ヒロアカ×ゴーストライダーネタ  連載版   作:蜜柑ブタ

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やっとこさ合同演習。

けど?




出久と戦うB組チームは物間ではなく、鉄哲を入れています。


そしてザラゾスがなにやら不穏?



そして、タイトルのことが演習後に起こります。






それでもOKって方だけどうぞ。






いいですね?






SS69  溢れ出た地獄

 

 

 ヒーロー科は、二組。

 二つの組が時に手を取り合い、時に競い合い、切磋琢磨し合って互いを高め合う。ヒーローという同じ夢のために。

 

 そして本日は、その二つの組。

 1年A組と、B組による、合同演習の日である。

 

 夏も終わり、肌寒くなってきた日々に、コスチュームも衣替えして防寒仕様に。八百万などは、肌を出さないと個性が使えないため防寒マントを身につけている。

 腕の肌を出していた爆豪も、基本的なデザインはそのままだがそれまで露出していた腕や首を覆うなど、ぴっちりした黒を基調とした発熱素材のコスチュームになっている。むしろ暑い方が汗を必要とする個性の彼には汗をかきにくい寒い時期は不利なのだろう。

 なお、葉隠に至っては……、前からの通りグローブと靴だけ。つまりすっぽんぽん。透明という個性の特性上、身につけているモノが多い方が不利なのだ。だが寒い。

「うひゃ~、緑谷君の傍あったか~~い。」

「葉隠さんは、冷たい気候の場所や季節は不利だね。」

「でも頑張る~。」

「凍傷や低体温に気をつけてね。」

「ねえ、緑谷ちゃん。」

「えっ?」

「顔色が悪いわ。」

「…そう?」

「緑谷…。」

 すると轟が近づいてきてペタッと出久の胸に手で触れた。

「…熱い。」

「そう?」

「分からないのか?」

「……。」

「ゴーストライダーが風邪か? クソデク。」

「あっ。」

 横から来た爆豪が出久のおでこに触った。

 その瞬間、ジュッと音が鳴った。

「ーーーーーーーーーーっ!!」

 直後、おでこを触った手を押さえて大悶絶。

「おいおい、いくらなんでも大げさ…。」

 B組の物間がさすがに大げさだと言うと、ムカッとしたした爆豪が物間の腕を掴んで無理矢理出久に触らせた。

「ギイィイイイイヤアアアアアアアアアアアアっ!!」

「大げさじゃねーんだよ、クソが! 俺の爆破に耐えられる耐熱性抜群のグローブでもこのざまなんだよ!」

 出久に触れた手の方の手首を押さえてバタバタと暴れる物間に爆豪が自分の焦げたグローブを見せてガルルっと唸る。

「ゴーストライダーの熱はヘルファイヤー。地獄に落ちた罪人を焼く炎だ。並の温度のはずがない。俺だってゴーストライダーの呪いが無かったらまともに触れない。」

「ちょっ! 緑谷! 煙出てる!」

「せんせーーーー!」

 プスプスと細い煙を着ているコスチュームの隙間から漏らしている出久は平然とした顔していた。

 相澤とB組担任とオールマイトの判断で、番が来るまでに熱が治まらないのなら演習を強制欠席と言われた。

 番が回ってくるまで、轟が横にいて冷やしていた。

 冷気を浴びせるだけじゃまったく意味が無いため、もう体を凍らせる勢いでやっているがジュシュウウウウウっと、蒸発する音と水蒸気が濛々と上がり続ける。

「いったいどうした緑谷少年、これは異常だぞ?」

 オールマイトが心配して声をかける。

「すみません…。」

「いや謝らなくていいから、なにがあったかくらい教えて欲しいな。」

「…よく分からないんです。」

 肝心のザラゾスもだんまりであるため、出久は困っていた。

 出久の体の異常は、ちょっと前の夜以来落ち着いていたのだが、今日に限ってまた再発。あの時は冷やしてもらってなんとかなったが、今の状態はちょっとやそっと冷やしたぐらいではまったく意味がなかった。

「どうしよう…。」

 合同演習には参加したい。だが体温が安定しない。このままだと演習中に相手を焼き殺しかねない。

 轟も頑張ってくれているが、まさに焼け石に水。

 

 

「!?」

「緑谷?」

「ごめん…。なんでもない…。」

「…なんでもないわけがないだろ?」

 その時、不意に熱が一気に下がり高出力で放たれていた轟の冷気が出久を凍らせたため、轟は大慌てになった。

 合同演習はそれぞれの組が5チームに分けられ、対戦形式で5回戦行われるが、そのうちA組、B組共に1回は、普通科(C組)の心操が特別に入ることとなっている。

 心操は、相澤に見出され捕縛布の訓練と、特別製の変声機マスクを身につけて挑む。口を隠し、なおかつ他人の声を真似られるので心操の言葉に返答すると洗脳がかかるという彼の個性が大いに生かされる。ただ戦闘経験がまったくないため、そのハンデをいかにして周りがカバーするかが勝負所となろう。

 すると。

『……珍しいモンが見つかった。』

 ずっと黙っていたザラゾスが急に喋った。

「?」

『初めて見たときは気づかなかったが…、近頃の凶事に魂が揺さぶられたか?』

「何の話?」

『心操…とか言ったか? あのガキ。』

「心操君?」

 出久が心操を見た。

 出久の視線に気づいた心操が出久を見た。目が合った瞬間、出久の内側にいるザラゾスが愉快そうに笑った。

『良い物見つけた。』

 それはそれはイタズラでも思い付いた子供のように愉快そうに。

 そうこうしていると、くじ引きによるチーム分け。そして心操もA組・B組のどのチームに入るかをくじ引き。

 演習が行われる入り組んだ現場でA組のチームと、B組のチームが戦う。

 1番目のA組チームと、最後のB組チームに心操が入ることになっている。

 ちなみに出久は、最後のチームである。

 お互いに対抗意識こそあれ、同じ夢を追う者達。クラスは違えど夢に向かって皆努力しているのだ。入学当初より伸ばされた個性と日々の積み重ねで鍛えられた心身と仲間との連携により油断を一切許されない戦いとなる。

 別クラスの個性と実力とぶつかり合うことで、それまで気づかなかった己の弱点に気づいたり、実力を認め合ったり…、合同演習は確実に糧となるモノとなっていっていた。

 

 そして…、ある意味でみんなが待ちに待っていた出久の番が回ってくる。

 

「っしゃあ! 勝つぜ!」

 鉄哲が、個性スティールで固めた拳を叩いた。

 えらい自信だ。

 

「ゴーストライダーひとりでいいんじゃね?」

 スタート位置に行く途中で作戦会議。

「でも、これは合同演習よ? ひとりに任せてたら点数貰えないんじゃない?」

「オイラ達ができることなんてよぉ。くっつける!」

「溶かす!」

「浮かせる!」

「……ゴーストライダー。」

「緑谷ぁ…、お前が規格外すぎんだよ。マジでお前一人で十分だと思うぜ?」

「……とりあえず、炎獣を使おうか。探索と追跡…、真っ向から来ることは…。」

「まあ、そんなアホいねぇよ。」

「とりあえず心操君の洗脳は、俺には効かない。向こうも知っている。だから狙うとしたら麗日さん達3人。しかも向こうは声を真似てくる。声をかけ合うときに混ぜられる可能性があるから、声で返事をしないよう気をつける。」

「ハンドシグナルだな。」

「やっぱり心操を先に潰すのが先決?」

「あっ、炎獣で常に追いかければ隠れていられないだろうし!」

「そこをオイラのもぎもぎトラップでくっつける!」

「遠距離からの攻撃は私の酸で防ぐよ!」

「洗脳されたら、俺が鎖で正気に戻す。…決まりかな?」

 そんな感じで作戦会議が終わった。

 そしてB組の方も準備が終わったらしく、演習がスタートされた。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 スタート地点から進んでいくと、鉄哲が出久に襲いかかってきた。

 変身していない出久がタックルされ、引き離される。

「うっそ! アホがいた!」

 まさか避けられる可能性が最も高い出久が狙われた。

 さらに峰田達の方へ、ネジやボルトなどが飛んできて、峰田があらかじめ仕掛けていたもぎもぎトラップにそれが引っかかりそれに気づいて芦戸が酸で防ぐと、ネジやボルトなどのサイズが大きくなり、更に見えない打撃の衝撃を受けて四方八方に飛んだ。

「変身してみろや! ゴーストライダー!」

「……。」

 打撃攻撃を繰り出し出久を下がらせ続ける鉄哲の前で出久はゴーストライダーへと変わった。それを見た鉄哲は笑った。

「てめーの十八番の炎は、無意味だぜ!」

『……。』

 ゴーストライダーは、鉄哲に炎を纏わせた蹴りを入れた。鉄哲は、その足にしがみつくように腕を絡めて止めた。

「個性伸ばしのためにカマドで暮らしたことがあるんだよ!?」

『……すごいね。』

 ゴーストライダーの体から凄まじい勢いで炎が燃え上がった。

「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 視界をすべて炎で防がれるが鉄哲は根性でゴーストライダーを離すまいとした。

 すると炎の色が赤から青へと変わり、スルリと鉄哲の腕からゴーストライダー(?)の足が消えた。

「!?」

『みんなが頑張ってるのに手の内見せなきゃ不公平だってさ。』

「!」

 ゴーストライダーではない声が聞こえたと同時に、鉄哲の顔が殴られた。

『炎を敵に回すのは初めてか?』

 顔を隠している荼毘が、先ほど殴って吹っ飛ばした鉄哲に言う。

「何モンだ、お前!」

『人型の炎獣だ。』

「なっ…!」

『金属だから炎は効きにくいみたいだが、果たして炎を殺せるのか?』

 一瞬で炎へと代わり、鉄哲へと接近した荼毘が横から蹴って転がした。

「え、援護に戻らねーと…。ゴーストライダーの足止め失敗だ…。」

『行かせると思ってんのか?』

「くそ! 離れろ!」

『無駄無駄。』

 纏わり付いてくる青い炎を殴るなりして追い払おうとするが、相手は炎そのもの、まったくダメージがない。しかもスピードも尋常じゃなく早く、強引に振りほどいて仲間の元へ行こうとする鉄哲だったがすぐに防がれてしまう。

『生憎と殺すなって命令されている。地獄の炎の火力で焼かれないだけ、幸運だったなぁ? アイツがあえてお前から離れたのは焼き殺さないためだ。』

「!」

『地獄の炎の火力だったら、金属なんて一瞬で蒸発だった。カマド程度の火力に耐えられるぐらいで立ち向かえると思ってたのか?』

 荼毘は鉄哲の体を右へ左へと殴るなり蹴るなりして転がし続けた。

 

 

 一方その頃。

「……鉄哲。失敗…。」

「人型の炎獣とか、ウラメシくない?」

「獣の形に出来るなら、人間型も想定しておくべきだった。舐めてたわけじゃないけど、予測が足りなかった。」

 上から小大、柳、庄田。

 3人とも仲良く…というか抵抗できず大型の炎獣に胴体を咥えられてA組の陣地に設置された檻のスペースまで運ばれていた。

 離れた場所から、破壊音が聞こえる。心操がゴーストライダー相手に狭い空間で戦っているのだ。

 しかし、やがて熱風が後ろから来た。その熱風に乗って捕縛布の一部が燃えながら飛んできたため、心操が負けたことがすぐに分かった。3人が檻に入れられる頃、心操を肩に担いだゴーストライダーが歩いてきた。ゴーストライダーの身体のあちこちに捕縛布が巻き付いていたが、チリチリと歩くたびに燃えて落ちていく。

「ちくしょう…、勝ちたかったな…。」

『…すごく、強くなったね。体育祭の時よりずっと…。』

「!」

 ぐったりとゴーストライダーに担がれている心操が悔しそうに呟くと、ゴーストライダーがそう言った。

 ゴーストライダーからそう言われ、目を見開いた心操は、やがて目から涙を零した。

 こうして最後の演習は、A組チームの圧倒的差でA組の勝利で終わった。

 

「今回は確かに僕らB組にクロ星がついた。しかし! 内容においては決して負けてはいない!」

 

 っと物間が笑いながら言う。

 

 しかし……。

 異変はすぐ近くまで来ていた。

 

「緑谷君?」

「……。」

 出久が胸を手で押さえているのに麗日が気づいた。

「だいじょうぶ?」

「……ちゃ、ダメだ…。」

「えっ?」

「おいおい、こんな時に体調不良かよ!」

「だ、だいじょうぶ?」

「来ちゃ…ダメだ…。」

「緑谷君?」

 フラフラと胸を押さえながら離れようとする出久。しかし、足がふらついてそのまま倒れた。

「緑谷君!」

 慌てた麗日が駆け寄ろうとすると、ギチッ、ミチッという嫌な音が聞こえてきた。

 出久が転がり、仰向けになる。

 フーフー…っと胸を押さえているところから、チラチラと炎が漏れ、コスチュームを突き破って肋骨らしき物が隆起していた。

「ど、どうしたんだよ!? なんかヤバくないか?」

「先生! なんかヤバいです! 緑谷が!」

「うわっ!」

 次の瞬間、出久が炎に包まれ、ゴーストライダーへと変わった。

『に、逃げ…て…。』

「緑谷君!」

 

『…がっ………………………………………!!』

 

 ビクンッと背中を大きくのけぞらせた瞬間、肋骨が内側からライダースーツを突き破り、バクンッと胸部が左右に開閉し肋骨が開いてとんでもない炎が爆発するようにあふれ出した。

 爆発するようにあふれ出す炎は、膨れ上がるように広がり、周囲を破壊しながら周りにいた人間をも吹き飛ばした。

「うぅ…、なにが? ひっ!?」

 吹き飛び転がった峰田が目を開けて見た物は…。

 仰向けに倒れた出久の胸部から溢れ出る、人面のような模様が無数に浮かび上がる不気味な炎の形だった。

 

 

 

 

「緑谷!」

 控え室を飛び出した轟が出久の元へ急いだ。

 炎がうねり、まるで生きているように形を変える。

 その炎に、不気味な顔のような物が浮き上がっているように見える。

 炎の爆発で倒壊している演習施設の中を飛び越えて移動する轟は物間達を見つけた。

「緑谷を見なかったか!?」

「いや、見てない。何が起こったんだい?」

 物間が逆に聞いた。

「…地獄の蓋が…。」

「じごく?」

「地獄の蓋が緩んだんだ。」

「どういうことだい?」

「うわああああああ!」

 庄田が悲鳴を上げてある方向を指差す。

 つられて見る。

 

 炎に包まれた骸のような怪物が、フラフラとした足取りで周囲を燃やしながら歩いてきていた。

 

「なんだい? あれは…? ゴーストライダーじゃない…。」

 

『あぁぁああああ、あづぃいいいい…』

「喋った!?」

『アツイアツイアツイアツイアツイアぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』

 骸が膨れ上がるように姿を変え、まるで剥き出しの筋繊維のように形作られ、轟や物間達に飛びかかってきた。

 轟が氷を放ち、壁を作る。しかし、衝突と同時に氷が破られ、轟達は間一髪で散開して怪物から逃れた。

『ゴロジ…、死…シシシシし! イヤダぁ! モウ…! ユルジ……。』

 炎の骸は頭を抱えるように炎を振り撒く。

「借りるよ。」

 物間が轟に触れ、半冷を使った。

「うわああああああああああああああん!」

「峰田! 緑谷は!?」

「うわあああああああああああ、うわあああああああああ!」

 走ってきた峰田は錯乱していた。

 轟が峰田の頭を殴り無理矢理正気にさせた。

「緑谷は!?」

「み、緑谷は…。」

 胸ぐらを掴まれた峰田は、震えながら元来た道を指差した。

 轟は峰田を捨ててその方向へ走った。

 走って行くと途中で爆豪と出くわした。

「邪魔だ!」

「っるせーよ!」

 走る方向は同じであった。

 その時、長く鋭い刃のような炎が飛んできたため、二人は左右に別れて避けた。

『ァァァァアアアアアアアアアアアア!!』

 体を雁字搦めに拘束されたような、炎の骸が口から鋭いその歯を伸ばして立ちはだかった。

『グルジィいいいい…、アヂ…ィ…!!』

「クソ、邪魔すんな!」

 爆豪が舌打ちして爆破を放とうとしたとき、眼前の骸の横から青い炎がぶつかって炎の骸を吹っ飛ばした。

「お前…。」

『…行け、焦凍。ザラゾスに頼まれたんだろう? 扉を閉じろって。』

「!」

「とびら? あっ、おい、半分野郎! チッ!」

 轟が走って行ってしまったため、爆豪も追いかけた。

 炎の骸がムクリッと起き上がり断末魔のような声を漏らす。

『苦しいよなぁ? そりゃそうだ。地獄で炙られる苦しみの中にいるんだからな。』

 荼毘は哀れむように呟いた。

 

 

 近い。

 だが近づけば近づくほどまるで悪霊のような形をした炎が暴れ狂っている姿が見えるようなってくる。

 熱気が異常なのに、変に背筋が寒くなる。

 やがて…。

 

「み、どりや…く、ん…。」

 仰向けで半開きになった胸部から悪霊のような炎を吐き出し続けるゴーストライダーの近くで倒れている麗日がいた。

「緑谷!」

「デク!」

 二人が駆け出し、近づこうとする。

 すると凄まじい熱気が襲ってくる。

 ジリジリと肌が焼け、爆豪は腕で顔を庇って立ち止まり、轟は冷気で氷を纏いながら一歩一歩確実に近き、やがてゴーストライダーの傍に膝をついた。

 そしてゴーストライダーの腕を掴み開いている胸部にゴーストライダーの手を当てて、そうして肋骨を閉じさせようとした。

「ぐっ!」

 閉じさせようとすると溢れ出ている炎がまるで閉じさせまいとするように勢いを増す。その火力によって轟の両手どころか体も焼ける。

 

 

 吹き出す炎は、まるでこの世の全ての悪意でも含んでいるような力を持つ。

 ドクロのような顔が浮かび上がる炎は、この世の全てを焼き尽くし呪えと言わんばかりに暴れ狂う。

 ギチギチと少しずつ轟によって“扉”が閉められていく。

 しかし吹き出す炎が急に勢いを増し、せっかく閉じたぶんを弾かれるように戻され、炎がムチのように蠢いて轟の体を吹っ飛ばした。その轟を爆豪が受け止めた。

「っ…。」

「おい、おい! 起きろ半分野郎!」

「閉じ…なきゃ…。地獄が…溢れ出る…。」

「ああ? 地獄!?」

「ゴーストライダーは…、地獄の力…を…、このままだと…世界が燃える…。」

「!」

 爆豪の手から離れ、無理矢理起き上がる轟が再度ゴーストライダーに接近しようとすると、炎が動いて轟に襲いかかろうとした。

 その炎を爆豪が爆破で吹き飛ばした。

「爆豪…。」

「勘違いすんな! 理屈は分からねーがこのまま何もせずに燃え死ぬなんざしたかねーんだよ!」

 爆風で熱気と炎が少し晴れ、その隙にゴーストライダーに急接近できた。

「“扉”に触るな、緑谷の手を使ってじゃないと閉じられない!」

「面倒くせぇな!」

 だが言われたとおりゴーストライダーの手を使い左右から二人がかりで“扉”を閉じようとする。

「か、固ぇ!」

 爆豪が悪態を吐く。

 “扉”は、ミチミチギチギチと嫌な音を鳴らしているが、中々動かない。

 そうこうしていると爆豪の爆発で一時的に消えていた炎が勢いを取り戻し、“扉”を閉じようとしてしている不届き者として二人に襲いかかったが、轟が冷気を最大出力で放出し爆豪ごと守った。

「閉じることに集中しろ!」

 それに気づいた爆豪が反応するより早く轟が叫んだ。

 あと半分…、あと3分の1…。

 その時、轟の左側の鎖が疼きドクンッと痣が蠢いた。

 何かが来る! そう予感させた。

 それが“扉”に迫ってきたときだった。

 

『知ってるかぁ? 地獄ってのは炎だけじゃねーんだよ。』

 

 ザラゾスの声が聞こえた。

 その瞬間、轟の左側から黒い鎖の痣が浮き上がり、黒いエネルギーとなってジャラジャラと回転しながら凄まじい力を放ち始めた。

 “扉”の内側から炎を纏った何かの異形の手が飛び出しせっかく閉じようとしていた“扉”を無理矢理にこじ開ける。

 

『……共にいたければ…、使いこなしてみろ。時間という糧はすでに取り込んでいる。』

 

 轟は歯を食いしばった。

 左側に埋め込まれ、そして暴れ狂うようなその力を自分の意思に従わせようと。

 

『『コキュートス(氷結地獄)』。お前達人間が落ちる地獄のひとつだ。』

 

 カッと目を開けた轟の右側がいまだかつてない冷気の力を放った。

 その冷気は、“扉”の内側から飛び出していた何かの手を一瞬で氷漬けにしただけに終わらず、塵のように粉々に消し去り、演習施設全体を燃やしていた地獄の炎を消し去り、炎の骸までもを氷漬けにして粉砕した。

 さらに炎の消火を演習所の外からしていたオールマイト達の消火栓ポンプのホースの水などもすべて凍らせる。

 まるでその地獄の氷から逃れるように一帯を燃やしていた地獄の炎は、近場にいた者に入り込むモノ、“扉”の中へ戻るモノとに別れた。

 倒れていたり、救出のために動いていた麗日、心操、切島、芦戸、蛙吹、峰田、上鳴、爆豪の体に知らず知らず入り込んだ。

 ゴーストライダーはいつの間にか出久に戻り、眠っていた。

 少しボーッとしていた轟はハッと意識を取り戻し、出久の無事を確認してホッとした。

「爆豪?」

 それから俯いたままでいる爆豪を見て手を伸ばすと、爆豪はフラッと横に倒れた。

 倒れた瞬間に、ケホッと一瞬口の隙間から地獄の炎が漏れたように見えた。

『……フンっ。』

「ザラゾス?」

 ふと目を開けたのは出久ではなくザラゾスだった。

 ザラゾスは、起き上がり倒れている爆豪を見た。

『…………………………………………大サービスだ。駄犬。』

 爆豪の心臓の上に手を置くと、鎖が出て爆豪の胸の中に吸い込まれるように入り込んだ。

 鎖が入り込んだのを見届けてから手を離し、それからザラゾスは、轟を見て。

『…内緒だからな?』

 轟が何か言う前にその唇に指を押し当て、意地悪く笑った。

 

 




かなり悩みながら書きました。

地獄の蓋が少し開いたのは、演習最初にするか、最中にするか、最後にするか。

轟のパワーアップは、考えないといけないなっと思ったので、半燃が使えない(使わない)代わりに、地獄の氷の力を扱えるようにさせてみました。


そして最初の辺りに、ザラゾスがなにやら心操に?
これは、後々大変なことになります。

しばらくオリジナル展開が続くと思います。

次の短編のネタにするなら?

  • 妖怪ウォッチ
  • すまっしゅ!!
  • それ以外の怪異や、妖怪など
  • SCP
  • いや、連載の続き書けよ
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