lineage もうひとつの物語   作:りねゆざ

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五話

ナターシャの離れていく足音を聞いて安心するアレン。

一人は不意討ちで倒したが多対一という戦況は変わらない。

圧倒的に不利だ。

 

レッドポーションを体に振り掛けながら砂を蹴りあげそのまま目の前の一人を蹴り飛ばす。

よろけた敵を無視し左横でランスを突いてきた敵に向かってツーハンドソードを右手で突き出す。

不意討ちにツーハンドソードのリーチを利用した攻撃。

ランスがアレンの左肩に刺さりツーハンドソードは敵の腹部に深々と突き刺さった。

痛みに顔をしかめるが背後から迫るランスを背中の袋で軌道を変え逸らす。

これで3対1だ。

かわりに左腕が自由に動きそうもない。

ブラックナイト隊は態勢を整えアレンを囲むように包囲する。

 

「二人減ったけどまだやるかい?」

 

仲間がやられても動揺しないとは厄介なやつらだ。

包囲網を抜けようと動くがランスで牽制され阻まれる。

すると破れた袋から何かが落ちた。

それを合図に一斉に攻撃を繰り出すブラックナイト隊。

その中でも致命傷になりそうな攻撃を寸前で避け各所にランスが突き刺さるも落ちたものを確認する。

預かっていたダガーだ。

最後に見た泣きそうなナターシャの姿が脳裏に浮かび奮い起つアレン。

体をランスが穿つがアレンも負けじと反撃する。

注意深く見ていると隊長が誰なのか判断できた。

その隊長は僅かな動きで指示を与えている。

すでに脇腹をランスが抉り右足の太股もも抉られた。

右足の動きが鈍い。

レッドポーションを瓶ごと自分に投げつけ回復をはかる。

隊長が指示を出した瞬間を見計らい背中の袋を隊長に投げつけ隙を作る。

そして転がりながらダガーを掴み包囲網から出る。

出たと同時にダガーを投げると隊長の首に刺さった。

声を上げる代わりに空気の漏れる音を出しながら倒れる隊長。

 

これで2対1だ。

ダガーを隊長から引き抜きながら次の手を考える。

隊長をやったことで動きが組織的ではなくなってきた。

しかしこちらは満身創痍に近い。

もっと早く隊長に気付いていれば余裕もあったかもしれない。

ここが経験のなさ故の失態である。

この体でどこまでやれるか自信はないがまだ効果が切れていないブレイブポーションを再度飲む。

ブレイブポーションは身体能力をアップさせるだけではなく鎮痛効果をもつ。

しかし副作用もある。

血液の流れを早くし身体能力のアップを図るため怪我からの流出量が増えてしまうのだ。

アレンは身体能力向上のためではなく鎮痛作用を強化するため服用した。。

 

連続服用による後遺症?知ったことではない。

 

睨み合って数秒後、ブラックナイトの背後に動く影が見える。

それを見たアレンは力を振り絞り斬りかかる。

弾かれるものの相手の攻撃がバラバラなため致命傷を避けやすい。

そうやって一人の位置を影と自分との直線に移動させる。

影に石を投げつけ距離を取った。残りの一人を牽制しつつツーハンドソードを投げ付ける!

敵はツーハンドソードを避けようとするも足元に影・・・イノシシが突進しバランスを崩したため避けきれずツーハンドソードの餌食となった。

アレンはそのまま突進してきたイノシシをダガーで迎え撃とうとするも残りの一人に邪魔をされイノシシに足元を掬われ仰向けに倒れてしまう。

倒れたところにランスが迫りダガーで弾くも捌ききれず頬を掠める。

ランスが地面に刺さったのを見て横に転がり向かってきたイノシシの腹に下からダガーを突き立てる。

苦しそうにもがくイノシシを押し退けようとした瞬間イノシシを真上より貫通したランスがアルスの右腕を刺した。

 

「くそっ・・・まだだ!」

 

アレンは苦痛に耐えながら立ち上がる!

 

「いや、これで終わりだ。おまえはもう剣を持つことすら出来まい。」

 

ブラックナイトはそう呟いた。

 

 

 

 

 

街に着いたナターシャは警備隊詰所に駆け込み助けを求めた。

しかし相手にされず冒険者を探しだしお願いするも断られ逆に食事に誘われたりし逃げるように離れ途方に暮れていた。

最後の手段として街の創始者であり知り合いでもあるゲラド宅を訪ねるが留守だった。

アレンを信じようとするものの相手は多勢に無勢である。

ふとアレンから渡された小さな袋を握り締めていたことに気が付き中を覗く。

そこにはお金と札の付いたカギが入っており札には"red-109"と書かれていた。

アレンの言葉が甦り建物の場所へ走った。

 

宿の横にある建物!

 

ナターシャはその札に書かれた部屋を探しカギを開けた。

 

「お邪魔します」

 

入ってみると殺風景な部屋だった。

机がありその上には書類や本が積み重なっている。

その他にはベッドと食事を取っていたのであろうテーブル、そしてタンスがあるだけ。

壁にはツーハンドソードを肩に担ぎ上げ若く少年ような笑顔を向け訓練所の同期生らしき人達と写っている写真が飾られている。

 

「うふふ。楽しそう」

 

写真にアレンを撫でるかのように指を沿わせた。

最初は笑みが零れたが泪が溢れてくる

 

「私がアレンの未来を奪ったかもしれない・・・・」

 

ナターシャはアレンのシルバーソードを抱きしめ泣いた。声をあげて泣いた。

散々泣いた後は前に進むしかない。

 

私がアレンを信じなくてどうするの

きっと戻ってくる

そう信じてここで待つことに躊躇はなかった。

 

 

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