まずはプロローグとして、ミルコが時間稼ぎ。
自称カグツチの目的達成を阻止する役としてホークスが頑張る。コマさんとコマじろうと一緒に。
今回はゴーストライダーは名前しか出てません。
上記の2名以外も未登場です。
ミルコとホークスの言葉遣いとキャラが違うかも知れません。
もし違う箇所があるようでしたら活動報告かメッセージで教えていただけると大変助かります。感想欄で書くと規約違反として削除されてしまいますのでよろしくお願いします。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
富士山。
今や世界中で知られる日本一の休火山で、日本をイメージする時にまず思い浮かぶものの代表例になるぐらいの象徴的な山である。。
夏などの気温の高い時期と冬でも雪が降らないという事がない限り、山頂が白い雪に覆われており美しい山の形は絵画や写真のモデルにしても最高で、実物を見ても素晴らしい世界に誇れる絶景である。
大昔から存在するこの美しい山は、日本にある神話にもしっかり描かれて神との接点も深い。
遙か昔に休火山になる前には噴火と流れ出る溶岩によって恐ろしい神の怒りとして認知され、神の怒りを鎮めるために不敬を謝罪したり、感謝を伝えるなどして神をおだてるような儀式や祭が執り行なわれ、長い時を経て生活の移り変わりに対応するよう形を変えながら現在にも残るほどだ。
富士山は休火山。つまり何かの拍子に突如噴火を再開する可能性がある危険な火山でもある。万が一噴火した場合に予測される被害の大きさも現実味が強く富士山の近くに日本の中枢都市があるから余計にだ。
現代になって世界遺産として登録されたりと観光名所としての面が強調されているが、大昔からそこに住む人間達の信仰と畏怖の感情が集中する対象で世界知られ渡ると更に不特定多数の人間からの興味関心が否応なしに集まることとなる。
それは結果的に富士山に秘められた巨大な力となった。
日本の文明の裏でこういった裏の神事を守護する者達は、ソレを触れてはならない禁忌、神の逆鱗と考えて静観しながら触れようとする不届き者を排除して富士山に刺激を与えないようにしている。
しかし……、そうして守られてきた触れてはいけない禁忌を利用しようとする不届き者が妨害者を排除してついにその力を利用する儀式にまでこぎ着けてしまった。
「こんな辺鄙な場所にずいぶん大がかりなモン作ったな。ひとりでやったの?」
「…………どうやって…。」
祭の時に太鼓を叩くであろう櫓と能の舞台のような木製の儀式の祭壇がそこにあった。
ここは富士山の樹海と呼ばれる場所の一角だが人の手が入っていない少ない未開拓の場所だった。
裏の神事の守護者達が大昔から守ってきて一般社会に知られていない土地の部分。
外界の気候に関係なく不自然な霧が立ちこめ迷い込む者を拒絶するような意思を感じる奇妙な場所。
そして。
「富士山ってか……、日本のあちこちの山々になったカグツチの体をかき集めてテメーのモンにするための大がかりな下準備だったわけか。」
炎のドレスを見に纏うミルコが相手を睨み声を低める。
最初は驚いた顔をしていた自称カグツチがやや時間をおいて口元を釣り上げた。
人造人間として形作られた人形のように不自然さがある整った顔立ちに痙攣するほど怒りをにじませる。
「麦子め…、裏切ったな…!」
「テメーの本性と、本当の目的を知って考え直したらしい。あと、ここへ入れたのはこのドレスのおかげだけどね。」
「……ゴーストライダーからの贈り物らしいね。」
「いいや、借りただけだ。」
自称カグツチによって普通の人間でも神事の守護者達でも腕利きでないと発見できない、入れない結界を難なく突破できたのはザラゾスが自分の妻のためにこしらえたという炎のドレスに宿る力のおかげだった。
借りているだけだがこのドレスを持っているため自称カグツチと戦える戦力としてミルコも数えられており、儀式の阻止とゴーストライダー達が他の協力者のヴィラン達を相手にして無力化するまでの時間稼ぎとすることになっていた。
ミルコ以外にもこの場にプロヒーローや自称カグツチの力に対抗するため神事の守護者達も手配されていたが、結界を突破できたのがミルコだけだったので他の者達は外で待っていることしかできない。
木製の舞台の床にミルコのハイヒールのかかとが力強く踏み込まれる。炎のドレスの刺繍と、ドレスとセットになっている紅蓮のような色合いのヒール靴と、ミルコのウサギ耳を飾る炎を象った形のイヤリング類がミルコの心に燃え上がる怒りに反応するように発光している。
「出生とかそういう事情についちゃ多少は同情できる部分はあるが……、けど…、悪いことしていい免罪符にゃならねーよ!! せめて最低限の道徳ってもんを叩き込んでやる!!」
ミルコの顔が憤怒に染まる。
自称カグツチがこの場所を確保するためにレッドラインに殺させた人数と、儀式の下準備に必要な犠牲者達。自称カグツチが裏社会で密かに行われていた人体実験の犠牲者だったとはいえやったことが重たい。
ゴーストライダーに感化されたわけじゃないが情状酌量の余地はないと判断するには十分過ぎた。
自称カグツチはミルコからの怒りの睨みと圧を受けても、笑みを浮かべている。それどころかますます歪んだ狂気の笑顔になっていく。
「あ…は…ハハ……アハ、アハハハハハハハハハハ!!」
突然笑い出した自称カグツチに呼応するように祭壇のあちこちに設置された松明が激しく燃え上がって火柱を作った。
「ふんっ!」
膨れ上がるようにこの場の温度が一気に上がったが気にせずミルコが祭壇の上を駆け上がり自慢の足技で自称カグツチを無力化しようとした。
足が触れる直後自称カグツチの姿が蜃気楼のように消えてミルコの足技がすり抜けた。
「!」
「人間が神に勝てると思ってる?」
ミルコのすぐ背後で自称カグツチの声が聞こえたので、すぐさまミルコが回し蹴りで自称カグツチを攻撃しようとした。
直後火柱となっていた松明の炎が大蛇のようにうねりながらミルコに襲いかかりミルコの姿が炎に包まれた。
「…チッ! 忌々しいなぁ…! 悪魔とはいえ炎の属性特化だなんてさ!」
「そういうテメーは自称神様の贋物だって聞いてるぞ!」
「わ、…ワタシは…カグツチ…! 紛い物じゃない!」
「ゴーストライダーがそう言ってたぜ?」
纏わり付くような自称カグツチが仕掛けてきた炎をフィギアスケートの回転技のように体を回してドレスの裾に絡めるようにして消した。
「贋物から本物になりたがってるのか? やめたほうがいいと思うけど? このままだととんでもないことになるじゃないか?」
「黙れ!」
自称カグツチが両手に炎を発生させて二本の剣のような形にし、ミルコに斬りかかった。
「オツムが幼いって情報があったんだが…、そういう意味じゃ哀れだよ。」
「黙れーーー!!」
斬りかかってきた自称カグツチの攻撃を腕に纏うドレスの装飾が発生させる魔力の防御層で受け止め格闘戦の持ち込む。こうした使い方も遊園地での一件以降にゴーストライダー(ザラゾス)から教えて貰った。
「図星突かれてすぐカッとなるなって! そんなんじゃ神様なんてなれるわけないと思うがな!」
「黙れって言っているだろーーーー!」
「ハハハハ! アタシでよけりゃいくらでも癇癪に付き合ってやるから、もっと怒れ怒れ!」
「がああああああああああああ!!」
血管を浮かせた自称カグツチが火力を上げて激しく攻撃を仕掛けてくる。それをミルコが難なくいなしていく。
***
ミルコが自称カグツチの相手をしている間。
「……ここ?」
『ここズラ! 間違いないズラ!』
『兄ちゃん、ホークス! すごい力だけど、コレ…今にも爆発しちゃいそうなぐらいユルユルだ!』
富士山の一番低い位置の立ち入り禁止エリアで、ホークスがコマさんとコマじろうに頼んで富士山に繋がる人為的に作られた地脈を発見した。
「ゆるゆるって…、これだけ大がかりでデカい爆発物を扱うのにそんないい加減で…。」
『…た、たぶん……、ド素人…ズラ。』
「自称だしそんなもんか。」
ホークスはゴーストライダーから事前に研修された地脈を閉じる方法を行うためにここに来たのだ。
コマさんとコマじろうなら普通の人間では認識できない地脈、あるいは龍脈と呼ばれる大地の下に流れる大いなる力の形と位置を把握できるということで、コマさんとコマじろうと契約しているホークスが派遣された。
本来なら専門家、つまり富士山に溜まっている力を悪用されないよう守っていた守護者達がすることなのだが、自称カグツチにすぐに動ける人間を必要な人間達を死傷されてしまったためやむを得ずホークスがやることになったのだ。
コマさんとコマじろうがついているとはいえ、ホークスはこういうことにはド素人。
事前にゴーストライダーから教えられたとはいえ、これが失敗すれば富士山の噴火を誘発する可能性があると釘を刺されているため迅速さと慎重な作業となる。
失敗して富士山が噴火すると他の活火山のみならず休火山の噴火に繋がり日本全土にそれ関連の災害が一斉に発生することになるからだ。
ホークスは今だかつてない責任が重すぎる任務に自然の緊張で汗が伝い落ちた。
『ホークス。』
そんなホークスの足にコマさんが抱きつくようにしてホークスを見上げてきた。
『だいじょうぶズラ! ホークスならできるズラ!』
『きっとできる!』
「コマさん…、コマじろう…。」
二人なりの一生懸命なエールに、ホークスは表情を緩めた。うっかりちょっと泣きそうになったぐらいに。
「うん……。今更だ。決めたことなのにここで足が竦んでたら最速のヒーローの名が廃るバイ。コマさん、コマじろう。やるよ!」
『はいズラ!』
『よっしゃー!』
ホークスの合図でコマさんとコマじろうがホークスに憑依し、ホークスは神獣憑依の形態になる。
剛翼の羽根を剣のようにする技は以前からあったが、それにコマさんとコマじろうの力を宿すことができ、水色の炎と赤っぽい炎が絡み合う奇妙な形になっていた。
それを両手で握り、本物の剣を構えるようにして神獣憑依で得られる感覚で先ほど見つけたユルユルのいつ切れても不思議じゃない不安定で危険な地脈を見据える。
『ーーーシッ!!』
短い呼吸と共に疾風のごとく振られた剛翼の刃が地脈を切り裂く。
コマさんとコマじろうの力を乗せた一閃が的確に地脈を刺激する。
コマさんとコマじろうが神社の狛犬からの妖怪への転生だったことが幸いした。だからこそゴーストライダーが信頼して頼ったのだ。妖怪としての格は低く狛犬だったときの力も失われて脆弱だがホークスの力を合わせて実現できた。
切り裂かれた地脈はごく僅かだ。しかし小さな針の穴に細い糸を通すほど繊細な作業を一発で成功させなければならない。失敗は許されない。
そしてそれは成功し、富士山に溜まる巨大な力を動かすための緩い繋がりが外れて他の火山への影響も無く安全に解かれた。
神獣憑依によって視認できる地脈の消滅を確認すると憑依状態が解除され、コマさんとコマじろうがホークスから離れてホークスはその場に座り込んだ。
『やっとズラ! 大成功ズラ!』
『キモが冷えたね兄ちゃん…! 失敗したら富士山爆発してた!』
「は……ハハ…、は~~~~~こんな寿命減るかと思った任務、もうやりたくない…。」
『オラの予想だけど、たぶんこれから先…ゴーストライダーが色々こういう仕事振ってくると思うズラ。』
『神事の関係者各所が人手不足になってるから…。絶対そうなるよきっと…。あの人、意外と人使い荒いもん。』
「マジ?」
けれどあり得ると理解してホークスは天を仰いだ。
『修行と場数を踏むしかないズラ…。経験積んだらやりやすくなるの、オラ達見てきたズラ…。』
「コマさん達は神社関係者を300年以上は見守ってきたんだからね。説得力すっごい。」
コマさんとコマじろうと正式契約後に二人の詳細情報を本人達から聞いたが、まさか数百年単位での長寿だったとは……っと軽くショックを受けたことをホークスはふと思い出す。
でも念のため補足すると、300年以上の分は狛犬として社で暮らしていた時の年数で完全な妖怪になったのはここ最近なので妖怪歴はほぼ0歳。
「ウダウダ言ってる場合じゃないよね~…。これで遅れたらオールマイトみたいにしばかれそうだからさ。」
『さすがにあそこまで怒られないと思うけど? 神獣憑依で疲れてるの知ってるんだし…。』
『きっと大目に見てくれるズラ。何か言われたときはオラ達が証人ズラ。』
「……ありがと。」
自称カグツチを相手に時間稼ぎをしてくれているミルコに加勢するべく疲労を感じる体を立たせるホークスに飛びついてしがみついてからそう語るコマさんとコマじろうの優しさと気遣いにホークスは再び涙が出そうになった。
「ほんまにバチ優しくて良い子達…!」
『はい、ハンカチズラ。』
『飲み物で喉潤しておく?』
コマさんとコマじろうと一緒に生活することになってから毎日のようにそう感じるほどコマさんとコマじろうの優しさと気遣いが身に染みて、彼らと正式契約を結んでよかったと感じているホークスであった。
今回は決戦開始の回にしました。
本当はここで終わらせても良かったような気がしますが文字数が多くなりそうだったので分けました。
ミルコを出す予定は無かったのですがそういえば炎のドレスを貸してた…っと思い出して時間稼ぎ要員として活躍して貰いました。
自称カグツチとタイマンできていますがこれはザラゾス作のドレスの力にミルコの精神力が合わさって可能になったので、負担を考えると長時間は無理です。
ドレスに宿る力がそれだけとんでもないから実現した感じです。
ホークスは人手不足で他に出来る人がおらず、時間が無い中、失敗が絶対許されない作業を押しつけられた感じです。責任重大すぎて心身にかなり疲労感溜まっています。コマさんとコマじろういなかったら倒れてたかも?
人手不足が発生したのは自称カグツチがレッドラインにそういう職業の人や能力のある人を片っ端から始末したからです。でもホークスにできることまでは読めず、ツメが甘かった感じです。
次回ぐらいにとんでもない展開を書く予定。
予定通りに出来ればいいですが…。
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