そして、オールマイトが引退しません。
平和の象徴と、復讐の精霊のタッグ。巨悪を打つ!
そのことは、一気に世間へ広まった。
さらにオールフォーワンとの戦いの後、現場に来たマスコミのマイクを奪ったゴーストライダーが。
『被害者の少女と…、その家族を詰った奴…出てこい。粛正してやる。』
っと、カメラの前で、誘拐されていた麗日と、その両親に嫌がらせなどをした者達に呼びかけた。
ネット社会とか恐ろしいもので、あっという間に指摘された者達は特定され、その人物をゴーストライダーへ告げ口したり、私刑する者が出て事件になった。
そして、オールマイトは……。
「やれやれ…、信じられないね。」
リカバリーガールは、オールマイトの体を調べ、検査結果の紙を見て驚いていた。
すべてが正常値。
古傷、そして治療が必要だった体が健康体になっていたのだ。
今はトゥルーフォームではあるが、その気になれば、マッスルフォームをずっと維持できるのだ。それが今のオールマイトの状態だった。
「つくづくゴーストライダーってのは、破格だね…。こんなことされちゃ、今までなんでやらなかったって詰られるよ。」
「緑谷少年に何をしたのか聞いたのですが、答えてくれなくって…。」
「ちゃんと聞いてきなさい。もしかしたらヤバいことをされたのかもしれないからね。」
「私もそう思います。……これほど力が、体から生きる力が湧いてくるのは、幾年ぶりのことです。忘れていた感覚だ。それはそうと、麗日少女は?」
「怪我も体調も命に別状はなしよ。少々脱水症状があったけど、それは泣きすぎてのことだし。むしろ、精神的なダメージを心配すべきよ。」
警察に保護された麗日は、治療を受けた後、故郷から飛んできた両親と再会した。
両親の姿を見ると、麗日は、決壊したように大泣きし、二人に抱きついた。
その後、雄英校、そしてゴーストライダーこと出久から謝罪を受け、麗日の両親は娘が無事に帰ってきたのだから…っと謝罪を受け入れた。
「麗日さん、ごめんなさい…。君を傷つけたのは俺の責任だ。」
「ううん…。緑谷君のせいじゃない。悪いのは、ヴィランや。」
頭を下げる出久に、麗日は、安心させるように笑い、そう言った。
『気丈に振る舞っちゃいるが、心の中じゃ怖くて怖くて仕方が無かったって思ってるぜ。』
「……。」
『分かっただろう? お前は、復讐は出来ても、救うことはできやしないんだ。あの男…、オールフォーワンとかいったか? 奴の言うとおりだ。お前は犠牲の上に成り立つ正義の上にいる。それでも、お前はゴーストライダーとしてあり続けられるか?』
「緑谷君?」
「ん…、だいじょうぶ。ありがとう…。本当に、ごめん。」
「……あのね。」
「うん?」
「…本当はね。すっごく怖かったんや。」
「うん…。」
「何より怖かったのはわね…。父ちゃんと母ちゃんが…うちのせいで周りから責められたり嫌がらせされたことや…。」
「うん…。」
「敵に言われたんや。……『守るに値しないと思いませんか? ヒーロー志望のあなたにはお辛い事でしょう?』って…。辛かったよ…。」
「うん…。」
「でもね、それでも信じたいんや。」
「うん?」
「悪いことする人もいる。けど、皆が皆そんなことないって。だから…、私、ヒーローになるの諦めない! 絶対にやめない!」
「うん。」
「だから……、緑谷君も…、一緒に頑張ろうね!」
「…うん。」
『…これも若さゆえか?』
ザラゾスが心機一転して明るい麗日の様子に、呆れたように言った。
後日。
雄英校は、夏休み中に全寮制を導入することを決定。
それの理由は、内通者の洗い出し、そして生徒達の安全確保など様々だったがいずれにしても事件で転校する生徒や、学校を辞める生徒が出なかったのは奇跡だった、その信用に答えるため、生徒達の育成・守護のための導入だろう。
「私が呼んだ理由は分かるね?」
「はい。」
監視施設の別室にて、オールマイトと出久が会話をした。
「君はいったい私に何をしたんだ? 返答次第じゃ…。」
「只では済まないですか?」
「まだ言ってないだろう?」
「あなたに差し上げたのは、俺の肉体を蘇生し修復したザラゾスの力です。」
「!」
「あっ、悪魔の力でも体や魂に影響がないように治癒の力だけですから。轟君にやった呪いの逆のような…、オールマイトが望んだから体が治ったんです。」
「私が?」
「ねえ、ザラゾス。そうだよね? オールマイトの心が折れたら傷が開くって…。」
『そうだな。』
「折れない限り、健康体だと思ってください。死なない呪いとかじゃないですから。」
「な、なんかすごいな…。君って…。」
「とりあえず、俺が卒業するまで頑張ってください。それからならいくらでも折れてください。」
「そういうこと!? 純粋に助けたとかじゃないんだね!?」
吐血も無くなったオールマイトがガクーンッとなる。
「あっ…そうだ、緑谷少年。全寮制になることはもう聞いているね?」
「はい。ここから移るんですよね?」
「うむ…、まあここにいてもあまり意味は無かったみたいだけど、轟少年とは離れることにはなるだろうね。」
「それは構いませんよ。」
「あれー? てっきり寂しいとか言うと思ってたよ!」
「猫の躾には良い薬です。」
自分がいない間に散々暴れたらしいから…っと、フッと遠い目をする出久。なお、ザラゾスは、堪え笑いをしていた。
そりゃもう帰ってからも轟に抱きつかれグリグリ攻撃を受け、寝ているときも抱きついて離れないのだ。せっかく『待て』を覚えさせて躾が少し出来たと思ったのに逆戻りだ。
「……苦労してるんだね、緑谷少年…。」
容易に光景が想像できたオールマイトは、労うようにそう言った。
そうして、夏休みが過ぎていく。
そうして新学期が始まる前に……、これから始まる全寮制の生活のため、割り振られた部屋にそれぞれの生徒達が荷物を搬入し、自分だけの部屋を作っていく。
雄英校の敷地内、徒歩5分。築3日。
『ハイツ・アライアンス』
それが、新しい生活の場となる。
「緑谷。」
「ダメだよ。」
「緑谷…。」
「弱った声出してもダメ。」
「みどり、やぁ……。」
「……。」
後ろからついてくる轟がやがてグス…っと泣き出してしまい、出久は立ち止まった。
「おい、デク。」
「ん? なに?」
思わぬ人物が出久に話しかけてきた。
爆豪だった。
「……ちっと、話がある。」
「なに? 今言えないこと?」
「ああ…。」
「いつ話してくれるの?」
「……夜…。」
「分かった。」
「おい、爆豪。」
「うるせぇよ! 半分野郎は関係ねぇ!」
そう言い残すと爆豪は去って行った。
しかし、出久は何か予感していた。
それが、取り返しのつかぬことになるほどの大事件になろうとは……深く考えず。
出久の中にまだくすぶっていたのだろうか?
幼馴染みの爆豪への想いが。
次回、おおごとになります。
オリジナル展開で良いのかな?
とりあえず、オールマイトは引退しない方向で。むしろ元気になった。
次の短編のネタにするなら?
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妖怪ウォッチ
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すまっしゅ!!
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それ以外の怪異や、妖怪など
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SCP
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いや、連載の続き書けよ