今もしんどい。
でも書きたかったから頑張った。
書き上げればスッキリするものがあると思って。
今回でオリジナルヴィラン勢との戦いは終わりとしました。
つまり決着。
自称カグツチの最後とかはかなりあっさりにしてしまいました。
本当はもっと大事になるような流れを書こうとしてましたが、原作寄りに戻すか、SPCが絡むエピソードを書きたかったので終わらせることにしました。
本物のカグツチも登場しますが、オリジナルヴィラン勢が悪事を働いた原因であるのにあっさりにしてしまいました。
もしかしたら書き直すかも……。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
富士の樹海の一角に大きな火柱が上がった。
木製の祭壇が爆散するように飛び散り火が付いて赤く燃えた木片と黒く煙をくすぶらせる木片が地面に散らばった。
煙にまみれるようになりながら地面に勢いよく転がったミルコが転がったときの反動を利用して体勢を整えて起き上がった。
ゼーゼーと苦しげな口呼吸を繰り返し、汗に灰が張り付いてしまい褐色の肌が酷く汚れてしまっていた。
『そろそろ限界…じゃないかなぁ?』
煙が晴れていき、赤々とした炎に包まれた人型が現れた。
自称カグツチが更に神の力を発揮して姿を変えたのだ。
「…ハッ……、お前の方こそ…、ゼェ…、全身燃え尽きそうだぞ?」
ミルコは虚勢を張って勝ち気な笑みを浮かべて垂れて落ちる汗を乱暴に腕で拭いながら挑発する。
しかしミルコの限界は自称カグツチには見抜かれているらしく、炎に包まれていて顔の形が分かりづらいが嫌な笑みを浮かべてミルコを嘲笑してきた。
『その衣装…、悪魔の毒素がべっちょりで、まともな人間が身につけられるような代物じゃないなぁ…? 死にたい? このままだと死ぬと思うけど?』
「……。」
自称カグツチの言葉にミルコは答えなかった。その言葉通りだったからだ。
血管の中を駆け巡る毒素の存在をミルコの肉体が感知して苦痛としてミルコの全身に広がってきていた。
強がっているが正直な話膝どころか全身が震えるほどだったが気合いで耐えていた。だがいくら精神力で肉体があげる悲鳴を押え付けていても肉体は限界を迎えてしまう。
赤いドレスから伸びてくるのは黒い染みのような触手のような物。それがミルコの肌に張り付くように染みついてくる。それはまるでミルコの肉体をドレスが直接喰おうとしているように。
このままだと死ぬというのは嫌でも分かるがドレスを取り外すという選択肢を取ることがミルコにできなかった。
「……(ここまで消耗するとこうなるとは…、文字通り食い殺されそうだ…!)。」
浸食してくるドレスの素材に宿る危険な力を感じ取り、ミルコは歯を食いしばった。
ミルコの体が目に見えてガクガクと震え始めているのに気づいた自称カグツチが笑う気配があった。
『神の火で骨まで焼き尽くし、悪魔の毒を残らず浄化してあげようか?』
「…そいつは……、遠慮しとく…。」
声も震えて顔も汗で濡れ、表情を作る筋肉もヒクヒクと震えてうまく笑えているかどうかすら分からないがミルコはそれで虚勢を張る。
まだか、まだ来ないのかとミルコは考える。
ミルコが時間稼ぎをしている間に、ホークスが自称カグツチが仕掛けた富士山の力を利用する術を断ち切り、それが終わったらコチラへ援軍に来るはずだ。ゴーストライダーもパラサロットを倒し、レッドラインも降服したからコチラに急行することになっている。
『もしかして? 仲間が来るのを待ってる? もしかして? 見捨てられた? アハハハ、残念だった? ここって外界との時間が少しずれてて迷い込むと神隠しになって戻った時に浦島太郎みたいにズレちゃって大変なことになるんだよ? それ知らないで入ったの? アハハハハハハ!』
自称カグツチが腹を押さえて笑う。
ミルコは黙って聞いていた。
眼前で笑い転げだす自称カグツチを見据えたまま動かない。その目にはまだ諦めの感情はない。
ひーひーと笑いすぎて腹を痛めた様子の自称カグツチは、やがて笑うのを止めてミルコにトドメを刺してやろうと剣のように伸ばした炎をミルコに向けようとした。
次の瞬間、青と黄色っぽい炎を纏った羽根が飛んできて自称カグツチの肩に刺さった。
『いっっ!? こ、これは…!』
「なるほど…。元狛犬の妖怪の力も通るんだ? だからあくまで“自称”でしかないわけなんだ。」
「…おっせーーーよ…。」
フワリッと舞い降りてきたのはホークスだった。
ミルコはホークスが来たことに気づいていたが自称カグツチに悟られぬよう気をつけたのだ。
ホークスの剛翼にコマさんとコマじろうの力を乗せて一本射たのだが、それは自称カグツチが纏っている炎では阻まれず自称カグツチにダメージを与えていた。
自称カグツチは大げさすぎるほど肩を押さえて痛がり悶えていた。
しかも刺さっている羽根は自称カグツチの炎で炙られているようだが、燃え尽きるのに時間がかかるようだ。
『本物じゃ…ないから…。』
コマじろうがボソリッと言った。
コマさんとコマじろうはホークスの両肩にしがみついているが、プルプルと震えていて顔色が悪くなっていた。本人達は今回の事件の黒幕である自称カグツチが自称ではあるが本物の日本神話の神の一部が入っているのを感じて無意識に身が震えてしまうと答えていた。小さな神社の神に仕えていた狛犬だったので無意識であるが神に頭が上がらない性質があるのかもしれない。
『絶対大変なことになるズラぁ…。』
ガタガタブルブルと震えて泣きそうになっているコマさん。神の怒りを買うことがどれほどヤバいことなのかは、神に仕えていたからこそ神の怒りがどれほど怖いか理解しているのだろう。
『ちっぽけな社の番犬の…妖怪堕ちごときが…!? ぐ、ぅ…っ、な、なぜ…、い…だぁ…いぃぃぃ!』
「しょせんは自称神様だからじゃない?」
『だ…だまれぇぇぇぇぇ!!』
「おっと。」
ホークスの冷静な言葉に怒りを噴出させた自称カグツチがホークスに飛びかかったが軽々とホークスが宙で横にずれて回避した。
「本気で相手する気は無いから。」
ホークスが肩をすくめた。
『なっ…!?』
「俺の仕事は終わったし、時間稼ぎのためにお前の気を引く作戦だったからさ。燃えすぎてて感覚鈍ってる?」
『?』
ホークスの言葉を理解できない自称カグツチにホークスは哀れむような目を向ける。
「だって……ねえ? 今の時代、一番怒らせちゃいけないヒーローの怒り買ってんだから。」
『あ…………。』
『おいたが過ぎたな。』
自称カグツチの背後に自称カグツチのものとは違う炎が接近し、自称カグツチの肩を掴んだ。
『ハッ…!?』
『ふんっ。』
自称カグツチの胴体に背中から両腕を回しガッチリとホールドすると。
ゴーストライダーによる、地面にクレーターができるほどの容赦の無いジャーマンスープレックス。
漫画表現なら両目が飛び出して口からなんか吹いてるだろう。
「うわ~~~…、思いっきりいった~~~……。」
容赦無しの最初の一撃にたまらず口を手で押さえてしまうホークス。ホークスの肩にしがみついているコマさんとコマじろうもガタガタと震えていた。
ゴーストライダーが身を起こす前にホークスがミルコの方へ移動した。地面にとうとう身を横たえてしまっていたミルコを抱きかかえて、これから始まるゴーストライダーからの制裁から避難した。炎のドレスを外すための方法をゴーストライダーから教えられていたので避難前に先にドレスを取ってから元のヒーロースーツになったミルコを抱えてだ。そうしないとドレスの素材と宿る力に食い尽くされてミルコが死ぬからだ。
『起きろ。これだけで終わるとでも?』
『…ぅ…ううっ。』
身を越して自称カグツチを見下ろすゴーストライダーの顔を見ずとも分かる。轟々と燃える炎に包まれたドクロの頭部に罪無き犠牲者達の無念の怒りと怨みを背負った者としての憤怒に染めていること。本物の一部が入っていても格の違いが分かる、いやむしろ下手に神の力があるせいで余計にその絶望を感じてしまう。
今更だが、自称カグツチは初めて後悔という感情に打ちのめされた。
絶対に敵に回してはいけない奴の怒りを買い、地獄の予行演習を体験する羽目になったことを。
表面上の謝罪の言葉も、命乞いの言葉さえ出てこない。怖すぎる。恐ろしすぎる。無理。絶対許してもらえるわけがない。絶対許さないからここにいるわけで……。
圧倒的な恐怖と絶望により、自称カグツチの中にあった人間としての理性と倫理などを凌駕するものが吹き上がる。
ヤケクソという、狂った暴走だ。
言葉にならない意味不明な叫び声をあげた自称カグツチの体から凄まじい勢いで炎を放出した。炎は触手のようにうねり、ムチのようにゴーストライダーに振り下ろされる。
だが、ゴーストライダーの体に接触した炎は寒天みたいに崩れた。
それを見た自称カグツチがピタリッと止まる。石になったみたいに固まり、完全に言葉を失っていた。
格の違いを理解していたがここまでとは…っという現実を突きつけられて更に絶望が増したのだ。
『被害者の怨みと怒りと悲しみがブースト燃料になってるからだ。』
ザラゾスはそう言う。
ほんの少しとはいえ本物の神の一部の力であるため、正直悪魔の力にも通用するのだが、ゴーストライダーが引き受けた被害者の加害者に向けるそれらの感情がゴーストライダーの力を上昇させているため無傷でやり過ごせてしまったようだ。
ゴーストライダーは黙ったまま両手を握り、バキボキと音を鳴らす。さあ、これから最初のジャーマンスープレックスよりキッツい制裁を始めるぞ、と告げているように。
『あ…う……、な…ん………んで……、わ、……お……俺は……ただ………、…………?』
『!』
『…………あーあ……、とうとう起きたか。』
神を自称していた哀れな人造人間が思い込みが剥がれて素の状態に戻りつつあった時、異変が起こった。
それは恐れていた事態。
その事態にならないことが最善だったが、やはり無理だったようだ。
消えかけていた自称カグツチの炎が勢いを増し、自称カグツチに絡みつくように蠢いて自称カグツチを包み込んでしまった。
自称カグツチは何が起こっているのか理解できず纏わり付く炎を引き剥がそうと暴れた。だが炎は自称カグツチの意思にまったく従わずに動く。
『うあ…あああああああああああああ!? た…す……。』
自称カグツチの姿が炎の中に消えていく中で、助けを求める悲鳴をあげたが悲鳴さえも炎に飲み込まれた。
膨れ上がる炎からゴーストライダーが距離を取るために神域の端まで逃れた。
十数メートルぐらいの高さまで膨れ上がる炎はやがてある形となる。
それは生まれたての赤ん坊のような形であった。人間の赤ん坊。
『原始の母なる神を焼き殺して、生まれて間もなく父に首を切り落とされた、火の神カグツチ。神様気取りがかき集めたバラバラにされた体の一部が、今またひとつに戻ったか。神様気取りを生贄にして。』
ザラゾスが感慨深そうにそう言葉を漏らす。
生まれてすぐに死んだカグツチの姿は、その時の姿をとどめているようだ。
それは内面も同じようで……。
富士山と樹海の周辺にも響き渡る創世の神話の神の一柱の叫ぶような泣き声がその口から発せられた。
本物のカグツチが降臨する事態になることは想定して、日本全土に警告と予防策は張っていた。だから何もせずに思いっきり影響を受けて日本全体で火元からの火事や熱を持つエンジン類の爆発や高音を扱う工場や作業の停止、活火山への侵入禁止などで巨大な被害を最小限で抑えられた。
カグツチが癇癪を起こした赤ん坊のようにオギャオギャと泣きながら地面を四つん這いでハイハイをして樹海を燃やしながら突き進もうとする。
赤ん坊の精神ではあるが、勝手に自称する人間に好き勝手に利用されたことに怒り狂っているのだ。
樹海から出られてしまったらカグツチの力がより強く日本全土襲うだろう。そうなったら予防策も意味を成さない。
この場所で決着を付けなければならない。
『出久。教えたとおりにしろ。今回はお前と俺が代理だ。イザナギのな。』
『……分かってる。』
『なら良し。』
ゴーストライダーが懐から出したのは一振りの剣。
見るからに古めかしく、武器としての価値より歴史的価値の方が圧倒的に高そうな無骨な剣。
『悪いな赤ん坊の火の神。父親にやられたように、また切り刻まれてもらうぜ。』
ハイハイをして突き進むカグツチの進行する先に立ち、ゴーストライダーが剣を構えた。
かつてカグツチの首を切り落とし、残った体も切り刻むのに振るったイザナギが使用したその時の本物だ。
赤ん坊であるせいか、それとも怒りのあまりにまともな思考もできないのか、カグツチはそのことを理解できていないようだ。
だから再び首を切り落とされ、体を切り刻まれて分けられ、最初の死とその後のように自分から生まれた山々へと戻されて元通りになるまでのことさえ理解せず、怒りさえ忘れて鎮められることとなる。
こうして火の神カグツチを自称していた人造人間の失敗作が中心となって引き起こした事件は終わった。
本物のカグツチの鎮め方は最初からこうすると決めていました。
神話をなぞる形での鎮め方というのは神聖な祭の儀式や、三種の神器のように本物じゃないものを納めるような形で残っているというのを参考にしました。
本物のカグツチは生まれてすぐに父親のイザナギに首を切り落とされて死んでいるので復活しても赤ん坊のままであったことや、富士山の近くという特殊な場所で決着を付けたことで被害は大きくならずに済んだという形にしました。
もし樹海から出られていたら、日本全土にカグツチの怒りが広がって大きな災いの被害になっています。
自称カグツチから本物が復活してきたのは、あの場に自称カグツチがカグツチの体から生まれた山々から集めた山の一部を置いていてから。
自称カグツチを生贄として罰を与えて、赤ん坊のままやり場のない怒りに暴れようとしていましたが、ゴーストライダーがカグツチの命を奪ったイザナギの剣を持ち出して防がれて再び切り刻まれて分かたれ、元通りに山々に戻されたて鎮められた。
次回は事後処理とか、その後の話にしたいと思っています。
その次を原作本編に寄せるか、SPC(ビルダーベア)と戦う展開にするか、迷っています。
次の短編のネタにするなら?
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妖怪ウォッチ
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すまっしゅ!!
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それ以外の怪異や、妖怪など
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SCP
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いや、連載の続き書けよ