lineage もうひとつの物語   作:りねゆざ

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二話

シルバーナイトタウンを出て西へ街道を10キロメートル付近。

背中にはリーチの長い大きな剣と小さめの盾、大きめの袋を背負い左腰には片手剣、右腰に小さい道具袋をぶら下げている。

身長は180センチ程だろうか。まだ幼さが少し残るがなかなか精悍な顔立ちである。

彼はナイト訓練所を卒業し初めて冒険者として旅立ったばかりだ。

とりあえず第一歩として隣街であるウッドベックへ向かっている。

 

街道は善王時代に砂漠までの道は整備され稀に迷いこむことはあるもののモンスターの姿を見ることはない。

危険があるとすれば野盗等の人間に襲われることくらいだ。

それも警備が巡回しているため滅多なことはないはずである。

道を逸れれば危険きまわりないのだが。

 

歩いて5日程度の予定だが砂漠の気候次第で更に日数がかかる可能性は大いにある。

街道ではたまに右にある森の奥から不気味な呻き声が聞こえてくるが気にしない。

気にすれば負けである。

 

何事もなく歩いて2日目の昼頃、足元に細かい砂が多くなってきた。

 

「そろそろ砂漠か」

 

そう呟き水袋を確認する。

 

「補給しとけばよかった」

 

途中で設けられた補給場所では十分残っていた為補給しなかったのだ。

戻れば1時間ほどの距離ではあるが明るいうちに予定通り岩場までたどり着き今夜の寝床を確保したい。

 

「どうするかな」

 

詳細な地図によれば小さな川が森を15分ほど入った場所にあるようだ。

どうするか迷った挙げ句森へ入る準備に取り掛かった。

愛用のツーハンドソードを持ち腰のシルバーソードを確認する。

森は骸骨姿や動く死体のアンデッドモンスターと遭遇することがあり、銀製の武器が有効だからだ。

シルバーロングソードが欲しいが高価なためそこは我慢。

最も骸骨ならツーハンドソードで砕いてしまえばいいのだが念には念を入れての銀製武器である。

そして体力回復の要であるレッドポーションをいつでも使えるよう腰の道具袋へ入れ、入りきらない分は背中の袋から出しやすいよう上のほうへ配置する。それと同時に毒消しの効果があるシアンポーションも上のほうへ配置する。

毒を持つモンスターはいなかったと思うが稀に別の地方から迷い混んだり獲物を追ってこちらまで来てしまうモンスターがいるので武器と同じく念のためだ。

これらを素早くこなしコンパスを取り出し迷わないよう方向を確認する。

森の中で迷うことは死に繋がる。間違って奥に進めばどのようなモンスターが出てくるのかわからない。自分じゃ太刀打ちできない場合もあるのだ。

比較的浅い場所では全く問題はないのだが。

 

「よし、いくか」

 

慎重に足を進めていく。

奇襲されないよう周囲に気を張り巡らせ一歩一歩進んでいく。

途中ゴブリンと遭遇したものの向こうから逃げていった。

水の流れる音が聞こえる。まもなくらしい。

自然と進む足が早くなる。

あと10メートル程という場所で突然唸り声が聞こえた。

 

右!?

 

動揺しながらもツーハンドソードを握り直し唸り声の主を探す。

 

いた。

 

少し離れた大木の影より姿を現し威嚇しているのは体長2メートルはある全身銀色の狼顔。

ライカンスロープだ。

既に臨戦態勢に入っており腰を落として今にも飛びかからんと棍棒を構えている。

 

背中の荷物を下ろすと同時に飛び掛かってきた。

それを寸でのところで横に転がりながら避け態勢を立て直す。

あの棍棒が当たれば怪我じゃ済まないだろう。

当たれば、だが。

降り下ろされた棍棒に合わせて斬り上げる。

リーチが長いのが有利なのだが予想以上に相手が素早く距離が近い。

棍棒を持ったままの腕が宙を舞うのを見て直ぐ様サイドステップ。

さっきまで居た場所に強靭な牙を持った顎が向かうもそこはすでにもぬけの殻。

首を差し出した格好になったライカンスロープにツーハンドソードを降り下ろす。

ライカンスロープは断末魔をあげることなく息絶えた。

 

絶命したライカンスロープを確認し周囲の気配を探る。

ライカンスロープはウェアウルフという姿形は同じものの毛色が茶色の部下?を三匹程連れていることが多々ある故の行為。

それから数分は構えを解くことなく索敵するが気配は感じられない。

構えを解き一気に息を吹き出す。

喉がカラカラだ。

残りの水を水筒へ移し飲み干すが足りない。

足りない分は川があるのでいいかと、ライカンスロープから戦利品を頂く。

 

「いい形だ。150アデナくらいの値がつきそう」

 

牙を引き抜き布で拭くと袋に放り込む。

冒険者はこうやってモンスターから戦利品を集め売り捌く。

モンスターによって採取する部位は異なり形状や色艶によって価値が異なる。

今回はいい品が手に入ったが他には戦利品はないようだ。

今度は慎重に歩みを進めていく。

周辺は木々が覆い繁っているが広目の河原があり視界が開けているため多少は安全ではあるようだ。

最もモンスターからも発見される確率が上がるのは言うまでもない。

 

ツーハンドソードを右側に置き一応襲われても対処できるようにし水を飲み水筒、水袋へ補充する。

 

「腹も減ったし飯もついでに・・・」

 

袋から干し肉と水分を抜いたパンを取り出し口へ運ぶ。

 

「うまい!」

 

出発前に自分で作った干し肉だ。

毎食似たような食事になるため飽きないよう一枚一枚スパイスを微妙に変えた味付けがしてある。それでも5日間という日数で飽きがこないとは限らないが。

 

「ふんふふーん♪」

 

鼻唄を奏でながら袋を漁る。出てきたのはリンゴ。

リンゴにかぶりつきながら今後を考える。

川沿いを下流方向にあたる西へ行き森を通らず砂漠へ抜けるか来た道を戻るかだ。

最も川沿いを進めば北へ曲がっているため途中から森を突っ切ることになるのだが。

当初の予定では戻るつもりだったが先程の戦闘で冒険心が刺激されてしまったようだ。

地図を眺めながらルートを確認していると上流側に気配を感じた。

荷物はそのままに立ち上がりツーハンドソードを握り混む。

視線はもちろん上流側から離すことはない。

 

見えた!

 

約100メートル先に人影が三つ!

 

よく見てみるとどうやら人がスケルトン2体と戦っているようだ。

 

助けに入るかどうか見据える。

ある程度の実力がある冒険者相手だと獲物の横取りと思われてしまうときがある、が

 

危ない!

 

咄嗟に走り出す。

人影はバランスを崩し尻餅を着いたところにスケルトンの剣が降り下ろされる、が、カスッただけのようだ。

そのまま走りながらツーハンドソードを背中へ戻し腰からシルバーソードを抜き放つ。

アンデッドのモンスターは悪魔がのりうつっており悪魔本体は靄のような形状のため普通の武器では効果が薄い。

銀製の武器なら悪魔に直接効果があるのでシルバーソードを選択した。

 

スケルトンを背後より袈裟懸けに叩き斬る!

そして横薙ぎに斬りつけ首を飛ばす。

崩れていくのを横目に件の人物と対峙しているスケルトンの胸部へシルバーソードを突き刺す。

靄の形状をした悪魔が断末魔をあげ、そのままスケルトンは崩れていった。

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