メギド72オリスト「茨を駆ける十二宮」   作:水郷アコホ

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3-3前半「難解なる森と疑念都市」

 空中庭園での「研修」と幻獣襲撃が一段落したその日の夕方。

 アブラクサスの片隅、未開拓地区の廃墟に集まった潜入組4人。

 何やらザガンとハーゲンティが、直立するハルファスを両サイドから押し込んでいる。

 さながらハルファスという巨大なゼンマイを二人がかりで回そうとしているかのような構図。

 

 

ハーゲンティ

「ふんぎぎぎぎぎぎぃ……あ、そういえばハルちゃん苦しかったり痛かったりしてない?」

 

ハルファス

「うん、大丈夫。えっと……柔らかい、かな?」

 

ザガン

「あははっ、まだまだ余裕そうだねえ」

「じゃあ、ハルファス。『回る』力、ちょっとだけ強くしてみて」

「そうだな……今のハーゲンティの力をギリギリ押し返せそうなくらいで」

 

ハルファス

「わかった。こう?」

 

ハーゲンティ

「はぶぶぶぶ……!」

 

 

 ハルファスが時計回りしようとして、ザガンとハーゲンティは反対方向からそれを押し返してハルファスの動きを止めている状況。

 ハーゲンティは顔面まで使って全身全霊でハルファスに押しくら饅頭しているというかされている。

 

 

ザガン

「そうそう。それで、私も『つい』もっと強い力で押し返そうとしちゃうとするでしょ?」

「ハルファスは何が起きても力緩めないでね。そうすれば、多分思った通りに……よっと」

 

 

 ザガンがより強く力を込めると、ハルファスの上半身が僅かに押し返されて反時計方向へ回る。

 すると、体を斜めにして全力で踏ん張っていたハーゲンティがカクンと前方にバランスを崩す。

 

 

ハーゲンティ

「おひょ? あれ? ちょ、ま、おぶふ……!」

 

 

 慌ててバランスを取ろうとすると、ハーゲンティの押し返しが緩んだ分、ハルファスが時計方向へ回転を持ち直して、ハーゲンティの顔とハルファスの体がぶつかり、先程以上に密着する。

 

 

ハルファス

「(何が起きても、力を緩めない……ザガンの言う通りに……)」

 

ハーゲンティ

「ま、待って、姿勢がまだあばばばば!」

 

 

 ギリギリの拮抗が崩れて立て直せず、ハルファスの回転にズルズルと押し退けられ、ハーゲンティは後方に尻もちついた。

 

 

ザガン

「オッケー。それじゃあ、私もハルファスを止めきれないって事で……ぐわー」

 

 

 ザガンも棒読みな断末魔と共に、まったりと弾き飛ばされるような仕草をしながらハルファスから数歩距離を取る。

 ハルファスは、幼児が踊るようなあどけなさで穏やかに回転し続けている。

 

 

ザガン

「オッケー、ハルファス。もう『回る』の止めていいよ」

 

ハルファス

「あ、うん」

 

ハーゲンティ

「ぐえ~、負けた~……」

 

ハルファス

「これって、勝負だったのかな……?」

 

ザガン

「ま、細かい事は問題なーし。グレモリーも、今ので大体分かってくれた?」

 

 

 ハルファスの回転も止まり、ハーゲンティが尻のホコリを落としながら立ち上がり、3人の視線が、傍らで見ていたグレモリーに向く。

 

 

グレモリー

「ふむ……おおよそは理解したつもりだ」

「メギドラルにかつて存在した浮遊島、『ヘルマン島』……話には聞いていた」

 

ザガン

「私も遠くから島を見た事あるだけだから、グレモリーと似たようなものだけどね」

 

ハーゲンティ

「その『ヘルマン島』ってーのが、さっきのハルちゃんみたいにクルクル回ってたんだよね?」

 

ハルファス

「島全体が軸回転、だっけ。危なそうだね」

 

ザガン

「坂を下る馬車の車輪みたいなスピードでね。回転速すぎて形とかよく分かんないくらい」

「しかもたまに地表スレスレまで沈んで、そうなると山もメギドも『すり潰された』らしいよ」

 

グレモリー

「そして原理究明のため、大型のメギド体複数で回転を止める試みがなされ……」

「先ほどの3人のような『事故』が相次いで、とうとう力ずくで粉砕されるに至ったと」

 

ハーゲンティ

「あたい、自分に何が起きたのかよく分かんなかったんだけど……」

「ハルちゃんの力が強くなったはずなのに、むしろハルちゃん急に押し返されて……」

 

ハルファス

「えっと、ハーゲンティの力に合わせてって言われて、でもザガンの力の方が強くて……」

「でも、それで何でハーゲンティがあんな風に?」

 

グレモリー

「最初、2人の力加減はハルファスの力を止めるのに丁度良く、拮抗していた」

「ハルファスの力が強まっても、ハーゲンティが更に力を込める事で拮抗は保たれていた」

「だが同時に、強まった力を受け、ザガンも力を強めてしまった」

 

ザガン

「今回は『わざと』だったけど、実際に同じ事になっても、やっぱり力強めちゃうだろうね」

 

グレモリー

「うむ。全員が『独自に』回転に抗った結果、ハルファスの回転力を凌駕してしまった」

「そして、全力を賭していて、加減の余裕がないハーゲンティは対処に間に合わず……だな」

 

ハルファス

「誰が最初に力入れるかとか、予定や合図を決めとけばよかったのかな」

 

グレモリー

「そうだな。強い力を止めるには数が要る。しかし頭数が増えるほど、連携の難度も上がる」

「誰かが浮足立てば、その力の変化は仲間全員に作用し、全員が慌てて対処を試みるからな」

「そして、それが昼間の、ノンローソとシュラーの決着の『タネ明かし』か」

 

ザガン

「うん。多分、微妙に体を捻るとかして、シュラーの方から『噛み合わせた』んだよ」

「シュラーの体を、全員のパンチで抑えて『止められちゃう』場所に」

 

グレモリー

「それも同時に、あれだけの拳を全て受け流しながら……か」

 

ハルファス

「えっと……もし、さっきの私みたいにシュラーが体を『回して』たとしたら……」

「ノンローソみんなが真っ直ぐのパンチでシュラーを止めて……」

 

ザガン

「殴った感触で『バランス崩れたら受け流されて隙だらけになる』って感じ取ったんだろうね」

「でも全員で押し込んで何とかバランス保ててるから、誰も力抜く事ができなかったんだ」

 

グレモリー

「力任せに押し込むのではムラができる。つまり、同じ力を保ち続ける技術を強いられる」

「ノンローソがたちまちに消耗していったのも、そのせいか」

 

ザガン

「こんな事、段取り決まってる大道芸でだってそうそう出来る事じゃないよ」

「だから、やっぱりさ……シュラーの正体は、セルケトだと思うんだ」

「セルケトの性格はよく分かってる。正面切って話せば、きっと応えてくれるはずだよ」

「それに理屈はまだ分からないけどさ、シュラーは幻獣の飼い方も知ってるっぽいじゃん?」

「幻獣を飼えないか私、興味あったんだ。仲間にすれば、セルケトならきっと教えてくれるよ」

 

ハルファス

「でも、シュラーはザガンを見ても何も言ってこないけど……」

 

ザガン

「それは……転生したからだよ、きっと。少しは『まとも』な性格になったんだよ」

「そもそもあいつが隠し事なんて時点でびっくりだし……でも、『根』は変わらないはずだ」

「転生して、肉体に引っ張られても、大事な所は持ち続けてる……皆だってそうだろ?」

 

グレモリー

「……」

 

 

 腕を組んで考え込むグレモリー。ザガンの主張に対して、余り前向きな態度には見えない。

 

 

グレモリー

「ノンローソが片付いて、研修を再開して……その間に、私もザガンと似た事は考えた」

 

ザガン

「……『それでも違う』って顔だね」

 

ハーゲンティ

「マム、あたいもザガン姉さんに賛成なんだけど……」

「あんなの、『メギドだから』とかで出来るもんじゃないと思うし」

 

グレモリー

「……私の考えを語る前に、少し別件を話したい」

 

ザガン

「別件?」

 

グレモリー

「『戦闘員』の研修を再開して……その後、それぞれ『研修先』が分かれたな?」

 

ザガン

「うん。私とグレモリーは『戦闘員』の研修を続けて、2人は別の研修に」

「だからこうして、全員の研修終わってから、人の居ないここに落ち合ったんだし」

 

グレモリー

「そうだな。ハルファスとハーゲンティは、『戦闘員』としては不採用だったという事でもある」

 

ハーゲンティ

「まあ『戦闘員』は強さだけじゃ決まらないって、フォロア姉さんもフォローしてくれてたし?」

 

ザガン

「ハーゲンティは元々、戦って生活してるタイプでも無いし……それがどうかしたの?」

 

グレモリー

「……重要なのは、ハルファスだ」

 

ハルファス

「私? えっと……なに?」

 

グレモリー

「貴様が不採用だった理由……私には手に取るように分かる」

 

ハーゲンティ

「え、あたいじゃなくて、ハルちゃんの? 不採用なら何百回も慣れてるあたいじゃなく?」

 

ザガン

「そういえば、普段は『決められない』けど、言われた事は真面目にやる方なのに……」

 

グレモリー

「ハルファス。ノンローソ騒ぎの時、貴様も顎を打たれて昏倒していたな」

 

ハルファス

「うん……」

 

グレモリー

「脇目にだが、あの時の一部始終は見ていた……何故、『防がなかった』?」

 

ハルファス

「え? えっと……」

 

グレモリー

「明らかに敵意をむき出した幻獣を前にだ。間合いに入られるまで、数秒でも時間はあった」

「何故、貴様は殴られるまで棒立ちでいた?」

 

ハーゲンティ

「あ……そういえばハルちゃん、倒れる前に幻獣に何か話しかけてたような……?」

 

グレモリー

「殴られてから倒れるまでの間に、遅れて防御しようとした素振りも無かった」

「ノンローソが、目を付けた相手をどうするかは事前に分かりきっていたはずなのに、だ」

「敢えて責めはしない。ただ、原因を確かめておきたいというだけだ」

「あの場で『選ぶ』事も、ハルファスには荷が重かったか?」

 

ハルファス

「えっと……うん。選べなかった」

 

ザガン

「そ、そんな事まで選べないものなの!? あ、いや、『そんな事』は失礼だけど……」

「でもさ、咄嗟に危険が迫ってるんだよ? 攻撃でも防御でも逃げるでも、体が勝手に……」

 

ハルファス

「そうじゃなくて……『きっと殴られるな』って分かってたから、選べなくて……」

 

ザガン&ハーゲンティ

「???」

 

グレモリー

「恐らく、不採用を決定した者達は、そういった所を見ていた」

「普段の幻獣との戦闘でも、ハルファスは危機への対処が余りに鈍い」

「結果、その大斧の反動を受け止められる頑丈な体を持ちながら、耐久力に難がある」

 

ザガン

「最低限の防御もしないで受けてて、他の皆より実質何倍かダメージ受けてるって事?」

 

グレモリー

「ああ。恵まれた筋力を活かしきれていない。少々極端に言えば──」

「肉体の育ちきらない幼年組や、骨肉を養える環境に無かったアモンと同等かもしれん」

「『選べない』から何もせず……もとい、判断が間に合わず直撃を受けている。どうだ?」

 

ハルファス

「うん。攻撃は、危ないけど……本当に避けたり防いだりとか、して良いのかなって」

 

ザガン&ハーゲンティ

「良いに決まってるじゃん!!」

 

ハルファス

「でも……痛い思いするけど、避けちゃいけない時もあるし……」

「良くない事しちゃって、お父さんやお母さんが怒って叩く時とか」

 

ザガン

「な……何言ってんのさ!!?」

「確かに私も昔、家中の家具や壁何度もブチ抜いたりで沢山ゲンコツもらったけど──」

「親のお仕置きと幻獣の攻撃じゃ、全く全然、別の話じゃないか!」

 

ハーゲンティ

「(い、家中の、壁を……!?)」

「……ぁ、そ、そうだよハルちゃん! 幻獣レベルで子供ぶっ飛ばす親なんて居るわけないよ!」

 

ハルファス

「うん。私も、そう思うかも。けど、えっと……」

「どんな理由で私の所にやって来るのか、それは、私からは分からなくて……」

「私がどう思うかだけで拒んだりして良いのか……やっぱり、選べない」

「『戦うみたいな事』でしか気持ちを伝えられないからって事も、あるかもしれないし」

 

ハーゲンティ

「考え過ぎだよハルちゃん! 絶対!」

 

ザガン

「あったとしても、とんでもなくレアな場合だって!」

「(フルカスとか、ちょっと分かんないけど……)」

 

グレモリー

「……2人とも。それ以上の物言いは無しだ」

 

ザガン

「で、でも……」

 

グレモリー

「それがハルファスの考え……『個』なら、とやかく言う権利は誰にもない」

「それに私は言った。『責めはしない』と。詳しい原因を知りたかっただけだ」

「理由を聞けた今、それを『正そう』とする意見には、責任をもって私が対処する」

 

ハーゲンティ

「り……了解っす、マム……」

 

ザガン

「……ごめん、ハルファス」

 

ハルファス

「え? あ、ううん、いいの。自分でも、あまり『良い考え』じゃない気はしてるから」

 

グレモリー

「(この『視野』と『思慮』……時折ハルファスには、口惜しいものを感じる時がある)」

「(歳に似合わぬ知性……しかしそれを頭から外に出す過程に不自由がある印象を受ける)」

「(ハルファスは、幻獣の本能的な殺意にさえ、決して否定をしないのだろう──)」

「(そこに『意味がある』という可能性を。害悪の面だけを見ようとしない)」

「(戦いの只中でさえ無ければ、批判されるべきは我々3人の側だったかもしれん……)」

 

ザガン

「あの……グレモリー? それで、ハルファスの話は、これで終わり?」

 

グレモリー

「大体は、な。段階を踏まえて本題に戻す」

「所々想定を超える発言もあったが、概ね、期待した結果は得られた」

「ハルファスは『避けられなかった』ではなく、『避けなかった』。己の理由に基づいてな」

「何より、時には『選べないという選択』もある……これを再確認したかった」

「ザガン、貴様の事を言っている」

 

ザガン

「え……?」

 

グレモリー

「貴様は、シュラーがセルケトであると信じようとしている。その気持ちは分からんでもない」

「だが……話はついたのか? 『ヴィータの貴様』と。『セルケトでは無い』のだろう?」

 

ザガン

「あっ!」

 

ハーゲンティ

「そういやマム言ってたね。ゆうべザガン姉さんがシュラーの正体で悩んでたって」

 

ザガン

「いや、えっとそれはその……ごめん、自分から言い出したのに忘れてた」

 

グレモリー

「ふっ、だと思ったよ。貴様はそれで良い。それでこそだ」

「だからこそ、そんな貴様を引き止めてみせた、もう一人のザガンに私は興味がある」

「もちろん感情論だけじゃない。セルケト説を否定する材料はまだ幾らも残っているのだからな」

「例えば……シュラーがセルケトなら、アブラクサスの現状に説明がつかない」

 

ハーゲンティ

「え、そうなんすか? シュラーがメギドってのは、王都も認めてるとかボスが……」

 

グレモリー

「問題になるのは、セルケトが生きているなら十中八九、追放メギドだという事だ」

「中央が公式に身柄を回収した敗者を、それも流民の受け皿として送り出すなどとは思えん」

 

ザガン

「確かに、何かの作戦にしては2年もかけて遠回りしてるし、意味がある行動にも見えない……」

 

グレモリー

「であれば、追放メギドとしてのセルケトの立場は、ここに居る私達4人と同じだ」

「つまりセルケトには、幻獣牧場を運用する力は無い」

「些か乱暴ではあるが、一見して似た『技』を使うだけなら、我々の間でも珍しくはないしな」

 

ハルファス

「シトリーとインプの雷とか、ちょっと似てる……かも?」

 

ザガン

「それは、分かる……分かるけど、何か特別な遺物を使ってるとかって可能性は……無い?」

 

グレモリー

「無くは無いだろうが現実的でもない」

「この広大な土地に点在し群れをなす幻獣らを、遺物1つで日々のフォトンまで賄わねばならん」

 

ザガン

「そっか……そういえば、幻獣がヴィータ襲わないくらいのフォトンの出所も分かってなかった」

 

ハルファス

「(……あれ?)」

 

ハーゲンティ

「ハイ、マム! 大穴で、セルケトが純正メギドってどうっすか!?」

「どっかにゲートも隠してあって、そこからフォトンも何とかしてるっていう……!」

 

ザガン

「だから純正メギドのまま中央が利用するとは思えないって、たった今……」

 

グレモリー

「ゼロとは言わんが、やはり可能性は低い。メギドラルにそんな余裕があるとは思えん」

「2年も前から、幻獣を養うためにメギドラルのフォトンをヴァイガルドに捧げていた事になる」

 

ハーゲンティ

「おおう……」

 

ザガン

「ありえないね……中央じゃなくたって絶対やらない。目的があったって割に合わないし」

 

グレモリー

「少しまとめるぞ。セルケト説は、手合わせした私にとっても妥当な線だと思う」

「しかし、それでは辻褄が合わない事も多すぎる。最大の問題は幻獣を操っているフォトンだ」

「この謎が解けない限りは、あらゆる可能性を──む?」

 

 

 グレモリーがハーゲンティの方へ視線を投げる。

 

 

ハーゲンティ

「ほぇ? マム、どうかした?」

 

グレモリー

「……伏せろっ!」

 

ハーゲンティ

「へ……おげえ!?」

 

 

 グレモリーがハーゲンティに飛びかかり、頭を掴んで強引に引きずり倒した。

 先程までハーゲンティが立っていた場所を猪ほどの大きさの影が駆け抜け、少し通りすぎて停止した。

 瓦礫が夕焼けを遮る薄暗い一角だったが、一同のよく知るその姿を捉えるには充分だった。

 

 

ネズミ幻獣

「ギギッ……!」

 

ザガン

「幻獣……どこから!?」

 

グレモリー

「近くに牧場があったか……? だがノンローソ脱走の直後で、ただの不始末とも思えんな」

 

ザガン

「しかも殺気立ってる……こんな状態で大人しく牧場に入ってるわけない」

 

ハーゲンティ

「あででで……一体何が……」

 

グレモリー

「構えろ、ハーゲンティ!」

 

ハーゲンティ

「うぇ?」

 

 

 額を擦りながらのっそり立ち上がったハーゲンティに、幻獣が追撃を仕掛けた。

 グレモリーが間に割り込み、幻獣の鼻先に拳を叩き込み牽制する。

 

 

ネズミ幻獣

「ギッ!?」

 

ハーゲンティ

「のえぇ!? 幻獣? あ、あっちいけー!!」

 

 

 咄嗟にハーゲンティがグレモリーの脇を潜らすようにピッチフォークを振り抜き、怯んだ直後の幻獣の横っ面を叩いた。

 

 

ネズミ幻獣

「ギギェッ……!?」

 

 

 幻獣が勢いよく吹っ飛び、着地してなお地面を転げていく。

 

 

ザガン

「クリティカルヒット! ハーゲンティ、やるー♪」

 

グレモリー

「いや待て、指輪の支援抜きに、実戦向きでないハーゲンティが、あの威力……?」

 

ハーゲンティ

「マ、マム、ザガン姉さん……い、今の手応え、ボスと戦ってる時とおんなじ……」

 

ザガン&グレモリー

「!?」

 

増援のネズミ幻獣

「ギギギッ……!」

 

 

 驚いている間にも、更にどこからか幻獣達が躍り込んでくる。

 

 

グレモリー

「これは……ザガン、物は試しだ!」

 

ザガン

「オッケー! さあ、どこからでもかかってきなよ!」

 

 

 ザガンがムレータを構えた直後、最初の攻撃が空から来た。

 瓦礫を伝い登っていた幻獣が、半ば転落しながら襲いかかってきていた。

 結果として不意打ちであろう攻撃を、ザガンが難なくいなし、そこへグレモリーが剣を突き立てる。指輪の支援がある時と同じく、フォトンを殺気で変質させる感覚を意識しながら。

 

 

ネズミ幻獣

「ギギャァッ!」

 

 

 一撃で急所を貫かれた幻獣がそのまま無抵抗に地面に激突し、弱々しく痙攣する。

 

 

グレモリー

「間違いない。何故かは分からんが、私達は今、フォトンの恩恵を受けている……」

「(思えば、空中庭園でのザガンとノンローソの戦い。あの時も違和感があった)」

「(途中までノンローソの攻撃をかわしたザガンの技量……あれは『技』では無かったか?)」

「(指輪の支援に慣れて、無意識の内に『技』で戦うクセが付いては居まいか……)」

「(もしあの時もフォトンで戦えていたとしたら、条件は何だ……?)」

 

ザガン

「グレモリー、何ボーっとしてんのさ!」

 

グレモリー

「……済まない、現を抜かしていた」

「ともかくこれなら対処は容易だ。各自、不意打ちを避け、広い場所に移りながら撃破!」

 

ハーゲンティ

「おおっしゃー! 行こう、ハルちゃん。ハルちゃんの『技』なら一戦二議席だよ!」

 

ハルファス

「うん……一網打尽とかの方が有ってる気がするけど」

「(……このままだと、戦闘でうやむやになっちゃいそうかな……)」

「(でも、この状況で、どんな時に言えば良いか分からない)」

「(もしフォトンがあるなら、シュラーが追放メギドでも問題ないと思うけど……)」

 

 

 

 

 

<GO TO NEXT>

 




※ここからあとがき

 アジトTVからして、ザガンさんリジェネまでの完結も間に合わなそうですね……月を跨いでるとはいえ畳み掛けてくる。

 ザガンのセルケトに関する心理の掘り下げが、自分の中でかなり不十分だった事に、実際に書き出してから気付かされています。
 ザガンとグレモリーが夜に語らった部分もそうですが、だいぶ迷走しながら書いているので、冗長で分かりにくい所も多々あると思われます。

 Bハルファスの高防御・低HPの解釈を入れてみました。
 仮に絶対的な数値が2~3倍くらいあったとしても、「本当に対処して良いのか」を咄嗟に選べずダメージも2~3倍入るので、ステータス上の数値は下から数えた方が早い事になっていると、今回はそのように考えました。
 覚醒スキルの攻撃1回無効は、巨大化させた斧の重さやそれ自体が盾になっているからと解釈しています。
 HPが近いメギドにジズやベレト、Rアモンが居たので蛇足ながらグレモリーに例えさせてみました。
(他にフリアエやアマイモンも近いですが、瞬発力=ヴィータ体の強度ではないとか、そんな感じで)




 10連1回でRハルファス召喚できました。ザガンさん、シトリーに次いで3人目にお迎えし、初期の勝算を支えてくれただけに何だか嬉しいものがあります。キャラストーリーも解釈一致でありがたや。
 余談ですが、ハルファス関連については、開き直って当初の構想通りで進めていきます。家族構成に妹が居る事とか、既に食い違い設定お出ししちゃった後ですし。
 ざっと見比べた感じではそこまででは無いはずですが、もし罪人イベやRハルファスストーリーと被る描写が出ても「先に考えてたもん」的な主張だけ、みみっちいながらもこの場を借りて書き残しておきたく。


 デリケートな話題かもしれませんが、キャラを立たせるために、そのキャラと関係が深いor関係を持つ設定のオリキャラをあてがうのは、いわゆる夢女子概念に該当しているのではと、今更ながら思いました。
 ただ、仮に夢○系であるとして、その界隈をよく知らないままタグや注書きを書き足すのでは別の悶着を呼びかねない気がするので、この辺は当面考えないでおこうと思います。
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