ジェントルについては、サクッと終わらせました。
「わあ!」
「プレゼントですわ。」
「壊理ちゃん、ようこそ、雄英へ!」
共同スペースに壊理を招き、色んな動物のぬいぐるみをプレゼント。
もちろん…、ライオンのぬいぐるみもある。(パチモンではない)
「わあ、レオさんだぁ。」
「レオさん?」
「レオさんが守ってくれるからね。」
出久から渡されたライオンのぬいぐるみを抱きしめ、クンクンと温かいお日様の匂いを嗅ぐ壊理。
なんでレオさんなんだ?っと疑問を持つ者達とは反対に、爆豪、轟、切島、麗日、蛙吹は思わず目をそらした。
その後、ホームルームで文化祭が開催されることが相澤の口から伝えられた。
学校っぽいのきたーっと、まだまだ若く活気に満ちた子供らである生徒達は湧く。
雄英校における、体育祭が個性社会のオリンピックに代わるヒーロー科の催しだとしたら、文化祭はそれ以外の他科が主役のイベント。
しかも全寮制になるなど、基本ヒーロー科主体の動きに他科の生徒は少なからずストレスが溜まっているらしい。
なのでこの動乱のご時世で本来なら自粛するところだが、今年は例年と異なり、ごく一部の関係者を除き、学内だけの文化祭となるそうだ。
だがしかし、文化祭の特徴として1クラス必ず何かをやることが決まっている。
例えば、演劇だったり屋台だったり……、出し物は自由だ。
学級委員長の飯田、そして副委員長の八百万がクラスメイト達に意見を求め、黒板に書いていく。
なんか分からない物は消していき、地味すぎるのもみんなの意見の末に消していく。
「おーい、緑谷は意見ないのかー?」
「……ない。」
「なー、楽しめよ、お前冷めすぎなんだよなー。」
「うん…。」
「マジ、テンション低!」
出久のテンションが低いのは今に始まったことじゃない。
しかし、かつての出久はこうじゃなったことを知るのは、この場では爆豪しかいない。爆豪は複雑な顔をしていた。
結局出した案はまとまらず、非合理的な話し合いだと言った相澤が明日までに決めないと公開座学にすると宣告した。
公開座学にならないよう、寮に帰ってから生徒達だけでさらに話し合い。
そこでまず動画サイトを参考に色々と思案。
そうなると出てくる案として、今年色々と騒動に巻き込まれまくるヒーロー科に振り回される他科のストレスの緩和、解消のための出し物の方がいいのでは?っという案が出た。
またランチラッシュ(食堂)で提供される食事の質も考えて、それ以上の物を提供するのは難しいと考え、食事物は却下。
口田が出した動物触れ合いの案も、衛生的によくないということで却下。
「じゃあ…、こういうのは?」
「緑谷?」
飯田が使っているノートパソコンの動画を検索し、ライブハウスらしきイベントの動画を出す。
「こういうのがストレス解消になるかと…。」
「テンションのひっくい割に案が楽しい!」
「けどよぉ、素人芸ほどストレスなことはないぜ?」
「私、教えるのも上手いよ!」
「まてまてぇ! ダンスってのはリズム! すなわち音だ! 客は極上の音にノるんだ!」
「音楽と言えば……。」
視線が耳郎に一気に集まった。
「えっ? なに?」
「耳郎ちゃんの生演奏! それがいいよ!」
「ちょ、ちょっと待て!」
「なんでぇ? 耳郎ちゃん、演奏も教えるのもすっごく上手だし、音楽してるときとっても楽しそうだよ!」
「……芦戸とかさ、みんなは…、ちゃんとヒーロー活動に根ざした趣味じゃんね? ウチのは、本当にただの趣味だし…、正直表立って自慢できるものじゃないっつーか…。」
「笑顔に出来ることが、ヒーローの仕事なら…。」
出久が言った。
「そうだぜ! 緑谷の言うとおりだ! かっけぇじゃん!」
「じ、耳郎さん…。ひ、人を笑顔に出来るかも知れない技だよ! 十分ヒーローに根ざした技だと思うよ!」
みんなの説得に、顔を赤面させていた耳郎は…。
「……………………ここまで言われたら…やらないのは………………、ロックじゃないよね。」
承諾した。
っというわけで。
1年A組の出し物は、ダンスと生演奏の提供となった。
出し物が決まり、楽しく湧く面々を余所に、出久は無表情で宙を見上げた。
「緑谷?」
「……。」
轟が訝しむと、出久は黙ったまま共同スペースから出て行った。
「緑谷、待ってくれ!」
「おっ? なんだなんだ?」
出久を追って轟が動き他の者達も気づいた。
***
「あーもう! なんて強固なセキュリティなの! 急がないといけないのに!」
ラブラバが必死になってパソコンのキーボードを打っていた。
「なにしてるのかな?」
「!?」
背後から急に話しかけられ、ビクーンっとなったラブラバが振り返る。
そこには、出久が立っていた。
「ああ!」
「?」
急に体を反転させ、正座したラブラバが出久に土下座した。
そして。
「お願い…、ジェントルを…、ジェントルを助けて!」
そう必死に懇願された。
「待て。貴女は…。」
「きゃっ!」
ラブラバを起こし、胸元をはだけされる。
左胸の上に、コウモリのような痣があった。それを見て顔をしかめた出久はその痣に触れようとした。
「だめぇ!」
「なぜ?」
「言われたの…。もしこれを外せばジェントルをすぐに殺すって…。私が逃げたらすぐ殺すって! 私がこの雄英にいるちっちゃい女の子を攫ってくれば、ジェントルを解放しなくもないって言われた! 私はどうなってもいい…、お願いお願い…ジェントルを助けて…!」
「…騙されたな。」
「えっ!?」
「その呪いの形は、ブラックハートのものだ。ブラックハートが約束を守るとは思えない。今頃、そのジェントルは……。」
『今頃…、悪魔にでも改造されているだろうな。』
「……“人間”として助かる可能性は低い。」
「!?」
「それでもいいなら…。」
「ジェントルは! 人間のままでいたかったの! なのにアイツが…。だから…!」
「分かった。」
『さーて、助かるかな? まだ人間でいるかどうかも怪しいがな。』
ザラゾスの言葉を聞きながら、出久はヘルバイクを出して乗って走り出した。
それを見送ったラブラバは、祈るように両手を握った。
***
とある山中。
そこの大きな洞穴に、ヘルバイクで入る。
洞穴の中を炎が照らすと…、そこにはドロドロとした灰色の粘膜のような物でまみれており、常人なら嘔吐するほどの悪臭を放っていた。
その奥に、ドクンドクンと脈動する繭のような肉塊が鎮座していた。
出久はゴーストライダーへと変化し、炎を纏った拳を振り下ろした。
繭が砕け、粘液をすべて燃え上がらせるように広がる。
すると繭の奥の方から白銀の何かが飛び出し、天井へと飛びついた。
『ゴルルルル!』
爬虫類と狼を融合させたような造魔・ジェントルが赤く染まった目でゴーストライダーを見おろした。
『おい、コイツ…。』
『分かってる。』
造魔ジェントルを見上げてゴーストライダーが鎖を手にした。
造魔ジェントルが、洞窟内を見えぬほどの速度で跳びはねる。
毛と鱗を纏った強靱な両足がゴーストライダーの胴体に決まり、ゴーストライダーは洞窟を突き破って外へと吹っ飛ばされた。洞窟から出てきた造魔ジェントルが、追撃してくる。
『…ろして…く、れ…。』
微かに聞こえたジェントルの言葉は、死を望む声。
ゴーストライダーは、クモの巣のように鎖を飛ばすと、造魔ジェントルが鎖に引っかかり鎖が生きているように巻き付いて捕えた。
クラミスと違い、まだ完全な形で悪魔になっていないジェントルは、ゴホゴホと血と共に粘液を吐き出す。
『ころして…、くれ……。た、の…む…。』
そんなジェントルに、ゴーストライダーは、炎を纏わせた手で触れた。
ゴウッ!と一瞬の火柱が上がる。
その様子を遠くから眺めていたブラックハートが、クスクスと笑い、やがて去って行った。
……ジェントルのことを確認せずに。
雄英を囲う高い壁の傍で足を抱えて座り込んでいたラブラバは、やがてバイクの音を聞いて顔を上げた。
「ジェントルは!?」
現れたゴーストライダーに、駆け寄ると……。
『……ほら。』
「ジェトルーーー!!」
「…う…、うぅ…、ラブラバ?」
全裸で全身煤けているが無事な状態のジェントルに、ラブラバが大泣きして抱きついた。
『人間としての魂が強くなければ…、助からなかった…。』
「すまない…。ありがとう…。」
「ジェントル…ジェントル…!」
やがて出久を探しに来た轟達に見つかり、全裸のジェントルを見てキャーっと叫ばれたり、ラブラバにかけられたブラックハートの呪いを解いた後、ジェントルがその場で自首をしてラブラバと共に静かに警察に行ったりと、文化祭が中断するような事態にはならなかった。
ジェントルは、人間としての魂が多少強かったことと、悪魔にさせられて時間が短かったため人間として助かりました。
造魔としてのジェントルの姿は、人狼に爬虫類の鱗や、トカゲの尻尾が生えたような姿です。
もし造魔として完成していたら、クラミスよりはパワーが強いタイプになっていたと思われる。
本当は個性も使わせて暴れさせようと思ったけど、不完全であることを書きたくて個性を使わさず、サクッと終わらせました。
本当は最初の書き出しでは、ラブラバが寮に侵入して壊理を攫おうとしてレオさんにやられて捕まるというのを書いてましたが、それだと雄英のセキュリティ的にアウトだと思ったのでやめました。
次の短編のネタにするなら?
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妖怪ウォッチ
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すまっしゅ!!
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それ以外の怪異や、妖怪など
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SCP
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いや、連載の続き書けよ