ヒロアカ×ゴーストライダーネタ  連載版   作:蜜柑ブタ

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リクエストを頂き、やっと書けました。

お待たせしました!



プリミティブドラゴン様からのリクエストです。

リクエスト内容は。

『エリちゃんが個性事故で出久達と同い年くらい(1日限定)になって出久に甘える話』



でも……、あまり甘えてないかも…?


24時間限定で、個性事故で壊理ちゃんが16歳ぐらいになってます。

デートとかしてます。

壊理の成長後の姿については、こちらで捏造しました。







それでもOKって方だけどうぞ。








いいですね?






リクエストIF短編   大きくなった壊理ちゃんの・・・

 

 その日の朝、1年A組の寮に、びっくりした時の大声があがる。

「ふおおおおおおお!? たわわな実りが!!」

「成敗!!」

「ほぎゃあ!?」

 びっくり状態からすぐに回復し、鼻血垂らしながら“彼女”に飛びつこうとした峰田を、A組女子達が全力で成敗して縛り上げて拘束した。

「…とりあえず、八百万さん。協力してくれる?」

「分かりましたわ!」

 出久のブレザーとかを被せられて、すぐに八百万の部屋へ連れて行かれた“彼女”は、少しして八百万と共に帰ってきた。

 

 A組でぶっちぎりのスタイルの八百万をも超えそうな胸の膨らみ。

 160センチぐらいのスラリと伸びた肢体と、キュッと引き締まった腰。

 小さいけど形の良いお尻。

 サラふわっとした白くて長い髪の毛と、右側のおでこの生え際辺りから伸びる1本の角。

 

「大きくなったねぇ。壊理ちゃん。」

 

 出久の言葉が物語る。

 

 八百万から借りた服を身に纏った美しいその少女は、壊理(6歳)だ。

 

 6歳の幼女がいきなり大きくなる……。

 

 まあ、このご時世じゃ事故として起こりうる、個性事故というやつだ。

 

「個性の持ち主に聞いたが、個性の効果は望む姿形を24時間程度再現するというものだ。時間が経過すれば元の姿に戻る。戻った時にガバガバになった服の替えだけは用意しておけ。」

 相澤がそう説明した。

「急激に加齢を重ねたわけじゃないんですね?」

「この個性で逆に老人が若返ったという症例があるが、あくまでも見かけだけのものだ。プラシーボ効果でその年齢になったような状態にはなるが、実際の肉体の状態は本来の肉体の年齢だ。だから若返ったとしても、逆に歳を取ったとしても残りの寿命に変動はない。」

 その見かけだけの変化ゆえに、最初こそ若返りなどの効果による不老不死が期待できて身柄を狙われた時期もあったらしいが、実際は単なる見た目の変化によるプラシーボ効果でその気になるだけなので、肉体そのものはまったく変化しないと分かり、この個性の持ち主は現在リハビリの医療機関でこの個性を使って医療に関わっているそうだ。例えばすでに治っているのに思い込みで体が動かないなどの患者に個性を使うことで動けていた頃の感覚を思い出させるという。

 今回の個性事故は、個性による医療の特別講義の打ち合わせのために来ていたのだが、トイレから出たはいいが無駄に広い雄英で道に迷い、壊理と鬼ごっこして遊んでいたプレゼントマイクのイタズラと、壊理がその個性の持ち主と接触した時が悪い感じで重なり、プレゼントマイクにびっくりした反動でうっかり目の前にいた壊理に個性が発動してしてしまったのだ。

「壊理ちゃん、すまないが個性が解けるまであまり出歩かないように。」

「えっ?」

「単なる見かけだけの個性とはいえ、プラシーボ効果は侮れない。病も気からという言葉通り、気持ちが違うと体に大きく影響してしまう。つまり、壊理ちゃんの個性が強まって暴走するかもしれない。今の君の角の大きさは見ているだろう?」

「あっ!」

 今の壊理の角は、6歳の姿の時の倍以上に伸びている。『巻き戻し』の個性が発動すると、この角から放電するように力が放出されるので、角の大きさが個性の強さと力の蓄えを表わしているのなら、今の角の大きさはかなり危険だ。相澤の抹消の個性を使えば個性を使って目で見ている間は止められるだろうが、それ以外の時がマズい。つまり相澤がいない状況で暴走が起こってしまうと周囲にいる生物を際限なく巻き戻して消滅させてしまうのだ。彼女がかつて父親を消滅させてしまった事故を考えると、個性が覚醒した幼い時点で大人ひとりぐらい容易いなのだから成長して大人になれば……?

 父親を消したときのことを思い出した壊理がゾッとして青ざめガタガタと震えだした。

「先生…。」

「辛いことではあるが事実であるから仕方がない。被害が出てからでは遅いからな。」

 相澤は壊理のトラウマをほじくり返したいわけじゃないが、更なる悲劇を起こさせないためには周りが彼女を支えて注意することだけじゃなく、悲劇の原因になった個性の力を持つ彼女自身がその力と向き合い悲劇に繋がらないよう立ち回らないといけない。

「壊理ちゃん…。」

「う…うぅ…、ごめんなさい…ごめんなさい…。私……。」

「だいじょうぶだよ。」

 震えている壊理を、出久が抱きしめてよしよしと頭を撫でた。

「う…う…、出久さん……。」

「暴走してもだいじょうぶなように、今は一時的に大きくなってるから別の方法で力を抑えるよ。」

「えっ?」

 出久はいったん壊理から離れ、手首から鎖を出すと新体操のリボンのようにクルクルと回して壊理の体に絡めるようにした。

 いきなりのことに壊理も周りもびっくりしたが、巻き付いた鎖は透明になり消えた。

「とりあえず1回ぐらいならだいじょうぶだと思います。」

「なにをした?」

「本人が使いたくないと願う限り個性が作動しない呪い…、簡易版です。個性が外部からの刺激とかで暴発しても、痛みで仮死状態になって個性が止まるようにしました。」

「それはだいじょうぶなのか?」

「一瞬でも死ぬ程痛い思いするから……、あまり良いとは言えませんが、巻き戻しで完全消滅が起こるよりはマシかと。」

「壊理の体への影響は?」

「仮死状態が長時間続かなければだいじょうぶです。」

「元に戻った後は?」

「今のこの体の大きさだからかけることができた呪いなので、元に戻れば鎖は外れて落ちますから呪いは消えて無くなります。もしもの時の発信機にもなるので。」

「影響が残らないのならいいが…。」

「ありがとうございます、出久さん。」

「本当は痛い思いさせないのがよかったんだけど、即席だと難しかった。ごめんね。」

「いいんです。」

 謝る出久に壊理は首を横に振った。

 

 そんな感じで壊理(6歳)の24時間だけの大きくなった時の体験が始まった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「やっぱせっかく大きくなったんなら、着せ替えを楽しむのは普通でしょ?」

 

 というわけでA組女子達主催の壊理ちゃんファッションショー。

 小さくてツルペタでは絶対着れない向けのドレスを中心に八百万が言われるままに調子に乗ってドレスとアクセサリーを創造しまくり、ドレス作りの前に作って共同スペースで組み立てた広めの試着室で女子達に着付けてもらっては出てきて、男子達に批評してもらい、写真も撮ってを繰り返した。なお峰田はミノムシ状態に縛られた状態で評価をしていたがあとで壊理ちゃん(大)の写真をコピーしてくれと求めたため却下されていた。

「いいわよ~! そうそう、そこでクルッと! いいわよいいわよ~!」

 話を聞きつけて駆けつけてきたミッドナイトが八百万にドレスの設計を指示しながら、ドレスの着付けやアクセサリーの使い方と組み合わせ、写真のポーズまで監督のように指示を出して熱くなっていた。

「うっ…。」

「ヤオモモ!? 無理しちゃダメだよ!?」

「ま、まだまだですわ!」

 そう言って高カロリーの携帯食を食べまくってカロリーを補給してまで創造を続ける八百万。なんか目がぎらついているが、個性で作る衣装やアクセサリーのクオリティが回数を重ねるごとに上がってきているので、本人的には目の奉養と限界を超える訓練にもなると思っているのかもしれない。

 壊理も、最初こそ恥ずかしがって赤面したりして震えていたが、衣装が似合っていると褒められるのが純粋に嬉しいのもあり気持ちもノって途中からテレビで見たファッションモデルの真似をしてポーズを取ってみたり、ミッドナイトの指示通りに動いたりして、観客であるA組男子達の反応を見てよく分からないけど気持ちよくなりながら着せ替えを楽しんでいた。

 即席ファッションショーは、八百万の限界で終了となった。

 大量に作ったドレスなどの衣装とアクセサリーは、とりあえず八百万がレンタル倉庫を借りるから壊理が大きくなってから着るなり売るなり自由にすることになった。壊理の実家である死穢八斎會に送ることも考えたが、あと10年ぐらい先まで場所を取る大量の服とアクセサリーの保管のことを考えて自分が負担すると八百万が譲らなかった。

「さて…、あと22時間ぐらいはあるけど、なにしたい?」

 約2時間は、ファッションショーに使った。

「んー…。」

 冷たい麦茶を飲みながら壊理は考えた。

 すると壊理のお腹の音が鳴った。空腹で。

 恥ずかしくなって赤面する壊理を見て、出久は、朝ご飯がまだだったことを思い出した。

 時間的にすでに朝食の時間は過ぎていて昼まで待たないと職員が用意してくれる食事がない。ならばと出久が共同スペースの台所にある共同で使う大きな冷蔵庫を開けた。

「サンドイッチでいい?」

 聞かれて壊理が頷くと、出久がある物で簡単なサンドイッチを作った。

 ハムとレタス、5枚切りのパンの分厚いサンドイッチ。耳も付けたままマヨネーズをパンに縫っただけで、1枚のパンを真ん中から半分に切り分けてひとつに挟んだ簡単サンドイッチ。

 爆豪がみみっちくこだわって、せめて焼けと言ってくるが食わず嫌いを無くすためだと出久が言い爆豪が面倒くせぇだけだろうがっと言い合いになったが、それを後目に出されたサンドイッチを壊理はモクモクと食べてあっという間に完食した。どうやら体が大きくなっているので食欲が増しているらしい。ただし、元に戻ると胃袋の容量も戻るので、お腹が空いてても控えめに食べるようにとリカバリーガールから注意された。

 余談だが、病気や老化で食欲が戻らない患者にこの24時間限定成長or若返りの個性を使うことで食欲旺盛だった時期を思い出させて、食への興味を戻すというリハビリもするらしい。

 遅めの朝食後。

「頼むぞ、緑谷。」

「はい。」

「準備できたわよー!」

 私服に着替えた出久が雄英の校門のところで相澤から念を押して言われていると、ミッドナイトの声がして、そちらを見た。

 白のブラウスと、ピンクより赤に近い色のロングのワンピースとブランドの肩掛け鞄。腰程まで伸びているサラフワッとした長い髪の毛を赤いリボンでひとつに結んだ髪型。白いソックスに赤い靴。

「お…、お待たせしました…。」

 恥ずかしそうに頬を染めた壊理が、ミッドナイトに背中を押されて出久の方へ。

 出久はジッと壊理を見た。

「あ…あの…、似合いません…か?」

「ううん。むしろ可愛い。それでいてすごく綺麗。」

「!」

 真顔で、真剣に褒める出久に壊理は、ボンッと赤面した。

「あ…。」

 そんな壊理の右手を取り、出久は壊理のために準備してくれた女子達や見送ってくれる男子達に顔を向けた。

「じゃあ、行ってきます。」

「たっぷり楽しんできなさい壊理ちゃん!」

 グッドラックとミッドナイトが親指を立てて笑顔で見送る。

 ちなみに出歩くなと注意していた相澤を説得した筆頭はミッドナイトだ。24時間限定なので、他の生徒や教員まで協力して説得し、外出許可をもぎ取って出久とのお出かけが出来たのである。

 ただしトイレ以外は絶対に出久が目を離さないことは条件とされた。万が一でも個性の暴走が起これば一大事だからだ。

 

 

 そうして雄英から外へお出かけした2人を見送った一同だったが……。

「発目。」

「はーい! ベイビー出動!」

 

 サポート科に協力を求めて、発目の特製遠距離望遠カメラ付きドローンで様子を伺うのであった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 あらためて大きくなった体の視点で歩いていると、視界が高く、そして広がった気がした。

「あっ…。」

「だいじょうぶ?」

「は、はい…。」

 6歳の体から10年後の体にすぐに順応できたわけじゃない。視界が急に高くなったせいか平衡感覚が悪いのか、なので動く感覚が若干ぎこちなく、すぐにこけそうになるので出久が支えてくれた。

「腕。」

「えっ?」

「支えにしていいから。ゆっくり歩くよ。」

「ん…!」

 壊理は出久の左腕に身を寄せるように腕を絡めた。

 一見するとそれはイチャラブカップルのベタベタな姿に見えなくもないだろう。出久がそのことに気づいているかは微妙なところだが、壊理は気づいていて耳まで真っ赤だ。

 お出かけ……、ぶっちゃけデートであるが、体が大きいのは24時間限定なので遅くても夕方には帰る予定だ。

 お出かけ先は特に決めてないが、ちょっと街に出て飲食をしたり、ウィンドウショッピングしたりするぐらいは考えている。

「壊理ちゃん、どこか行きたいところある?」

「えっと…。」

 いったん立ち止まって壊理が自分のスマフォ(※治崎が持たせたもの)を出して操作した。

「ここ、砂藤さんが美味しいケーキあるって言ってた。」

「ん…、パスタとか軽食もあるね。じゃあここでお昼も食べようか。」

「はい!」

 出久からの賛同を得て、パッと嬉しそうに壊理は笑った。

 その喫茶店は、お菓子屋さんも兼業していて、隣に果物屋さんもあるという立地。そのため新鮮な果物が毎日入るのでフレッシュなフルーツケーキやデザートや熟しすぎて途中で腐るので流通できないぐらい熟した果物を惜しげもなくたっぷり使った生ジュースが味わえると人気の店だ。

「おいしー!」

「よかったね。」

 パスタセットで選べる出来たての濃厚なミックスジュースを飲んで壊理はとても嬉しそうに顔をほころばせ、出久も普段の無表情からは少し柔らかな表情になる。

「スパゲッティーも、サラダもおいしー!」

「うんうん。美味しいのは分かったから、あんまりはしゃぎすぎないようにね。ほら、人が見てるから。」

「あっ。すみません…。」

 見た目ちょっと良いところのお嬢さん風にも見える壊理だが、中身はまだまだ幼女、なのでつい本来の年相応のリアクションをしてしまいそう広くない店内にはしゃぐ声が聞こえてしまって他の客の目線が集まってしまった。

「楽しいことはいいことだけど、人前でお行儀悪いとダメだからね。」

「はい…。」

「怒ってるわけじゃないよ? 壊理ちゃんが楽しいと俺も嬉しいから。ご飯食べ終わったら、ちょっと歩くけど、公園でゆっくりしようか?」

「はい!」

 出久からの提案に壊理は笑って頷いた。

 食事を終え、お会計をしてから少し歩き、街の中にある自然として作られた公園に来た。

 木陰にあるベンチに座り、ゆっくりする。

 草木の匂いを運ぶ穏やかな風が程よく、昼間の気温の高さを感じさせない。

 ほとんど人がおらず、昼食後で胃に血が溜まってウトウトとしそうになりそうになっていると、壊理は自分の太ももに重みを感じてハッとした。

 見るといつの間にか出久が壊理の太ももに頭を乗せていた。まあいわゆる膝枕というやつだ。

「ふわあああ!? 出久さん!?」

「……。」

「出久さん…?」

 びっくりして跳び跳ねかけた壊理だったが、出久が目を瞑って動かないため別の意味で焦った。

「出久さん?」

「………眠い………………。」

「えっ?」

「ごめん…………………。」

「出久さ……、寝ちゃった?」

 真っ昼間の公園で、実年齢6歳に膝枕してガチ寝。

 そよ風で揺れる草木の音と、鳥の鳴き声がチラホラ、公園の外から聞こえる街から聞こえる車の音などが遠くに聞こえる。

 壊理はいきなり寝てしまった出久を腿の上に乗せたままどうすればいいかと固まる。

 しかし頭の回転は良い方である壊理。すぐに我に返り、どうしようどうしようと考える。この急な状況に困惑しているのではなく、急に舞い込んできた寝ている出久に何でも出来る状況に何をしようかと迷っているのである。幸いなことに人目もない。こんな絶好のチャンスなんて早々ない。

 すなわち寝込みを襲えるということだ。

 実はもとの姿の時も夜這いをしたことはある。6歳児がどこでそんなこと覚えたって? 死穢八斎會の組長である壊理の祖父の代行を務めている若頭である治崎にスマフォで連絡して相談したのだが、この時治崎以外に人がいない状況だったのがいけなかった……。病気レベルの潔癖症で、個性有りの人間には蕁麻疹が出るからまともに触れもしない重度の個性嫌いの異常者である治崎は、ゴーストライダーという魔人ではあるが無個性の人間である出久を崇拝するほどの病気なファンだ。そんな治崎が親父と慕う組長の実の孫娘である壊理から出久(ゴーストライダー)と将来結ばれたい…みたいな感じで相談されてみろ、どうなる?

 

 組長の孫娘が出久(ゴーストライダー)と結ばれる

  ↓

 つまり出久(ゴーストライダー)組長の義理の孫息子になる

  ↓

 組長の養子のように育てられた自分にとって、まったく血の繋がらない親族に?

  ↓

 なにソレ、もう昇天して良いぐらいの嬉しい大事件!

  ↓

 結果………………、『壊理。方法とは問わない。なにがなんでも緑谷出久(ゴーストライダー)を婿にしろ。俺達が全力でサポートする。』っと、なったのである。

 

 ……そういう保護者としてヤバい知恵を与えた治崎は、後でそのことを知ったクロノや、まだ病院にいる組長にお説教を受けたとか?

 

 まあ…、そういう治崎の壊理には早すぎる知識の与え方のせいで、壊理が夜に出久の部屋に来たという一件があったのだが、出久からは壊理が心細くなったか、怖い夢を見るのが怖いとか、そういう理由かも?と思われて部屋に招き入れられ普通に一緒に同じベットで就寝しただけに終わった。さらに壊理は6歳児の体内時計のせいで夜遅くまで起きていられず、すぐぐっすり眠ってしまったのでなにもできなかった。でも、出久の胸にくっついて眠れたのである意味では夜這いは成功?

 夜這い以外にも治崎からの余計な壊理には早い入れ知恵はある。

 壊理は、ドキドキとしながら顔を耳まで真っ赤にして仰向けで眠っている出久の顔を見つめた。

 出久のちょっと血色が悪そうに見える唇に目が行く。色が悪い気がするが、形は良い。地味系だとか、表情が乏しくて不気味だとかいう人間は多いが、出久の顔立ちはけして悪くはないのである。爆豪や轟みたいにイケメンと分類される方ではないが。

 壊理は、ドキドキしながらゆっくりと上半身を前へ、そして顔をゆっくりと寝ている出久に近づけようとする。

 すると。

 

 モニュッ

 

「ん…?」

「っ!」

 八百万に負けないたわわな胸の膨らみが仰向けの出久の顔に押しつけられる結果となった。

「む…ぅ? …、壊理ちゃん?」

 慌てて上体を起こした壊理に、目を覚ました出久が不思議そうに聞いた。

 壊理は、自分の胸を手で押さえて、泣きそうな顔をしていた。

「どうしたの? なにかあった?」

「……。」

「顔が赤いね。熱がある?」

「ふひゃぁ!」

 体を起こした出久が壊理のおでこに自分のおでこを当てて体温を確かめた。

「………熱はないけど、顔真っ赤だね…。あっ。」

 壊理は、鼻血吹きそうになりながら首まで真っ赤になってふらりと倒れたため、出久がその体を支えた。

 

 

 次に壊理が目を覚ますと、そこは1年A組の寮で自分が生活のために使わせてもらっている部屋のベットの上だった。

 

 

 ガラス戸から射し込む明かりはオレンジ色をしていて、もう夕方の時間帯であることが分かった。

 

 こうして24時間限定16歳ぐらいの体でのデートは、終わってしまった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 せっかくのデートだったのに、思った通りの結果が得られず、壊理はションボリとしていた。

「うーん…、なるほど…、巨乳が仇に……。それにしてもその治崎って奴…なんてこと教えてるんだか…。」

 事情を聞いたミッドナイトが治崎の入れ知恵のことを聞いてため息を吐いた。

「いーい? 壊理ちゃん。」

「……。」

「あなたはね、今は16歳の大きくなった女の子だけど、本当は6歳の女の子なのよ?」

「はい…。」

「好きで好きで仕方がないって気持ちは分かるわ。でも、焦っちゃダメ。まだまだ長い人生…、なにが起こるか分からないわ。分かる?」

「……。」

「だいじょうぶ。貴女の緑谷くんが好きって気持ちは本物だって分かるから。愛の形はね、なにも治崎って奴のやり方だけじゃないのよ?」

「?」

 ミッドナイトがニッコリ笑って、壊理にアドバイスした。

 

 

 

 その夜……。

 個性の効果が切れるまで、残すところあと数時間ぐらいとなった頃。

「い、出久さん!」

「ん?」

 夕食とお風呂が終わった後に共同スペースで壊理が、出久を呼び止めた。

「い…、一緒に寝て良いですか!?」

 共同スペースにいた他の生徒達がびっくりして、飲んでる途中だった風呂上がりの水などを吹き出したりした。

「ん…、いいよ。おいで。」

「ーーーっ!」

「ちょっ、てめ…、デク!?」

 爆豪がフワフワ生地のパジャマ姿の壊理と手を握って部屋へ行く出久を追いかけようとしたが、それを轟が羽交い締めにして止めた。

「おい、クソ猫!? 放せやゴラァ!!」

「緑谷が就寝を邪魔するなって。」

「クソが!!」

「はいはーい。ツンギレ嫉妬幼馴染みくんは、大人しく部屋に帰ろうな?」

「しょうゆ顔、テメーーーー!!」

 瀬呂のテープでグルグル巻きに拘束され、轟の監視の下、爆豪は寮の自室に放り込まれて出久と壊理への夜襲を防止された。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 歯磨きも終わり、出久の部屋に入った壊理は、ドキドキしていた。

 出久が先にベットに乗り。

「おいで、壊理ちゃん。」

「は、はい…。」

 真っ赤になりながら誘われ、ベットの上に乗り上げた。

「壁側の方がいい?」

「えっと…。」

「腕枕する?」

「……。」

「横になるよ。」

「はい…。」

 壁側に壊理が行き、その隣に出久が横になった。

 横になった壊理の上に、出久が引っ張って広げた掛け布団を壊理と自分の体に掛けた。

「……寒くない?」

「だいじょうぶです。」

「暑くもない?」

「はい。」

「狭かったら言ってね。」

「ん…。」

 横になった出久が片腕を伸ばして、その腕に壊理が頭を乗せて腕枕する。

「あ…………………、あの………………。」

「……くっついていいよ。」

「っ!」

 顔を赤くしてどもってしまう壊理に、出久がそう言い、壊理の背中に手を回して引き寄せ、出久の体に密着するようにさせた。

「ーーーーーっ!!」

「…気持ち悪い?」

「あ……ちが…。」

「……………………柔らかい……。」

「えっ?」

「大きくなった壊理ちゃん、すごく綺麗で可愛くて……、どこを触っても柔らかくて…、乱暴に扱ったら壊れちゃいそうで……。」

「そ、そんなこと……。」

 出久の胸に顔を埋める形で壊理は、ますます赤くなる顔を隠そうとする。

「なんだか……、すごく気分がイイ……。こんなの初めてだよ。」

「えっ?」

「本当の壊理ちゃんの姿じゃないって分かってるのに、今の君の姿でもっと色々と……………………、もうすぐ戻るのが惜しく思えてる。」

「!」

「でも………………、楽しみができた。」

「楽しみ?」

「………………壊理ちゃんの成長した姿………、いつか大人になる姿が楽しみで………………、その未来…、その先も生きたいって………。」

「出久…さん……。」

「壊理ちゃん、俺は君に会えて、本当に良かったって思ってる。」

「あ……、わ…、私も……。」

「………………ありがとう。」

 涙をにじませる壊理を出久は抱きしめ、壊理も抱きしめ返した。

「出久…さ、ん……、出久さぁん……。」

 嬉し泣きする壊理の頭を出久が撫でる。

「壊理ちゃん……。おやすみ…。」

「……おやすみなさい。出久さん…。」

 壊理は、出久に密着したまま目を閉じて、本来の年齢相応の眠気であっという間に夢の中。

 そんな壊理を抱きしめたまま、出久は、壊理のおでこにキスを落とした。

 

「………………………………どうか…、君の未来に幸多からんことを……。」

 

 おでこへのキスは、大切な相手の幸せを願う『幸福のおまじない』。

 

 

 

 

 

 そして、翌朝。

 出久の部屋のベットの中で本来の6歳児としての体に戻った壊理は、用意されていた壊理の服を着せられた。

 

 せっかくの大きくなって美少女姿の時間が終わって、ガッカリしてるのでは?とA組生徒は考えていたが、出久と手を握り合って歩いている壊理の姿はその予想を覆した。

 だって、とてもとても、壊理は幸せそうで。

 6歳児とは思えない焦った行動をしていた状態からは考えられないほど落ち着いていた。

「あの…、出久さん…。」

「ん? なに?」

「あ、あの………………、私が……、大きくなるまで………………………………、ま、待っててもらえますか?」

 

 壊理ちゃん!?

 それ告白!?

 

 生徒達の視線が一気に出久に集まるが……。

 

「うん。いくらでも待つよ。だから、焦って大人にならなくていいんだよ。」

「……はい!」

 微笑んだ出久の言葉に、顔を真っ赤にしながら、壊理は最高の、本当に嬉しそうな顔で返事をした。

 

 

 

 

 

 こうして、24時間限定の10年後ぐらいの姿になった壊理の体験は終わったのだった。

 

 

 




プリミティブドラゴン様のリクエストにお応えできたか……不安です。


もしご不満がありましたら、書き直しますので!

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  • 妖怪ウォッチ
  • すまっしゅ!!
  • それ以外の怪異や、妖怪など
  • SCP
  • いや、連載の続き書けよ
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