「玲ちゃんのほっぺの感触ヤバくない?」
「わかる。玲の頬の感触ヤバい」
あ、なんか今めちゃくちゃ女子高生してる気がする。目の前で深く頷く頼花ちゃんを見て一瞬そんな考えがよぎる。
まあ何と言えども玲ちゃんのほっぺの感触はそれはもう『ヤバい』。とにかく『ヤバい』。
ふわふわとした柔らかさに伸びを加え、あの絶妙ななんとも言えない至福の感触を生み出している。ああいった感触はマシュマロにたとえられがちだが、マシュマロなんかよりも断然いいものだ。VRでもあれほどいい感触のものは滅多に見かけない。
私が玲ちゃんのほっぺを何度もつついてしまうのも、致し方ない事なのである。
「ほっぺふにふにしてるとあったかくなるし」
「ええ? そう?」
「えっ、だって玲ちゃんかなり体温高いよね?」
最近は少し寒くなってきたので、玲ちゃんにくっついて暖をとることが多い。前ダンスの名前がわからなくて玲ちゃんの手をとった時なんかほっかほかだった。
「死ですね」だとか玲ちゃんは言ってたけど、結局ダンゴだかアンコだかそんな名前のダンスらしい。あの玲ちゃんでも間違える事があるんだな、とか思ったものだ。
「んー、確かに玲、体温は高いけど……前さわった時そんなあったかかったっけ?」
「あれ?」
玲ちゃん、いつもあったかくない? 当然のように賛同が得られると思った。手はわりといつもあったかいけど頬はそんなだった気が……なんて言う頼花ちゃんに首をかしげる。
「あ、あのっ」
「あぁ、玲ちゃん」
いいとこに来たな、とそのまま目の前にあるほっぺをつつく。
「ふぇっ!?」
「あー、やっぱりこの感触さいっこう」
ふにふにともてあそぶと、いつも赤い顔がさらに赤くなり、どんどん体温が上がっていく。玲ちゃんのほっぺは、想像していたものよりも、いつももっと良い感触を伝えてくる。
「にゃ、ぬぇ、ら、楽羽さんっ」
「んー?」
「あのっな、なんでっ」
「ちょうど今、玲ちゃんのほっぺの感触が最高の話してたからさ」
軽くフリーズしかけている玲ちゃんは、いつもと同じで、やっぱりあったかい。少しさわっただけで動揺する玲ちゃんは、良家故にあまりスキンシップを取らないで生きてきて慣れてないのかな、と出会った頃は思っていたけど、仲良くなってもこの反応なのだから、これは彼女の性質なのだろう。
「あー、なるほど? 楽羽だからか」
「ん?」
頼花ちゃんがつぶやいた言葉を聞き逃したけど、彼女はなんでもないわ、なんて言って、私の反対側から玲ちゃんのほっぺをつつき笑った。
彼女は彼女の想いを知らない