ヒロアカ×ゴーストライダーネタ  連載版   作:蜜柑ブタ

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どれぐらいぶり更新?



待ってた人いるかな?




サブタイトルで嫌な予感がした人は、見ないでください。



心操がとても可哀想かもしれない!





それでもOKって方だけどうぞ。





いいですね?







SS72  轟の体の変化と、爆豪の嫉妬と執着

 

 猫が尻尾をピーンと上へ立てる仕草は、『嬉しい』、『甘えたい』という感情だとされる。ただし毛が膨れていたら怒っている。

 猫がジッと飼い主を見つめるのは、何かして欲しい時であるとされる。ただしそれはゆっくりと目を瞑ったり、ウィンクしている場合であり、それ以外の場合では自然界では目を逸らさず目を合わせ続けるのは決闘を意味するらしくよろしくない。

 

「轟ちゃん、分かりやすいわね。」

 

 っと言う蛙吹の言葉が全てを物語っている。

 

 轟に、猫耳と尻尾が生えた。

 耳の毛色は髪の毛の色に由来して白と赤。ただ尻尾の方は赤と白の縞模様だ。耳と尻尾の毛並みはサラツヤの毛。耳と尻尾の毛並みだけでいかにも高級猫である。

 出久を見ると尻尾を上に立てて、ゆっくりと目を細めながら出久を見つめる。さらに床に四つん這いになって椅子に座っている出久の足に本物の猫のように体を擦りつける。

 完璧に猫だ。デカい猫だ。マジで猫だ。猫を自称するあまりについに体まで猫になったか。

 しかし、他の人間には、フーっ!だの、シャーっ!だのとメチャクチャ威嚇し、尻尾の毛を膨らませて怒る。手を出そうものなら猫パンチ(手は普通に人間だが)。

「くそ猫が…。うぜぇ。」

「いや、お前も人のこと言えねーだろ…。ライオン尻尾がメッチャ反応してるし。」

「ああ!? うるせぇ! 尻尾が勝手に動くんじゃゴラァ!」

 獅子から戻った爆豪であるが、ふとする尻から獅子(ライオン)の尻尾が生えてくるようになった。

 獅子の感情表現は分からないが、どうもネコ科というより、犬に近い感情表現らしい。(※実際のライオンの感情表現は不明)

 理由は単純に爆豪が出久に犬認定されているからじゃないか?っと上鳴達は思ったが言ったら確実に爆豪がキレるだろうから言わなかった。

 爆豪は、忌々しそうに轟を睨んでいるのには変わらない。轟はそんな視線などお構いなしで、出久に甘えてゴロゴロと喉を鳴らす始末。

 だが授業が始まれば、急に人間(耳と尻尾生やした状態だが)に戻りちゃんと勉強する。もちろんヒーロー基礎学などの訓練も。

 ただし、身体能力が向上が見受けられ、猫化が影響している可能性が考えられた。

 また個性を使った訓練では、半冷が明らかにパワーアップしており、なのに体が冷たさでやられる様子がなかった。

 注目されたのは、ちょっとやそっとで溶けない氷だ。最低温度とされる液体窒素より温度も低く、下手に触ろうものなら凍傷どころじゃ済まない。

 その氷を消す際は、轟の意思で放出した冷気を体に吸い取ることで氷ごと消す。

 もはやこれは、半冷半燃という個性で収められる物ではない。半燃の方を封印したことでまったく半燃の方を使わなくなった。それによって個性が変異した可能性もあるとして、今一度個性を調べるべきでは?という声が上がる。

 これについて轟は難色を示した。

 当人曰く、まだ自分の物にしきれていないのに…っということらしい。

 そして出久は、轟の力の正体を知っている。

 

 氷結地獄コキュートス。

 

 そこから力を引き出し、半冷の個性を地獄の氷へと昇華させたのだ。

 だが、人間の身で地獄の力を扱うのは本来は困難なこと。肉体の変化は新たな力を得たことに適応するためだろう。ゴーストライダーである出久ですら全力で力を出そうとするには体を変化させる必要があるのだ、だから轟が人間のままそういう力を扱えるかと言われれば否だろう。むしろ適応できずに体がダメになるよりは圧倒的にいいかもしれない。ただし、人間を辞めるか否かは別問題だが。

 

 数日ほどして猫耳・猫尻尾は自然と消えたが、轟自身が気に入ったらしく自分の意思で猫耳・猫尻尾を出しているようになった。

 

 これに対して機嫌を悪くするのが爆豪。

 轟に猫耳・猫尻尾が出てからというもの、爆豪が獅子尻尾、轟が猫耳・猫尻尾をブワーとさせて威嚇し合う姿があちこちで見られるようになった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 心操は、軟禁に近い形でそこにいた。

 相澤らが用意してくれた毛布の上に魚の下半身を横座りの要領で曲げて座っていた。

 何もせずそこに座っていた。というかなにもできないのだ。

 両腕は相変わらず鳥の翼であるし、足は魚。やっと自力で座った態勢になれるようにはなったがそれだけだ。まともに動けないし、物すら持てない。最悪なことにドアノブだって掴めないので開けられない。だからなにもできない。

 地獄のような体の調整を数日に亘り受けて、あとは体が馴染むまで時間をおくしかないので様子を見ながら待つだけだった。

 いくら眠って起きても…、現実は変わらない。変わらず体は人間のソレからはかけ離れたものである。

 調整を受けていた数日間は、苦痛のあまりに気絶することもしばしばで時間が過ぎるのが早い気がした。今はなにもできない分、時間の経過が酷く遅く感じた。

 学校が終われば、出久や相澤が来てくれるが、それ以外は本当に何もない。

「おい。」

『! 爆豪か…。』

 座っているだけでボーッとしていると、不意に声を掛けられ、そちらを見ると爆豪がいた。

 爆豪の方から話しかけてくるのは珍しい。こちらが話しかけても返事すらまともにないのに。

 数日に亘る壮絶な苦痛と、なにもできないが故にぼんやりせざるを得ない状況で、心操は完全に油断していた。

 爆豪の目に宿る狂気じみた殺意が宿っていることに。

「……ったくよぉ…。」

『?』

「なんだってお前ばかり…。」

『はっ?』

 心操がポカンッとして爆豪を見ていると、爆豪が近寄ってきた。

 すぐ傍まで来て爆豪を見上げる形になった心操は、そこでやっと爆豪の様子がおかしいことに気づいた。

「なあ、洗脳野郎…。なんだってデクはお前に構うんだろうな? そもそもなんでテメーを手っ取り早く殺さなかったんだろうなぁ?」

『し、知るかよ…。』

「虫悪魔女は問答無用で退治してんだぜ? アイツ…。」

 ボソボソと言う爆豪から離れようと、心操は座った状態だが身をよじって動こうとした。

 直後、ドンッと突き飛ばされ上半身を横から強か床に打ち付けることになった。

「その羽は飛ぶためのもんじゃなく、声の力を操るためのもんだってなぁ? ロクに飛べねぇ、歩けねぇ、物も持てねぇ、かといって泳ぐこともできねぇ…。ロクな体じゃねぇぞ。」

『だ、誰が…好き好んで…。』

「ああ、そうだな。」

『いっ!?』

 翼で踏ん張って上体を起こそうとすると、背中から馬乗りになられて、後ろ首と左の翼を掴まれた。

「マジでガラスみてー…、いかにも脆そうだな。このまま首爆破したら首とれるか?」

『っ、…なにが、したいんだよ?』

「……………………………………………………テメーが死ねば…、アイツは俺に関心を向けると思うか?」

『……はっ?』

「邪魔なのは、轟の野郎だけだと思ってたんだが…。ああ、クソムカつく…。」

『勝手に、ムカついてろよ。俺は邪魔するつもりも、邪魔した覚えもない。』

「ケッ、いけ好かねぇ目してられんのも今のうちだ。」

『なにを…?』

 目を細めて爆豪を睨んでいた心操に、フッと笑った爆豪が次の瞬間心操の首から手を離してその手で左の翼から羽根を数枚千切った。

『ギ、ァアっ!!』

「ハンっ。これっぽっちでそんな痛がっててよく強気でいられんな? ああ?」

 爆豪は、プルプルと痛みに震えて床におでこを擦りつけて痛みを逃がそうと耐えている心操の様をあざ笑った。

 心操の翼は、普通の鳥の翼ではない。羽根の1枚1枚が声の力を増幅コントロールするための器官なのだ。そのせいか過敏で千切られればとんでもなく痛い。

 そして爆豪は千切り取った羽根を口に運び噛み砕いた。

『……!?』

「あー…、なるほど。悪魔が天使をオモチャだの食い物だのにする理由も分かるわ。」

 パリポリとスナック菓子でも噛み砕くようにガラスのように透き通った羽根を食べて飲み込んだ爆豪は目を細めて納得したように頷いた。

『なに…やって…?』

「なあ?」

 心操が信じられない物を見るように爆豪を見ていると、爆豪が左手を心操の魚の下半身にガッと指先を立てて手を乗せた。

 人間の手ではあり得ないゴツい爪の感触が下半身の表面に食い込んだのを心操は爆豪の体で見えないが体で感じた。強いて言うならライオン系統の爪のような…。

「…人魚の肉ってなぁ、不老不死の妙薬で、その分とんでもない毒だって伝説があるが、実は美味いって話もあるらしい。」

『……………………………………………はあ?』

 心操は嫌な予感を感じつつもわけが分からないと震えているが抜けた声を漏らした。首を捻って見上げると、自分の背中に乗っている爆豪の顔の口には、鋭い犬歯が生えていた。さらに赤い目の瞳に縦筋が入っていて……、一目で人間のソレじゃないことが理解できた。

「今日はデクの奴、お前の調整のために休んでたぶんを取り戻すための補習があって俺にお前の世話を頼んできたんだ。轟の野郎は、別の用事だ。クソナードの奴、俺がお前のことどう思っているのか気づいてねーんだ。オールマイトも相澤先生もなんか職員会議だとかで来ねぇ…。お前の調整に付き合わされて見てるから、体の再生力も分かってるし…、さっき羽根喰ってみて分かったが……、ここまで言えば…分かるよな?」

 ニヤリッと笑う爆豪の口の犬歯がイヤでも目に付く。

『…ぃ…ゃ…だ…。』

「ああ? 聞こえねぇなぁ? 最初の威勢はどーしたよ、おい? なに今更逃げようってもがいてんだ? ってか、どこに逃げようって? この部屋がお前の声が暴発しないよう、声の個性用の特注だったか? しかも他の悪魔にテメーの存在が知られないように結界(?)をデクが張ったらしいな? ここから外に放り出されて他の悪魔の餌食になるか、デクが来るまで俺のおやつ兼オモチャになるか、選べや。」

『俺がいったいなにしたってんだよ!』

「あー? 選べねぇってんなら、ある程度喰った後で外に捨ててやるぞ? 血の匂いがしてる方が見つかりやすいかもな? 野生の動物も傷ついてる奴の方に寄っていくからな。」

『…俺に何かあれば、お前だって無事じゃすまないぞ?』

「そりゃ願ったり叶ったりだな。アイツの関心が俺に向くなら…。」

『ぐっ…。』

 コイツ…イカレてやがる…っと、心操は言葉を詰らせた。

「で? 抵抗は終わりか? 体力もまともにねーのかよ。まあ、あれだけ体中いじくり回されて散々泣き叫んでたもんな? そういやふと思ったんだが、活け作りの魚ってのはどこまで刺身にされても生きられるんだろうなぁ? …そうだ。どうせなら喰いやすく捌いてから外に出してやる。どーせなら美味い美味いって言われながらな喰われた方がいいよな? 喰うか遊ぶかはそいつ次第だけどよぉ。」

『ーーーいや、…だ……、いやだ…いやだいやだいやだ! み、どりや…緑谷、緑谷ぁぁ…! ーーっ!』

 無駄だと分かっていても可能な限り暴れて叫ぶ心操の頭を爆豪が掴んで、それと同時に羽根を掴んでいた手を離してその手の指を心操の口の中に突っ込んだ。

「なんかテメーの声が耳障りになってきたわ。舌ぶっこ抜いてからにするか。舌抜かれたぐらいじゃ死なねーのは分かってる。ってか、舌ってどれぐらいで再生するんだ?」

『ーーーーーっ!!』

 無遠慮に突っ込まれた指が心操の舌を捕えた。その指先に鋭くゴツい爪があり否が応でも舌の裏表に食い込む。

 その爪が舌を貫こうとしてそれから抜き取ろうと力が込められようとした時、フッと口の中の指が抜け、背中に乗っていた爆豪の重みが消えた。

 

「かっちゃん。」

 

 地獄のように恐ろしい響きのある出久の声が聞こえた。

 心操がそちらを見ると出久が炎を体に纏いながら、その手に分銅付きの鎖を、たった今その分銅部分を投げ飛ばしましたという体勢で立っていた。

 その表情は無表情だが、炎を体に纏わせているにも関わらず凍り付いているとかいうレベルじゃないぐらい冷たい。分銅でぶっ飛ばされたと思われる爆豪に向けられているであろうその緑の目は、とんでもなく冷え切っている。ゴーストライダーが炎を纏っているのに相手を凍てつかせそうなほど。

 分銅をもろに横っ面に喰らって吹っ飛んだ爆豪に、出久がズカズカと歩み寄って胸ぐらを掴んで持ち上げた。

「なに…やってたの?」

「っ…。」

「答えて。」

「…で、く……。」

「心操君になにしてたの?」

「……あぁ…。やっと俺を見たな。」

「今聞いているのはそれじゃない。」

「話せば、ずっと俺を見るか?」

「今聞きたいことはそれじゃない。どうして心操君を?」

「テメーの答え次第だ。」

「……答えて。」

 出久が冷たい声で言うと、少しの静寂。

 口を開いたのは爆豪だった。

「そいつが気に入らなかった。デクの関心が俺に向けばいいと思った。」

「そう…。」

「あのクソ悪魔が余計なことしなけりゃ。」

「どちらにしても心操君を助けないといけなかった。」

「はっ?」

『?』

 出久の言葉に驚く爆豪と心操。

「心操君自身の魂が天使に近かったから、いずれ他の悪魔に見つかっていた可能性は十二分にあった。更に、合同演習の時に、地獄の力が入り込んじゃった…。だからその影響で体の方が変異してしまう可能性もあった。先に見つけたのがザラゾスであったのは偶然だった。」

 つまりいずれにしても心操が人間じゃなくなる可能性が高かったのだ。

 ザラゾスではない別の悪魔に手を出され、それこそ前にザラゾスが言っていたようなことをされて飽きられればゴミ屑のように捨てられ死んでいたのだろう。

 いったいなにが一番幸運だったのか…。人間にない性質を魂に宿していたことが心操の最大の不幸だっただろうか。哀れ…という他ない。

「ねえ、かっちゃん。いつからなの?」

「何の話だ?」

「その爪…、牙…、獅子になったことも……、君は…捨てないと思ったのに…。」

「…あめぇなクソナード。」

 胸ぐらを掴んで持ち上げている出久の手首に爆豪が触れた。

「俺を置いて…、行かせるかよ…。」

「……。」

「轟の野郎にだって独占させる気はねーよ。これは、俺が選んだことだ。」

 爆豪は、どーだ、参ったか?とでも言いたいようにニヤリと笑った。

「馬鹿だよ…。」

「ああ?」

「頼んでない。」

「!」

 次の瞬間、出久が爆豪を放し、爆豪は尻もちをついた。そして出久は爆豪に背を向けていまだうつ伏せでいる心操に歩み寄る。

「デク!」

 立ち上がった爆豪が出久に近寄ろうとした瞬間、鎖が爆豪の体を雁字搦めにした。

「…轟君、かっちゃんを外に出しといて。」

「分かった。」

 いつの間にか来ていた轟が爆豪を捕まえる。

「おい、デク! デク!」

 爆豪は鎖で縛られたまま轟に引きずられて外に出された。

「心操く…。」

『触るな…!』

 心操の体に手が触れるか触れないかのところで心操が拒絶した。

『くそ…、っきしょう…。なんでだよ…。俺がなにしたってんだよ…。』

「…ごめんね。かっちゃんの考えに気づかなかった俺のせいだ。」

『…憧れてたんだ……。ただ…ヒーローに憧れて…自分もって夢見ただけだろ…。』

「……。」

『なのに…なんでこんなことになっちまんだったんだよ…。俺、前世でそんな悪いことしたのか?』

「いや、悪いことなんてしないよ。天使性質があるってことはむしろ穢れもなにもなかったんだと思うよ。」

『……嬉しくない。』

「もうかっちゃんは近づけさせない。」

『……緑谷…。』

「うん。」

『…もっと早く来てくれよ……。』

「…ごめん。」

 爆豪にやられそうになったのが本当に怖かったのだと、心操は震えながら出久に悪態を吐くのであった。

 

 

 

 

 




猫になったのなら、猫の性感帯である尻尾の付け根を叩くってのも考えましたが……。
絵面的にアウトだったのでやめました。


心操の腕の翼は、飛ぶための物ではなく、声の力を増幅・コントロールするための器官なので、非常に過敏。


モデルは、『かつて神だった獣たちへ』のセイレーンです。



爆豪が精神まで人外化しつつあるのは、元々人間以外のモノになる素質がないことも影響しているということにしています。
なので次回辺りを予定している、爆豪の人外覚醒(?)みたいなので……?

次の短編のネタにするなら?

  • 妖怪ウォッチ
  • すまっしゅ!!
  • それ以外の怪異や、妖怪など
  • SCP
  • いや、連載の続き書けよ

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