かなり捏造。
かなり腐向けっぽいけど違いますよ!!(そんな意図はない)
エンデヴァーと、爆豪アンチです!!
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
(※一部を直しました)(2021/06/14)
夜の街中を、大人の男女が息を切らして走っていた。
街灯だけが夜道を照らす、人々が寝静まっていて建物の窓から漏れる光もほとんどない夜道は、当然だがその二人以外に動く人間はいない。息をする生き物がいたとしても、ネズミや野良猫などだろう。
「なんとかしろよ!」
「無理よ!」
息を切らし、汗ダラダラでふらつく足でなお走り続ける。
すると凄まじいバイクの爆音が聞こえてきた。途端に二人は顔色をザッと悪くした。
「も、もうダメだ…!」
「隠れるのよ!」
弱気になる男を引っ張り、女が路地裏に逃げ込んだ。
二人は路地裏に積み上げられているゴミ袋の山に身を隠し、爆音が通り過ぎるのを待った。
「なんでこんなことに…、なんでバレたんだよ…?」
「知らないわよ…。八百長って言っても、昔のことだし、なんで今更になって蒸し返してくるなんて…。」
実は、男はヴィラン、女はヒーローという本来なら敵対関係にある勢力に属する関係であった。
だが実は二人は昔なじみで、男の方は諸事情により道を踏み外し、女は売れないヒーローであったためお互いに金に困っていた。
そんなときに再会した二人は、立場を抜きにしてお互いが生きるために八百長を企て、成功したのだ。
問題があったとすれば二人の想定していた以上に被害が大きくなり、死人が出てしまったことだろう。しかし真犯人である自分達のことは世間にバレず、男は莫大な金を、女は名が売れて仕事を得た。
あの頃とは違い、その出来事から人生が明るくなった二人だったが、今、人生終わりそうになっていた。
「ちくしょう…! ゴーストライダーめ!」
女が小声で追跡者に悪態を吐いた。
ゴーストライダー。
その存在は突如現れ、恐ろしい勢いで暴れ回った。
ヴィランのみならず、ヒーロー、一般人…、その他もろもろ。
だが単に破壊活動や、犯罪を犯すのではない。
罪を犯し、その罪による被害者の無念を晴らす恐ろしい異形の私刑者。別名『復讐の精霊』。
地獄の炎をまとう頭部のドクロ、黒く分厚いライダースーツ、炎をまとうヘルバイク。
ペナンスステアという魔眼と目が合えば、犯した罪の苦しみと痛みをすべて味わい、廃人にされる。犯した罪が大きければ大きいほどそのダメージは凄まじくなるらしく、復讐対象者として狙われた者は今のところ全員廃人になっていて、そのダメージの大きさが分かる。
そして何より、一度狙われればどこまでも追いかけてくること!
実際北極とか南極とかそういうところまで逃げた金持ちがいたらしいが、氷上で追い回されて、ペナンスステアをされた後に観測基地などに預けられた。その辺に捨てておかないのは大変誠実だと評価されている。
金や権力にものを言わせて闇に葬られたり、当時未成年だったとか、もう法で裁かれたとか、暗黙の了解などによって隠蔽されていた過去の罪さえ暴き、被害者の無念を晴らすために、加害者に被害者が味わった苦痛を体験させる特殊な力。
平和の象徴と謳われるオールマイトでさえまったく太刀打ちできない、エンデヴァーを超えるまさに地獄の業火のごとき炎と、不死身のごとき頑丈さと夜の時間帯や罪人を相手にする時に増す肉体の力。
水上も、壁もお構いなしで爆走できるヘルバイクで狙った罪人をどこまでも追いかける姿は、ある意味で死神より怖い。
もう存在自体がヤバい。
まさにダークヒーロー!
そんな地獄の使者のような恐ろしい存在に、過去に犯したたった1回の八百長で新しい人生を得たといっても過言ではないヴィランの男と、ヒーローの女が狙われたのだ。
どこにいようと世界の果てまで追いかけてくるのは分かっているが、あまりにも怖くてつい逃げてしまった。例え過去の悪事を自首しても、タルタロスに収容されても、ゴーストライダーは逃がさない。自分の手で捕まえてペナンスステアである。
つまりどう足掻いてもゴーストライダーから逃げられない。廃人になるということは、あまりの恐怖と苦痛で心が死ぬということだ。己が犯した罪によって死ぬということだ。
女の方はまだマシだが、男の方は頭を抱えてガタガタと震えていた。
「…………………行った?」
気がつけばヘルバイクの音が消えていた。
だが油断はできない。奴(ゴーストライダー)は、一度狙った罪人を世界の果てだろうと追いかけてくるのだから。
「もう嫌だ…! こんなことになるならお前となんて組むんじゃなかった!」
「今更じゃない! 泣き言言っても過去は変えられないわよ!」
「うるせえ黙れ!」
「あたしだって金に困ってなかったら、あんたなんかと…。」
そうやって二人が不毛な仲違いを始めていると、二人がいる路地裏の壁…、つまり三階建てぐらいのビルの屋上に炎の明かりが灯った。
次の瞬間に壁を伝ってヘルバイクに跨がったゴーストライダーが走ってきた。
「ひいいいいいいいい!?」
それにいち早く気づいたヴィランの男が足をもつれさせて逃げだそうとしたが、直後太い鎖が伸びてきて男を絡め取った。
「なんでよ! なんでなのよ! もう済んだことじゃない!!」
胸ぐらを掴まれ片腕で持ち上げられたヒーローの女が暴れながら喚いた。
『……済んだ? それはお前達の心の中でのことだ。だがお前達の罪の被害者は何も終わっていない。お前達の罪によって奪われたモノは……。お前達がのうのうと生きている間の被害者達の苦しみと痛みは……。その罪を生み出したお前達が清算することだ!!』
そして夜の路地裏に、男女の断末魔のような悲鳴が木霊した。
翌日、通行人によりその二人は発見され病院に運ばれたが廃人状態となっていて口もきけなかった。
そして程なくして、二人が昔馴染みの関係にあり、ヴィランとヒーローとしての立場をお互いに利用し合って過去に八百長をしていたこと。そしてその八百長によって死者が出ており、その被害者親族が最近になって生活苦により衰弱死していたこと。恐らく最後の力を振り絞って事件の真相を解き明かし、真犯人であるそのヴィランとヒーローの悪事が明るみになって罰を受けることを望んで実名でネット上に流されていたことなどが明らかとなり、ただでさえゴーストライダーの暴れっぷりと私刑で立場が危ういヒーロー協会はまた余計な仕事が増えたと頭を抱えるのであった。
勝てる奴いるのか!?っと、誰しもが考えてしまう最強最悪のダークヒーローとして、ゴーストライダーの存在は短い期間であっという間に知れ渡っていた。
たまったものじゃないのは、ヴィランだけじゃない。あまりにもゴーストライダーが暴れすぎてヒーローは立場が悪くなり、罪人を罰する側である司法も罪人が廃人となっては法の下で裁くこともできず困る。
なのでヒーロー協会はもちろんのこと、どこの勢力にも入っていない私刑人であるゴーストライダーをなんとかしようとする。しないといけないのは法という決まりによって平和を守る者達の仕事だ。結果、平和を守る側である彼らがゴーストライダーの支持者達に批難されてしまう悪循環。最悪国家政府そのものの存亡さえ危ぶまれた時期さえある。
今はまだゴーストライダーの存在が当たり前ではない。だがいずれ当たり前となるだろう。
それはかつて個性という超常能力が当たり前となる前のように。
***
ヒーロー公安委員会。
それは、プロヒーローという職業をまとめるヒーロー協会の、さらに闇を司る組織のことを指す。
人々の暮らしの平和を守る、そのために手段を選ばないことを黙認されており、表で活躍するヒーローの一部はこの公安委員会に属している。
世間では、最速のヒーローと賞される男、ホークスは面倒くさそうに息を吐いた。
ホークスのいる部屋には、他にも二人の少年がいた。
ひとりは、薄い金色でツンツン頭の目が鋭い少年。
もうひとりは、特徴的な紅白の色分けされた頭髪の美少年。
金髪の方は知らないが、紅白の少年の方はホークスはよく知っている。
轟焦凍。ヒーロー・エンデヴァーの実の息子だ。
父親に全然似ていない外見の轟は、氷のように冷たい表情をしている。
父親との仲が半端じゃなく拗れているのは、少し耳にしていたが……ハッキリ言って多感なはずの少年がする顔じゃない。
ホークスは、携帯端末を操作して渡されていた情報を見直した。
金髪のツンツン頭の少年の名は、爆豪勝己。轟と同い年。まあようするに同じ学校なら同級生だろう。
爆豪は、元雄英校の生徒だ。元? 理由は簡単。1年で退学となったからだ。
公安委員会からの資料によると、体育祭と職場体験の際に問題行動を起こしまくり、更生する様子もなかったため受験でトップ合格だったにもかかわらず1年もせずに退学となったらしい。
そんな彼を公安委員会が拾ってきたのは、彼の人間関係にある。
その一番の理由は、爆豪がゴーストライダーである緑谷出久と幼馴染みであることだ。
ただし、彼らの関係は中学三年生で途切れている。その時期はちょうどゴーストライダーが世間に現れた頃だ。
ゴーストライダーをどうにかしたいヒーロー協会、及び公安委員会は、最初は爆豪からゴーストライダーに関する情報を聞き出そうとした。
しかし、得られたのは……。
『俺が、デクを死なせた。』
彼がデクと呼ぶのは、緑谷出久のことだ。出久という字は、読み方を変えるとデクと読める。意味はなにもできない無個性の木偶(デク)の坊ということだ。
ゴーストライダーになる以前の緑谷出久の情報は、今のゴーストライダー(緑谷出久)には当てはまらず、なにより爆豪の口から緑谷出久が1回自殺したことでそれ以降にゴーストライダーへと変貌したという情報が得られた。そしてその自殺を薦めてしまったのは、他でもない爆豪自身であったことも。しかも自殺を教唆する前から、緑谷出久が無個性なことを理由にずっとイジメ続けていたことも。
公安委員会が拾い上げた時の爆豪は、憔悴しており、出久をゴーストライダーにさせてしまった原因を作ってしまったことを酷く後悔していた。
なお雄英を退学してからの爆豪は、家にいないことが多く、公安委員会が訪ねて探したときには、出久が自殺したと思われる廃ビルの屋上で見つかった。爆豪の部屋にどこで仕入れたのか不明だが大量の睡眠薬と、ロープなどがあったことから公安委員会が来なかったら近いうちに自殺をしようとしてらしい。目の下の濃いクマといい、クスクスと泣き笑いながら出久を死なせたことを語った様子から、限界ギリギリだったのだろう。
彼が体育祭と職場体験で問題行動を起こしたのは、この時に出久の姿でいるゴーストライダーがいて、接触を試みたものの完全無視されたことで激しく取り乱したことが原因だったらしい。出久が体育祭に現れたのは、プロヒーロー達の客席にいたあるヒーローを罰するためだったことと、あと職場体験の時もヴィランを狙っていただけでそこにたまたま爆豪が居合わせたというだけだった。賢い爆豪はすぐにそのことを理解して余計に不安定になり同級生や教師に暴力を振るうほど荒れたのだ。
公安のカウンセリングによる治療を受けながら、その攻撃的でみみっちい性格はともかく、爆破という強個性と元々の早熟の才能を買われ、生きる気力のない彼に公安に務めればゴーストライダーに関わる任務に就かせると持ちかけたところ死んでいた赤い目が一気に変わり、すぐ承諾したらしい。
そしてもうひとりの少年、轟焦凍。
こっちは爆豪とは違う理由でココにいる。
実は、つい先日……、エンデヴァーが襲撃されて大怪我をした。
その襲撃犯は、蒼い炎を操り、白い頭髪、服で隠れていない部分は、大半が焼け爛れたように変色しており、まるでツギハギのように張り付けたような白い肌とただれた部位を縫い合わせたような異様な姿をしていた。
問題なのは、エンデヴァーがそのヴィランに対してほとんど抵抗せずに敗北したことだろう。
エンデヴァーが持つ個性の炎よりも高温の蒼い炎で焼いたヴィランは、エンデヴァーにトドメを刺さずに去って行った。
いや、その場から引き離せれたというのが正解か……。
そのヴィランをゴーストライダーが抱えてその場から去ったのだ。
ゴーストライダーは、いつも単独で行動している。だから誰かを連れて移動するなど今までなかった。ましてヒーローを襲撃したヴィランだなんて……。
この件については、マスメディアを抑え、ゴーストライダーがヴィランと結託している可能性を大衆に知られないようにうまく隠された。
そんな中で、轟焦凍に白羽の矢が立った。
それは、病院で入院しているエンデヴァーのうわごとのような証言にある。
全身火傷による熱でうなされながら、うわごとで『トウヤ』と誰かに向かって手を伸ばそうとする姿が見られた。
エンデヴァーの家族構成を紐解くと、エンデヴァーには子供が4人おり、そのうちの長男である第一子が轟燈矢という名であった。だがその燈矢は、12歳で死亡届が出されて受理されている。
死亡する事件となった山火事の状況からして、生き残る可能性は低く、なおかつ遺灰すら炎の勢いで飛ばされて残らなかったとされる。火事がおさまった後に発見されたのは、燈矢の下顎の骨と思われるごく一部の遺骨だけだった。
ゴーストライダーが連れ去った、エンデヴァーを襲撃したヴィランの背格好の目撃情報と、エンデヴァー自身が口にする『トウヤ』という単語から、もし轟燈矢が現在まで生きていた場合の成長した姿をコンピュータで出したイメージがかなり一致しており、エンデヴァーを襲撃したヴィランが実は生存していた轟燈矢である可能性を考えて警察やヒーローが動き出した。
再び轟燈矢と思われるヴィランがエンデヴァーを襲う可能性を危惧し、彼が本当に轟燈矢であるかどうかと確かめることと、もし本人であるのなら情に訴えかけて隙をつくため弟である焦凍がかり出されたのだ。
エンデヴァーの子は、焦凍以外にもいるのだが、二人とも一般人でありエンデヴァーが望んだ個性ではなかったためエンデヴァーからはほぼ育児放棄されていたことも明らかとなり、特に次男である夏雄はエンデヴァーに凄まじい反発心を抱いており今回のエンデヴァーの入院についても、ざまあみろ!と笑うほどであったため協力を仰ぐのは危険だと判断されたのだった。その点においては、エンデヴァーから多大な期待を向けられ虐待に等しい訓練を課され、推薦入学で雄英に在学する焦凍の方がヴィランを取り締まる仕事を理解している分使い勝手が良かったというのがあった。
焦凍がそのことを理解しているのか理解していないのか、そのことは分からないが、表面上は公安委員会からの任務を受け入れているようである。
実は、エンデヴァーの妻である冷を使うということも真っ先に意見されたが、嫁いだ理由や家庭内の問題で精神病棟にいることや燈矢が冷から受け継いでしまった暑がり体質のことでエンデヴァーに見放されたと恨んでいる可能性もあったため却下となった。もちろん燈矢が、エンデヴァーの関心を一身に受けることとなった弟の焦凍に激しい嫉妬と憎悪を抱いている可能性も高い。だが、だからこそ焦凍が選ばれたとも言える。つまり焦凍はエンデヴァーを守るための囮であり、燈矢を逮捕するためのエサとして連れてこられたのだ。エンデヴァーの意識があったなら速攻でヒーロー協会に殴り込んでいたであろう今回のことであるが、エンデヴァーが動けないうちに終わらせようということで押し通ってしまった。
そしてホークスが今回呼ばれたのは、その仕事の速さを買われてのことだ。最速のヒーローとして最速で燈矢(と思われるヴィラン)を捕えてエンデヴァーを守れということだろう。
委員会は、未来のヒーローの卵より現役の強いヒーローを守ることを優先した。恐らくエンデヴァーの歪んだ教育によって精神面で不安定でいつ崩壊するか分からない焦凍の未来が期待できないということでもあるのだ。つまりエンデヴァーは自らの行いで自分の目的も生まれてきた実の子の未来さえ失ってしまった。今は意識が朦朧としているが、目を覚ましてそのことを理解したならば、彼はどうなるのだろうか?
目先のことを優先する守り手達も、そんな守り手の多数決で未来を奪われていく未来を担う若者達の存在も、いずれにせよ未来は良いものにはならない……。
ホークスは、端末の電源を切って深呼吸するふりしてヤレヤレと重い息を吐いたのだった。
そうこうしていると、ゴーストライダーが予測されていた現場に現れたのですぐに緊急出動となった。
出動して移動途中に、ホークスだけに繋がっている回線で、燈矢と思われるヴィランがゴーストライダーと一緒にいるという情報が入った。
ゴーストライダーは、いつも神出鬼没で、その行動範囲も広く、どこに潜伏しているとかがまったく分かっていなかった。
しかし、罪人を狙うことから、これまでゴーストライダーに粛正されてきた者達の経歴を調べ、計算し、おそらく狙われると判断された者をいくらか限定して監視してゴーストライダーを釣ろうという作戦が取られたのが今回だ。
そして読み通り監視下に置いていた罪人のところへゴーストライダーが現れ、ゴーストライダーを迎え撃つことができたのである。
が……、相手は最強最悪のダークヒーロー。
しかもタルタロスに音もなく、痕跡も残さず潜入して罪人だけを粛正して帰るような奴だ。
出動命令を受けて次から次に駆けつけるヒーロー達を邪魔だとばかりに軽くあしらいながら狙いの罪人めがけて前進する。
罪人が犯した罪による被害者のために怒り、地獄の業火のごとき炎を体から燃え上がらせ、あらゆる攻撃が効かないゴーストライダーに、多くのヒーロー達も警察も怯え、自ら道を開けようとして他のヒーローに怒られ、それに対してヒーローとは思えない発言で反撃したりと現場は混沌とした。
「私が来た!」
普通ならこの一声で一気に状況が好転するだろう。
しかし平和の象徴と謳われるオールマイトの登場でもまったく喜べない。だってゴーストライダーは、オールマイトより強いから。
「これ以上好きにはさせんぞ! ゴーストライダー!!」
『…………………それ、今まで何回言いました?』
「何回でも言うさ! 何度でも挑むさ! 私は君にこれ以上暴れてほしくないのだ!」
『それは…、無念を残して未来を奪われた者達のことを忘れろと? 過去のことだからと水に流せと?』
「そんなことはない! だが…、罪は反省と償いの末に許されるべき事だと私は考える! 償いによって新たな素晴らしい未来が生まれると信じている! だからこそ、死(廃人)んではいけないのだ!!」
『……生きようと死のうと地獄に堕ちることが決まっているのに?』
「なっ…!?」
『己の罪を理解せず生きながらに地獄で責め苦を受けるのと…、己が犯した罪の痛みと苦しみを理解した上で生きながらに地獄で責め苦を受けるのと…、さて? どちらが償いになると考えますか?』
「それは……っ…。」
『許すというのは人間だ。だが許さない人間がいる。許されないことをされ、許せないことをした相手への恨み辛み、その無念を晴らす権利が被害者にはある!!』
「だから復讐するのか!? だが復讐は何も…。」
『それなら、なぜ罪人が堕ちる地獄がある!? 地獄が罪人の罰するためにありとあらゆる責め苦を与えるのは!? 地獄の業火で焼くのは!? 永遠に溶けない極寒の氷に閉じ込めるのは!? 煮えたぎる鉛を鼻から流し込むのは!? あらゆる鳥獣に永遠に喰われ続けるのは!?』
それは人間社会で描かれる地獄絵図の地獄で行われる罪人への罰の一例だ。
悪いことをすれば地獄に堕ちる。それは死後の世界への考えが生まれ、宗教観が生まれたたことで複雑化し、親が子に悪いことをしてはいけないと叱るときに悪い子は地獄に堕ちるという教育のうえでの教材にされてきた。
だから、復讐の精霊は、地獄に堕ちることが決定している罪人を生前の内に罰し、罪人の罪の重さを思い知らせるのだと。
『罪の犠牲者がいる限り、俺は復讐を止めることはない!』
「ぐうううう!!」
オールマイトと正面から圧倒し、ゴーストライダーはより怒りの炎を燃え上がらせる。
「デクーーーー!!」
そこに爆豪が現れ、叫んだ。
かつて彼の幼馴染みであったゴーストライダー……緑谷出久に向けて…。
しかしゴーストライダーはオールマイトを横へ放り投げ、罪人へ向かって前進を続ける。
「こっち向けやデクーーー!!」
爆発ターボでゴーストライダーに接近しようとした爆豪の眼前に、蒼い炎が壁のように遮った。
「お前…、邪魔。」
フードで頭を隠しているが、顔や服の隙間から見える焼け爛れた皮膚、張り付けたような皮膚が縫い合わされている異様な姿。
するとホークスの個性『剛翼』の羽根がひとつ弾丸のように飛んできて、蒼い炎の男のフードに当たり、フード外れた。
そこから現れたのは、雪のように白い頭髪。
それを見た焦凍の顔色が変わった。
「なにすんだよ…?」
機嫌悪そうに、白髪の男がホークスを睨む。
白髪の男は、顔色を悪くしてぼう然としている焦凍をチラリと見て、ニヤッと笑う。
「久しぶりだな、焦凍? 大きくなったなぁ?」
「あ……。」
「あんた…、やっぱりそうなのか…。」
「そーだぜ? 俺は、あのエンデヴァー…、轟炎司の長男、轟燈矢さ! あいつが失敗作と捨てた子供さ!」
ギャハハハ!っと狂ったように笑いながら言う燈矢が、燈矢本人であることを告白した。
爛れた部位と張り付けたような皮膚と縫い目、あと口や耳のピアスなどのせいで、燈矢としての面影はほとんどないが、母親譲りの白い頭髪は死亡扱いされる前の彼の特徴だった。
「クソが! 邪魔すんじゃねー!!」
「お前、ウザい。あんだけ無視されててストーカーかよ?」
「邪魔だっつてんだろうが、クソモブ!!」
「ふーん…? ゴーストライダーから聞いた通りだな? クソな性格の嫌な奴だって?」
「!?」
「なんだよ、その顔? まさかそんなこと思われてるなんて思わなかったとか? 散々いじめていたらしいじゃん? なあ、知ってるか? 好きの反対は、無関心なんだってな。」
「なっ……。」
「つ・ま・り、お前のことをもうゴーストライダーはなーんにも興味も欠片もないってことさ! ご愁傷様!」
「だまれえええええええええええええ!!」
爆豪が怒りのままに爆破を放とうとした。
しかし燈矢に向けられようとしたその爆破は、寸前で止められた。
ゴーストライダーの鎖によって。
爆豪はそれが信じられなくて固まっていると、燈矢の後ろにゴーストライダーが近寄った。
「ごめんなさい…。」
『……怒ってない。』
「失望した…?」
『してない。』
「……本当?」
さっきまでの狂気が消え、ションボリとしてモジモジとゴーストライダーにすり寄る燈矢。熱さは感じさせないようにゴーストライダーが調整しているのか、燈矢が火傷をする様子はない。むしろ触れた箇所から感じる温もりが心地良いのか、燈矢が気持ちよさそうに目を細めすり寄った。
「燈矢兄…?」
「んー? 焦凍? どーした? 羨ましいかぁ?」
ゴーストライダーにベタベタと抱きつき身を寄せる燈矢の姿は、とても幸せそうだ。
焦凍の記憶にはない、燈矢の表情や声色に、焦凍はかなり動揺していた。
「なあ、ゴーストライダー。」
『ん…?』
「弟を連れてってもいい? あの轟炎司のところにいたら幸せになんてなれないからさぁ。…………………ダメ?」
そう上目遣いで聞いてくる姿は、どこかペットのような愛嬌を感じさせる。
その燈矢のお願いにたいしてゴーストライダーは……。
『好きにしていいよ。』
「ありがと! じゃあ、焦凍こっち来いよ!」
「!」
パッと喜んだ燈矢が、すぐに焦凍に誘いを掛けて両腕を広げた。
「どーいうことなのかな? 教えて貰えると助かるんだけどさあ。」
ホークスがゴーストライダーに聞いた。
『……復讐の気配を感じて、燈矢がエンデヴァーに復讐を果たそうとしていた。けれど、体が焼けて耐えられずに倒れた。復讐の代行は、俺がすることだ。だから……。』
ホークスは、ゴーストライダーのその言葉で、ゴーストライダーがエンデヴァーを襲った燈矢を連れて去った理由を理解した。
燈矢のエンデヴァーへの復讐を依頼としてゴーストライダーが請け負ったのだ。燈矢に手を差し伸べ燈矢の手で復讐をさせないために。
燈矢のあの懐きようからするに、ゴーストライダーは復讐の精霊という別名があるように、復讐を望む被害者の想いを理解するのだ。だから怒り、容赦なく罪人を粛正する。
あまりに幸せそうな燈矢の誘いに、焦凍は揺れた。
自分が生まれたせいで燈矢が失敗作としてエンデヴァーに見放された負い目があっただけに、あんな死に別れをした燈矢が生きていて、今ゴーストライダーの傍にいてとても幸せそうにしている。轟家にいた頃に見た彼とは雲泥の差だ。
「燈矢兄は…、幸せなのか?」
「ああ、幸せさ…! 焦凍は? 今の生きている場所で幸せか?」
「っ……。」
「我慢しなくていいんだ。なあ、焦凍。逃げたっていいんだ。苦しいこと、悲しいことを我慢しなくってもいいんだ。助けてくれる! 俺はゴーストライダーに助けてもらった!」
「そう…なの、か…?」
「なあ…、ゴーストライダー…、弟を…、焦凍を…助けてくれる?」
燈矢がゴーストライダーに目線を合わせて聞く。
ゴーストライダーは、ヤレヤレと言った様子で肩をすくめた。
『…もちろんだ。』
「だってさ! 焦凍、助けてくれるぞ!」
「っ……。」
「デーーーーク!」
そこへ爆豪が怒声をあげた。
「なんでそっちのツギハギと、そこの紅白頭野郎がよくて俺はダメだってのか!?」
『……。』
「答えろや!」
『……かっちゃん…。』
「!!」
初めて自分の方に声をかけたゴーストライダー(出久)に、爆豪が驚いた。
『君のおかげだよ。』
「は?」
『君が俺に『死ね(ワンチャンダイブ)』って言ってくれたから、俺がゴーストライダーになれたんだ。だから感謝してる。』
「ーーーーーっ!?」
『俺は感謝だけはしているけど、君にそれ以上のことはしないし、望まない。例え、この先君が俺を追いかけてきてもいいけど、俺にはどうでもいいことだから。だから勝手にすればいい。君がその末に、野垂れ死んでも、俺は……、何もしない。』
「デ…ク……。」
『…………………さよなら……。』
最後の幼馴染みへの手向けだいうことだろうか。別れの言葉を残し、ゴーストライダーは、ヘルバイクに燈矢と焦凍を乗せて走り去った。
もちろん狙った罪人は、きっちりペナンスステアした。
「……好きの反対は、無関心とはよく言ったもんだねぇ…。」
ホークスは、体中焦げて、煤まみれになった体を起こし、ゴーストライダーからの言葉を理解して固まり、大きく目を見開いて静かに涙を零すだけになって両膝を地面についているだけになってしまった爆豪を哀れんだ。
その後、ゴーストライダーの傍には、蒼い炎を操る燈矢と、氷を操る焦凍が常にいる状態で活動を始めた。
爆豪は、公安委員会に所属しながらゴーストライダーを追い続けた。しかし、うまく接触できたとしても無視される。しかし諦めず、追いかけ続ける。その執念は凄まじい。
一方で、意識を取り戻したエンデヴァーは、委員会からマスコミに出せない極秘の情報として、彼の実子である燈矢と焦凍が、ゴーストライダーに付き従うようになったことを知らされ、それはもう荒れることとなった。
公安委員会から渡された、ゴーストライダーと共にいる時の二人の幸せそうな様子に、グッと言葉を詰らせ、懺悔をするように膝から崩れ落ちたという。
デイサービス先で唐突に思い付いたネタでした。
連載を先に書き上げろって話ですが……、書きたい衝動は止められなかった……。
このネタの出久は、爆豪への無関心がより酷い。
そんな出久への罪悪感と、無自覚な執着で生涯ゴーストライダー(出久)を追い続ける爆豪。
燈矢は自分が死んだはずの燈矢であることを暴露はしたけど、世間に知らせてはいません。なので協会とかが厳戒令を敷いて情報が漏れないようにしているので、世間が燈矢のことを知ることは恐らくない。
そして焦凍は、雄英に在学しているけどゴーストライダー(出久)に出会えなかったので、かなりヤバい精神状態に。
けれど、ゴーストライダーのところで幸せになった燈矢と再会して、誘われ、ゴーストライダーについていくことにした。
このネタだと、炎獣になってないし、猫二匹かな?
次の短編のネタにするなら?
-
妖怪ウォッチ
-
すまっしゅ!!
-
それ以外の怪異や、妖怪など
-
SCP
-
いや、連載の続き書けよ