自分はかつて主人公だった   作:定道

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8話 やっぱりキズナだよね

 

 

 夢を見た、今となっては懐かしい夢、4年前のシンオウ地方の夢だ。

 

 

 

 テンガン山から侵入したやぶれた世界。そこでの決戦を終えて、もどりの洞窟に帰還した僕とコウキとヒカリとシロナさん。

 

 後味の悪さを感じているコウキ達を置いて、僕は再びやぶれた世界に戻った。

 新世界何てアホな事を抜かした、中二病を現実世界に連れ戻すためだ。

 

 別にあの27歳を哀れんだ訳ではない。コウキとヒカリのトラウマになったら可哀想だし、僕も川原に家電製品をも不法投棄してしまったような罪悪感を持ちたくはない。

 

 奴は簡単に見つかった、ギラティナが案内してくれたからだ。

 しかし、ギラティナには災難だな。このおっさんのせいで仕事がもりもり増えた事だろう。

 でも、こいつは仕事大好きポケモンだから問題ないか?

 

 コウキがディアルガを、ヒカリがパルキアをゲットしたなら僕はギラティナかなーってチラチラ見ると、全力でいやいやテレパシーを放ってきた。

 やぶれた世界の管理する仕事がよっぽど好きなのだろう。

 

 僕と一緒に行くのが嫌な訳がない、お侘びに倉庫の建築許可をくれたんだから、こいつは僕の事を好きだろう。

 

 おっかない顔の割には穏やかな寝顔のギンガ団のボス。新世界を思ってお昼タイムとはいいご身分だ、現実世界で起こして最悪の寝起きをプレゼントしてやろう。

 

 おっさんをねんりきで逆さにして宙に浮かべながら、ギラティナと一緒に来た道を戻る。

 なぜか、嬉しそうなギラティナに手を振り。現実世界へ戻る穴へと飛び込む。

 

 たどり着いたのは、もどりの洞窟ではなかった。周囲は宇宙的な空に鏡の様な地面、ウユニ塩湖か?

 

 ギラティナの奴適当な仕事しやがってクレームをいれてやる。

 さてどうするか、僕のあくうせつだんで戻るか。いや、この空間はかなり強力な力で閉じられている。

 しかたないから“サイコブースト“で空間を吹っ飛ばそうとする僕に、恐ろしいまでの威厳に満ちたテレパシーが届く。

 

「力を収めてくれ人の子よ。汝に伝えねばならぬ事があり、私がここに連れてきたのだ」

 

 驚愕、困惑、奮起、臨戦態勢。僕のサイコパワーが周囲に渦巻く。

 僅かに感じる敗北の気配、それを打ち消すためにサイコパワーの展開をさらに加速させる。

 圧力を増す僕の力とは裏腹に、相手のプレッシャーがどんどん落ちていく。……敵意はないとでも言うつもりか?

 

「もう一度言う、私は汝に伝えねばならぬ事があるのだ。害意はない、信じてくれ」

 

 そう言いつつも、偉そうな佇まいを崩さない。白い身体に、黄金の威光を纏ったポケモン。

 

 アルセウスに僕は精一杯のメンチを切った。

 

 

 

「俺はよう!アサギシティでよぉ!超岩鋼紅蓮隊の副隊長やってる!!ユーリつーもんだけどよお!!」

 

 舐められてはいけない!この世界は芋引いた奴に勝利はねえ!

 

「テメーはドコのスクール出身だ!?俺に何かあったら隊長と仲間達が黙ってねーぞ!!」

 

 そうだ!!特に隊長のミカンが黙ってないぞ!!ミカンは鋼の金属バットで人の頭を躊躇なくフルスイングするヤベー奴だ!!怖いぞ!!

 

「……………」

 

「あぁン!?ハァン!!黙ってねーでなんとか言えや!!ブルってんじゃねーぞ!?コラ、ハァン!!」

 

 くそ、何か喋れよ……僕がまるで三下みたいじゃん?

 

「人の子ユーリよ、気を収めてくれ。私は汝が改変した因果についての話しがしたいのだ」

 

「はいぃ?い、因果?」

 

 なんじゃそれ?濡れ衣だろ……

 

「汝には覚えがあるだろう、この星に宇宙の彼方より降り注ぐ災厄の事だ」

 

 えっ、それって5年前の?

 

「終わった話でしょうそれは、思ったより早く地球に近づいた隕石を僕が砕いた。それだけの話です、何か文句でもあるんですか?」

 

 確かに原作より早い、だけどそれに文句言われても困る。隕石に言ってくれ。

 大体僕の可愛いユウキに、隕石特攻破壊何てハルマゲドン作戦をやらせてたまるか。

 

 「解っている、汝に自覚はない。だが事実として汝の望みが力に呼応して因果を歪めた」

 

「はぁ?」

 

「歪められた因果は、より強い災厄を伴って未来へと現れる。それを汝に伝えたかったのだ」

 

 えっ何それ……怖い。

 

「つまり僕が本来より早く隕石をも砕いたから、もっと大きな隕石がホウエン目掛けてやって来る。そう言いたいんですか?」

 

「その認識は正しいが正確ではない、汝の想像を超える規模と数をも伴ってこの星に降り注ぐだろう」

 

 へえーそっか、そういうものなのかな?やっぱり原作という流れがこの世界の本来の未来?まあ、だからどうしたって話だけどね。

 

「つまりあなたは僕に余計な事をするな、出しゃばらずに大人しく本来の流れを乱すなって言いたいんですか?」

 

「否、そうではなく………」

 

「お断りですね」

 

「………」

 

「僕はこの世界で生きています、確かに特殊な知識を持ってはいますが。この星で1人の人間をやってるんです」

 

 否定されてたまるか、父さんと母さんは僕が生まれてきて嬉しいって言ったんだ。神みたいな存在だが何だか知らないけど、指図される謂れはない。

 

「未来を変える権利は人間……いや、全ての生き物が等しく持っています。それ自体に力の大小は関係ありません」

 

 間違いない、父さんと母さんは頑張れって言ってくれた

 

「あなただって同じです、強大ではあっても。他のポケモンと未来の権利が変わる訳じゃない」

 

 ならば、それならば。

 

「僕の未来とあなたの未来、相容れないならそれは戦いでしょう。相手になりますよ」

 

「僕はあなたに勝利して、これからも望みを叶える。その代償で隕石が降って来るなら100個でも200個でも僕が砕いてあげますよ」

 

 当然の行いだ、僕の人生は僕が主役だ、誰かにびくびくして譲ってやるもんか。

 

「だって僕は主人公ですからね!全てに勝利しますよ。今までだって負けた事はありません」

 

 文句があるならかかって来い!!

 

 

 

 

 

 この夢を見ると、目覚めは最悪だ。枕に顔を押し付けて叫ぶ

 

「アッー!アッー!アッー!アッー!恥ずい!恥ずい!恥ずい!」

 

「死にたい!死にたい!死にたい!殺してくれぇえ!!」

 

 ………ふぅ、少し落ち着いた。

 

 あの出来事の後、僕のイキリはさらに加速した。あの後アルセウスはあっ…別にいいっす…て感じで姿を消した。

 不完全燃焼感が、持て余したパワーが僕を悪い方向へと加速させた。

 

 あの空間から脱出して直ぐに、アルセウス探しの旅に出た。

 

 力の余波で、服がボロボロの半裸になったアカギを出待ちしていたシロナさんに預けて。

 シロナさんとヒカリはふぇっと、コウキはほぉっとアカギを観察していたので、挨拶もそこそこに出発した。

 

 結局見つからなかった、僕はあのウユニ塩湖を、なぞのばしょを見つける事が出来なかった。今にして思えば、それは幸いだったのだろう。

 

 アルセウスは正しかった、中途半端に因果を歪めた癖に力を失って、今じゃ隕石一つ壊せるかも怪しい。

 

 アルセウスは恐らく、話の通じない愚かな僕に見切りをつけて、別の解決策に向かったのだろう。無駄な僕と無駄に争い、貴重な力と時間を消費しないために。

 

 何が主人公だ、馬鹿馬鹿しい……

 

「あー あー あー あー ああーー」

 

「ねえ、何してるの?ソニアさんが朝ごはんだから降りて来なさいって言ってるよ」

 

「ぴぃっ!?」

 

 可哀想な生き物を見る目をしたユウリが、部屋のドアの前に立っていた。

 伝えたからねと、そそくさ去っていくユウリを見送った後、寝癖を出来るだけ手で直し“みずてっぽう“を調整して洗顔と歯磨きを済ませる。

 

 マグノリア博士の家望の1階食卓には、既に全員が揃い、朝ご飯はもう始まっていた。

 レックス達も既に朝ご飯をむしゃくしゃ食べてる、ちょっぴり薄情じゃない?

 

「おお!起きたかユーリよ、お主はぐっすりで中々起きなかったからな、先に頂いているぞ」

 

「あっ、うん……おはよう…」

 

 そっか、自分が悪い。しかしこの芳しい香りは?

 

「おはようだぞ、ユーリ。ほら、ここに座れよ」

 

「あっおはよう、ありがとう」

 

 これがカルチャーギャップというやつか?

 

「おはようユーリ、ほら私が作った粗挽きカレー、遠慮なく食べなさい」

 

 ソニアさんからスプーンを受け取る、ふーむ、そうなのか?ガラル人は朝からカレーが平気なタイプ?

 

 

 

 やたらに皆の視線を感じつつ、朝食を終えて、僕達はマグノリア博士に書斎に集合するように言われた。

 並べられた椅子に全員が着席すると、マグノリア博士はペンを手に持ち部屋をうろうろする。

 

 何それ?ンんっ!なんかピリッときた!?

 

「さて、あなた達にはこれから大事な話があります」

 

 マグノリア博士の真剣な雰囲気に皆が背筋を正す。

 

「昨日ユーリが語った事を、あなた達は聞かなかった、そういう事にしなさい」

 

 あっ、やっぱりやばい事まで喋っちゃった……

 

「駄目だぞ!ユーリは昨日誓ってくれたんだ、それを無かった事には出来ない!」

 

 ホップの気持ちは嬉しい、でもこれは……

 

「ホップ、その気持ちを無かった事にしろと言っている訳ではありません、その気持ちは大事にしなさい」

 

 話を遮られたのにも関わらず、マグノリア博士はどこか嬉しそうだ

 

「私が言っているのは、周囲にそう示しなさいと言うことです」

 

「えっと、誰かに話しちゃ駄目ってことですか?」

 

「その通りです。そして、知っていることを誰かに知られてはいけません」

 

 それ、ホップ達にはちょっと厳しいじゃないかな?

 

「ええ?意味がわからないぞ?」

 

「自分の思考を相手に悟らせない様に心がけるのです、意識するだけでも違います」

 

「あーそっか、相手に自分の思考を読ませない。トレーナーに必須のあれですね」

 

「正解ですマサル。優れたトレーナーは自分の考えは読ませずに相手の考えは読む、そういうものです」

 

 まあ、1年くらい意識してればそれなりに習得できるかなあ?

 

「えっと、マグノリア博士?そんな事して何の意味があるんですか?」

 

「ユーリの話には、一般の人間が知るには危険な情報が多分に含まれていました。悪意のある人物からあなた達自身を守るために必要なことなのです」

 

「み、みんな、ご、ごめん。僕のせいで……」

 

 ああっ、どうしよう?どうやってみんなを守れば……

 

「あなたのせいではありません!」

 

「えっ!?」

 

「悪いのはあなたを利用しようと企む大人達です、やましさを感じる必要はありません」

 

「で、でも…」

 

「そうだぞ!ユーリは悪くない!」

 

「まーしょうがないんじゃない?」

 

「マグノリア博士が正しいと思う」

 

「あんだけ派手に泣いてたからね、口が滑っちゃったんでしょ」

 

 また泣きそうだ、でも……

 

「幸い私はガラルリーグ委員長に伝手があります、話を通して沈黙を守るなら、そこまで深刻な自体にはなりませんよ」

 

「ま、マグノリア博士……あ、ありがとうございます」

 

 良かった、そんな大物が守ってくれるなら、大丈夫だろう。

 

「そしてユーリ、大事なのは次です」

 

「えっなんでしょう?」

 

 マグノリア博士は少し表情を歪めて言った。

 

「あなたはガラル地方に残るのか、ジョウト地方に帰るのか、この場で決めなくてはなりません」

 

 

 

 この地に残るのか、故郷に帰るのか。

 

 どちらも正解で、どっちも間違っている気がする。

 

 もちろん家に帰りたい気持ちもある、父さん達に会うのが怖いって気持ちもある。

 

 自分は主人公ではない、抱えている問題だって、正直に話せば解決手段を提案できる組織はいくつかある、代償を無視すれば

 

 違う、違う、違う、そうじゃない。僕の気持ちは。僕が今感じている気持ちは……

 

 レックス達を見る、ホップ達を見る。

 

 みんな僕の事を見ている、表情は様々だが、そこには共通して僕を心配してくれる気持ちを感じる

 

 ああ、そうだ、ここだ、まだ途中だ、僕の旅はまだ途中、だけど魂がここだって叫んでいる。

 

 ここで彼等の瞳に映っていれば、彼等を瞳に映していれば……

 

 僕は未来を選べる、主人公じゃなくても未来は選んでいい、そんな気持ちが溢れてくる。

 

 「ぼ、僕は!まだっ、ガラルにいたいです!!レックスやホップ達と一緒にいたい!!」

 

 レックスやホップ達が嬉しそうな顔をするので、僕も嬉しくなる。

 マグノリア博士は優しく微笑んで僕を見た、その笑顔はどこか母さんに似ていた。

 

 

 

 

 

「ユーリ、あなたが勇気を持って選択した事を、私は嬉しく思います」

 

 むず痒い、大きな声を出しすぎた。

 

「ですがあなたがガラル地方に残るためには、悪意ある人間からあなたを守れる人物のもとに、身を寄せる必要があります」

 

 情けないけど、今の僕にはサイジック教団やプラズマ団みたいな悪の組織と正面から戦うほどの力はない。

 即物的な力、比喩表現や抽象的な意味ではなく暴力とも呼ばれる現実的な武力。他の人間のそれに守って貰うのは、はじめての経験だ。

 

「私の知り合いであるマスタード、彼は過去のガラル地方で伝説的なチャンピオンだった人物です。」

 

「マスタード!?アニキの師匠でもある凄い人だぞ!」

 

 そうか、その人なら。

 

「彼があなたを預かると言えば、リーグ本部もエスパー協会も文句は言えないでしょう、彼は旅の途中に、各地方のトレーナーを指導してるので影響力がとても広い」

 

 なるほど、本当に凄い人何だな。

 

「それに……ユーリ」

 

「はい?」

 

「あなたの父親であるセンリさんも、彼の教えを受けた事があるそうです」

 

「えっ?」

 

「マスタードがあなたを預かっていると知れば、センリさんも安心するでしょう、他の家族もです。」

 

「……はい」

 

 安心、してくれるかな?

 

「博士!じゃあユーリはヨロイじまに行くのか?」

 

 ヨロイじま?

 

「はい、ガラル地方の東に浮かぶヨロイじま、彼はそこで拳法の道場を開いています」

 

 マスタードさんは格闘家なのか、厳しい人なんだろうな。今まで出会って来た格闘家は自分にも他人にも厳しい人が多かった。

 

「鎧の孤島かー、気軽に遊びに行くにはちょっと遠いぞ」

 

 そっか、残念だけど仕方ないか……

 

「いえ、ホップ、あなた達はしばらくユーリに会ってはいけません。少なくともユーリの安全が確保されるまでは」

 

「えぇー、がっかりだぞ……」

 

 俺もがっかりだけど、仕方ない、ホップ達を危険に巻き込むわけにはいかない

 

「ですが、その安全の確保を早める方法が一つだけあります」

 

「えっ?」

 

 マグノリア博士は僕の瞳を真っ直ぐ見つめて、僕に問いかける。

 

「ユーリ、来季のジムチャレンジに参加しませんか?」

 

 旅の途中、ガラル地方で冒険の続きがはじまる気配がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナックルシティスタジアム地下の研究所、そこで映像記録の解析を続けるわたくしのもとに、自分が席を置く組織の長が秘書を伴って訪ねてきた。

 

「やあやあ、いい知らせがあるんだ。本当に凄い知らせだよ、私なんか嬉しくって嬉しくって、ガラル地方はますます盛り上がるよ」

 

 気分屋で移り気の彼が浮かれるのは珍しくはないが、ここまでの度合いは過去のデータにはない、続きを促す。

 

「お疲れ様です委員長。それで、知らせとは?」

 

「たった今、たった今だよ。元チャンピオンのマスタードさんから素晴らしい知らせが届いた。ジムチャレンジ推薦状だ!今年は3枠全ての推薦枠を使用してきた」

 

 ガラル地方の元チャンピオンのマスタード、当然データは持っている、素晴らしいトレーナーだ。

 彼が推薦枠を使うのは珍しい事ではない、毎年門下生などから1人か2人。ジムチャレンジに推薦する。

 

 「それで?いったい誰を推薦したのですか?委員長がそこまでお喜びになるとは余程の人物なのでしょう」

 

 彼は深い笑みをを貼り付けたまま、私が解析していた映像データをも意味深に見つめる………まさか!

 

 いや!?まさか……本当に!?

 

「彼が!?このガラルに!?このわたくしの元へとやってきたのですか!?」

 

 思わず立ち上がって委員長に詰め寄る、隣の彼女が表情を歪めるが気にしてなどいられない。

 

「そうさ、アクロマくん!リーグ荒らしが!僕たちのガラル地方のチャンピオンリーグを荒らしにやって来た!失踪していたトレーナー界の風雲児!未来視のユーリが!!」

 

 委員長の断言に、身体中の力が抜ける。胸は張り裂けそうに暴れ、手の先の震えが止まらない。血液が急激に脳を目掛けて駆け巡り、わたくしの頬は紅く染まる

 

「おやおや、アクロマくん。そういうのは、よくないんじゃない。落ちつきなさいよ、体は大事にしないと、ブラックナイトはまだ先だよ」

 

 委員長の言葉はわたくしの脳を素通りしていく。

 

「落ち着いてなどいられません!彼が!彼が!ユーリがわたくしの元へやってきたのです!」

 

 運命や天命、全く科学的ではない概念。そんなものをわたくしが感じてしまうほど、衝撃的な知らせだ

 

「欠けていたピースは埋まり!!停滞していた研究は唸りを挙げて加速する!!」

 

「そして!そして!ポケモンの潜在能力の極みを!!人間の革新の形を!!この目で観測できるかもしれないのです!!」

 

「委員長!!来年のジムチャレンジは!!世界変革の揺らぎ!!その震源地となるのです!!」

 

「ガラルだけではない!!全ての地方が!!世界中の人間が!!彼を中心としたジムチャレンジを目撃する!!」

 

「世界の裏で蠢くあらゆる組織と暗部が!!この地方を調べにやって来るでしょう!!」

 

 始まりと終わりを冠する王を裏切り仮初の永遠を手に入れたサイジック教団!!

 

 サイジック教団より生まれ、超能力を使いながらもそれを憎むエスパー協会の回帰派達!!

 

 根源の力たるOパワーの秘密を守り協会と対立するキズナオヤジ達!!

 

 イッシュで眠れるドラゴンを狙い再び動き出したプラズマ団!!

 

 アローラの地でUBとウルトラホールの技術を独占するエーテル財団!!

 

 いにしえのポケモンの力で海と大地を求めるアクア団とマグマ団!!

 

 あらゆる伝承災害をコントロールし、この世界の完全なる調整を目論むリーグ本部!!

 

 そして、復讐者に身を落としたかつての組織の指導者達が集うRR団は、遂にU2計画を始動させるだろう!!

 

「彼等の狙いは彼がシロガネ山で発現した、人とポケモン新しい可能性!!」

 

「あれはメガ進化でもフォルムチェンジでもダイマックスでもない!!」

 

「OPよりさらに根源に近いOパワー!!すなわちオリジンパワー!!彼はそれを意図せず操った!!自身のデオキシスをも変化させ!!それに呼応したレッドはミュウツーを変化させた!!」

 

「あれは!!あれはそう!!キズナの力!!ポケモンとトレーナーの信頼という目に見えぬはずのそれを!!彼はこの世界に具現化させた!!ポケモンのへんかという形で!!」

 

「だからわたくしは名付けたのです!!あの現象を!!奇跡の名前を!!」

 

「その名はキズナへんげ!!人とポケモンの未来のカタチなのです!!」

 

 素敵な名前でしょう?ユーリ君?

 

 私は視線をポケモンが収まったカプセルに向ける、その数は4つ。

 

 ブラックナイトの正体、ムゲンダイナと呼ばれるポケモンが4匹。

 

 あぁ、ユーリ君、もう少しだけ待たなくては君に会えない。ジェミニプロジェクトの応用で4匹となったムゲンダイナ。

 

 このポケモン達で、君を歓迎する準備をしなくては。

 

 

 

 


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