lineage もうひとつの物語   作:りねゆざ

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七話

今後の方針を決めたナイルとナターシャはアレンの部屋へと戻ってきた。

ドアの前でカギを開けようとするとハスランも戻ってきた。

ナイルはハスランから荷物を半分受け取りドアの開くのを待つ。

ナターシャはドアを開けるが入らず床に落ちている紙片を見つめている。

出るときはなかったので誰かがドアの隙間から差し入れたに違いない。

 

「離れてください。」

 

ナイルはそう言うと魔石を取りだし魔法の詠唱に入る。

魔石は魔法の触媒に使い人の魔力では制御出来ない魔法を制御するためのものだ。

魔石が光を放つと唱える

 

「キャンセレーション」

 

その魔法は対象にかかっている魔法を打ち消す効果がある。

紙片がトラップだった場合そのトラップを消すことができるのだ。

空中に魔法陣が浮かび紙片に向かって降りていく。

魔法陣が消えるのを確認しナイルは紙片を手に取った。

 

 

 

 

昨夜のことである。

アレンはポーションや薬草のお陰か起き上がれるまで回復していた。

そしてアレンは手紙を書いた。

 

゛俺は無事です。怪我で動けずこのような形での報告を御許しください。

 

貴女とお仲間の旅に幸あらんことを。゛

 

たったこれだけのことを書くと街へ行商にいくノールへ手渡し自分の部屋に届けるよう頼んだ。

ノールは快く引き受け昼の間にドアの隙間から差し入れた。

 

 

 

 

ナターシャは涙を流しながら笑っていた。

手紙を胸に抱き二人と笑い合う

 

生きていてくれた

待っていてよかった・・・・と。

 

 

「しかしその御仁を仲間に加えられないのは悔しいですね。」

 

ハスランは心底残念そうに言う。

それを受けナターシャは

 

「無事ならきっと出会えます。私を護ると仰ってくださいましたし。」

 

と恥ずかしそうな嬉しそうな笑みで答えた。

 

「ほんと惜しいな。訓練所を出たばかりであれだけのことをしたのだ。鍛えればかなり強くなるだろう。」

 

「それに姫が心を許した男だというのに」

 

ナイルは壁の写真を眺めながらアレンという若者に会えないことを悔やんでいた。

 

 

 

翌朝出発の挨拶のためゲラドの自宅を訪問した三人は新しい仲間を得ていた。

名前はキャスタ。

女性のナイトである。

年の頃は二十歳くらい、ナターシャには及ばないが十分美人といえる顔に身長はナイルと同じくらいで細身ながら鍛えられた肉体は美しさを醸し出している。

教養もあり騎士としての強さも兼ね備えている頼もしい仲間だ。

三人との挨拶を終えるとキャスタはナターシャに向き合いこう言った

 

「アレン様の代わりが勤まるとは思えませんが私も剣を心得ております。命の限り御守りいたします。」

 

アレンという名前にドキリとしたもののゲラドには話をしたので伝わっているのだろう。ナターシャは

 

「まずは自分の命を優先してください。余裕があるとき御守りください。」

 

争いが付いて回る旅に甘いとは承知している。

こう言ってもいざとなれば命を捨てて守ってくれるだろう。

だがアレンとの別れ際を思い出すと今でも胸の奥が痛くなる。

自分に対する気休めにしかならないがこうとしか言葉がでなかった。

 

キャスタは姿勢を崩すことなく

 

「承知致しました」

 

と主人の胸の内を理解した言葉でもって答えた。

 

 

 

ナイル、ハスランはキャスタと握手をかわし今後について説明をする。

その間ナターシャはゲラドと別れの挨拶をかわす。

 

「これからどちらに向かわれるのですか?」

 

「海岸に沿って北上しハイネへ行こうと思います。」

 

最後にアレンのことを宜しく頼むナターシャにゲラドは大きく頷く。

老いてもなお壮健なゲラドに安心を覚えシルバーナイトタウンを後にした。

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