もう一匹の猫は……、まあ…うん……。
爆豪(駄犬)ではないです。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
サー・ナイトアイの事務所所属のヒーローと事務職員がほぼ全滅したこと、そして街ひとつを覆い尽くした幻覚による発狂事件を受け、ヒーロー公安委員会は、原因である悪魔クラミスを指名手配した。
ただし、目撃情報の収集のみに集中し、見つけても絶対に手出しするなと通達を出した。
リフィカル教団の事件のこともあり、悪魔の存在はすでにヒーローに知られている。
低級悪魔退治もあったので悪魔についての研究も行われてはいた。
個性を使っても倒すのが難しいことは、教団絡みのその事件で分かっていたのだが、いかせん科学的じゃない空想上のオカルト、個性という超常の力に頼るようなった世界でも一般的ではなく、下手に個性以上の異質な存在故に贋物のお守りが爆発的に売れたり、間違ったお祓いなどが流行ったりして社会問題になったりもした。
本物の悪魔払いの伝承や呪術を扱う人間も少ないため、贋物が横行する原因にもなった。
「それで? まんまと逃がしちゃったわけ?」
『……すいません。』
椅子に座って足組みしている出久を前に、青い炎獣・荼毘が正座していた。
『てめーを何のために喰ったと思ってんだ? あ? はい、逃がしましたじゃねーよ。ええ?』
「それ、ザラゾスの独断でしょ。」
『……で? まさかなんの収穫もなく、マジで単純に逃がしたのか?』
『いや…。』
荼毘はフルフルと首を横に振った。
そして荼毘は、入手したクラミスに関する情報を報告した。
幻覚の実体化。
強さの代償に致命的な弱点があること。
それらの力を与えたのがブラックハートであること。
事務所襲撃時には、弱点となる事が起こっておりそれで逃げたこと。
「……あの場面で弱点になること?」
なんだろう?っと出久が思い返す。
そういえばクラミスが羽を出して空を飛んだとき、一瞬空中で硬直した瞬間があった。あの時だろうか。
荼毘が言うクラミスの致命的な弱点は、その時には起こっているのだ。
しかもあれほどの力があるのに逃げるほどだから、よっぽどの弱点だ。
『あ~~~~、腹立つな…。』
「なにに?」
『あのボンボン…、まったく余計なことしやがる。まあ、幻覚については、実体化できるのはたぶん発動直後だけだろうな。そこにないもんを本物にするってのは相応に負荷がかかるし、代償もいる。負担を軽くするには、当たる直後ぐらいを一瞬だけ実体化させるぐらいだけだ。乱発してこないってことは、集中が必要か、それでも代償が必要か……どっちでもいいがな。』
「さすがに魔王の息子だから、与えたりするのは得意ってこと?」
『さあな? あの坊ちゃんのことなんざどーでもよかったからな。』
「そのどーでもいい坊ちゃんが作った悪魔に翻弄されてるんでしょうが。」
『……チッ。造魔ってのは、下手するとそこらの悪魔よかパワーだけなら勝るってケースが多いが…、欠陥品ってことも多い。いや、強いからこそ欠陥があるか。』
「というと?」
『例えば知能が劣化してるとか…、そこら辺は人間をベースにすることで補っちゃいるが、何かしらデカい弱点があるから逃げたわけだが…、逆に言えば弱点を一点に集中させたからあれほど強くもなってるともとれるか。』
「ザラゾスから見ても相当な悪魔だってこと?」
『魔界が人間界や天界と戦争していた時代。早とちり連中が敵味方問わない暴走の恐れのある欠陥兵器なんぞこしらえて、慌てて制御装置も一緒にセットにしてたこともあったがなぁ。ま、結局その兵器は今じゃ倉庫でカビ生えてんじゃね?』
「んん?」
『ハッキリ言ってなぁ…、俺をあんなの(クラミス)といっしょにすんじゃねーよ。』
「だから…弱点…。」
『ヒントは、音だ。あとは自分で見つけな。』
「あっ。…もう。」
ザラゾスがそれ以上は言わない態度になってしまったため、出久はため息を吐いた。
すると荼毘が座っている出久の足にすり寄ってきた。
「なに?」
『いや? 焦凍ばっかりずるいなって思って。』
「………………えっ?」
デジャヴを感じるのはなぜだろうか?
『…猫2号。』
「猫違う!」
ザラゾスの呟きに速攻否定。
『そんな全力で…、今の俺はあんたの炎獣なのに。』
「そんな悲しそうな顔してないで、轟君と被る。」
『焦凍ばっかりずるい。俺も可愛がってくれ。』
「あのねぇ…。あっ。」
「……緑谷。」
パキパキパキっと冷気と氷を右側に纏いながら轟が怒気を孕んだ声を出す。
すると荼毘は、まるで見せつけるように出久の膝にコテッと頭を乗せニヤ~っと笑った。
そして仮設テントのある一画に凄まじい冷気の爆発が起こり、その後に青い炎が上がり、騒ぎに人が集まって現場を見ると出久が拳を握っていて、たんこぶ作った轟と、荼毘が倒れていた。
相澤は荼毘の顔を見て驚いた。
「緑谷。どういうことだ?」
相澤の問いかけを無視して。
「二人とも…いい加減にしようか? 猫の喧嘩はあと。いいね?」
『猫って認めてんじゃねーかよ。』
「返事は?」
「……はい。」
『分かった…。』
二人の首根っこ掴んで無理矢理起こし返事をさせる。首根っこ掴まれている様は、本当に猫みたいだ。
「緑谷…。」
「事情はあとで説明します。それより……。』
二人を離した出久はゴーストライダーへと変わった。
その時、空が変色し、オーロラが現れた。
『一気に勝負をつける気だな…。次こそ仕留めます。』
出久はそう言って空を見上げた。
「うふふふ…。」
空には、虫羽を出して飛んでいるクラミスがいた。
クラミスが羽を羽ばたかせながら急降下してきた。
ゴーストライダーが鎖を飛ばすと、それを寸前で躱し、無数のジャグリングナイフを手にして投げつけてきた。
それをゴーストライダーは鎖で全て防ぐ。ジャグリングナイフは瞬く間にウジとなり、焼けた。
「私にばかり気を取られてていいのかしら?」
クラミスが着地しながら空を指差す。
すると空からゴロゴロと音が鳴り、無数の雷が街中に降ってきた。
幻覚の雷だが当たるときのみ実体化するそれは、確実に当たる物を仕留める。
『先生達は街へ。コイツの相手は俺が…。』
「頼むぞ!」
「どれだけ助けられるかしらね?」
クラミスのことをゴーストライダーに任せ、相澤達は街の方へ向かった。
「あの子を大人しく渡していれば、こんなことにはそもそもならなかったのに…、どうしてそこまで頑ななのかしら?」
『お前には分からない。人間であることを捨て、悪魔に堕ちた貴様にはな!』
「酷いわね…。私だって考えたのよ? でもね…、考えたからこそ悪魔を選んだのよ。」
クラミスは、ゴーストライダーの攻撃をヒョイヒョイと避けながら語る。
「死ってね、美しいと思わない? 終わる瞬間……、その瞬間、生命が燃え尽きる瞬間、消えていく命の灯火が…、どうしようもなく好きなの! 恋人の…愛した人の命が消える瞬間のあの瞬間が忘れられない! あなただって消えた命のために戦ってるんでしょ? だから分からない? 儚く、強く、けれど、脆弱で、だからこそ燃え上がって理不尽に燃え尽きる命の瞬間! 死というものの美しさが! でも人間のままじゃいずれそれを見れなくなる。だから私は…あの方の手を取った! おかげでこれまで感じられなかったたくさんの死を感じることが出来る! 私は悪魔になってよかったって思ってるわ!」
『…救われない狂人だ。』
「そうね。」
クラミスは、急に冷めたように表情を無にした。
「でも…、後悔は…ないわ。」
クラミスの形が変わりだす。
顔がカミキリムシ。
腕はカマキリ。
背中には虫羽。
胴体に立つための二つの足以外にも足が生え、人間と甲虫の中間のような異形へと変わる。
カラーリングは、赤と白を基調としたピエロを彷彿とさせる。
『私を助けて(殺して)くれる? ゴーストライダー。』
デビルクラミスが、ギチギチと鳴きながら言った。
荼毘についてのアンケートで、猫2号が意外と多かったので、アシスタント兼猫2号としました。
デビルクラミスの案は、貰った物です。
果たして人間のままの方が救いだったのか……?
次回ぐらいにはクラミスとの戦いを終わらせたい。
次の短編のネタにするなら?
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妖怪ウォッチ
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すまっしゅ!!
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それ以外の怪異や、妖怪など
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SCP
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いや、連載の続き書けよ