lineage もうひとつの物語   作:りねゆざ

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二十一話

ホワイトナイツの一行はケントを出発し西の橋を渡り川沿いを南下していた。

道中襲いかかってくるオーク達を蹴散らし順調に進む。

まぁ順調とはいえ距離もあり戦闘の足止めが結構あるので4日はかかるだろう。

アレンが通っていた場所よりさらに南、目的地である火田村に近付くにつれオークの数が多くなり足止め、休憩の回数も増えた来た。

4日目の昼前、塩の香りがする。

 

「もうすぐよ。右手の森に通路があるはずだわ」

 

そこから200メートルほど進んだ森に通路がある。

そこを進むことになるのだが左右が森であり奇襲に注意が必要だろう。

アレンが先頭に立ちエレナが索敵をする。

アーニャが杖をかまえ何時でも魔法の詠唱ができるよう備えて進む。

緊張した面持ちで進む三人だがよく考えればこの道はオーク砦から火田村を挟んだ反対側の道であり安全宣言が成されている道である。

少し川沿いを下れば橋がありグルーディオと繋がっているのをみても安全なのはわかるだろう。

訪れたことのあるエレナやアーニャが普通は気付くはずだが疲れていたのだろう。

連戦を重ねてきた結果考えが及ばず村まで余計に体力と精神力を消耗しただけとなった。

 

 

無事に村までたどり着いた三人は村中央にある焚き火に近付き腰を降ろす。

 

「疲れた・・・」

 

アーニャが心底疲れたような風に呟き折り曲げて立てた膝に額をつけて溜め息を溢す。

 

「アレン君、言い忘れてたけどここに宿屋はないわよ」

 

絶句するアレンに対しエレナは

 

「その代わり小さな小屋を無料で貸与してくれるの。ライラさんに言えばね」

 

そういえば目的の人物もライラという人だった。

アレンは立ち上がり

 

「ライラさんに会って話を聞いてきます。ここで待っててください」

 

「いってらっしゃーい」

 

顔を少しだけ上げたアーニャは手を振りエレナは建物を指差しながら。

 

「アレン君、ライラさんはいつもあそこだから」

 

その先には小さな小屋があり扉はついていない。

仕事用の小屋だろうか。

 

「わかりました、いってきます」

 

身嗜みを少々整え小屋へ入っていくアレンの背中を見詰めながらアーニャは問いかける。

 

「そこまでしてオークを追い詰めようとするライラさんって何者?」

 

「元々ケントの貴族。父親は亡くなっていて実質リーダーはライラさんね。懸賞金は全て私財をなげうってるそうよ。」

 

エレナはゆっくりと火田村とオークについて語った。

 

「ここはオークの領地だったのは知ってる?」

 

アーニャは頷き返答する。

それを見てエレナは説明していった。

 

元々オークの領地だったがケントの移民が火田村としてこの場を奪ってしまった。

オークとしては気分のいいものではないがそれまで殆んど利用されていなかったこと、オーク民に被害がないことから様子をみるに留まっていた。

しかし血気盛んな若いオーク達は密かに集まり商人たち往来者を襲っていた。

その時点では大規模な襲撃もなく領地を奪ったうしろめたさからか人間側は大きく動くことはなかった。

そして次第にオークの若手の間で戦利品であるアデナを集めることが流行り出し、それが広まりアデナを多く持つ事が一種のステータスを持つようになってしまう。

そこからオーク達は積極的に人間を襲うようになり人間側は冒険者を集め抵抗することとなる。

その争いが大きくなり現在に至ってはオークが要塞を築くまでになってしまっていた。

ここまでを説明したエレナは小屋の入口で戻ろうとして呼び止められたアレンを見ながらアーニャに問いかける

 

「ここまでの話でライラさんが固執する理由があったかしら?」

 

アーニャは首を振り否定を示す。

それを見たエレナは

 

「あるとすれば親族がオークにやられたとか?」

 

アーニャは頷きそれくらいしかないと思う。

 

「普通はそうなんだけどね。でも違うのよ。ライラさんの父親は財産目当ての盗賊にやられたのよ」

 

エレナは続けて話す。

 

「外にはオーク、中には盗賊。これじゃ身動き取れないし安心して眠れない。村人からしてもスポンサーであるライラさんを無下にできない」

 

そこまで言うとアーニャが口を開いた。

 

「なるほど、だからライラさんに認めてもらえないと報奨金も貰えないんだ。いざというとき自分を守ってくれる人物だけ認めてるんだね。オークも減らせて自分も守ってもらうってことね」

 

アーニャはエレナに答え会わせを求めるような仕草で顔を向ける。

 

「そう。正解よ。怨みや善意だけじゃないってことね」

 

ようやく解放され戻ってくるアレンに手を振りながらアーニャは

 

「ライラさんの財産が尽きるときが怖いね」

 

と呟いた。

 

 

 

 

借りた小屋で休息をとる三人。

小屋は狭く二段になったベッドが二つ並んでいるだけ。

あとは小さなテーブルと椅子が四脚あるだけで他にスペースはほとんどない。

無料での提供なので文句はないのだが。

アレンは入り口に近い椅子に座りアーニャ、エレナは其々ベッドの下段に座っている。

アレンは同室になるとは思っているはずもなくいつも以上に落ち着きがない。

 

「ここで当面の活動資金を貯めましょう」

 

エレナが提示した額は経費を差し引いて最低3万アデナ。

もちろん多ければ多いほうがいい。

火田村は流通がよくないため物品の相場が若干高めである。

それなりの経費がかかるであろうと見越して期間は一週間~二週間

 

二人はそれに異義もなく素直に同意する。

 

「本格的に行動するのは明日からでいいよね?」

 

アーニャは問いかける。

 

「ええ、いいんじゃないかしら。もうすぐ夕方になるしね」

 

エレナは同意するが

 

「俺は近所をちょっとだけ見てくるよ」

 

とアレンは出ていこうとする。

 

もちろんアーニャに止められることになる。

 

「あんた到着した当日くらい落ち着きなさいよ」

 

「ちょっとだけだから」

 

苦笑いを浮かべ出口に近寄ろうとするも

 

「アレン君、これから今後の話をするから今日は駄目よ」

 

とエレナに言われて大人しく従うのであった。

 

 

 

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