ただし、2巻以降からしか情報が無いため、序盤は捏造。
爆豪、いきなり大変なことに!
短編の方を書き換えて書き加えたので同じ部分もあります。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
SS1 無個性少年と古代悪魔
世界には、人や他の生命の意志が普通は関わることのない裏の世界というものが存在する。
それらを総じて、オカルト文化で言えば魔界だの悪魔だのと言われるだろうか。
個性と呼ばれる超常能力が一般的になり、かつて個性というものが無かったことが当たり前では無くなった時代。
そんな時代に、個性のないごく僅かな人種として生まれた少年がいた。
名を、緑谷出久。
超常能力による犯罪が横行すると同時に発生したヒーローという職業に憧れる少年だった。
しかし、彼の夢は個性がないということだけで否応なしに否定される。
個性がないということは、歴史の浅い個性社会において大きな枷となったのだ。
しかし精神力が強く、なおかつ諦めの悪い緑谷出久は、そんな不遇な境遇にも屈しないよう生きてきた。
だが…しょせんは子供。そして個性という強大な力が彼を追い詰めた。
とりわけ強個性と分類される個性を持っていた幼馴染みの少年、爆豪勝己に目を付けられ、いわゆるイジメを受けていたこともあり、ある日ポッキリ精神力が折れた。
『来世は、個性があることを信じてワンチャンダイブ』
その言葉と、毎日の日課にしていたヒーローやヴィランの分析ノートを焼かれたことで、緑谷出久の心は限界を迎えた。
そして彼は、廃ビルの屋上へ。
そして靴を脱ぎ、遺書と焦げたノートを置いた。
……そんな彼をジッと見ている存在に気づくことなく、緑谷出久は、飛び降りた。
一瞬の大きな衝撃。そして真っ暗になったすべて。
そこまでがわずか十代半ばの少年の終わりだった。
なのに……、真っ暗な世界に炎が灯った。
轟々と燃え上がる炎はやがて暗かった世界を照らす。まるですべてを半ばにして終わってしまった緑谷出久の人生を燃やし、塗り替えるように。
そして、緑谷出久は目を開けた。
「出久!」
「……母さん?」
最初に見たのは、泣いている母の顔。
そして周りを見れば救急隊員らしき人間達がいた。
「?」
なにがなんだかさっぱり。それが出久がまず思ったことだった。
体を起こすと母親に抱きしめられたり、その後警察に事情聴取されたりした。
廃ビルから飛び降りたのかと。しかし出久は何も覚えてなかった。
まるであの炎によってその時の記憶が焼き尽くされたように消えた。
事情聴取が終わり、外傷も無かったことから、平謝り倒して病院から家路についた。
しかし。
「出久…?」
「なに?」
「…あなた、なにか変じゃない?」
「そう?」
「だいじょうぶなら…いいけど。あなた…、まさか本当に飛び降りたの?」
「覚えてない。」
「……。」
「“俺”は、平気だよ?」
「!」
「?」
「やっぱりおかしいわ、あなた!」
「……頭、打ったかもしれないけど。」
「どうしてそのことを言わなかったの!?」
「…別に言うほどでもないかなって。」
「そ、そう…。」
母は、心配しすぎて青ざめていた。
それから、母親の態度はどこかよそよそしくなったが、出久は別に気にしなかった。なぜか気にならなかった。
夜眠ると…、また炎の夢を見た。
その炎の向こうに何かがいるような気がした。
『…やはり…、無個性じゃなければ…ダメだった。』
そんな言葉を聞いた気がした。
そして朝を迎え、いつも通り登校する。
学校の教室には行って自分の机を見ると、花瓶が置かれていた。
「死に損ないが来たぞー。」
っとはやし立てるクラスメイトがいた。
だが出久は何も感じず、花瓶を窓側に置くと、椅子に座った。
「おい、無個性、昨日自殺未遂したらしいな?」
「そうらしいね。」
「残念だったなー。死ねなくてよ。」
「そうらしいね。」
「……?」
「どうかした?」
「…お前…、なんか変じゃね?」
「頭でも打ったんじゃないのか?」
「かもね。」
「お前変だぞ!?」
出久は戸惑っているクラスメイト達の様子を不思議に思った。いつも通りのつもりなのに。
「おい、デク。」
そこへやってきたのは、爆豪勝己。
「なに?」
「…なんだその目はよぉ? ああ? 昨日はビルからダイブしたらしいな? けど死ねなかったんだってな? 残念だぜ。この世で無駄なクソナードがいなくならなくってよぉ。」
「『俺』の目が、なに?」
「…?」
「どうかした?」
「お前…誰だ?」
「?」
「いや、そんなわけねぇか…。ともかくその目…やめろ。クソムカつく。」
「普通だけど?」
「ああ?」
「なに? この手はなに?」
爆豪に胸ぐらを掴まれ立たされた出久は、ジッと爆豪を見た。
爆豪は、その目に見つめられ、グッと息を詰らせ、火傷でもしたように慌てて手を離した。
するとチャイムが鳴って教師が入って来た。
「チッ!」
大きく舌打ちした爆豪は自分の席に座った。出久は何も気にすることなく前を向いて座った。
いつも通り授業が始まるが、出久は酷く眠くて、ウトウトと眠ってしまった。
当然だが怒られる。しかし、眠い。何度も起こされては寝た。
眠れば、やはり炎の夢を見た。
すると。
『聞こえるか、小僧。』
「?」
『周りじゃねぇ。俺は、お前の中にいる。』
「幻聴?」
『幻聴じゃねーよ。』
「誰?」
『俺の名は、ザラゾス。お前に取り憑いた悪魔だ。』
「……まだ夢か。」
『おい、いい度胸だな? 飛び降り自殺したお前を治してやったのによぉ。』
「……?」
『死ぬ寸前でお前に取り憑いたのさ。狙ったのにまさかそのすぐに自殺されちゃもったいねーしよぉ。感謝しろよ。大サービスだ。まあ、その影響で俺と近くなりすぎて、人格と精神構造が変わっちまったみたいだけどな。』
「…ふーん。」
『分からないか? 少し前のお前はそーじゃなかった。実の母親はとっくに気づいて不気味がってたな。…可哀想に。実の子であるお前がお前じゃないって思われてんだぜ? 絶望だなぁ?』
「別に。」
『チッ…、お前の人生を見て手を貸してやろーかって思った俺が間違ってたか…。これじゃあ、お前を乗っ取れねぇ。絶望が足りねぇ。』
「なに勝手に人の体取ろうとしてるわけ?」
『仕方ねーだろ、俺はな、無個性の人間じゃないと取り憑けなかったんだ。このご時世で貴重な器なんだよ、お前はな。』
「だからってあげる気はないよ。」
『チッ。失敗だった……。まあいい。お前が絶望の淵に立たされたとき…、この体は俺のもんだ。』
「あげないから。」
「おい、クソナード! 聞いてんのか!?」
爆豪に胸ぐらを掴まれて、やっと出久は我に返った。
「…なに?」
「てめぇ…、朝からおかしいぞ!? クソど真面目だった授業で居眠りしまくりでよぉ! ワンチャンダイブでクソマジでおかしくなったか?」
「そんなこと…、君には関係ないでしょ?」
「おい!」
「もし原因があるとしたら……、君が言ったんじゃないか。来世を信じろって…。」
「っ!」
「結局失敗したけど、結果オーライだよ。」
「けっかおーらいだぁ?」
「うん。ちょっとだけ、君には感謝するよ。ありがとう。」
「っ…、やっぱおかしいわ…。キメぇ…。」
「勝手に気持ち悪がってればいいよ。話はそれだけ? 俺は帰るよ。」
「おい、待てや。」
「なに?」
「……お前、雄英を受ける気か?」
「うん? それが?」
「受けんじゃねーよ? じゃないと殺す!」
「ヒーロー志望がそんな悪い口してていいの?」
「……どうやら分からねーらしいな。」
「かもね。」
「来い!」
爆豪は、出久の腕を掴むと、そのまま校舎裏まで引っ張っていった。
その途中で合流した爆豪とつるんでいる学生達が集まり、出久は肩を押されて校舎の壁に叩き付けられた。
「なに?」
「その目…、ムカつくんだよ! やめろっつっただろうが!」
「俺はいつも通りだけど?」
「そのしゃべり方もだ! お前、昨日まで、『僕』っつってただろーが!」
「そうだっけ? 忘れた。別にいいじゃん。一人称が変わったからって、君に影響があるわけじゃあるまいし。」
「くっ、そっ、ムカつく!」
「勝手にムカつけばいいよ。じゃあね。」
「この!!」
荷物を持ち直して去って行こうとする出久の後ろから、取り巻きの一人が掴みかかろうとした。
すると、出久はその手首を掴んで、そのまま持ち上げ放り投げた。
「…えっ?」
爆豪を始め他の者達が呆気にとられたとき、地面に落ちる音が聞こえた。
「……?」
出久は投げたあとの自分の手を見た。
まるで…、力が溢れてくるような? 奇妙な感覚があった。
「デク…?」
「…前々から思ってたんだけどさ…。かっちゃんは…、人の名前覚えないよね? 人の名前まともに覚えられなくてヒーローなんてやれるの?」
「んな!?」
すると、他の取り巻き達が吹き出したため、爆豪は彼らを睨んだ。
「この…クソナードがああああああ!!」
「短気だよね…。」
殴りかかってきた爆豪の拳を片手で受け止めた。
驚いて目を見開く爆豪とは対照的に、つまらなさそうに目を細めた出久は、そのままその拳を握った。
「うっ、ぐああああああああ!? いでぇええええええええ!?」
ギリッと出久が爆豪の拳を軽く握ると、爆豪は痛がった。
「な、なんだこの握力!? てめぇ、クソ無個性のクソナードが!」
ーーー見ろ…
「?」
ーーー目を…
「ああ…、そうか。君ってさあ、本当にヒーロー目指すなら……。大切なモノが欠けてると思うんだ。」
「!?」
痛がっている爆豪の顎をガシッと掴み無理矢理目を合わせる。
「っ…!?」
「『俺の目を見ろ!!』」
出久の内側に潜む悪魔ザラゾスの声と出久の声が重なり、爆豪は出久のその目の奥から放たれる“ちから”に引きずり込まれた。
それは一瞬の出来事だったかも知れないが、爆豪からしたら永遠に思える苦痛だっただろう。
これまで自分が虐げてきた者達への罪、その罪が生み出す苦痛が爆豪を襲ったのだ。
とりわけ虐げていた出久への暴力がすべてその身に降りかかり、爆豪はあっという間に倒れた。口から泡を吹き、白目を剥いて。
何が起こったのか分からないまま、取り巻き達は、大慌てで逃げ出し、騒ぎを聞いた教師が駆けつけ、救急車が呼ばれる騒ぎになった。
当然、出久も事情聴取され、病院へ。
『……なぜ殺さなかった?』
「かっちゃんなんて、殺す価値もないよ。それにヒーローは、むやみに人殺しなんてしちゃいけない。」
『違う。それはお前の良心とやらだ。素直になれ出久。俺に身を委ねろ。』
「体をあげるつもりなんてないよ? 死のうとした俺を助けくれたことは感謝してるけどさ。」
『まったく…、善意は時に悪意を越える残酷さか…。』
爆豪は、しばらくして目を覚ましたが、出久の姿を見るなり。
声にならない悲鳴を上げ、頭を抱えて身を丸め、ガタガタと震えながら『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』っと、延々と謝罪の言葉を口にしていた。
『ペナンスステア(贖罪の目)』
それは、目を合わせた相手が犯した罪を体験させる最強最悪の必殺の魔眼である。
出久のヒーローとしての在り方の精神があるため、中途半端な威力で爆豪を蝕むだけにとどまった。しかし、それがかえって爆豪を長らく苦しめることとなるのだが、出久はもう幼馴染みに対して関心はほとんどなかった。
ザラゾスが力を貸すのは、出久の人生にちょっと同情したからということにしました。でもザラゾスは、良い奴ではない。悪魔だから。
ペナンスステアを中途半端にされたため、爆豪は廃人にはならず、長らく苦しめられる結果に。
好きの反対は、無関心とは言うが…、今の出久はまさにそう。爆豪に対して関心はほとんどない。
次回は、ヘドロ事件と、ゴーストライダー覚醒かな。
次の短編のネタにするなら?
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妖怪ウォッチ
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すまっしゅ!!
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それ以外の怪異や、妖怪など
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いや、連載の続き書けよ