爆豪の処分も。
甘いかもしれないけど、これ以外に思い付きませんでした!
案をくださった方々、本当に感謝しています!
全国に展開するリフィカル教団の信者の一部が突如として、見たこともない怪物に変化してしまい、無差別に人を襲った。
一夜で起こったその惨劇により、リフィカル教団が裏で悪魔信仰を行い、その信仰による儀式の失敗がこの惨劇を招いたとして、オカルト掲示板に書かれるとあっという間にまことしやかな真実として大衆に伝わることとなった。
また怪物となった者の死体は、司法解剖に回されたが、変化の理由が分からなかったのもある。非合法の手術や、ウィルスなどの可能性も否定された。
怪物達の駆除であるが。
騒動の元凶とされた教団本部内で発見された業・リフィカルが、死ぬ間際に残したと思しき言霊が込められたダイイングメッセージにより、悪魔退治アイテムが火災から守られるように隠し地下倉庫から大量に見つかった。
個性では対処できぬ怪物達に手を焼いていた全国各地でそれを利用した悪魔退治が行われたところ、あれほど手こずっていた凶悪な怪物達は簡単に退治できた。
また悪魔に取り憑かれた時点ですでに死亡していることも分かり、助ける余地がまったくなかったのだと、現場で悪魔退治をした警察、及びヒーローが罪に問われる事態にはならなかった。
『すべては、教団を創設した私の責任だ。神よ…、どうかお許しを…。』
ダイイングメッセージと共に、懺悔と許しを請う言葉が残されており、今回の惨劇が教団の仕業である裏付けだと決定づけられる。
教団が火に包まれる際に、ステインの目撃情報もあり、発見された業・リフィカルの死体の切り傷などからステインが教団の悪事を知って粛正したものと考えられた。
実際にはブラックハート(ステイン)による犯行だったのだが、犯人であるブラックハートが逃走していることや、業・リフィカルを始めとした教団幹部のほとんどの死、そして一部の真実(ゴーストライダーの一時的な死)を公にできないということから真実は少し捻られ、惨劇の全てがリフィカル教団が原因だということでまとまろうとしていた。
生き残った教団員は、教団が裏でしていたことを知らない者しか残っておらず、そのため真実が明るみになる可能性も低かった。
悪魔信仰に手を染めていた者達は、根こそぎ悪魔に憑依されたか、憑依された者に殺されたかしたのだ。それは、悪魔憑きだった死体を食べることで悪魔の力を手に入れようとした教団にとっては皮肉だっただろう。念願の悪魔の力を手に入れながら、結局その悪魔によって滅ぼされたのだから。
また荼毘から根津に渡されていた活動記録で、悪魔の力を求めていたのも、個性を越える力の入手による進化、そして悪魔の強大な力を人間の意思で扱い、よりよい社会の構築のためだったことも分かった。
すべては、ゴーストライダーという強大な抑止力の死をなかったことにするため、動き出す。
惨劇の一夜から僅かな間に、リフィカル教団は、すべての人間に平等な素晴らしい慈善団体から、その皮を被った凶悪で残虐なカルト教団としてあらゆるメディアに報道され、叩かれ、批難され、潰されていった。
ゴーストライダーの死という別の混乱を招く真実と、相乗効果でブラックハートの犯行であるという真実を隠して……。
「緑谷~~~~~!」
「あー、はいはい……。」
がっちりとコアラみたいに抱きついている轟の頭を撫でながら、出久はもう何度目かになる返事をした。
なお、泣いてるのは轟だけじゃない。
「よがった~~~、緑谷ぐん~~~!!」
「おがえり! 緑谷!」
クラスメイト達にも泣かれた。しかし、その中には爆豪の姿だけは無かった。
聞こうかと思ったが、だいたい察しはついた。
出久が生き返って帰ってきたとはいえ、そそのかされて意図しない殺人をした罪は問われるのだろうか。
最悪除籍…。
『同情か?』
「……。」
『お前にとっちゃ過去のことで、身近にいたヒーローだったわけだが…、そのヒーローに2度も殺されてそれでも信じたいか?』
「分からない。」
「緑谷…。」
「はいはい。生きてるから。もう泣かないで。」
「やっぱ…爆豪の奴を殺したい。」
「それだと轟君が牢屋行きでしょ。俺と会えなくなってもいいの?」
「それはイヤだ!」
「じゃあ、それでいいんだよ。手を汚しちゃダメ。」
「…うん。」
ワシワシと手触り最高の紅白の頭を撫で回し、肩に顔を埋めている轟を落ち着かせる。
「わーたーしー、が…、普通に教室に入って来た!」
「あっ、オールマイト。」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「!?」
ギュンッと残像が見えるほどのスピードで近寄ってきたオールマイト。(※オールフォーワンとの戦いの際にゴーストライダーにより全快)
そしてオールマイトは、ムギュウウウウ!っと出久を抱きしめた。轟ごと。
「おおおおおおおおおおお! 緑谷少年んんんんんんんん!!」
オーイオイオイっと泣きながらマッスルフォームでギューギュー抱きしめてくるオールマイト。
「痛い痛い。オールマイト、加減!」
「ぐっ…。」
「轟君がつぶれかけてますって!」
「おお! すまんすまん!」
オールマイトのふっとい腕と、分厚い胸筋によって圧死されそうになる轟であった。耐久力がある出久は割と平気。
オールマイトは飯田達に止められてやっと放した。
「あの、オールマイト。何しに来たんです? 俺を抱きしめに来ただけじゃないでしょう?」
「そうだった! 私はHRを相澤君の代わりにしに来たのだ!」
「オールマイト先生! 相澤先生はだいじょうぶなのですか!?」
「心配ご無用! 数日もせず復帰する予定だよ! 血が足りないらしいが、命に別状はない!」
「……俺のせいですよね?」
「緑谷少年! 君の責任じゃないさ。さあ! 1-Aクラスの生徒諸君! 席に着きなさい! 大事な話があるからね!」
オールマイトが教壇と黒板の間に行き、生徒達は慌てて席に着いた。
「えー…、先日の件についてはすでに伝わっているだろう。各々、規則に従ってもらわねばらない。もし少しでも口外するならば、即座に除籍処分とする! ……校長先生からのお達しだ。」
途端重苦しい空気が教室内にたちこめる。
隠すというのはある意味で酷なことだ。それが人生を左右するならば余計にだ。素直な人間は特に辛い。
「そして、諸事情により席がひとつ空いているのだが……。そこの席に本来座っているべき少年は……。」
ゴクリッ…と、爆豪の処分を心配していた者達が息を呑む。
「反省文と、トイレと寮の風呂掃除1年だ!! それ以外にも罰はあるが、それについては追って話があるだろう!」
ズドドーーー!
「あれ?」
ずっこけていった生徒達に、オールマイトがハテナマークを浮かべた。
『はーん? さては、ゴーストライダーの死を隠蔽するための工作だな。』
「どういうこと?」
『お前は今やこの社会におけるあのオールマイトとかいう男以上の抑止力だ。その抑止力が一時的とはいえ死んで…、しかも殺す方法があって、ガキに殺されたなんて知られてみろ。お前の存在を排除したいヴィランってのがすぐにでもまた実行に移そうとするだろうぜ。』
「同じ轍は踏まない。」
『例えばだぜ? もっと幼いガキがそそのかされて、お前に接近したとしてもそいつを殺せるか?』
「……。」
『自信ねーだろ。』
「……。」
『トイレと風呂掃除だけじゃねーだろうな。あの駄犬の罰は…。それじゃあ示しがつかねーだろうしよー。』
「でも、バレたらそっちの方が問題だよ。」
『さあな? 隠したがっているのは抑止力を必要とする人間共であって、俺らではないからな。』
「さっき子供に殺される可能性を危惧していたくせに…。」
『お前は甘いんだよ、出久ぅ。こびりついた俺が憑く以前のお前がそうさせてんのかもな?』
ザラゾスがあざ笑う。
『……まあ、以前のお前を取り戻そうとして、殺してちゃ、救いはねーな。』
「かっちゃんのこと嫌い?」
『嫌い云々じゃねーよ。限界まで生きている限り、救いのない生き地獄を味わって死ねって感じだ。』
「それを嫌いって言うんだよ。」
『うるせーよ。』
その後、オールマイトから、近々仮免許取得の試験が行われるのだが、その前に必殺技を取得することが必要なことを言われた。
詳しい話は、相澤やミッドナイトの復帰後に行われるそうで、HRは手短に終わった。
それから半日後……。
爆豪が戻って来た。
ただし……。
首に何か、ごっつい首輪みたいな機器を付けた状態で。
『ギャハハハハ! 駄犬にお似合いだな~!』
ザラゾスがメッチャ笑う。
爆豪を心配していた上鳴達がどーしたそれ!?っと首輪に触ってしまい、首輪から電流が流れてギャアアアアア!っと爆豪がなって焦げた。
「さ…さわんじゃねーよ……。こう…なるから…。」
「ご、ごめん…。」
「けどそれってマジでなに? まさか…あんなことあったから完全に監視体制…じゃ?」
「……ちーげーよ。こりゃ…。」
「それは、ストレス検知器よ。」
「ミッドナイト先生!」
松葉杖で歩いてきたミッドナイトが爆豪の首輪の名前を言った。
なぜ爆豪にそんな装備を付けられたのか…。
そもそも事件の原因は、ゴーストライダーへの恐怖というストレスだったのなら、2度と同じ事を起こさぬよう的確にストレスを溜めずに自己管理が出来るようデータ化しようということなのだ。
様々なストレスにより色んな事がある世の中…、まだ実用化されていないサポートアイテムであるので実験もかねて爆豪のストレス管理が行われるのだそうだ。なお、無理矢理外そうとすると電気が流れるのは犯罪抑止のための装置も兼ねているらしい。
また、これ以外に爆豪に課せられた罰は……。
トイレ掃除と寮の風呂掃除以外に。
卒業まで日記を毎日必ず書くこと。
等などが言い渡されたらしい。
「かっちゃん。覚えてる?」
「ハッ! で、デク……。」
ポンッと後ろから肩を叩かれた爆豪は、傍目から分かるほどビクーンっとなり、滝のように汗をかき、ギギギ…っと後ろを見る。
教室内が途端に緊迫する。なにせ出久(復活したとはいえ殺された側)と、爆豪(騙されたとはいえ殺した側)。何も起きないわけがない。
「ちょっと、外行こうか。」
「……。」
今にも気絶しそうなほど蒼白になっている爆豪の腕を引いて出久は教室から出て行った。
「緑谷…。」
「行くなよ、轟。ここはもう緑谷がどう出るにしても任せるしかねー!」
「し、死なねーよな? さすがに復讐の代行者とはいえ…。」
出久(ゴーストライダー)がどう出るのか……、メチャクチャ気になるところだが成り行きを待つしか無い状態だった。
***
寮の出久の部屋に連れてこられた爆豪は、さながら死刑台に上がっていく死刑囚のような気分であった。
それだけのことをしたのだと、自覚があるだけに。
「かっちゃん。」
「!」
名前を呼ばれただけでビクーンっとなる。
「なんで…、あんなことしたの?」
「……。」
「正気に戻らないと、ペナンスステアだよ?」
「そ、それは……。」
「聞いてるよ。ああなることは想定外だったことぐらい。」
「っ…。」
「でも、本当の目的ぐらい覚えてるでしょ? それが知りたい。」
「……すため…。」
「なに、聞こえない。」
「……以前の…、デク…に、戻す……た、め…。」
「……それだけ?」
爆豪は俯いたまま小さく頷いた。
「君が…殺したんだよ? 以前の“僕”を。」
「!」
「忘れないで。いいね?」
肩を掴まれて顔をのぞき込まれて、爆豪は固く目を瞑り何度も頷いた。
「分かった。もういいよ。」
出久はそう言うと爆豪から手を放した。
「…はっ?」
爆豪は拍子抜けした声を漏らして目を見開き顔を上げた。出久は、特に気にした様子もなく、爆豪から興味が失せたように部屋の奥へ。
「おい……。」
「もう帰っていいよ。話は終わり。」
「おい!」
「……。」
「もっと他にすることあんじゃねーのかよ!?」
「…なに?」
「それこそてめーの目を使って……、俺をあの時みたいに!」
「やったところでどうなの? それこそ君の自己満足になる。」
「!?」
「首輪まで付けられて…、本当に犬みたいになっちゃったね。死ぬか廃人になって逃げたいなら協力しないよ。」
「ちげぇよ! 俺は逃げてなんて…。」
「『限界まで生きている限り、救いのない生き地獄を味わって死ね』。」
「!」
「……ザラゾスはそう言ってたよ。」
淡々と言う出久の言葉に、言葉を失う爆豪。
しかし、やがて。
「………そこまで…。」
「?」
「そこまでそのザラゾスとかいう悪魔がいいのか!?」
「いいとか悪いとかじゃないよ。あの時…、“僕”が“俺”になってから、もう俺はザラゾスから切り離せなくなったんだ。」
「っ…、そ、それは…。」
「でもね、これだけは言えるよ。……違う。本当はずっと言いたかったのかも。」
出久が爆豪を見た。
「?」
「…………………………死ね(ワンチャンダイブ)って言ってくれて…、ありがとう。」
それは、悲しく、皮肉な感謝。
死を乗り越えさせられた結果、ゴーストライダーとなり、生まれ変われたという。逆に言えば、ずっといじめられ追い詰められ、そして最後に死ねと言われて出久が死を選んだからこそ……。
その言葉を聞いて、理解して固まり、大きく目を見開いて静かに涙を零すだけになった爆豪は、力無く両膝をついた。
その後、動かない爆豪を、やれやれと出久が抱きかかえて爆豪の部屋に運んだのだが、爆豪はされるがままだった。
結局、2度も死なせてしまった幼馴染みからの皮肉が、一番の罰なるとか……。
もし、爆豪がいじめをして追い詰めず、ワンチャンダイブしろとトドメを刺さなければ、出久はザラゾスにただ乗っ取られて身も心も奪われていたでしょう。
つまり、今の共生関係になったのは、結局の所爆豪のおかげでもある。(皮肉)
つまり、ゴーストライダー誕生のきっかけは、爆豪だった。(皮肉)
賢い爆豪はそれを理解して、そしてその現実から逃げることも許されず(死ぬことも廃人にもしてもらえない)、都合の悪いことを隠したい周りのために真実を言うことも出来ず生かされる運命に置かれる?
次の短編のネタにするなら?
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妖怪ウォッチ
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それ以外の怪異や、妖怪など
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SCP
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いや、連載の続き書けよ