被服部
私は被服部の部員の子に呼び出されここに来ていた。
「高咲さん、お待たせしました」
「そんなに待ってないよって言ったら、嘘になるね。凄く楽しみにしてたよ」
「そんなにですか……ではまだ試作品一号ですが…………」
部員の子が机の上に段ボールを置いた。私はドキドキしながら段ボールを開けるとそこには…………
「これが……」
「はい、それこそが…………」
段ボールの中に入っていたのは、可愛らしい顔をした大きめなぬいぐるみ。だけど普通のぬいぐるみではなく…………歩夢ちゃんのぬいぐるみだ
「構成の段階でお話しした通り、寝そべりと言いますが…………」
「可愛い!可愛いよ~凄く可愛いよ~」
私は抱き締めながらくるくる回り出す。何故歩夢ちゃんのぬいぐるみ…………寝そべりが作られたかというと……
数週間前のことだった。
「同好会のグッズを?」
「はい!ぜひ作らせてもらいたいんです!」
部員の子に呼ばれて、話を聞くとグッズを作りたいと言う話だった。確かにそういうのあってもいいけど……
「でもこう……普通の奴だとあんまりみんな納得しないと思うよ」
特にかすみちゃんとせつ菜ちゃん辺りが指摘しそうだけど……
「いえ、私たちが作りたいのは……同好会メンバーのぬいぐるみです」
「はい?」
ごめん、よく聞こえなかったけど……今なんて……
「これが……一応完成図です」
見せてきたのは可愛らしい同好会メンバーのぬいぐるみだった。これは……
「こ、これ……完成させてほしいくらいだよ……ときめくくらいに可愛いよ」
「高咲さんならそういうと思いました。試作品完成したら、お譲りしますが…………誰のがいいですか?」
誰のが…………考え込むとぱっと頭に浮かんだのは歩夢だった。
「あ、歩夢のがいいな……」
「分かりました。完成しましたらお知らせしますね」
そして今か今かと待ち続け、今日完成したと言う話を聞かされた。
「歩夢の寝そべり……本当に可愛い……これでまだ試作品って…………」
「満足していただいたみたいで何よりです」
「これ、やっぱり全員分完成したら……」
「はい!その時はみなさんに見せます」
みんなどんな反応するんだろうか……ちょっと気になるな~
「ありがとうね」
「いえ、それでは出来上がったら連絡します」
私は寝そべりを段ボールに入れて、るんるん気分で家に帰るのであった。
「あ、来ましたね。出来てますよ」
家に帰り、ベッドに横になりながら寝そべりを抱き締めていた。
「はぁ……本当に可愛いな~」
私は歩夢寝そべりのお団子をさわり続けていた。歩夢に触らせてって言ったら、崩れちゃうからダメだって怒られるけど…………
「本当に可愛い……」
もう寝るときはずっと抱き締めながら寝たいな~
「歩夢……可愛いよ~」
「えっ?」
突然声が聞こえ、ドアの方を見ると、歩夢が驚いた顔をして立っていた。
「あ……」
「えっと……その……ごめんね。おばさんに入って良いって言われたんだけど……」
顔が物凄く熱い……あ、歩夢に見られた……歩夢の寝そべりを抱きながら……
「侑ちゃん、それ……」
「こ、これは……その……」
何て言えば良いんだ……いや、普通に正直に言えば良いのだけど、果たして通じるか……
「もしかして……被服部の子にもらったの?」
「えっ?」
何で歩夢がその事を……と思っていると、歩夢が持っているものに気がついた。あれは……
「私の……寝そべり?」
「えっと、うん。被服部の子に作ってもらって……侑ちゃんに見せようと思ったの。そしたら……」
「あ、あはは、そっか……その……」
「侑ちゃん」
歩夢は何故か両腕を広げた。これって……
「侑ちゃんがさっきまでしてたこと……私にしても良いよ」
それって……歩夢をいっぱい抱き締めて良いってこと?
私は少し考えながら、歩夢に抱きついた。
「歩夢……暖かい」
「えへへ、侑ちゃん」
何だか置かれた寝そべりの視線が気になるけど、私は沢山歩夢を堪能したのであった。
侑ちゃんの寝そべりはまだですか?