新連載です。時系列的には「夜天、月に想う」の前日譚となっています。最後まで見ていただけたら幸いです。
「現実とは、非情なものだ」
或る呪術師は云う
"この世は不平等"だと
或る呪いは云う
"この世は不条理に満ちている"と
300年前。小さな鬼と、少年の約束
「"──────また、いつか"」
【現代 呪術高専にて】
呪術高専。正式名称は呪術高等専門学校。東京と京都に1校ずつ存在する呪術教育機関。四年制。表向きは私立の宗教系学校とされている。
多くの呪術師が卒業後もここを活動拠点としており、教育のみならず任務の斡旋やサポートも行っている呪術界の要である。
これは、宿儺の器が現れる前のお話。特級呪詛師"夏油 傑げとうすぐる"により未曾有の呪術テロ"百鬼夜行"の少し後。
「というわけでなんと2人目の転校生を紹介しやす! テンション上げてみんな!」
教壇に上り、よく分からないポーズをした白髪の男が叫ぶ。彼の名は五条悟ごじょうさとる、最強の呪術師である。
「けっ。"前回"みたいに呪われてる奴だったら承知しねぇからな!」
「あはは……真希さんの視線が痛い。にしてもこの時期に転校かあ。なんか親近感湧く」
「しゃけ」
「まぁあれは特例でしょ。あんなのが何件もあったら今頃日本は海の底。というか全然呪力を感じないんだけど?」
口々に感想を述べる生徒達。上から、呪具使い"
「うんうん。みんなの気持ちはよぉ──ーくわかる。でも、今回の子はめちゃくちゃいい子だから安心して。じゃあ、入ってきていいよー!」
軽薄な笑みで生徒達のぼやきを聞かなかったことにする男は、廊下で控えているらしい転校生を呼んだ。
ガラッと扉が空いて細く白い腕が見える
瞬間、扉は吹き飛び、白い髪をした少年が、教壇に立つ男に拳を止められていた。
「ちっ!」
「はい! こちらが転校生の
「「「「詳しく説明しろ!!!!」」」」
4人の1年生の叫びが、今日も、教室に響いた。
【数分後】
「くそっ! 離せよ!」
そこには、椅子に縛り付けられ、身動きが取れなくなったままジタバタと暴れている少年がいた。芸術品のような顔を歪ませて、ショートボブの白髪を振り乱し、地団駄を踏んでいる。
「また個性的な子が…………」
「たらこ……」
「元気が良くて大変よろしい!」
「そのクソ度胸だけは認めてやるよ。扉、ちゃんと弁償しろよ」
吹き飛ばされた扉は、幸いにも4人に当たる前に木っ端微塵に砕け散った。五条悟の術式で。肝心の本人は、生徒たちに簀巻きにされた少年を楽しそうに見つめている。
「よしっ! 解けた!」
やっとの事で拘束を外した少年は教壇に上がると、親指で自分を指差して言う。
「俺の名前は白鬼朱羅。五条悟を倒して最強の呪術師になる男だ!」
「「「「………………」」」」
「まぁまぁ。そういう訳で、今日から彼も呪術高専の一員だ。みんな仲良くするように! 以上! 解散」
こうして、波乱の物語が幕を開ける。少年の野望と、多くの人を巻き込んで。
「って、逃げるなぁ! 五条悟!」
【???】
「……ええ。"夜叉"は呪術高専に回収されました。…………まぁ、何とかなりますよ。"我々"を信用してください。はい。ではまた」
刹那、携帯の画面がパキンと割れる音が響く。先程まで何者かと通話していた女は、苦悶の表情を浮かべていた。
「何故私があいつの尻拭いなど…………くそっ! どいつもこいつも使えねぇ!!」
力任せに叩きつけた拳は、傍にあるアスファルトの柱を簡単に粉砕した。
「待っていろよ夜叉。必ずお前を殺す。────黒藤家の威信にかけて」
物語は、動き出す。誰もが想像し得ぬ方向へと
最後まで読んでいただきありがとうございました。感想等ございましたらコメントしていただけると幸いです。次回の更新は未定です