時系列はホークスがコマさんとコマじろうと正式な契約を結んだ後で、しばらく経ってから。
コマさんとコマじろうのキャラが違うかもしれませんし、ホークスもだいぶ違う気がします……。
コマさんとコマじろうが作る料理については捏造してます。原作の彼らがどうなのかはちょっと分かりません。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
最近ホークスの住居は、早朝になれば一人暮らしじゃ絶対なかった香りで始まる。
匂いと一緒に耳を澄ませばトントンと包丁で何かを切っている時の軽い音と、鍋が煮える音も混じる。
夜勤で夜遅かったが、睡眠状態の波で浮上した浅い時にこれらの、特に匂いを鼻で感じてしまうとどんなに眠ていたくても胃が刺激されて眠りから覚めるのを手伝ってくる。
そんなわけで半分寝ながら台所の方へ行けば。
『あっ、おはようズラ。昨日は遅かったから、もっと寝てていいズラ。』
コマさんサイズにデフォルメされた割烹着で台所で料理をしているコマさんが包丁片手に振り向いた。
「ん~…、良い匂いするから目ぇ覚めたバイ…。」
『今朝はおうどんだよ。お揚げさん焼いたら食べる?』
「…もらう。」
食卓の椅子を引いてホークスが座るよう促し、コマさんとコマじろうがテキパキと朝食を用意する。
今朝の献立は、柔らか卵とじうどんと焼いた油揚げ(大根おろし添え)。
関西風のうどん出汁で小さく切った野菜を柔らかくなるまでしっかり煮て、茹でうどんを半分に切って加えて煮て味を染みこませて柔らかくし、最後に卵でとじてネギを振ったお腹に優しい感じにしている。
あえて茹でうどんを更にうどん出汁で煮ているからコシがなくてフニャっとしているが、むしろそれがこの料理の肝なので口に入れればそんなに噛まなくていいし、温かい出汁と共に出汁を利かせた薄味のおかげで疲れた胃に負担を感じずジンワリ体に染みるような満足感を得られる。うどんも短いため啜る労力もない。ハシだけじゃなく、レンゲのような匙で食べれる。
「はぁ~~~~…、生き返る~~~…。」
『よかったズラ。焼いたお揚げさんも食べれそうズラ?』
「ん…、ん! これもイケるじゃん。」
油揚げを焼いてパリッとさせただけの物だが、サクッとパリッとしていて軽く、大根おろしに醤油だけで美味しい。
夜勤明けの早朝だが食べやすい朝食のおかげで夜勤明けのだるさも軽くなった。
『今日は日勤だったよね?』
『お弁当はいるズラ?』
スケジュール帳を確認するコマじろうと、お弁当がいるかどうかをホークスに聞くコマさん。
「今日のお弁当なに?」
『お弁当箱を開ける楽しみがなくなるから秘密ズラ。』
「えー、意地悪。でも期待していいって思っちゃうよ?」
出勤する時間までコマさんとコマじろうと喋ったり、コマさんとコマじろうを抱っこしたりしてもちフワ感触を堪能したりしているホークス。(仕事の休憩中でもやってる)
そうして出勤すると事務所の人間がホークスに仕事の依頼の話を持って来た。
「テレビ局ねぇ…、今割ける時間も余裕もないんだけどなぁ…。」
「いえ、それが……。」
「なに、どうしたの?」
言いにくそうにする事務所の人間にホークスが何かを察した。
「……請けるかどうかは別にして話だけは聞くから予定立てといて。」
「は、はい!」
ホークスがそういうと、事務所の人間は返事をして急いでテレビ局に連絡しホークスとの会話をするための約束と予定を立てた。
そうして数日後にテレビ局の会議室に通されたホークスは、隣にコマさんとコマじろうを椅子に座らせてテレビ局の人間達との会話を始めた。
「本日はお時間を頂きありがとうございます! わたくし共は新番組製作に…、ぜひ、コマさんとコマじろうさんに出演をお願いしたいのです!」
『もんげーー!?』
『兄ちゃん! しっかりして!』
「やっぱりそうでしたか。」
「ええ…、最近のヒーローの方々があげるSNSにホークスのお弁当を食べる様子や、分けていただいた時の味の感想などを拝見して……。最近の映えとは程遠いですが、素朴で美味しいお料理番組という形を考えているのです。」
確かにコマさんとコマじろうが作る料理は和食がほとんどだ。頼めば洋食も作るし、作ったことがない料理でもレシピを覚えて作ってくれるぐらい柔軟だ。
元々小さな神社で狛犬としての役割だけじゃなく、神様の身の回りを整える仕事も全て任されていたため、料理を始め全ての家事も家計簿ののための読み書き計算もできる万能かつ有能だった。
正式な契約後から始まったコマさんとコマじろうと同居した生活の中で、特に仕事場に持って行くコマさんとコマじろう作のお弁当に他のヒーローが気づき、羨ましそうに見ててコマさんとコマじろうが自分達の分を分けてあげたことがあり、この時の感想をSNSに上げられてバズった。
たちまちコマさんとコマじろうの手料理を食べるホークスうらやまけしからん!っとSNSの妬みコメントが増え、ホークスが写真をあげたわけじゃないが、他のヒーローが撮った別の日のお弁当の写真や手作りおやつのこととか、まあとりあえずコマさんとコマじろうの料理への興味関心がネット界隈を賑わせていたのだ。
視聴率を取りたいテレビ局からすれば、このチャンスを逃したくないので今回ホークスの事務所に依頼の電話をしたのである。
深々と頭を下げてくるテレビ局の番組製作陣に、ホークスはフ~っと長い息を吐き、コマさんとコマじろうに向き直る。
「二人はどうしたい?」
『ズラ……? つ、つまり…オラとコマじろうがテレビに出るってことズラ?』
「うん、そう。」
『兄ちゃんすごいことだよ! オラは良いと思う!』
『ず、ズラ…、でも…。』
「何か不安がある?」
『お、オラの料理は…、田舎くさくって…、地味で…、ずっと社の神様のために食材を無駄なく使ってたズラ…。それでもいいズラ?』
「いいよ! いいよ! むしろそれが撮りたいんですよ! 最近は写真映えためばっかりの派手で奇抜で食べにくいような料理がもてはやされる中で、今こそ社会を支えるのは映えじゃなく地味で素朴でも毎日食べて飽きない料理を再認識すべきだと!」
今回の番組製作に熱意を見せるのは番組製作のプロデューサー。
コマさんは、デモデモダッテと繰り返しながら悩み……、しかし最後には。
『お、オラ達のお料理でよければ、がんばるズラ。』
「ありがとーーーー!」
なんとか承諾を得られてプロデューサーが号泣したほどだった。
そうして番組製作のために会議にホークス同伴で参加したり、番組の進行のスケジュールを考えたり、出演する人間の選考、どういう料理を題材にするかなどなど。
じっくり練られて製作された番組が、ついに放映されることとなる。
タイトルは、『コマさんとコマじろうのお料理教室』
そのまんまだが奇抜さは取っ払ってのコマさんとコマじろうの料理の本質を出す意味が込められている。
『では、コマさん、コマじろうさん! 番組始まりの記念すべき最初に作る料理を教えてください!』
『え、えっと…。』
緊張気味のコマさんを隣にいるコマじろうが落ち着かせる。
『おにぎりズラ!』
途端に出演者達が綺麗にずっこける。
『お、おにぎりって! 地味すぎやしない?』
『確かに地味ズラ。でも奥が深いズラ。おまんまがあればすぐ作れて、包丁も使わないから小さい子供でも作れちゃうズラ。もちろんお料理初心者でも、苦手意識がある人も、とりあえずやってみようって思ってもらったら嬉しいズラ。』
『この番組の趣旨分かってます?』
コマじろうがジトッと出演者を見て言う。
『ごめんごめん! 馬鹿にしたわけじゃなくって、昨今のSNSとかじゃ映えが基本だからって思っちゃって。』
念のため言っておく。全部演出だ。ただしコマさんはほぼ自然体のアドリブでコマじろう含めて出演者達が台本をなぞりながらフォローする形である。
『お料理を自慢したい気持ちは分かるズラ。でもお料理って安全に幸せに生きるための術ズラ。』
『ふ、深い! 急に深い言葉!』
『まずはお米を磨ぐところからズラ。』
そんな感じで緊張が解けたコマさんが中心になってコマじろうが料理の説明などの補佐をして番組が進行していく。
ちょっとした手間で炊飯器で美味しく炊く白ご飯のコツ。
そうして炊けたご飯をしゃもじで底から混ぜ、いよいよ本日の題材であるおにぎり作り。
用意する食材は、定番から少し変わり種まで色々と。市販品や少しの工夫で作れる簡単作り置きにもなる物だ。
形も三角おにぎり、俵型、丸型。付ける海苔もハサミで細切りにして模様みたいにしてみたり、紫蘇で巻いてみたり、一時期流行ったおにぎらずにしたり。
飯に小さく切った具材を混ぜ込んだり、酢を混ぜた酢飯握りにしたり、混ぜる具材も色んな組み合わせでバリエーションが豊富に。
『できた!』
『いっぱいできたね兄ちゃん!』
大皿に山のように出来上がった色んなおにぎり。
『おおー! これはすごい! 美味しそうだし、こんな簡単にこれだけのバリエーション! マネしやすいし、自分好みのおにぎりが簡単に作れちゃうっていうのがとっても分かりやすかったよ!』
『今回は普通のおにぎりを題材にしたので、焼きおにぎりや揚げおにぎりは除外したズラ。機会があればまた。』
『オラ、兄ちゃんのおにぎり大好き!』
『最近はおにぎりを作れる型も売っているから、握るのが面倒だったらそれで作ってもいいズラ。まず無理をしないことズラ。無理をしたら楽しくないから続けられないズラ。』
『この番組では、こんな感じでオラと兄ちゃんがお料理を紹介するから! 次回も見てね~!』
『えっ!? 食べないの!?』
『スタッフみんなで美味しく頂くズラ!』
『こんなにいっぱいあると番組終わり時間までに食べきれないもん。』
『試食なしで終わる前代未聞の第一回でした~~~!!』
…………こんな感じで、第一回目の放送となった。
後日からSNSが自作おにぎり写真がトレンド入りした。
子を持つ親からの感想には、子供と一緒に作れて手軽でお弁当にもピッタリだった好感触なものが多かったという。
そんな感じで、すぐに第二回目の放送が決定。
次のお題の料理は、サンドイッチ。
コマさん曰く、前回の反省としてお料理は火や家電を使わなくても作れることと、切って挟むだけでも美味しくて楽しいサンドイッチも立派な料理だと知って欲しかったからだ。
パン屋さんのお高めのパンに拘らず、市販のパンと言っても、食パンに始まり、コッペパンやバターロールなどコンビニやスーパーで気軽に買えるもので十分。
挟む具材、パンに塗る物を工夫したり、ロールケーキみたいにクルクル巻いたり、型抜きでサンドイッチの形を変えるだけでも楽しいお弁当やおもてなしの料理になること。
具無しでお好みのジャムだけを塗って挟んだり巻いたり、前日の残り物を挟むだけでも立派なサンドイッチだし、パンの上に具を乗せるだけでオープンサンドとして通用するお手軽さ。
おにぎりもサンドイッチも簡単だから、料理に興味がある人はまず作ってみて欲しい。
料理は難しく考えて無理にハードルを高くせず気軽に作っていいんだよ、そんなメッセージを込めての第二回目の放送であった。
テレビ局の番組制作陣の熱意で発足されたお料理番組成功の回でした。
コマさんとコマじろうが神社に神様がいた頃、つまり妖怪になる前の狛犬だった頃に作っていた料理は精進料理に近い和食が基本で、リクエストがあれば大正時代とかぐらいから家庭料理に浸透してきた洋食を出していたという設定にしています。
食材は主に神社がある村の住人からのお供えと神社を管理する一族から貰う食材など、どうしても限られてくるため極力無駄が出ないように調理して神様の食卓に出していました。
手作りお菓子もあんこを手作りしたり、昔ながらのお婆ちゃんが作りそうな家庭の味なおやつ系が基本。昔ながらの甘味処の甘味も作れる。
リクエストがあればレシピを見て作ってくれるので、ホークス宅に来てから料理のレパートリーは毎日アップデートされてます。
ちなみにホークスに持たすお弁当は箸使わなくていい内容が多い感じ。つまりおにぎりやサンドイッチ、おかずも手づかみや爪楊枝で食べれるような物。
おやつやデザートに、どら焼きとか手作りわらび餅を持っていくことも。
次の短編のネタにするなら?
-
妖怪ウォッチ
-
すまっしゅ!!
-
それ以外の怪異や、妖怪など
-
SCP
-
いや、連載の続き書けよ