ヒロアカ×ゴーストライダーネタ  連載版   作:蜜柑ブタ

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今回いろいろと展開がおかしいかも?

またオリジナルエピソードになります。



前回からのオリヴィランとの戦いから若干外れます。

平和なようでカオス?


別作品のクロス設定があります。
クロス元は妖怪ウォッチです。
そのキャラとヒロアカキャラが関係がある設定にしています。



それとある意味でオールマイト強化?






それでもOKって方だけどうぞ。




いいですね?




SS82  ワンフォーオール緊急会議(?)と、妖しい訪問者

 

 

 

 

「あの~、緑谷少年?」

「はい。」

「今、この状況って…なに?」

「見たままだと思います。」

「見たままって!? 目の前の…をそのまま捉えていいの!? 悪い言い方しかできないけどどう妥協してもヤバいのとお見合い状態にされてるってことしか言えないよ!?」

 正座してるオールマイトの斜め前の右側に出久があぐらをかき、オールマイトの正面には黒くてボロボロのローブで身を包んだ何かが正座していた。

 この場の空気が恐ろしく冷たく重たく、そして薄らと腐ったような土の臭いがする。(これでも抑えてるらしい)

 オールマイトと顔を合せる形で正座しているのは、顔が白骨の怪物だった。骸骨の形と座っている姿から元が人間であることが伺えるが、ボロボロのローブの表面や背景に見える揺らめく毒々しいオーラみたいなものが余計にヤバい相手であることを強調している。

 更に完全に白骨であるため目の部分には当然眼球はないのだがその暗い闇しかない穴の奥に不気味な青い光がある。

「実際ヤバい方ですよ。“彼女”は。」

「かのじょ!? 女性の方だったの!?」

「女性ですよ。それはそうとリッチって知ってます?」

「りっち? 豪華な? 申し訳ないがそうは見えないが…。」

「それじゃないです。リッチーとも呼ばれますが、簡単にまとめると自分の意思でアンデッドになった人間ですね。生前の意識と生前の能力を引き継いでいるので大抵は通常のアンデッドより強いです。中にはアンデッドの頂点として君臨するリッチもいるそうです。」

「へ~…、自分の意思で…。その道を選ぶのには何か深い理由があるのかな?」

「彼女の場合は魔術の研究を続けるために不死を求めた結果らしいです。その延長戦で縁あってザラゾスの奥さんになったそうで。」

「まさかの既婚者だったーーーー!? しかもリッチになってから!?」

「リッチさんは初婚だそうですよ。」

「オーーーウ!!」

 驚きすぎているオールマイトと反対にリッチ(♀)は元々頬肉があった骸骨の部位に白骨の手を当ててポッと頬を染めて惚気たような仕草をしていた。目の奥の光る部位がハート型になってたり、白骨の顔なのに頬骨が赤くなっているのが不思議だ。おどろおどろしい外見とは裏腹に意外と表情豊かで恥じらいする乙女?

 相澤に力を貸すことを決めたメデューサの魔女と同様に旦那Loveなのだろう。ただしリッチ(♀)はメデューサの魔女と違い他の男をつまみ食いするタイプではないようだ。まあそこは魔女とアンデッドの違いやらリッチ(♀)自身が研究者気質すぎて生前もリッチになってからもザラゾスと出会うまで結婚の縁に恵まれなかったいわゆる喪女だったという違いもあるだろうが……。

「ま、まあ! それは置いとくとしてそんなザラゾスの奥さんが私に何か御用なのかな!?」

「そうでしたね。それでなんですが、ワンフォーオールのことが関係します。」

「ほあ!? それまた突然な話だね! どういうことか詳しくお願いできる?」

「ワンフォーオールに複数人の死人が1個にまとまってて興味深いってことです。」

「……………………えっ?」

 出久から淡々と言われた言葉にオールマイトは意味が分からず固まった。

「ワンフォーオール……に、死人ぉ!? なんで!? 確かにワンフォーオールは人から人へ受け継ぐ個性だが!? いや…、心当たりは少しあるけど複数人っていうのはまったく分からないんだけど!? 説明プリーズ!!」

 慌てまくるオールマイト。

 彼の脳裏にワンフォーオールと死人の組み合わせでまず浮かんだのは彼の師匠に当たる人物だった。

「そもそもの話ですがワンフォーオールは何人もの人間が代々受け継いでいたわけですよね? ワンフォーオールって実はそこがミソだったんじゃないですか? 異なる能力と知能を持つ別人から別人へ受け渡すことで前の人間を記録してワンフォーオールが強化されるという意味で。ただ記憶という情報は大きくなれば大きくなるほど受け入れる媒体も大きくならないといけません。パソコンのように。心当たりあるんですよね? 大きくなったワンフォーオールを使った結末を。」

「そんな…、だが…。」

「大切な人だったならなおさら認めたくないでしょうが、オールマイトがその人よりもワンフォーオールを使い続けられている理由も含めて知りたくないですか? ワンフォーオールの中にいる先代の人達と会話をしてみませんか?」

「……………できるのかい?」

「リッチには個体差はありますが上位のアンデッドのためか自我の無い下級のアンデッドや悪霊を操ったり召喚するなどの能力がある場合が多いんです。死者との会話の手助けぐらい簡単です。」

「あーなるほど、そうなのか。」

「申し訳ありませんがワンフォーオールの解析とかはリッチさんがやりたがっててオールマイトに拒否権はありません。」

「拒否権無しなの!?」

「残念ながら。」

「いやいやいやいやだからと言って…、わああああ!? ビックリしたーーーー!?」

 焦るオールマイトがふと横を見ると顔が触れそうな近距離にリッチ(♀)が接近していてオールマイトの顔を覗き見るように見てきていた。

「早く調べてみたくてウズウズしちゃってるみたいです。大人しくしてれば早く終わるでしょうから我慢してください。」

「ちょ、ちょ、ちょちょちょ、私にも心の準備というものが…、って、えっ!?」

 リッチ(♀)の両手がオールマイに伸ばされて捕まえようとした瞬間、オールマイトの左腕が乱暴に振られてリッチ(♀)を払った。

 いきなりのことにリッチ(♀)はキョトンとしたように両手をそのままに固まり、出久も驚いていてポカンとしていた。

「あ、れ? いや、待って待って! ちょっと待って! 私の腕が勝手に…。」

『今まで干渉してもこなかった死人の思念がついに動いたってところか。』

「ワンフォーオールが動いたみたいですね。」

「えーーーっ!? ワンフォーオールが!? う…、わわわっ!?」

 ザラゾスと出久の分析が図星だったのかオールマイトの意思に関係なく煙が発生し視界を塞ぐ。

 しかし煙幕など人外には通用しない。ましてや個性がほとんど通用しない高次元の存在達には焼け石に水にもならなかった。

 煙幕に乗じてオールマイトを逃がそうとしたようだが即座に鎖が絡みつき床に縫い止めた。

「おおおおおお!?」

 拘束されたオールマイトの腕からムチのような黒いエネルギーが無数に発生し、出久達を牽制するように暴れ出すがリッチ(♀)が構わず接近した。ムチに当たってもダメージになっていないらしくケロッとした状態で拘束されているオールマイトに近寄り両手をオールマイトの胴体に触れさせた。

 そして何かをつかみ出すように白骨の指を曲げ、そのまま腕を上げると薄ぼんやりした人間の姿がオールマイトから引っ張り出された。

『オイオイオーイ!? こんなのアリなのサ!?』

 スキンヘッドの男だった。引っ張り出されてしまったことにかなり驚いており混乱しているようだった。

『煙りだしてるのも引っ張り出しとけ。』

 ザラゾスがリッチ(♀)にそう声を掛けるとリッチ(♀)が頷いて再度オールマイトに触れて、今度は別の人物を引っ張り出した。

 その瞬間に煙幕が消えた。

『くっ……。』

 口元まで隠れるほどの大きな襟首の衣装を纏った若い男性だった。死人だからかこちらも薄ぼんやりしてる姿だ。

 リッチ(♀)はこれに気をよくしたらしく次はどうしようかとすごく楽しそうな様子で両手の指をワキワキと動かした。

 そうしてザラゾスとリッチ(♀)の夫婦作業(?)で引っ張り出されたワンフォーオールに宿る死人達が全員引っ張り出され……。

「け…、計7名…も!? お、…お師匠……!!」

『驚くか感動するかどれかにしろ俊典。とりあえず落ち着きな。』

「これが落ち着いて…!」

 オールマイトは号泣しながらもう感情がメチャクチャになっていた。

 リッチ(♀)に引っ張り出されたワンフォーオールの中にいた死人は合わせて7人。始まりとなるワンフォーオールの初代を含めた8代目のオールマイトまでの7人の継承者達だ。

 ワンフォーオールの初代と元無個性のオールマイト以外は全員別々の個性を持つ人物達だった。その中にオールマイトの師匠に当たる志村奈々も含まれる。彼女は7代目だ。

『感動の再会はいいが、それよりもこのドクロクリチャーをなんとかしてくれないか!?』

 顔に大きな傷のある男がワンフォーオールの初代からリッチ(♀)をひきはなそうと格闘していた。

 魔術の研究者としてワンフォーオールに興味を抱いたリッチ(♀)はワンフォーオールの大元になった人間に興味津々で手を出すものだから、傷の男、あらため2代目が必死に守ろうとしていた。2代目が必死なのは初代が酷く怯えているのが大きい。

「リッチさん、少し落ち着きましょう。壊れてしまったら元も子もありませんよ?」

『そうだぞ。』

 出久とザラゾスがそうリッチ(♀)に言うと我に返ったリッチ(♀)が初代に絡もうとするのを止めた。初代は2代目の後ろに隠れてしまった。

『庇ってくれそうでまったく庇ってくれない!』

 出久の言動に思わずツッコミを入れる継承者達。

『すぐに激しく遊んだら壊れてしまうじゃないか。じっくりゆっくりとな?』

 ザラゾスがニヤリと笑ってそう言葉をかけるとリッチ(♀)は『さすが夫さん!』っと言わんばかりに感極まったように自分の両手を合わせて白骨顔なのにキラキラ羨望の眼差しを向けてきた。ザラゾスへの信頼度合いが突き抜けていそうだ。

「それでどうするつもりなの? 酷いことだけはしないでくれる?」

『そーだな…、そのワンフォ? それの本来の使い方ってのがあるんだろ? 元々の持ち主やら継いできた連中と話ができるようにしてやるんだ、じっくり検証して今の正義狂人でも全力で使えるようにしてみたらどーだ?』

「会議と同意の言質と…、足りない分はリッチさんが補強する感じ?」

『そうだな。だいたいそうなるかもな。』

 出久とザラゾスの言葉に一番驚いていたのは初代だった。リッチ(♀)に怯えている彼には彼女の力で大事に受け継いでこさせてきた自身の個性をいじくられることに強い抵抗があるのだろう。

「だいじょうぶですよ。たぶん。だいじょうぶです。」

『まったくだいじょうぶだとは思えん。』

 初代を背中にくっつけたままの2代目が警戒心剥き出しで出久にツッコミを入れた。

 他の面々も警戒心剥き出しであるためオールマイトはかなり困っていた。そんな中でザラゾスが配慮無しで告げる。

 

『会議しろ。まとめ役はお前。死人どもに拒否権無し。』

「酷くない!?」

 

 まとめ役などをリッチ(♀)に任せてワンフォーオール緊急会議をいきなりやらされることになった。

 だが会議とは名ばかりでどうやっても全員がワンフォーオールを完全にするために力を合わせるという合意を出さすことは決まっていた。拒否権無しと言われている以上拒否権はない。しかも相手は言質を悪用してくる悪魔だ。更に死人を自由に出来るリッチがいるのだから余計に太刀打ちできない。抵抗するだけ無駄。

 すでにこの世にいない存在としてワンフォーオールに宿る力として残っている初代と継承者達は諦めたようにため息を吐いて現状を受け入れることを選んでいった。

 ワンフォーオール継承についても初代にとって因縁であったオールフォーワンがゴーストライダーに完全に再起不能にされたこともあり、これ以上継承することとワンフォーオールの成長も必要ないと判断し8代目であるオールマイトを最後としてワンフォーオールの継承を止めることを決意し他の継承者達もそれに同意した。オールマイトは若干受け入れにくい様子だったが拒否権がないのがマジであり抵抗しても苦しむだけだと分かり渋々受け入れた。

 その結果……。

 

 

 

「NEWオールマイト、誕・生!!」

 

 

 ヒーロースーツを一新したオールマイトがお披露目の日を迎えた。

 引退が囁かれる中での新たなPlus Ultraだとヒーロー業界や世間を鼓舞するような大々的な形でのお披露目だ。

 以前のパワーファイタースタイルを基礎にワンフォーオールに宿る継承者達の持つ個性と継承し続けたことで成長し続けたそれらの力をオールマイトが使えるようになった。

 特に浮遊と黒鞭は目に見える大きな変化であるため新生したオールマイトとしてのパフォーマンスの印象づけに大いに役立って世間を賑わせた。

 それとオマケで……。

 

「ゾンビモード!?」

 ワンフォーオール会議すぐあとに告げられた話である。

 

 これはリッチ(♀)からオールマイトへの礼として渡されたこの世ならざる力だ。

 名の通り生きる屍であるアンデッドの力であるが、オールマイトが死んでアンデッドとなったわけではない。ちゃんと生きている。

 だが生きている状態から死んでても動けるようになれる、というわけが分からない形態になれるという力だ。

 何らかの事情で生命活動が停止してもアンデッド化することで活動を続けられる。しかもこのアンデッド化はリッチとほぼ同じで生前の能力を全て引き継ぐものだ。もちろん知能や意識も全部引き継ぐ。だからアンデッドとして得られる不死性などなどを使えるようにもなりステータスで見ればゾンビモードの方が強いということにもなる。

 しかし得ばかりでは無い。むしろアンデッドになることで超強化はされるがアンデッドとしての弱点も付いてしまうため生命活動があった時よりその方面で弱体化してしまう。アンデッドを倒すのに特化した即死レベルの攻撃が存在するからだ。

 なので完全に寿命が尽きるまではゾンビモードの切り替えを自分で行えるように調整してもらった。例えば心臓を意図的に止めてゾンビモードを発動させて戦闘能力の強化を狙い、心肺蘇生を自分や他人にやってもらってゾンビモードを解除して生き返るという形だ。

 ただしあくまでもオールマイトが持つ寿命が尽きるまでの間しか自由な切り替えができない。しかも寿命が尽きれば嫌でもゾンビモードに切り替わり生者としての人生は終わってリッチになるしかなくなる。

 つまりゾンビモードとはオールマイトが遠くない将来にリッチになることが決定しているということであり、まともな人間としての終わりを捨てたことになる。

 

 

「相澤くんに続いてどえらいものが来たね!?」

 ゾンビモードについては現時点では一部関係者にのみ伝えられた。根津がそのひとりになった。

「君はそれでいいのかい? オールマイト。」

「はい! この身が死を迎えてもヒーローとしてあり続ける覚悟です!」

「そうか…。それにしてもリッチ…か…。モンスターを題材にしたゲームに登場するのをチラッと見た覚えがあるくらいだね。下手すると将来、リッチになろうとする人間が増えてしまいそうだね。」

「リッチになるのって準備さえ整えて手順を間違わなければそこまで難しくないみたいです。単純に不老不死になるよりは負担が割と少ないっぽいようで。」

「生きているより死体の方が難しくないってなのかい? まあ冷蔵保存と冷凍保存じゃ保存期間に大きな違いがあるようなものかな。干して水分を飛ばしても保存期間が長くなることを考えればミイラの方が更に上かもしれないね。ああ、よく思い出したらエジプトのピラミッドで発見されたミイラも当時の宗教観や死生観に基づいた故人の来世と復活を望んだ肉体の保存だったわけだから国や時代が違えど共通する点はあるのか。」

 根津が生者の状態での不死と、死者になってからの不死の違いについて色々と考えて口にした。

「ですがアンデッドは死んでるからといって無敵というわけではないです。アンデッドの共通点として現世との魂の結びつきが不安定であるということで、しょせんは死体ですから。本来の魂の循環に逆らってるからでしょう。そのせいで死霊魔術師などの術に生前の意識を消すような手法もあるらしいので、不死である分永遠にそういう恐怖と隣り合わせでいないといけませんからリッチになることが良いことばかりじゃないです。」

「じゃあオールマイトがリッチになったら、それを注意しないと一撃で即死する可能性も高いし、たちまち敵の駒にされるということもあり得るということかな?」

「そうです。」

「…うーん。そう考えるとリッチ化してヒーローを続けるのは賛成できなくなるね……。」

「で、ですが…。」

「うん、分かってるよ。今更戻れないってこと。相澤くんも、君も……。世界がどんどん変わっていく。それに適応しないといけないことは分かってるんだけど……。そのための人柱を出さないといけないことに抵抗を感じるのは僕が適応できていない証かな?」

「いいえ。それの想いは間違いじゃありません。他人を思いやれる余裕があることは平和だからこそです。自分のことで精一杯だったら自分以外のことを考えることなんてできません。」

「……そうか。うん…、そうだね。ありがとう。ハハ…、情けないところを見せてしまってごめんよ。校長としてしっかりしないとね!」

 大きく移り変わっていく世界、特に今まで幻想、創作でしか知られていなかったような人ならざるモノが牙を剥き害をもたらし、その力を人間が使用するために体や命を削る、その結果人間であることを辞めなければならなくなり、それでも人間は適応しようと抗い続ける。

 未来ある子供達を教育し導き、そして未来を切り開くための力を育ませる学校教師のトップである校長として、根津は自分の想いと信念を胸に職務を務める気持ちを新たにした。

 

 

 NEWオールマイト爆誕の発表がされた後日、雄英に訪問者があった。

 

「こんにちは、緑谷さん!」

「真堂くん?」

 

 お米料理フェス以来の傑物校の真堂揺が雄英に訪問し、出久に会いに来たのだ。

 

 

 

 

 その一方で……。

 

「あれ? 八百万は?」

「実家に帰省してるらしいわ。」

「どーしたんだろ、急に?」

「ん~、なんか思い出の場所が無くなるから最後に見に行きたいって言ってたかしら?」

 

 

 お金持ちの家のお嬢様である八百万は、実家に急いで帰省しそれからある場所へ向かった。

 

 

 

「………………こんなに寂しくなってしまったのですわね。」

 

 幼い頃に家族と避暑地として別荘を建てていた田舎。

 その田舎の村がもうすぐ廃村となることを聞き、別荘も老朽化もあって取り壊すと聞いて最後の姿を記憶に納めようと考えて急遽来たのだ。

 舗装もされていない道を進むと、やがて神社にたどり着くが……。

「取り壊されてしまった…?」

 そこにあったのは無骨な工事用のフェンスに囲われた小さな神社だった場所。中は見えないがもう神社としての建築物もそこにあった狛犬や鳥居もないのだろう。

 だが神社は廃村になる前からすでに取り壊されてしまったようだ。フェンスに張られた張り紙に記された内容によると管理者が誰もいなくなり、神社の神様もいなくなったということだった。

 信仰の対象が失われ、誰も管理できなくなったためやむを得なかったのだ。

 八百万は、時と共に失われていく物に悲哀を感じつつ、どうしようもないことなのだという理解もありなんとも言えない気持ちになる。自分が物を作り出す個性を持つため生み出した物がいずれ壊れて無くなることの摂理を感じたようだ。

 八百万はやがて踵を返し、元神社があった場所から離れていった。

 そんな彼女の後ろを付いていく存在がいたのだが八百万は知らない。

 そしてその存在は彼女を送迎する運転手にも廃村になることが決まった村で最後の後片付けをしている村人達の目にも映らない。誰にも見えていなかったのだ。

 見えないソレは八百万が乗る車にも飛び乗り、そのまま村から離れていく。誰にも気づかれず誰にも見えないまま。

 そうして幼少期の思い出があった場所の最後の姿を記憶に納めた八百万は、雄英の寮に戻ってきた。

 お土産として八百万家御用達の老舗お菓子屋で販売されているアイスクリームを購入してから帰って来たため、バケツアイスじゃないが大きな容器に入ったアイスを器に取り分けてクラスメイト達に振る舞うことになった。

 ところがみんなに器が行き渡った頃に異変が起きた。

「あれ? アイスが消えた!?」

「あっ、マジだ!」

「見ろ、皿の底にアイスが乗ってた名残があるから誰かに取られたんだ!」

「アイス泥!?」

 一瞬にして無くなったアイスを盗んだ犯人捜しが始まりかけた。

 するとそこへ出久がやってきた。出久と一緒に真堂がいた。

「どうしたの? なにかあった?」

「あっ、緑谷いいところに! なんか見えない敵が侵入してるかもしんないから探知してくんね?」

「なにがあったの?」

「実は…。」

「って、そっちの誰?」

「どーもこんにちは。仮免試験以来ですね。」

「えっ? マジで誰?」

「俺ってそんな影薄かったかな~?」

 そのことは若干ショックな真堂であった。

「…八百万さん、何を連れて帰ってきたの?」

「えっ?」

 共有フロアのソファーに座っている八百万に近づきながら出久が訝しんで聞いた。

 近くに来るとソファーの前から八百万の左横の位置に立って何かを見下ろすようにする。しかしそこには何も見えない。出久だけが見えているらしい。

「そんな怯えてなくていいから。少し力を貸すよ。八百万さんに言いたいことあるみたいだし。」

「緑谷さん?」

 周りが不思議そうにする中、出久が見えない何かに手を伸ばした。そして白い炎が一瞬弾けるように燃え上がった。

 白い炎が何かを形作るように動き、それは瞬く間にその形と色を顕す。

 そうして現れたのは…。

「どう? 変な感じはない?」

 周りが目を丸くする中出久が淡々と聞く。

 八百万の隣にいたソレはギュッと閉じていた目をゆっくりと開けた。

 目をぱちくりさせて周りをキョロキョロと見回し、自分に視線が集まっていることに気づくと。

 

『もんげーーーーーー!?』

 

 あまり聞き慣れない方言で驚きの絶叫をあげて飛び上がり、その勢いでうっかりソファーから転げ落ちそうになったため出久が受け止めてソファーに戻された。

「も、もんげ?」

「鳴き声?」

「違うよ。」

 ソレがあげた言葉に驚く者達に出久が即座に否定した。

「俺は緑谷出久。君の名前は?」

『お…オラ…、オラは、コマさんズラ…。よろズラ!』

「コマって名前?」

『ち、違うズラ! “コマさん”で全部名前ズラ。』

「ややこしい!」

「じゃあ敬称付けて呼ぶときコマさんさん? 言いづら!」

「コマさん…?」

 その名前を聞いた八百万が何か遠い記憶に引っかかるような懐かしいような奇妙な感覚を覚えた。

「あーーー! その子の口の周りにアイス付いてる! アイス泥だ!」

「お前かよ!」

『ご、ごめんなさいズラ~~!』

 葉隠が颯爽とコマさんの口周りについた溶けたアイスを見つけて叫んだためアイス泥棒の正体が明らかになったのだった。

 全体的に白っぽい体色と頬と腰辺りに赤い渦巻き模様、薄青い胸部と腹部、額に角のように揺らめく青い炎のようなもの、白い渦巻き模様がある緑の風呂敷を背中に背負うゆるキャラ動物のぬいぐるみのようなゆるい見た目。

 もっちりした愛らしい外見はお餅や大福みたいで麗日がコマさんをがん見していた。

『ほ~、神獣の妖怪堕ちとは…。よく消えずにここまで来れたな?』

 ザラゾスは感心したように声を漏らす。

 

 神社の社と領域を守護し社に住む神に仕えていた狛犬が妖怪となった存在。

 それがコマさんであった。

 

 ザラゾスの言うとおり神に関わる聖なる獣であったが、なんらかの事情で妖怪へと変じているのだがそのせいで本来の存在理由から離れてしまい結果的に消滅の危機にあった。

 しかし妖怪化しきれないほど存在が弱くなっており妖怪化する前に消え失せそうになっていた。そんな状態で八百万についてきてアイスを盗み食いする図々しさを発揮できたのは、ゴーストライダーこと出久がいる領域に踏み込んで知らず知らずにその領域から力を吸収したおかげで消滅寸前から少しだけ遠のけたからだったようだ。

 そして出久を介して足りなかった不足分を補ったおかげで消滅を免れたコマさんはついに完全な妖怪として生まれ変わり、こうやって会話や触れ合いが可能になった。

 

 コマさんが八百万を追って雄英に辿り着けたこと。

 それがあるヒーローの新たなPlus Ultraになることを、この時はまだ誰も知らない。

 

 

 

 




オールマイトに力を貸すことになったのザラゾスの嫁その2は、アンデッドのリッチ。
以下、現段階での設定。

・リッチ(♀)(元ネタは色々)
 魔術の研究に人生を捧げた人間の女が魔術の研究を続けるためにアンデッドとなったリッチ。
 外見はボロボロのローブを纏った白骨。青白い炎のようなオーラを纏わせている。眼球の無い目の奥に青い炎のような光がある。
 リッチというアンデッドの分類自体が強力であるうえに生前が魔術師であるためよりな強力なリッチとなっている。
 生前が研究者だったことと研究のために死を越えることを選択しただけありリッチになってからも探究心旺盛でオールマイトに宿るワンフォーオールに興味を持ち研究ついでにオールマイトに完成したワンフォーオールが使えるようにさせるのを手伝い、アンデッドモードという一時強化形態が使えうようにもした。
 生前から喪女でザラゾスと出会うまで誰かとどうにかなる縁が無かった。その反動か旦那になったザラゾスにベタ惚れで、ザラゾスへの反応が少女みたい。




コマさんはアニメの設定を少しと、このネタでの捏造をしました。
コマじろうと共に神社の守護獣として暮らしていたが、神社が無くなったことで妖怪にならないと消滅するしかなくなる状態に。
けれど妖怪になる前に消えそうなほど弱ってしまっており、八百万についていって出久に会えなかったら完全消滅を迎えていたかも。
八百万のことを知っていて、八百万の方も懐かしいような気がしているが覚えていない。次回で思い出す予定。
コマじろうもいるがある理由でコマさんから離れていた。その理由は後々に。
コマさんがアイス喰ったのもアニメ設定を参考にした八百万との過去のやり取りでの理由があります。

なお八百万家の避暑地の別荘というのは完全なる二次設定です。

真堂は出す予定無かったですが、揺らすという個性から地震蟲を想像し、前回のお米料理フェスの一件で出久を訪ねたという感じにしました。
そのことも後々。

次の短編のネタにするなら?

  • 妖怪ウォッチ
  • すまっしゅ!!
  • それ以外の怪異や、妖怪など
  • SCP
  • いや、連載の続き書けよ
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