今回はオリヴィラン勢力との直接バトル開始。
最初は惨い大被害を出したパラサロット(機上乗発)(※オリキャラ)。
でも半分以上はもうひとりのカグツチの協力者である『レッドライン』。
この殺し屋の正体と素性を書きました。
後半はパラサロットとの対決開始。決着はついてません。
若干腐向けっぽい描写が少しあるかもしれません。主に爆豪と轟が出久に絡む。
色々あって精神がぶっ壊れての執着や依存なので恋愛感情はないです。念のため。
あと爆豪の完全な人外化した形態のお披露目も。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
都会から少し離れた地域にある一軒のパン屋があった。
小さめの田畑と用水路があるのどかな住宅地の中にそのパン屋があった。
大きな民家を改装して規模の小さいパン屋であるが、地産地消で新鮮な食材を使ったパンが地元民に愛されており焼きたての食パンやバケットなどを定期購入という形で契約しているご近所も結構いるぐらいには愛されている。
その店を切り盛りするのは30代の女性だ。
名前は、小紺麦子(ここん むぎこ)。
150センチ以下の小柄で小さな三つ編みにした髪は収穫を間近に控えた小麦の穂に似た色合いしており、顔には濃いそばかすの地味で素朴な印象がある、美人か不細工かで言うと不細工寄りな外見。文学作品に登場する純朴な田舎娘が身につけそうなエプロンドレスが似合う。
個性は『指先から小麦粉を出す』というもので、この個性で生成した小麦粉をパンやお菓子に使うとなんか美味しく感じるというものだ。そのため店に並ぶパンと焼き菓子には彼女が個性で生成した小麦粉が必ず使われている。
もちろん彼女の個性だけで店が繁盛しているわけではない。職人としての腕前が良いからこそ美味しくなっているのだ。素人が使っても同じ美味しさは作れない。
しかしそんな彼女の顔の左側に痛々しい火傷の跡があり、それを隠すようなことはしていないため初めて見る相手はついギョッとしてしまうがパンの美味しさと接客態度ですぐにそんなことはどうでもよくなるのがいつものことらしい。最近ではご近所の常連が初めてのお客さんに説明したりして誤解をさせないようにしてくれることも多いようだ。
火傷の理由はパン職人の修行中に起こった事故による火傷だという。当時使っていた古いオーブンから上がった炎が原因だという。
小さな店をひとりで切り盛りしているが、旦那さんと子供がひとりいる。旦那はパン屋業には直接関わらずフリーランスの仕事をしており、仕事が暇な時にパン屋の手伝いをしたりパンの宅配を手伝ったりと夫婦仲はかなり良好なようだ。
まだ4歳の二人の息子は家での仕事が主な旦那さんがお世話をしているらしいが、家事を片側に全部丸投げにしているわけではなく二人できちんと役割は果たしており息子も両親のことが大好きなようだ。母の店にたまに父親と共に来て見よう見まねで『いらっしゃいませ』とか『ありがとうございました!』とお客さんに笑顔で言っている姿が見られることもあり地元のおじさんおばさん、お爺ちゃんお婆ちゃんからは可愛いとか偉いと褒められているのもすっかり定着している。
両親のお手伝いを見よう見まねで始めたら褒められた息子さんは得意げにフンフンと鼻を膨らませる姿も子供らしくて愛らしく、とても良い環境で育っていることが伺えて小紺の家はとても評判が良かった。
だが、そんな絵に描いたような美しい家庭には濃い闇が隠れている。
それは小紺の夫と息子が知らない、小紺麦子の本職だ。
彼女の真の姿を家族は知らない。
「さてと……。」
夫と息子が寝静まった夜。
外灯が少なく、新月の夜ともなれば余計に夜の闇の濃さが顕著になる夜道を足音をさせずに走っているような速さで夜道を進んでいく。
背中に背負った登山用リュックサックも身につけている衣服も黒や濃いグレー色ばかりで夜の闇に溶け込み、なおかつ顔を隠すようなものだ。
地域に住む住民達も寝静まった深夜にひとり家を抜けて目的の場所へ移動を続ける小紺は地域から離れて、深夜にも運行している交通機関やレンタルできる移動手段を使って遠くまで来た。
商業ビルの屋上まであがり、背中から下ろしたリュックを開いて中に入れていた物を組み立てていく。
それはライフル銃。正規の品ではなく、自分が使いやすいようにカスタマイズした代物だ。
スコープも付いていないという遠距離射撃に使っているとは思えない構成だが、彼女が長く使い続けている相棒だ。
これまた自分の手で組み立てた弾丸を装填し、フェンスの下の隙間から銃口を射し込むような形で構える。
今の小紺の顔には昼間家族とともに笑顔でパンを販売していた明るく優しく温かな表情はない。どこまでも冷徹で仮面のように凍った感情の読めない顔で家からの移動、武器の組み立てなどをすべてを手際よく素早くこなしていた。
そうしてスコープもついていないライフル銃でターゲットの命を刈り取るためにひたすら同じ姿勢のまま動かずに待つ。
時に数時間以上も同じ姿勢で同じ場所でターゲットを撃つタイミングを待つ。自分が置かれた環境も体調も二の次。糞尿も無視。寒い時期は自分が吐く息で位置を発見されぬよう雪があれば雪を食したりして体温を下げてでも長時間の狙撃を行う。
そうして2時間ほどだろうか、ターゲットを捉えた小紺は引き金を引いた。
発射された弾丸はまっすぐターゲットめがけて飛び、ターゲットのこめかみを的確に撃ち抜いた。
弾丸を受けたターゲットは頭から大量の出血をしながら倒れていく、倒れる直後にターゲットを中心に一瞬にして発火。発生した火は即死したターゲットの体を燃やし、ターゲット以外が周囲にいなかったため発見が遅れて燃えているターゲットは真っ黒い炭になってしまった。
これが小紺の殺害方法。彼女の裏社会でのあだ名の由来になっている。
『レッドライン』
彼女のことを裏社会の人間はそう呼ぶ。
依頼された狙撃の確実性と、殺害時の状態からそう呼ばれている。
狙撃されたターゲットは頭や心臓などの急所を撃ち抜かれた上で焼死体にされるため、火の個性を使う人間だと思われていた。殺人の捜査をしている警察機関でさえそう考えていた。
しかし真実は違う。
自家製で組み立てて調合もした弾丸の仕掛けで小麦粉を着火させて焼死体状態にする。粉塵爆発の原理を利用したものだが、こんな芸当は彼女にしかできない。
彼女は殺し屋稼業の両親を持つ殺し屋のサラブレッドのような過去を持つ人物だったのだ。
両親から惜しまず殺し屋としての技術を学び、自分自身も腕を磨き自分なりの殺し屋としての形を作り上げて『レッドライン』というあだ名が付くほどの凄腕となった。
いまだに『レッドライン』の詳細はどの捜査機関にも知られていない。裏社会の人間さえあだ名ぐらいしか知らないぐらい徹底されていた。
その正体がまさかパン屋を営む子持ちの主婦だなんて……、思い付かないだろう。しかも外見が殺し屋からかけ離れていると余計にだ。
淡々と殺し屋としての本業を終えた小紺は狙撃の痕跡を全て処理してから帰宅した。
早朝にいつも通り朝ご飯の支度をして、早朝からパンを焼かなければならないパン屋を開けるための支度をする小紺。
母が用意する朝ご飯の匂いを寝たまま嗅いだ彼女の幼い息子が眠い目を擦りながら起きてくる。
母親が早朝に仕事に行く影響で息子も早寝早起きだ。
「おはよう。」
キッチンに入って来た息子の足音を聞いた小紺が笑顔で息子に挨拶する。
「かーちゃん…。」
息子は眠そうにしながらも鼻をクンクンとさせて朝ご飯に出されるスープの味と具材を予想しているようだ。
「……ローネ?」
ミネストローネと言いたいようだ。
小紺はニコッと笑い息子の頭を撫でる。
「正解! 大正解だよ!」
「おー!」
言い当てられたことに両手を挙げて喜ぶ息子を抱き上げる小紺。
日にちを経るごとに身長と体重が増えていく息子の成長をこうして感じることに幸せを感じている母親としての顔も小紺麦子だ。
しかし一方で冷酷に人を殺す殺し屋の『レッドライン』としての小紺麦子も同一人物なのだ。
あとから起きてきた夫も一緒に朝ご飯を食べて、忙しなく出勤していく小紺。
開店準備が整う直後、彼女のスマートフォンにメッセージの通知が入る。
確認すると、今彼女が手を組んでいる相手からだった。
『ヒーローどもに嗅ぎつけられたようだ。攪乱のために動いてもらう』
そのメッセージのあとに、機上乗発が勝手をしてゴーストライダーが本気を出してきたことと機上を放っておくという続きのメッセージが送られてきた。
つまりもうひとりの仲間として組んでいた者を切り捨てて見捨てるということだ。3人組として行動していたが中心人物だったカグツチを名乗る男の指示を無視して大規模な殺戮を起こしたせいで一番警戒しないといけないゴーストライダーが本気を出して動きカグツチの企みと行動を掴まれた。だから責任を取らせるしゴーストライダーを引きつけるための囮にすることもやらせるのだ。本人にそのことを伝えずに。
小紺はメッセージアプリを閉じ、スマートフォンをポケットに入れた。
するとパン屋の出入り口の鈴が鳴った。お客さんが入って来たのだ。
「いらっしゃいませ!」
殺し屋の顔からパン屋を営む主婦の顔になり、笑顔で客を出迎えた。
パン屋を切り盛りし、帰ってからも家族と過ごしながら小紺はいよいよかと考える。
彼女がカグツチと手を組んだ理由。
彼女は子供を愛する。自分の子供以外の子供もだ。
殺し屋としての仕事をこなしながら見てきた悲劇に置かれながら生きなければならない、生きることさえ許されない子供達の末路。
神の力を使えば人間の力ではどうしようもない不条理を変えられるかもしれない。殺し屋として現実的な思考を当たり前にしていたからこそ個性を超える神の力を目の当たりにして縋ってしまったのだ。
カグツチの企みを完遂させれば、不幸な子供達が救われる。
その願いがもうすぐ叶う。殺し屋として鍛えた隠した心の中で喜びの感情を燃やしていた。
まやかしの希望を謳う信仰に縋る力無き者と同じように。それを彼女はまだ自覚していない。
つけていたテレビから緊急速報が入り、子供向け番組から真面目なニュース番組に切り替わった。
生中継で映されたのは奇怪な形状の飛行物体と、それを地上から追いかける炎の頭と炎に包まれたバイクの姿だった。
***
『ハハハハハ! どこまでついて来るんだ? 下から追いかけてばっかじゃ捕まらないぞ!』
『………チッ。』
パラサロットが飛行場から奪った飛行機を個性でムチャクチャに組み合わせて作り上げた巨大な飛行物体で飛び回るのを、ゴーストライダーがヘルバイクを使って地上から追っていた。
ほぼ真下についてきているが高度があり上から余裕そうにパラサロットが拡声器を使ってゴーストライダーを挑発してくる。
『調子に乗っているな。大量殺人で脳内物質ドバドバだろうに、今全てが楽しくて仕方がないんだろう。だが…それが一瞬の楽しい夢でしかないって知った時の絶望は…、ククッ!』
ザラゾスが笑う。こういう快楽に堕ちた人間を飽きるほど見ているのだろう。楽しいオモチャを見つけたようにニヤついているようだ。
『まあ距離も高さも無意味だがなぁ。なあ? そうだろう?』
にやけながら出久に話しかけるザラゾス。
ゴーストライダーは無言で片手をヘルバイクから離し鎖を出現させて投げ縄のように振り回して勢いを付けてから上を飛んでいるパラサロットの飛行機に投げつけた。
高度があるがそんなものは関係ないとばかりに凄まじい勢いで伸びていった鎖が飛行機の機体の下に突き刺さり拡声器から短い悲鳴が聞こえた。
安定していた飛行状態が乱れてグラグラと揺れ始める飛行機を下から引っ張りヘルバイクの速度を上げて墜落する前にある場所へ引っ張っていく。
そこはプロヒーローの権限で協会と国に協力してもらい無人にした国内で三本の指に入る広大な空港。
パラサロットの能力の規模からここを決戦の場所に選んだ。
『おおおおおおお!?』
グイグイ引っ張られて来た飛行機もろとも開かれた空港の中心へと投げ落とされるように先端から墜落した。
飛行機の重量と車輪を受け止めるようきっちり整備された滑走路が墜落していくパラサロットの飛行機によって砕け飛行機がグジャグジャに潰れていった。
『こ…この! よくも! まだだ! ふふっ! こんなことがあろうかと!』
スクラップになった飛行機が変形していく、爆発炎上せず形が粘度のように変形しテイクとまるで無骨な金属の繭の玉のように変形して下から噴射口を出し浮き上がる。更に隙間がないほど砲塔が表面から出し、その砲塔は知識のある人間が見れば戦車のものだと理解するだろう。
『先に戦車を積んでたんだろうな。』
入手ルートはこのさい置いておいて止まった状態になった時に巨大な兵器に切り替えるために用意したのだろう。
それでも地面に静置せず浮き上がった状態を保つのはパラサロットなりのこだわりだろう。
パラサロットが自身の個性を全力で使い、更に自称カグツチの力も使った結果の巨大な戦艦…と呼べるかもしれない。
ミサイルの砲台まで出てきて無数のミサイルが発射される。
ゴーストライダーめがけてすべてのミサイルが意思を持つように飛んで来たがそれを巨大な氷塊が出現して防いだ。
爆発するミサイルによって氷塊が削れて砕けていったがすべてのミサイルを防ぎきり、ミサイルの爆発の熱と氷の冷たさによって発生した水蒸気と煙で視界が悪くなる。
風が吹き抜けて現れたのはヘルバイクに跨がるゴーストライダーの寄り添うように抱きついている轟だった。彼の右側が氷に包まれており彼が氷塊を出現させたことがすぐに分かった。
『おいおいおいおいおい! 噂の従順な飼い猫まで連れてきて!? クソ…! これじゃあ…。』
『おらああああああああああああ!!』
『!?』
パラサロットが轟の登場に初めて激しく焦った様子を見せた。
そこに飛んで来た人影と声を聞いた。
大きなハンマーのような手榴弾がパラサロットの戦艦に叩き付けられると大爆発が起こり、爆発の衝撃が空港全体に広がるほどの威力によって戦艦が砕けかけるが慌てたように内部にいるパラサロットが戦艦の形を直す。
『チッ!』
地面に着地した爆豪が舌打ちした。
砲塔のひとつが爆豪に狙いを定めて砲弾を発射した。
近距離からの攻撃で避ける暇もないから命中して爆発が起こった。
しかしゴーストライダーも轟も反応しない。黙って様子を見ていた。慌てていたのは生中継を見ていた対パラサロットに参加している人間達の方だ。
すると先ほど砲弾を発射した砲塔が爆散した。
『しゃらくせぇ!!』
そこに現れたのは金と黒色のキメラ。
あの夜に出久の傍で見せた爆豪の選んだ道だ。
パラサロットはかなり驚いていて言葉を失っていたようだが続いて自身の戦艦のあちこちが突如前触れも無く爆発されてさすがに声をあげた。
その隙に異形の姿へと変じた爆豪が下半身の獅子の四つ足で跳躍し、あっという間にゴーストライダーの傍に着地した。
下半身の獅子の部分の高さと上半身の人間部分が少年から成熟した大人へと成長したような姿になっているため高さだけでもゴーストライダーを軽く超えてしまっている。
『あの形態に名を付けるなら、地獄の力を核にしてるからヘルスタイルだな。でもって、あの小僧のアレは……エクリネメア…ってところか。火薬の獅子。………中々良い感じに歪んだようだな。いいねぇ、いいじゃねぇか! 最初の頃よりいい! 未熟さと短気と言葉足らずが招いた悲劇と喪失、喪失を経て気づいた独占欲と執着の果ての成れの果て! 実に人間らしくて醜い! だからこそ美しい! なあ、出久? お前の感想は?』
ザラゾスがニヤニヤしながら出久に問う。
だが出久は何も答えなかった。
その代わりに爆豪の蛇の尻尾がゴーストライダーにじゃれるように巻き付こうとしたのを轟が蹴って弾き、それを皮切りに爆豪と轟の小競り合いが勃発したため両成敗として二人の脇腹を軽くどついて止めさせた。
殺し屋『レッドライン』の正体は、パン屋を営む主婦。夫も子供もいる。
ネットで知り合った方と共に考えて作り上げた日常に潜む恐ろさという感じのキャラです。
彼女の夫と子供は彼女が殺し屋だということ知りません。彼女も隠し通しています。
隠れ蓑でもありますが彼女はちゃんと夫と子供を大切にして心から愛しています。
特に子供への愛情故にカグツチと手を組んでしまったという感じです。
狙撃して殺害したターゲットが焼死体になるのは彼女の個性である小麦粉を弾丸に仕込んで狙撃と同時に粉塵爆発で着火して火系の個性持ちに見せかけているという殺害方法です。
パラサロットこと機上乗発は次回で悲惨な末路を迎える予定。
予定通りにできたらいいな……。いつも予定通りにならない…。
爆豪と轟は今後もこんな感じで。
出久(ゴーストライダー)を挟んで喧嘩(殺し合い)しては、出久に両成敗されて倒れる流れになる。
そのうち轟の人外化した形態も披露予定。
次の短編のネタにするなら?
-
妖怪ウォッチ
-
すまっしゅ!!
-
それ以外の怪異や、妖怪など
-
SCP
-
いや、連載の続き書けよ