「ふむ、やはりポケカノは1期が至高である。見よこのOPの出来を!余は敬服するばかりである」
「バシロッス」
「バクロッス」
そろそろカンムリせつげんに生息するポケモンの観察はおしまいだ、名前すら分からない未知のポケモンが多かったのは嬉しい誤算だった。
しかし、化石ポケモンが普通に生息しているのは驚きだった。カブトとかオムナイトとかアノプスが普通にスイスイ泳いでいるのは中々貴重な光景ではないのだろうか? それとも知識でそう思い込んでいただけで他の地方でも普通に生息していたのか?
まあとにかく、多種多様なポケモンを観察出来るのは非常に意義があった。
「だが決して他のシーズンも悪い訳ではない、それぞれの素晴らしさがある、2期は戦いの合間の日常の描写が見事だ、4期は生き別れの妹との戦うストーリー構成が素晴らしい、5期は一度に十人の新キャラを追加するとは血迷ったか?と思ったが結果としてその後のシリーズ展開の大きな布石となった、6期はバランスが良い」
「バクロッス」
「バシロッス」
おかげでサイコパワーの性質変化の幅も広がったし、量も僅かではあるが強化された。
ただ、この方法では完全に力を取り戻すのは不可能だろう。未だに見たことがない伝説級のポケモンが60種位いれば話は別だが現実的ではない。
あとはダイマックスと呼ばれているポケモンが巨大化する現象、あのパワーの源が解れば力を取り戻す答えが得られるかもしれない。
ただ、巣穴を調べるだけではこれ以上の成果は得られそうにない、キョダイマックスアドベンチャーに参加しているトレーナーが装備しているメガバングルにも似たバンド、あれが欲しい。
「だが!だがしかし!!3期だけは!3期だけは認めん!あれだけは許してはならぬ!余の誇りが!魂が!あれを許してはならんと叫んでいるのだ!」
「バシロォーッス!!」
「バクロォーッス!!」
ダイマックスの研究をしているらしいマグノリア博士。ぜひとも直接話が聞きたい。ネット上で公開されている研究データは参考にはなったが、核心には至らない。
ダイマックスのエネルギーを利用しているマクロコスモスも気になるが、企業が自身の商売道具の種を明かしてくれるとは思えない。
なので、今まで知り合った博士という人種の性質を考えれば快く教えてくれそうなのはマグノリア博士の方だ。
「おお!分かってくれるか我が愛馬達よ!ならば共に世界に警鐘を鳴らそう!過ちは繰り返してはならぬと!過ちを忘れてはならぬと!」
「バクロォーッス!」
「バシロォーッス!」
「レックス!!アニメは静かに見なさい!!」
「ふむぅ、すまぬユーリ。ポケカノの事になるとどうしても熱くなってしまうのだ。許してくれ」
「バシロー」
「バクロー」
「いや……そんなに怒ってないよ。分かってくれればいいんだ」
素直に謝られると、何だか自分が悪い気がしてくる。こんな感覚をかつての僕は持っていたのだろうか?1年ほど前の自分の事なのにサッパリ分からない。
「そうかそうか、では夕餉の時間にしよう。今夜のポケカノEX16話視聴の前に腹ごしらえと身を清めねばならぬからな」
あっさり終わるのも何だか釈然としないが、怒っていないと言った手前何も言えない。
「ではユーリ、畑に行くぞ。人参を調達せねば」
「バシロッス」
「バクロッス」
まあ、僕もお腹が空いたし考えるのは食後でいいか。
畑の前で皆でムイムイダンスを踊って、人参に氷とゴーストのパワーを注入して収穫、住処である神殿に戻る。
そして、人参を複数のきのみをブレンドした特製ソースに絡めて丁寧に焼く。今日の夕飯はニンジンステーキだ。
「おお!芳しき香り、今宵も素晴らしき馳走であるな」
「バシロォーッス!」
「バクロォーッス!」
3匹は今日も嬉しそうにニンジン料理を食べている。最初の方は生で食ってた癖に、今では調理しないと食べない。味に煩くなってきた。
でも、何だか言ってそんな3匹に救われているのが僕だ。誰かの為に料理して、それを一緒に食べる。そんなささやかな団欒が僕の孤独を癒やしてくれる。
プテラに解放された僕は、めちゃくちゃデカイ木の下で放心してると、3匹の見たことの無い恐ろしい鳥ポケモンに襲われた。
そして、無我夢中で逃げまどいしばらくカンムリせつげんを彷徨った。
フリーズ村と呼ばれる小さな村を見つけはしたが、その村を訪ねることはしなかった。
怖かったのだ、人と話すのが。僕は人との関わり方がすっかり分からなくなっていた。
無駄な自信に溢れていた自分はもういない、ひたすらに臆病で何も分からない自分がそこにいた。
結局、人に話しかける事もできず、人恋しさからその場を離れる事もできずに何日か村を観察していると、自分と同じ様に村の様子を伺っている存在を超能力で探知した。
それは、奇妙な反応だった、とても強い力の様で大して強くない。かつては強大だったがそれを失ってしまったような奇妙な力の波動。
どこか自分と似た不思議な存在、それが人間ではなくポケモンのものであると分かっていたので僕はそれと接触する事にした。
そして、そこに居たのはとても奇妙な姿をした見たことの無いポケモン。小さな体に長い足、そして何より大きな頭が目についた。
意を決して後ろから声をかけると彼はめちゃくちゃ驚いた、そして僕も驚いた、彼が咄嗟に放ったテレパシーがあまりにも人間的だったからだ。
殆どのポケモンは人語を理解している、だが僕ら人間に意思を伝える手段には乏しい。僕の場合はテレパシーがあるので、他の人間よりはポケモンとの意思疎通が容易だ。完璧とは言えないにしてもだ。
一般的に知能が高いとされているポケモンほど返ってくるテレパシーはより人語に近い。いわゆる伝説のポケモンと呼ばれる存在は大体人語のテレパシーが返って来る、何なら先制してテレパシーを直接脳内に送ってくる奴らもいる、アルセウスやジガルデなんかがそうだった。
要はそれ等と比較しても、彼が送ってくるテレパシーは人間的だった。あらかじめその姿を見ずに、ポケモン特有の波動を感じていなければ人間と勘違いするほどに。
なんやかんやでおっかなびっくり探り探り挨拶と自己紹介をした僕とポケモン。
彼は自分を豊穣の王バドレックスと名乗った。
そして何故村の様子を探っていたのか尋ねると、人々が自分の事を忘れているのかどうか知りたかった事、かつての力を失ってこの地の作物が育ち難くなっていること、愛馬達に逃げられてしまった事、信仰が戻れば力が戻るのではないかなどなど、事情を妙に尊大な口調で赤裸々に教えてくれた。
そして一通り聞き終えた僕は、涙した。
力を取戻そうとしている彼の様子に自分を重ねて、感情移入してしまったのだ。
そして今度は涙ながらに自分の事情を話す、自身も力を失ってそれを取り戻そうとしていることを。
彼も感極まって涙していた、共感者がいて嬉しいと、久々に悲しみを分かちあえる者が現れたと。
その日は夜遅くまで語り合った、そしてここがガラル地方のカンムリせつげんであると知った。
他にも色々な話をした、僕の収納空間からポロックやポフィンに各種きのみに特製きのみジュースを肴にして。
朝日が登り、お互いの傷を舐め合う宴もお開きとなる。
そして僕らは誓った。お互いが力を取り戻す為に協力する事を。
さらに友情の証として彼の事をレックスと呼ぶことにした。彼も僕の事を友と認めユーリと呼ぶようになった。
僕の力の取り戻し方は、検討がついている。自信を喪失した事が原因なら、それは精神的な物だ。超能力は精神状態に大きく影響されることは確かなので、要は自信を取り戻せば良い。
ただ、以前の様な知識に由来する傲慢な自信を再び取り戻すことは不可能だ、何か堅実で現実的な達成感、それに伴う成功体験による自己肯定感、組み合わさり生まれるのは新しい根拠のある自信、それが必要だ。
なので、まずはレックスの力を取り戻す。それが成功すればその体験そのものが僕の自信につながるかもしれない、そう伝えた。
レックスはフムフムとしきりに感心した様子で頷き、ならば村の人間に余の存在を信じさせ、信仰を取り戻す。そして戻った力で愛馬達を取り戻せばパーフェクトバドレックスの完成!この順番であると言った。
今のレックスが直接姿を見せただけでは、ただの珍しいポケモンで終わってしまう。それどころか噂を聞きつけたトレーナーに捕まってしまう可能性もある事を考えると、作戦はこうなる。
レックスの姿を直接は見せないで、痕跡だけ匂わせた後に。作物を実らせる。そうすれば村人達は作物を実らせた謎の存在を豊穣の王と結びつけ、信仰を取り戻す。
この作戦で問題なのは作物を実らせる部分だ、今のレックスには豊穣の力がない。
だが、解決策はある。
僕が作物に“せいちょう“を使うのだ。
きのみ大好きクラブジョウト支部副会長である僕は、自身のサイコパワーできのみの木の成長を促進させる研究をしていたことがある。
その結果、対象にダメージを与えずに成長だけを促すには僕のサイコパワーで技の“せいちょう“を模倣するのが一番という結論に至った。
そして作戦が決定した次の日、さっそく行動に移った。
まず日の出から日の入りまで、レックスが村人の視界のギリギリにチラチラ入り込む。そして夜中の畑に“せいちょうをかけたあと、
就寝中の村人達にテレパシーでバドレックス……豊穣の王……とささやく。
これを3日間続けた後、遂に成果は現れた。
畑に実ったのは作物ではなく、赤くて花弁の垂れ下がった奇妙な花だった。村は阿鼻叫喚に包まれた。
どうやらその花は滅多に咲かないが、咲いた時に災いが訪れるとの謂れのある不吉な物だったらしい。畑の中に種子が眠っていたのを“せいちょう“で起こしてしまったのだろう。
さらに村人は口々に謎のポケモンを見た、夜中に恐ろしい声を聞いたと話し合い、それが悪意のあるゴーストタイプのポケモンの仕業と結論を出す。
そして、プロのゴーストバスターズ(この世界では割と一般的な職業)を呼ぶ事を決定した。
僕とレックスは申し訳なさと悲しみの涙を拭いながら村を離れた。
その後の3日間、僕達は悲しみに暮れて、ひと通りいじけた。
そして、次の作戦を実行に移す事にした。
次の作戦は“レベルを上げて物理で殴る“これに決定した。
具体的な内容は、今のレックスの推定レベルは40、これを約80になるまでレベル上げる。
つまり、実力を持って愛馬達をねじ伏せて取り戻すのだ。やはり暴力は全てを解決する。
ここでいうレベルという概念は、ゲームのそれとは少し性質が異なるものだ。
残念ながらこの世界はゲームほどシステマチックではない。仮ににレックスがキャタピーを1000匹ほど倒してもレベルは1も上がらない、下手すれば経験値は0だ。
この世界でポケモンの強さとは即ちエネルギーの保有量だ。
そしてこのエネルギーは一般的にOPと呼ばれている。このOPと呼ばれるエネルギーを、この世界の生き物は多かれ少なかれ必ず保有している、人間も例外ではない。
そしてOPは種族によって、保有出来る限界値が大体決まっている。いわゆる種族値に相当するものと考えても良い。
ただ、数値的にはゲームよりもえげつない種族格差が存在し、もちろん個体によってもそれなりの振れ幅があるが、種族格差を埋められる程ではない。
OPの量を計測して数値化する技術は、この世界では200年程前から存在し、その数値によってポケモンのレベルは決定される。
簡単な計算方法はOPを十の位で四捨五入した後100で割ればいい。
例を出すとコイキングのOPは記録されている最大値でも1032、レベルに直すと10になる。つまりコイキングは限界まで育ててもレベル10で限界を迎える。
まあ、普通はそこにたどり着く前にギャラドスになる。種族や個体によって違いはあるが、大体保有OPが限界OPの6割に育つとポケモンは進化をする。
よって、推定レベル40の今のレックスのOPは3950〜4049の間となる、この数値はギリギリジムリーダーのポケモンと言える程度の強さと言った所だろう。
OPに1000の差がある、つまりレベルが10も違えば、タイプの相性がどうなっていようがポケモンバトルにおいて逆転は不可能だろう。この世界のOPと呼ばれる才能は残酷だ。
なので残念ながら、がんじょうなココドラでがむしゃらして電光石火なんて戦法はこの世界では再現不可能だ。
そして、肝心のOPの育て方、レベルの上げ方だが、極論を言えば生活しているだけで、生きているだけでOPは育つ。
そして、肉体の最盛期にピークを迎え、後は老化と共に下がっていく。これが一般的な人間とポケモンのOPの推移だ。
だがしかし、ポケモンにはOPを爆発的に増やす方法が存在する。
そう、トレーナーと呼ばれる人間と共に研鑽を積むことだ。
人間のOPは成人男性の平均値が500、人間のレベルはだいたい5が平均値と思って良い。ポケモントレーナーのみの平均ならもう少し高くなるがポケモンと並べて一種族として見ればかなり脆弱だ。
その人間が何故この星で繁栄し、他のポケモンを従えることが出来るのか。
知能の高さ、社会性、攻撃性、持久力、手先の器用さ、様々な要因があるだろが、1番は他の種族のOPの成長を促進する能力、人間と言う種族の とくせい とも言える力のお陰だろう。
ポケモン達は本能的にそれを理解している。人間と共にあれば、強く成長出来るという事実を。
つまり、ポケモンとポケモントレーナーとはポケモンと人間の共生関係の延長線上に存在する在り方ということだ。
ポケモントレーナーにとって重要な才能とは即ちポケモンOP成長の促進倍率と、促進限界値。この2つだろう。
促進倍率とは即ちどれだけポケモンのOPを速く育てることが出来るかだ、一般的なポケモントレーナーの数値を1とすると、ジムリーダークラスで10、四天王クラスで15、チャンピオンクラスで20、大体このぐらいだ。つまりチャンピオンは一般トレーナーの20倍の速さでポケモンを育てることが出来る。
促進限界値とは促進できるOPの限界値、一般トレーナーは5000前後で、エリートトレーナー、ジムリーダー、四天王、チャンピオンは8000前後だ。普通のトレーナーの育成の限界が50レベル程度で、才能のあるトレーナーでも80レベル位が限界値となる。
一部の例外はあるにせよ、この2つの要素はポケモントレーナー達にとって事実であり、自身の才能の器を測る指標でもある。
前者は育成の最中、早い段階で自分の倍率を自覚することが出来るが、後者はそうもいかない。そもそも限界までポケモンを育てるのが困難で、促進限界値を正確に測定する手段は未だに存在しないからだ。トレーナー自身のOPの10倍何て説もあるが、僕自身はこの説には懐疑的だ。
ただ、トレーナー自身のOPの高さと才能が比例するのは間違いないとは思う。今まで出会った強いトレーナー達は大体高いOPを保有していた。
ただしOPは数値が上れば上がるほど、成長速度が下がっていく、ネトゲやソシャゲの高レベルみたいなものでOPを7000から7100に上げる労力がOPを1から6000上げるまでと同じ労力が必要らしい。
ようするに、レックスのレベルを80まで上げるのは簡単ではない。才能がなければそもそも上げられない。
だが、そこまでレベルを上げる必要がある。
レックスと一緒にコソコソ偵察した2匹の馬ポケモンの推定レベルはどちらも75程度、タイプはそれぞれ氷とゴースト。
草とエスパー複合のレックスが、相性的に不利なポケモンを相手に、さらに僕の指示下で戦うという条件を追加しても、安全に勝つなら5レベルは上回っておきたい。
結局なんやかんや努力して3ヶ月かけてレベルを80まで上げた、OPは恐らく7980位だろう。機器がなければ流石に1の位までは分からん、朝と夜でちょっと変わったりもするし、要するに誤差の範囲だ。
結果は何とか成功と言った感じだ。
まずは氷の馬を人参でおびき寄せて奇襲して仲間にする。回復した後、それに騎乗したレックスが残りのゴースト馬を倒して仲間にする。その段取りは、何故か2匹同時に神殿にやって来たので崩壊した。めちゃくちゃ乱戦だった、最終的には僕とレックスでダブルバトルして倒した。
結局作戦がぐだぐだで、バッチリ成功スッキリ解決とはならず、僕の力も戻った訳ではない。
ただ、レックスとレベル上げをしたおかげで少しは力を取り戻せたと思う。結果として作戦はポケモントレーナーとしてのリハビリになった。
レックスの方も7割ぐらいの力しか戻ってないそうだ、何か足りない気がするけども思い出せないらしい。もう一匹馬がいるのかな?
?
村の方も、ゴーストバスターズがまだ捜索を続けていたために畑の実りは取り戻せなかった。ほとぼりが冷めてからコッソリ夜中にムイムイダンスを踊る事にしよう。
そんなこんなで、山頂の神殿で僕とレックス、ブリザポスのリーザ、レイスポスのイースと共に隠遁生活を送る事になった。
その生活の中で僕はサイコパワー強化の新しい手段として、雪原でのポケモンウォッチングをする事にした。
その最中、留守番のレックス達に連絡手段兼暇つぶしに予備のマルチナビを渡したら、いつのまに3匹はアニメ大好き過激派ポケモンに進化してしまったのだ。
今も3匹は正座しながらアニメ視聴中だ、この間に声をかけると烈火の如く怒り出すので迂闊に喋ってはいけない。
ここは、アニメ過疎地であるガラル地方冠の雪原。彼らは最新から2年遅れのキー局の再放送を最新作だと信じて視聴している憐れな存在だ。配信サービスはユーザー登録で居場所が割れてしまうので契約出来ない、だから存在を教えていない。
カンムリせつげんのポケモンは、例の鳥3匹を除いてOPの性質を模倣する作業は終わった。5分位じっと観察しなければならないので相手が伝説級のポケモンだとなかなか難しい。
そういえば驚いたのはレジ系のポケモンだ、ホウエンの遺跡でも見たことがあるので複数の個体がいる事になる。電気とドラゴンのレジを見つけたときは変な声を上げてしまった。
まさか、全てのタイプのレジが存在するのか?レジ達は見てるだけなら無反応なので、観察はめちゃくちゃ楽だった。
難しいのは3匹の鳥たちだ、フリーズ村で盗み聞いた所奴らは、サンダー、ファイヤー、フリーザーらしい………絶対嘘だ。
地方によって同じポケモンでも姿やタイプが違うポケモンがいるのは知っている。リージョンフォルムと呼ぶらしい。昔テレビで見た南国の地方のめちゃくちゃ長いナッシーは衝撃だった。
ただ、あの3鳥共は絶対別物だ、邪悪で好戦的すぎる。サンダーは飛ばないし、フリーザーは分身してビーム撃ってくるし、ファイヤーはにらみつけてくる、伝説の威厳つーものが無い。カントーで会った3鳥はもっと威厳があった、ファイヤーはにらみつけてきたけど。
しかし、威厳はともかく奴らの力は本物だ。強いポケモンのOPの性質をサイコパワーで模倣するのは力を増すのに非常に有用だ。奴らを3匹とも観察すればOPが大体300位上昇するはずだ、レックス達とレジ達で確かめたから間違いない。
「何とぉぉ!!」
「バクロォーッス!!」
「バシロォーッス!!」
……また騒いでるな、今度は何だ?
「どうしたの、レックス」
「ユーリ!!落ち着いて聞け!!ポケカノには劇場版なる物が存在するらしい!!」
「え……ああ、そう言えばあったなあ」
歴代興行収入がどうとか、社会現象になってるとか騒いでたなあ、2年くらい前に。
「知っておるのか!?流石であるユーリ!!どうすれば視聴出来るのだ!?教えてくれユーリ!!」
「バシロォーッス!」
「バクロォーッス!」
配信サイトなどの料金の発生するネットサービスを利用するには、僕の口座を使用するしかない。でもそれをすれば、僕の位置情報がばれてしまう、エスパー協会や各地方のリーグ本部、そして何より家族達に……
「えーと、街に行かないと観れないかな」
「街……だと?」
レックスは絶望の表情で呟いた、驚きすぎじゃない?