「え?じゃあ、アインズ達は異世界からこの世界に来たのか!?」
昼休み中の教室でアインズが、自分達はこの世界に転移したとエレンとミカサとアルミンに告白。
「道理で…なんか周りと少しおかしいと思ってたけど、もしかしてスバルさん達も?」
「恐らくそうかもしれないな…だが、信じてくれ嬉しい限りだ」
などと少し安心して笑い出すアインズ。だが、そこにカズマとスバルがやってくる。
「なぁ、せっかくだから3組を見に行こうぜ」
「3組ってライナー達のいる?」
「そうだ。せっかくだし隣のクラスを見に行こうぜ」
3組の様子を見に行こうと誘って来た。とりあえず暇なので、アインズとエレン達は誘いに乗って3組の教室を覗いてみる。
「「「な!?」」」
突然、アインズとスバルとカズマは3組を見て驚いた。なぜなら教室にはライナーとベルトルト達はいるが、このすば側のクリスとRe:ゼロ側のラインハルト・ヴァン・アストレアとユリウス・ユークリウスとフェルト。さらにオーバーロード側のプレアデス達と、ヴィクティムとエクレア・エクレール・エイクレアーにペストーニャ・S・ワンコがいたから。当然、制服姿。
「おいおい、なんでラインハルトが…」
「プレアデスまで」
「しかもクリスもいるぞ…」
「あの…」
「「「「ん?」」」」
すると声がかけられたので振り向いてみると、そこにはゆんゆんとフェリックス・アーガイルが立っていた。
「ゆ…ゆんゆん!」
「フェリス!」
「どうもどうもスバルきゅん♪」
「やっぱり、カズマさんですね!それで私の宿命のライバル、めぐみんも?」
「まぁ、いるけど…後ろにいるのは?」
カズマは2人の後ろにいる金髪で片目が隠れている女性に尋ねてみる。
「彼女はアニ・レオンハート。私とフェリスの友達になってくれた人の1人です」
「え?お前に友達が…」
「はい!ようやく…私にも友達が!」
今まで友達がいなかったゆんゆんにとっては泣くほど嬉しかった。当然、カズマも驚いてしまう。
「まさか…お前までこの世界に」
「本当だよね。でも、こうしてスバルきゅんと会えただけでも嬉しいし♪」
相変わらず何考えているのか分からないフェリスに少し戸惑うスバルだった。しかしアニはエレンにきつい顔をして睨む。
「エレン・イェーガー」
「ん?」
「明日の競技大会のドッチボールで、全力でお前をつぶすから覚悟していろ」
などとエレンに宣戦布告して言って3組の教室に入ったアニ。
「あっ、待ってアニ!」
「じゃあ、また明日ね♪」
慌ててアニの後を追いかけるゆんゆんとスバルに手を振るフェリス。
「……なんか、あのアニって子はエレンに恨みを感じているようだが?」
「いや、俺なにもしてないぞ!」
アインズが尋ねるがエレンは否定したが、本人が知らないのも当然。
それは入学式から次の日の事。登校して席に座るアニにクリスタが近づいてきた。
「ねぇ、アニは好きな食べ物はある?私はアイスクリームとイチゴ♪」
「え?私は」
「昨日のチーハン野郎には笑えたよな」
「う!!」
言おうとした瞬間、後ろの生徒の話を聞いて固まってしまう。
「たしかに、チーハンは美味いけどあそこまで必死にならないよな?」
「ほんとだよな。執着しすぎ」
などと昨日のエレンの話で盛り上がっていたが、アニは汗をかき続ける。じつはアニの好物はエレンと同じチーズハンバーグだった。
「ねぇ、アニ?どうしたの?」
「え!?」
するといつの間にか自分の周りにはライナーとベルトルトとユミルとゆんゆんとクリスとフェリスと、さらにはユリ・アルファとナーベラル・ガンマとルプスレギナ・ベータとソリュシャン・イプシロンとシズ・デルタとエントマ・ヴァシリッサ・ゼータが集まっていた。
「どうしたんスか?」
「それが、好きな食べ物を聞こうとしたら?」
「あ…いや、私の好きな食べ物は」
このまま正直にチーズハンバーグと答えてしまったら笑われてしまうと思ったが、嘘をつくのもダメなので考えた末。
「も…もずくが好き」
「もずく?」
「随分と変わったものが好きにゃんだね?」
仕方なくアニは二番目に好きなもずくと言ってしまった。という訳で、アニがエレンを敵視している理由はくだらないもの。
それから、球技大会当日。
「良いか!球技大会は、体育祭と文化祭と並ぶ重要なイベントだ!1年はドッジボールだから、チームワークが肝心だ!!」
ジャンが4組全員に指揮をしていた。
[ここで大活躍して優勝すれば、女子にモテモテ間違いなしだぜ]
とても不純な動機でやる気満々。
ちなみに内野と外野の組み分けは、4組内野。エレン、アインズ、アルベド、カズマ、アクア、スバル、エミリア、ターニャ、シャルティア、ミカサ、アルミン、ジャン、コニー、サシャ、マルコ、アウラ、グランツ、ヴィーシャ、コキュートス、ダクネス、めぐみん、レム、ラム、ヴァイス。
4組外野。ベアトリス、フランツ、ハンナ、ノイマン、ケーニッヒ、マーレ、デミウルゴス。という形になっていた。
「なぜ、あんな小物が指揮を」
「本当ダナ。アインズ様ニ無礼ナ言動ヲ」
「2人共、ここは落ち着け」
ジャンに不満を感じるアルベドとコキュートスにアインズが落ち着かせようとする。
「まあ、ここは水と勝利の女神のアクア様が、見事に優勝させて見せるからね!」
「そうです!我が爆熱魔法で炸裂を!」
「お前らも落ち着け!とくにめぐみん!」
カズマも色々と危険なアクアとめぐみんが暴走しないようにする。
「参加条件は全員参加!みんな揃ってるな?さぁ、俺のモテ伝説の始まりだって?」
だが、ジャンは気づいた。エレンがいない事に。
「アルミン、エレンは?」
「……ゴメン、寝坊して遅刻するみたい」
アルミンは来る前にエレンの家から電話が着て、エレンがまだ起きないとの彼の母親のカルラから連絡を受けた。
それを聞いたジャンは
「エレンのアホぉぉぉぉぉぉぉ!俺のモテ伝説がぁぁぁぁぁぁぁ!」
こんな時に寝坊して遅刻したエレンに強く怒鳴り叫び騒いだ。
「あの、そんなに大声上げても仕方ないですし…」
ヴァイスがなんとかジャンを落ち着かせようとする。
「そうだな…とりあえず、エレンの事を隠してやるしか」
「何やら騒がしいな…」
「げっ!!」
「エレン・イェーガーがいない事と関係があるのか?」
キースが強い気迫と一緒に睨んで近づきながら訪ねてきた。当然、エレンが遅刻したなんて言える雰囲気じゃない。
「エレンはトイレで、この騒ぎはサシャとめぐみんが放屁したせいです」
「「えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
ミカサがサシャとめぐみんに変な形で責任を押し付けた。
「なんだ?貴様らか」
「「ああ…その…」」
そのまま2人を睨むので思わず涙目になる。
「少しは慎め」
軽く注意しながらこの場から離れた。だが、キースは再び立ち止まる。
「だがな。もしも1人でもサボったものがいたら…貴様らともどもを巨人の餌にするからな」
改めて全員に行って立ち去った。これには流石に恐怖を感じる。
「ここは絶対にエレンがいないことを、気づかせないようにしないとな」
ターニャは念入りに言うので全員は思わずうなずく。
とにかくドッチボール大会が始まった。最初は1組対4組。
「さぁ、ドッチボール大会だ!」
そこにジャージで無精ひげの中年が開催を宣言。
「ハンネス先生」
「よぅ、ミカサにアルミン!」
「知ってるの?」
「はい、ハンネス先生は小学校の時の僕らの先生だったの」
ハンネスはかつてエレン達が通ってた小学校の担任で、今は進撃学園の体育教師をしている。
そしてハンネスが真ん中でボールを持つと、両チームは構える。
「始めるぞ…準備は良いな?そりゃ!」
ハンネスがボールを高く投げると、マルコがジャンプして4組側に入れようとしたが、相手の3組に取られてしまう。
3組の1人がボールを取るとそのまま投げたが、コニーがキャッチ。
「よっしゃ!コニーはバカだが、運動はできる。うちの主戦力の1人…」
「行くぞ!それ」
なんとコニーは敵側の外野にボールをパス。
「「なにやってんだコニー!?」」
当然、ジャンとターニャはコニーの行動にツッコんだ。
「そこは敵の外野だよ!ドッチのルール分かってる!?」
「悪いけど、ドッチってなんだ?」
完全にコニーはドッチボールを全然分かっていなかった。そのまま外野の敵はコニーボールをぶつけ、ついでにマルコも巻き沿いで当たり2人はアウト。
「良い?ドッチボールは相手の内野にぶつけて」
「うんうん…ところで、内野ってなんだ?」
外野でマルコはドッチボールのルールをコニーに教える。
「まさかコニーが想像を絶するバカだったとは…」
ターニャは改めてコニーのバカさに怒りを通り越して信じられずにいた。
とにかく再び3組がボールを投げる。
「ここは私が!」
するとここでダクネスがボールの前に飛び出した。
「カズマ、ヴァイス、ヴィーシャ!アイツを止めろ!」
「「ああ!」」
「はい!」
「ん?うわっ!」
だが、すぐにジャンが近くにいるカズマとヴァイスとヴィーシャに向かって言うと、3人はダグネスを掴んで地面に押し付けた。そしてボールはアウラがキャッチ。
「行くよ…それ!」
「なっ!うわっ!?」
そのままボールを相手に投げると、一気に3人も当たった。
「おい、なんで邪魔を」
ダグネスは邪魔をしたことに不満を持ってジャンに抗議する。
「お前…本当はワザと当たるつもりだったんだろう」
「なっ、なぜバレた!」
「なぜバレないと思った!?」
ジャンの予想が当たって驚くダクネスだが、全員分かっていたとうなずく。
「このドッチボールは、まさしく私にピッタリと言うのに…だが、顔面はセーフと聞く。だから、今度来た時は顔面に向けてやる!さぁ、来い!私にボールを」
「絶対にアイツにボールが投げてきたら、押さえるようにな」
「はいはい」
興奮して相手の3組にボールをぶつけてこいと変な要求をするダクネスに、ジャンは念入りにカズマに頼み込む。
「全く…あそこまでのドMだったなんてな…まぁ、それ以上の変人はもういないはず…」
「ちょっとサシャ!アナタ何やってるの!」
アクアは驚いて声を上げているのでジャンは見て見ると、なんとサシャがラーメンをすすっていた。
「ラーメンを食べているんですけど」
「いや、そのラーメンはどこから!?」
「校門の前に屋台がありましたので、そこで」
「てか、なんでここで食べてるの!?」
「冷めて伸びてしまっては元の子もないので、今食べるべきだと」
訳の分からない理屈を言って食べ続けるサシャで、ジャンはしばらくしてズコーっと扱けた。
だが、3組はラーメンを食べて隙だらけのサシャにボールを投げる。
「サシャ、危ない!」
エミリアが叫んだがサシャは華麗に避けた。
「なに!このやろ!」
外野側の3組が驚きながらボールをキャッチして投げたが、それでもサシャはラーメンを食べながら避け続けた。この光景にアインズ達も驚く。
「そうか!サシャの食事の邪魔はできないんだ」
「「「「だったら、手を使ってボールを投げてもらいたい!」」」」
アルミンはサシャの食べ物に対する情熱を理解したが、もっとちゃんとドッチボールをしてくれとジャンとアインズとスバルとターニャはツッコむ。
しかしアルベドとシャルティアやレム達の、活躍のおかげで何とか有利になる。
「やれやれ、なんとかなりそうだな。それにこっちにはミカサもいるし…」
ミカサはアルベド達程ではないが、身体能力は4組でもトップクラス。なので勝利は確実の事。
「えい!」
3組の女子が精一杯ボールを投げたが、弱弱しい勢い。
「バカめ!そんなへなちょこボールがミカサに当たるはず!」
だが、ジャンの予想とは裏腹にボールはミカサに当たる。しかもそのままミカサはバタっと倒れた。
「あれ!なんで!?」
「どっ、どうして!弱くなって!?」
ジャンもカズマ達も弱くなったミカサに驚くと、アルミンが語り出す。
「ゴメン…じつはミカサは朝から一定時間エレンに会わないと、スペックが30%も落ち込むんだ」
「「「「「「ええぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」」」」」
この事実にジャンはもちろん、アインズもカズマもスバルにターニャは驚く。
かつてエレン達が小学5年の頃。臨海学校の時に、エレンがインフルエンザにかかってしまい休んだ。そのせいでミカサは物凄く落ち込んで、小学生とは思えないほどの哀愁を漂わせる。これが他の生徒に影響して、エレン達のクラスが暗い臨海学校となったとか。
「この世界は残酷だ…」
外野でも哀愁を漂わせるミカサに、流石のベアトリスやデミウルゴスも引いていた。
[なんなんだよ、このチームは…自分から当たりに行こうとする奴と、ラーメンを喰っている奴と、ドッジのルールを分かっていない奴と、強い哀愁を漂わせてくる奴…]
4組のメンバーが完全に変人揃いで心底後悔するジャン。4組の勝利は分からないままだった。