
「うわっ!? だ、誰だよ今の!」
グレモリー
「っ!?」
仲間の大声に会場が静まり返った。真っ先にグレモリーが戦場の顔で反応した。
ザガンは少し離れた所で、髪を肌にペタリと貼り付けて、あちこちから水滴を滴らせていた。ドレスも生地の半分以上が濡れて色を濃くしている。
ザガンが睨む先には、例のサイティの取り巻き3人組。
バーズレー
「あーらどうしたの、その格好? 水差しからガブ飲みでもした?」
レディス
「あり得ないでしょー♪ 『外』の贅沢な暮らしに慣れた新入りが『うっすい』水なんて」
アマーチ
「……」
バーズレーは、違法なカジノで紙幣をそこら中に挟んで練り歩いていそうな大胆な服で、盆を片手にふんぞり返っている。恐らくミーナと同じく給仕当番なのだろう。両の足でしっかりと直立している。グレモリーとの一件で負った足首の怪我も、本当は騒ぐに値しない軽傷だったようだ。
レディスは、間近のテーブルにビールやらツマミやら水差しやらを大量に並べて、如何にも酒盛りの真っ最中な様子でニヤニヤしている。テーブルに手を置くなどして体重を足腰にかけないよう姿勢を頻繁に変えており、こちらはまだダメージを引きずっているようだ。
アマーチは、レディスの隣で腕組みしてテーブルに腰掛けるようにして立っている。姿勢は威圧的だが表情は煮え切らない様子で、ザガンから目を逸らしてジッとしている。
ザガンの周囲に取り巻き以外の人影は無く、騒ぎに気付いた女達は誰も、ザガン達から距離がある。
ザガン
「水かけたろ! たった今、後ろから!」
バーズレー
「フフッ……やだ怖ーい、すぐ人のせいにして……どこに証拠が有るってのよ」
レディス
「カラの水差しくらいなら、ここにあるわよ? さっき私らで飲み干しただけだけど」
バーズレー
「ちょっと止めてよー、こういうタイプの女って、すぐそういうので勝った気になるんだからー」
バーズレー&レディス
「キャハハハハっ!」
アマーチ
「ふ、ふふ……」
ザガン
「こ、の……!」
アマーチがチラリとザガンの方を見て、ザガンの肩越しにグレモリーの姿を見つけた途端、引きつった笑みを漏らしながら目を逸らし、自身を抱きしめるように腕組みを強めた。
一方、成り行きを静観するグレモリー。ザガンとの距離は、他の女達と大差ない程度に開いている。
グレモリー
「(いっそ感心するほどに小賢しいな……調子にさえ乗ればハッタリまで使いこなすとは)」
「(自ら『手がかり』を掲げて煽る事で、『手がかり』を元にした追求を封じ込めたか)」
「そういえば、最初に連中に絡まれていたのはザガンだったな……」
「最初から目を付けられていたか……『踊らせやすい』性格だと」
ハーゲンティ
「マ、マ、マム……い、言ってる場合じゃないと思うんスけど……!?」
グレモリー
「今すぐにでも割って入りたい所だが……悩ましいな」
「軽率に助けに入れば、ザガンは『餌食』にうってつけだと奴らに『売り込む』も同然だ」
ハルファス
「私がザガンの立場だったら、自分でも思っちゃうかも……」
「『1人じゃ狙われた時にどうにも出来ない』って」
グレモリー
「現に今、ザガンは近くに私たちが居るのも忘れて1人で戦おうとしてしまっている」
「水差しのハッタリに動揺して、怒りの置き場を見失ったな」
「宥めに入れば、周囲にさえ醜態を晒しかねん……『ザガンは感情を処理できん人間だ』と」
ハーゲンティ
「だ、だからって……!」
グレモリー
「だからこそだ。アブラクサスに入り込んだ以上、任務完了以外に『逃げ場』はない」
「この場での評価が今後、住人たちのザガンへの『扱い』に直結すると言っていい」
ハルファス
「そっか、一度アブラクサスに入国したら出してもらえないから──」
「これからもずっと『そういう人』って思われながら暮らす事になっちゃう……」
グレモリー
「アブラクサスでのザガンの立場を守るためには、せめてあと一歩、ザガン自身で動かねばならん」
「頭を冷やして『後に退く』……ザガンには特に難しい選択だろうが……」
「……ハーゲンティ、指示を出す」
ハーゲンティ
「おぇ!? ほ、ほいっ!」
グレモリー
「今の内に、興味のある料理がどこにあるか、目星を付けておけ」
ハーゲンティ
「イエッサ……え? な、何で?」
グレモリー
「『念の為』だ……良いからやっておけ」
一方、ザガンと取り巻き3人。
レディスが突如、会場中に伝えんばかりに声を大にしてザガンを嘲笑した。
レディス
「大体さー! そんな『けったい』な服着といて! 説得力のカケラも無いんですけどー!?」
ザガン
「なっ、『けったい』って何だよ! この服は──」
「って、な……何だコレ……!?」
ドレスを見下ろしたザガンが、ハッと顔をしかめてドレスの前を腕で覆った。
ザガンが取り巻きから隠すように身を捩った拍子に、グレモリー達の目にも、ザガンに何が起きたかが伺えた。
ハルファス
「あれ? ドレスが何か……さっきまで、あんな感じじゃ無かったよね?」
ハーゲンティ
「スカートとか萎んだみたいに……っていうか、パツパツ?」
グレモリー
「あの特徴は心当たりがある。貴族愛用の上等な生地には違いないが……『雑用』の品だ」
「絹のような肌触りだが、極めて水を吸いやすく、含んだ水はごく軽い力で殆ど絞り出せる」
「故に食卓のナプキン、ハンカチや傷当てとして重宝されている」
ハルファス
「じゃあ、ドレスが水を全部吸って……貼り付いちゃったの?」
グレモリー
「だろうな。しかも生地は空気を多量に含む。つまり水を吸うと見た目に生地が『薄く』なる」
「辱める魂胆か……周囲が女ばかりなどと、気休めにもならん。下衆共が……」
「(輪をかけてマズい。若さを加味しても、ザガンは下劣な事物に疎い部類だ。特段に『効く』……)」
衆人環視の中で不自然に体型を曝け出され、水掛け論どころで無くなったザガンを、取り巻きがここぞとばかり冷やかす。
バーズレー
「クスッ……やだ、何ソレ痴女?」
「シュラー様に色目使うにしたってハリキリ過ぎじゃない?」
レディス
「ヒュー♪ 良いケツしてんじゃないのー!」
示し合わせたように、騒ぎに注目していた女達の何人かがざわめきだす。
野次馬の女
「うっわ、あんなの『仕込んで』来るとか……流石にちょっとねえ?」
取り囲む女
「見た目はサッパリしてそうなのに、ちょっと幻滅……」
蚊帳の外な女
「あれじゃみっともないだけよねえ……クスクス」
ザガン
「!!?」
完全に困惑に乗っ取られた顔で、周囲に目を向けるザガン。
すぐ近くに居るはずのグレモリー達はもはや眼中に無く、遠巻きの非難に意識を奪われている。
野次馬の中で、率先して口を開く者が皆、下品に寄り集まっているか、でなければその周囲の女達が距離を置きたそうにしている者ばかりな事にも気付け無い。
迷惑そうな女
「たまに居るのよね、初日から『お姫様』気取りっていうか、夢見がちな子……」
呆れ顔の女
「きっと恋物語とか真に受けちゃってるのよ、かわいそうに」
ザガン
「ち……ちが……違、う……っ」
見も知らぬ女たちを見回していたザガンが、野次馬の中に顔見知りを見つけた。
グレモリー達ではない。ザガンのお目付け役だった3人だった。
適度に着飾った没個性な女は、ザガンと目が合った事に気付くと慌てて目を逸らした。
生真面目な女は最初から明後日の方を向いて、何も映ってないような目を虚空に泳がせて、騒ぎなど起きてないかのように皿の上の野菜を機械的に口に運んで咀嚼し続けている。
呑気な女は別人かと見まごうほど、何気に会場でも一際気合の入った出で立ちだった。肩を張り詰め胸元で両手を握りしめてザガンをジッと見つめ返していたが、涙を滲ませた目を伏せ、かぶりを振った。
グレモリー
「(分かってから見れば、あのドレスは下着を纏うと『合わない』誂え……元より、このための品か)」
「(白だとか『露骨』な色で無いのは、半端に隠す余地を与える事で『逃げる』事を忘れさせるため)」
「(ハルファスとハーゲンティが狙われなかったのは、この手口を活かすには若すぎたからか)」
「(社会的な『庇護対象』では効果が落ちる。憤慨して助けに入る者が現れたのでは失敗だからな)」
「(『いい歳なのだから、騙される事も含めて自己責任』……そう社会が裁くに足る女が標的に相応しい)」
「(観衆は『自業自得だ』と良心を痛ませず、孤立した者の側へ立つリスクを冒さぬ言い訳を持てる)」
「(そうして第三者を『晒し者の加害者』へと引き込む……十中八九、サイティの描いた絵図だな)」
ハルファス
「グレモリー……」
グレモリー
「ああ、貴様たちでも『分かる』だろうな。ザガンは完全に『呑まれ』ている。絶望的だ」
ハーゲンティ
「な、なら黙ってみてる場合じゃないよ、こんなの『やりすぎ』だって!」
グレモリー
「いや、何も『やりすぎ』ていない。不甲斐ないが、入国審査の時の意趣返しを食らった」
ハーゲンティ
「え……?」
グレモリー
「事の発端である『水』が、取り巻き共の仕業という決定的な証拠が無いのだ」
「そしてあのドレスも出所は知れないし、ザガンが自らの判断で纏った──」
「ならば『上っ面』だけだ。『疑惑』は『事実』では無いのだからな」
「やつらはただ、奇行を晒す女に言いがかりを受け、『カッとなって』反論したに過ぎん」
ハルファス
「ここで止めに入っても、ややこしくなっちゃうだけって事……?」
「ザガンの近くには3人しか居ないけど、『誰が水をかけたか』は誰も見てないっぽいし」
ハーゲンティ
「そんなの絶対、見た人が居てもあの3人が怖くて言い出せないだけで──!」
「あ……だから証拠が出てこないって話に戻っちゃうのか……」
グレモリー
「更に言えば、3人が共犯という証拠が無ければ、犯人をあの中の1人に絞り込まねばならない」
「証人にしても、恥を晒す赤の他人に、わざわざ味方して同じ視線を浴びようとする者も少なかろう」
「そしてザガンを通して我々が介入し、水掛け論に熱が入れば──」
「いずれ出るだろう。我々にせよ、加勢する住人にせよ、『力』に打って出る者が……」
ハーゲンティ
「そりゃあ、『先に手を出した方が悪い』とか言うけど……」
「っていうか、もう秒読みなんじゃあ……ザガン姉さん、絶対すごく怒ってるし」
グレモリー
「恐らく、そうして宴席で乱闘を招く事こそが奴らの思惑……割り込めば思うツボだが……」
「……ハーゲンティ、料理の目星は付けたか?」
ハーゲンティ
「い、いやいやいや、こんな状況で出来るわけないっしょ!」
グレモリー
「なら、手近な料理だけかき集めておけ」
「そして、ハルファスを連れて会場の外まで離れていろ」
ハーゲンティ
「え……ちょ、まさか、マム?」
両の手を組んでボキボキと鳴らすグレモリー。仮にも宴会とあって、武器は持ち込んでいなかった。幸か不幸か。
グレモリー
「例え罠だろうが、これ以上は限界だろうよ。私がな……!」
「ケダモノにヴィータの流儀は通じん。ケダモノの流儀で『分からせる』しか無かろう」
「それに元を正せば、奴らの品性を『買い被った』私の落ち度だ」
「『何か起こるなら、存分に付き合う』……嘘にはさせん」
ハーゲンティ
「そ……」
「そういう事なら、あたいだって逃げたりなんかしたくないよ! 当たって砕ける!」
グレモリー
「ダメだ。リスクの分散はアブラクサスでは命取りだ」
ハーゲンティ
「リ、リス……?」
ハルファス
「やっぱり、皆でザガンの味方したら、怖がられたりしちゃいそう?」
グレモリー
「そういう事だ。これから始まるのは、あくまでも口論からの乱闘騒ぎだ」
「後に残るのは『言い掛かりを徒党を組んで殴り伏せた連中』の肩書のみ……」
「ましてやパーティーに参加していない者には下世話な噂しか届くまい」
「それも、より声の大きいだろうサイティ派の情報ほど広く伝わっていく」
ハーゲンティ
「そ、そうなったら、あたい達、任務が終わるまでアブラクサスで暮らさなきゃならないから……」
グレモリー
「シュラーを迎える場での狼藉、そしてザガンの醜聞が我々の『全て』にされる」
「そして我々4人の『横暴』を許さぬためには、より多くの『暴力装置』が用意される事だろう」
「最悪、人並に過ごせるかも分からんな。法が無いなら、全住人が自由に悪を裁ける」
ハーゲンティ
「お……おはようからおやすみまでイジメコース……!」
グレモリー
「理解したなら、貴様ら2人は早々にこの場から逃れろ」
「そして、これから起きる事について追求があれば、知らぬ存ぜぬを通せ」
「仲間を守りたいと思うなら、自分の身とやるべき事を守る……これはそういう状況だ」
ハーゲンティ
「う、うぅ~~……」
「ハ、ハルちゃん……行こう!」
ハルファスの手を取るハーゲンティ。
軽く引くが、ハルファスは歩き出そうとしない。
ハルファス
「でも私、本当にグレモリー達を『切り捨てる』みたいな事して良いのか、分からない……」
ハーゲンティ
「あたいだって本気でヤだよ! でも……」
頃合いを見計らって取り巻きが、十分に視線に漬け込んだザガンへ煽り文句を再開した。
レディス
「その『足元』、ちゃんと後で掃除しなさいよねー?」
ザガン
「(足元……?)」
吸った水を良く落とす生地は、保持しきれない水を重力に従って下へと流し、ザガンの足首を伝って足元にシミを広げていた。
レディス
「『自分から水かぶった』んだから、そのくらい責任取りなさいよー?」
バーズレー
「っていうか、水だけじゃ無かったりして……?」
レディス
「ブッヒャヒャヒャヒャ! やめえってメシ食ってんだからさあ」
これ見よがしに、レディスが鼻をつまみながら高笑いした。
ザガンを取り囲む笑い声の中に、無理に作った笑い声が混じり始めた。
形だけでもサイティ派に合わせない事が、後にどのようなリスクを招くかが今、目の前にあった。
ザガン
「……」
ザガンの頭がブツリと小さく揺れ、身を丸めるのを止めた。震える手が、今にも血が滲みそうなほど握りしめられている。
既にグレモリーが、狼藉者に気取られぬよう殺気をしまい込みながら歩みだしていた。
グレモリー
「(あの3人だけは……確実に『へし折る』……!)」
ザガン
「お……ま……え……らぁぁぁっ!!」
同時、遠方から悲鳴と、バシャリと大きな水音があがった。
???
「キャアアッ!?」
各々の逆立った神経が思わず反応して、悲鳴のした方へ振り向く。
ただ音がしただけなら、乱闘の気配に驚いた女が飲み物を取り落としただけかも知れなかった。
だが、悲鳴のした方向から、次々と女達の黄色いどよめきが広がり、会場全体へ波及した。
遠くの女の声
「ちょ、ちょっとあれ……!」
隅の方の女の声
「き、来た……じゃなくて、い、いらっしゃったわ!」
近くの女の声
「で、でも今……何であんな事!?」
潜入組4人
「……?」
ザガン達も流石に我に返り、訝しんで騒ぎの原因を探した。
グレモリー達が通ってきた地下通路とは、ほぼ反対方向。パーティー会場正門側の出入り口近く。
会場の彩りとして掛けられた上等なカーテンに光を遮られ薄暗くなっている空間で、先程の悲鳴の主・ミーナが、カーテンの陰を凝視しながら酷く狼狽していた。
グレモリー達の位置からは死角になって、カーテンの向こうの存在が伺えない。参加者達も、見えた見えないで口々にざわつき合っている。
カーテンの向こう側から細腕が1つ伸びて、ミーナの持つ盆の上に、とても軽そうな挙動で手に持った水差しを置いた。
ミーナ
「シ……『シュラー様』!?」
潜入組4人
「!!」
慌てた様子のミーナが半ば無意識に後ずさると、カーテンに隠れていた人影が、ピタリとミーナに歩幅を合わせながら躍り出た。
シュラー
「すみません。お見苦しい所を見せてしまって」
「何しろ急な通り雨で……慌てて走ってきたら喉が渇いてしまって」
ミーナ
「えっ!? で、で、でも、い、今……!?」
シュラーと呼ばれた人影は、ミーナの瞳をジッと見つめて、アジサイのような慎ましい笑顔で言葉を交わしている。
バーズレー
「チッ……」
レディス
「帰んべケエんべ、『マワされ』ちゃたまんねえ」
アマーチ
「……ふぅ」
その人物がシュラー本人であろう事は、参加者達のリアクションと、取り巻き3人の辟易した態度を見れば間違いなかった。
ハーゲンティ
「あ、あの人が……シュラー?」
グレモリー
「若いな……」
「(先入観を持ち込まぬため、シュラーの情報は得ないでいたが……それにしても予想外な程だ)」
ハルファス
「あれ? あの人……」
ザガン
「……っ!!」
身長も年の頃もハーゲンティ達とさして変わらない。
ミーナより明らかに低く、並んでいると年の離れた兄弟姉妹ほども開きがある。
しかし佇まいは落ち着き払っており、ピッと背筋を伸ばしてミーナを見上げているシュラー単体の姿だけなら、少女と女ではなく、一人前の紳士が巨漢と向き合っているようですらあった。
ミーナ
「い、い、今、シュラー様……お、お水、じ、じ……っ!」
「(いつの間にか隣に居たと思ったら、自分で水差しの中身を頭から被った……何で!?)」
「(水被る前は濡れてなかったの見てたし、雨音なんて全然してないし……何のための嘘!?)」
シュラー
「思いの外、驚かせてしまったようですね……申し訳ありません」
シュラーは、テンパっているミーナの懐に歩み入り、片手をミーナの頬に添えた。
反り返らんばかりに背筋やら肩やらガチゴチに強張らせたミーナに、シュラーは背伸びしながら、グッと顔を近づけた。
互いの瞳しか視界に映らないほどに顔を寄せ、シュラーが唇の前に人差し指を立てた。
シュラー
「どうか、いま見た事は秘密にしてください。2人だけの……」
ミーナ
「は……は、ハイ……」
「(毎回毎回、距離が近いなぁこの人……!)」
夕顔の花のようにしっとりと笑ってシュラーが離れた。
会場へ歩み寄りながらシュラーは、オールバックの髪を更に後ろへ滑らかに掻き上げた。
撫でられた濡羽色の髪から水滴が飛び、黒を貴重にした礼服は足元までびしょ濡れだった。
直毛の髪はそれなりの長さがあるようだが、上着の襟内を通して衣服の間に挟み込む形になっているため、詳細には伺えない。
ザガン
「……あれが……シュラーだって?」
心ここにあらずといった様子で、困惑の面持ちでザガンはシュラーをぼんやりと見つめていた。
シュラーの声色は見た目通りに澄んだ少女のそれで、男装の舞台女優のような繕った低さや太さは無い。しかし抑揚と滑舌はそれだけで、紳士の色気を思い起こすほど落ち着きに満ちていた。
体格はビオラのように小柄で、中性的な衣装を着こなしてなお輪郭が細い。しかし仕草は精悍な美丈夫の姿が重なるような錯覚さえ覚えるほど、艶かしく堂に入っていた。
ハルファス
「(あの人、天文観測塔でピアノ弾いてた人……だよね?)」
「(話してた時は『形だけの立場』って言ってたけど……1番偉い人だったんだ)」
シュラーは淀みない足取りで真っ直ぐ歩み寄ってくる。
装飾1つ無い裸のアルカイックスマイルをたたえた視線は、一点に固定されたまま微動だにしない。
シュラー
「ホールの中心にただ1人……君が、今夜の主役だね?」
ザガン
「…………え? わ、私?」
やや遅れて、自分に声がかかっているらしいと気付くザガン。勘違いを懸念して近くに人が居ないか探すが誰も居ない。
取り巻き達がシュラーを忌避してとっくにザガンから離れ、どこかへ姿を消している事に初めて気づいた。
ザガン
「い、いや、えっと、私は、あの……」
今さっきまで取り巻き達に沸騰させられていた頭では事態の処理が追いつかない。
うろたえるザガンに構う様子も無く、シュラーはスタスタとザガンの眼前まで到達した。
左手で弧を描き、胸の前に置いて礼を示すシュラー。丁度、その対象であるザガンが戦闘に勝利した時のものに近い。
ずぶ濡れの2人にますます注目が集まり、思わずザガンが後ずさると、ほぼ同時にシュラーが距離を詰め、するりとザガンの左手を取った。
シュラー
「格好が付かないが……雨に打たれて、体が冷えてしまった」
「だから、怖がらせてしまったら済まない……少し、激しいよ」
ザガン
「へ……おわっ!?」
急に体を引っ張られる感覚にザガンが声を上げ終えた時には、ザガンがシュラーの腕に大きく背を委ねた、社交ダンスで言うオーバースウェイの姿勢が完成していた。
2人に纏わり付く水が、虹を描きそうなほど流麗に振りまかれた。花園のように2人を囲むパーティー参加者達から歓声が沸く。
一拍遅れて、合奏担当による精妙な曲が会場を包んだ。
ザガン
「ちょっ、待って、私は……!」
どうにか中座を求めようとするザガンだが、とぎれとぎれの抗議の最中にも、向かい合った2人が滑るように絨毯の上を移動し、離れたと思ったら手を繋いだまま帯を解かれるようにクルクルと回り、繋いだ手が伸び切ると共に回転しながらシュラーの懐へ引き寄せられ、指を絡めた2人の腕が鶴の首のようにしなやかな姿勢を描いた。
ザガン
「(な……何だこれ……何だこれぇ!?)」
ハーゲンティ
「……何が起きてんのコレ?」
ハルファス
「シュラーがザガンとダンスしてるんだと思う……けど、何でこうなってるのか分からない」
「ザガンって、ダンスも得意だったのかな?」
ハーゲンティ
「でも、あんな事あったばかりだし、ザガン姉さんそんなに乗り気じゃないと思うけど……」
グレモリー
「そもそも、そんな素養があった等という話に覚えがない。全くの未経験のはずだが……」
ミーナ
「あ、あの人、いつもこんな感じなの……ハァ、ハァ……」
グレモリー
「む? ミーナ、走ってきたのか?」
いつの間にか、出入り口近くに居たはずのミーナが、グレモリー達の近くで肩で息をしていた。
ミーナ
「ふぅ……皆、驚いてると思って……」
「その前に──ごめんなさい……私たちには、見てる事しか出来なくって」
グレモリー
「構わん。元より、ああなった時は私たちだけで片を付ける覚悟だった」
「それより、説明のためにわざわざ来てくれたのなら、ぜひ頼む」
ミーナ
「ありがとう……」
「それで……まあ、見ての通り、シュラー様はダンスが何よりお好きなの」
「パーティーの時は必ずこうして、住人にダンスの相手をさせるの。殆ど無作為に」
グレモリー
「そのための合奏担当たちでもあるわけか」
「そしてそこへ丁度、良からぬ形ではあるが目立っていた『カリナ』が選ばれた、と」
ミーナ
「シュラー様と踊ると何故か、見惚れるくらい綺麗に踊れちゃうの。私みたいな運動音痴でも」
グレモリー
「熟練の踊り手は、素人と組んでも匠みに『踊らせる』と……半ば与太話で聞いた事はあるが……」
ミーナ
「それにしたって見ての通り、『出来すぎ』だけどね」
「でも、あの『出来すぎ』もシュラー様が人気な理由の1つなのよ」
「皆が見てる前で、アブラクサスのトップと二人っきりで、一流のダンス……」
「いい気になるなって方が難しいものね」
グレモリー
「しかも何の研鑽も要らず、ただシュラーに身を任せるだけで良い……か」
ふと、曲がぶつ切りに一瞬止まり、すぐさま別の曲調がスタートした。
合奏中のワレミア
「(あ、また変わった!)」
「(シュラー様のダンス、上手すぎて何の曲で踊ってるか何となく伝わってきちゃうのよね)」
「(ああ、もうみんな『シュラー様の曲』の演奏に移っちゃってるし……ゴメン、フォロア)」
ついていくのがやっとなフォロア
「(ううっ、新しい曲もどんどんテンポが上がってく……)
「(シュラー様、曲がかかってる最中でも気分に合った別の曲でダンス始めちゃうのよねえ……)」
「(ホント、指揮者がかたなしだわ……まあ良いけどね、毎回ってわけでもないし)」
シュラーとザガンでは、ザガンの方が頭半分以上も背が高いが、身長差が覆って見えるほど、シュラーは流れるようにザガンを導いていく。
ザガン
「(抵抗しようとしても、気付いたらダンスにされてる……私の体が、私じゃないみたいだ……)」
「(これって、『やっぱり』……)」
「ね、ねえ……君って、もしかしてさ──わわ!?」
喋りかけたザガンの上体が横倒しになった。
片足と、シュラーの腕だけを支えにして、もう一方の足を高く掲げた姿勢を取らされるザガン。
ザガン
「っ!」
「(やばっ、上げた方の足、スカートの裾がちょっとズリ下がった……!)」
「(やっぱりスカートとか苦手だよ……っていうか、そうだよ今の私の格好──)」
「おおっと!?」
不名誉な自分の出で立ちを思い出した瞬間に体を引き起こされるザガン。
揺らめくような回転を繰り返しながら、2人が曲に乗って絨毯を揺蕩う。
ザガン
「あ……あのさ、そろそろ、はなしてもらえないかな?」
「私、今こんな格好だし、恥ずかしいっていうか……」
シュラー
「私も、似たようなモノだよ」
「それとも君は……目立つのは嫌いだったのかな?」
ザガン
「き、嫌いじゃないけどさ、でも、こういうのじゃなくて……!」
「こんな変な服で、あちこち見られて……格好悪いよ……」
シュラー
「そうかな?」
ザガン
「そうに決まっ──おお?」
体を引き寄せられ、気付くとザガンが、シュラーを、正面から抱き寄せたようなポーズが出来上がっていた。
シュラーの腕が、ザガンの首に引っ掛けるように絡み、そっと引き寄せられた互いの頬が今にも触れそうな距離で並ぶ。
官能的な構図に、主にシュラーへ、観衆から黄色い悲鳴が上がった。
観衆の声に紛らせながら、シュラーがザガンの耳元で、雪割草のように鮮やかに囁いた。
シュラー
「──君は美しい」
ザガン
「へ……?」
「そういう問題じゃなくてワアッ!?」
抗議を遮ってダンスが続く。
ハーゲンティ
「あのお……マム。これ……取り敢えず、一件落着?」
グレモリー
「……とは言い難いが、ひとまず有耶無耶にはなっただろうな」
ミーナ
「多分しばらくは、全く関係ない住人から何か言われたりは、心配しなくて済むと思うわ」
「シュラー様のお相手に選ばれるだけで何ていうか……『ハク』が付く所あるから」
グレモリー
「水浸しのカリナを、ずぶ濡れで現れたシュラーが見出したのでは軽々に嫌味も言えまい」
ミーナ
「(もしかしてシュラー様、カリナさんのために……?)」
ハルファス
「2人とも……きれいだね」
グレモリー
「……やれやれ」
「(気がかりな点ばかりだが……この状況、完全に『置いてけぼり』だ。水を差せそうにもない)」
色々と諦めて、事態が収まるのを静観する事にしたグレモリー。小さくため息をついた。
※ここからあとがき
何といいますか、「いかにも」な描写を描くのって、思ったより勇気が要りますね……。
この後、もっと特大のブツを投下する予定がありますが、その時には注意書きを前書きにでも添えとくつもりだと、今の内に申し上げておきます。
ヴァイガルドの郵政関係は、もちろんオリジナルの解釈です。
王都を中心として、おおよそは統治下にある土地ですから、所々に郵便局的な物を置いて王都主導で管理しているんじゃないかと考えました。
大体メギドラルのせいにすれば何とでもなると思ってるところは否めません。
瓶詰めラムネードについては、どうやら実際に150年ほど前から普及していた歴史があるそうで、ヴァイガルドで流通している可能性もあるかなと描写してみました。
炭酸水自体、紀元前から天然の鉱泉の物を壺に詰めるなどして運んでいたらしく、さらに炭酸水を科学的に作る技術の確立が1772年、炭酸飲料の流通が1776年。
ジュースとしての炭酸飲料が販売されたのが1808年アメリカ。
前回のシャワー考察と照らし合わせると……まあ、大きなズレでは無いと良いなと。
微妙な部分はハルマのお陰でどうにかなったという事で。
シュラーの服装は脳内イメージが抽象的な上に、無理に書くと長くなりそうなので若干省きましたが、社交ダンスの男性役のコスチュームをベースにして、さり気なく女性的な意匠(具体例は特になし)が垣間見えるかなって感じをぼんやり思い描いてます。
とにかく、黒地に白か金が入ってると思われます
筆者の性癖として、恐らく長ランレベルで裾の長い上着を着ている可能性が高いです。
「シャツと上着の間に髪の毛を挟んでるので長さが分からない」と描写したので、上着の裾が長い事はほぼ確定ですが、ワイシャツ+シュラグくらいの裾丈の長袖黒ジャケットに聖職者のストラみたいな巻かないストールを長く垂らしたりしても好きかもとか妄想しています。
全く余談ですが、女装は中年以降の方が違和感ないものに仕上がるそうです。
男性ホルモンの低下と体格の緩みによって、性差の少ない体つきになっているからだそうで。
なのでむしろ若い男性がいわゆる男の娘になる方が難度が高く、発達した筋肉や顔つきの精悍さで違和感が出やすいのだとか。
多少ながら、スコルベノトの苦労と懊悩が偲ばれます。
共襲イベント、久しぶりに挑んでみました。
コミュ障なのでレイドボス系イベントに苦手意識があったり、本編と違ってどこか忙しなく、手間暇前提なのもあって、長いこと不参加で見送っていました。
実装当初は数も力も不足していたために、ろくに得点もあげられませんでしたし。
今回は軍団も育ってきたし、敵のテーマも分かりやすそうだったので物は試しにとやってみました。
戦力が揃ってきたのを差し引いても、随分とやりやすくなった気がします。
特に飢王ジェストルはCインキュバスをお迎えできていたお陰で、おかしなダメージを叩き出せるわ、スターも鰻登りだわで、初期の頃の苦労は何だったのかと。
今後の超幻獣も、上手く噛み合う相手が来ますように。