〇〇泊地所属軽空母「ほうしょう」   作:堀井 椎斗

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堀井 椎斗です。
色々とありまして少々投稿が遅くなりました。
とはいえ今後もしばらく投稿ペースがこのまま遅くなるやもしれません...。詳しいことは活動報告に書かせてもらっていますのでそちらを見ていただければ。
今回は宿毛湾泊地のほうしょうのストーリーです。いつも通り後半になるにつれて少しずつ適当になっています((


13話 ドッペルゲンガー

0600、宿毛湾泊地。

 

総員起床のラッパに意識が夢の中から叩き戻される。

 

「んん...うるさひ...」

 

もぞもぞと動くも、目は瞑ったまま布団から出る気配のない彼女ーほうしょう。

扉の向こうで足音を大きく鳴らしながら廊下を走っている音が聞こえる。この部屋へ向かって来ているようだ。おそらく起こしに来たのだろう。

だが今は眠気が十分に勝っている。気にせずにもう一度仰向けになり寝ようとした瞬間、瞼越しに光が入る。

 

「総員起床っぽーい!ぽぉーーーい!!」

 

ほうしょうが眠る部屋のドアを勢い良く開け、ジャンプして布団へ飛びかかる艦娘。もう一度眠ろうとしていたほうしょうの腹部へ強烈な重さの顔面ボディーブローを食らわせた。

 

「んあああぁぁぁぁっ!!???」

 

宿毛湾泊地生活2日目。早速大声をあげる羽目になった。

 


 

「ーじゃあ、そういうことだから。この後もよろしくね。」

「ぅ...あい...っ...」

 

痛みで声が出ない。大声を出した時に急いで部屋へ駆けつけてくれた時雨を、お腹をさすりながら見送る。過去最高に良い目覚め(無理やりだが)を提供してくれた彼女、夕立は時雨に襟を掴まれながら引き摺られていった。

寝癖のついた回らない頭を揺らし、ちょっとだけ眠気覚ましをしてから寝ぼけ眼で支度に入る。動作はすごいゆっくりだ。

先ほどまで寝ていた布団を畳んで枕を上に乗せる。まだ温もりがある分寝たい気持ちが膨れるのだが、これ以上寝ると先程の二の舞になりかねない。

 

「フトゥン...マクラッ」

 

眼鏡入れに入れた、あのレーダーディスプレイ付きの眼鏡をかける。ほうしょう自身そこまで視力が良くないので、これがなければ視界がかなりぼやけてしまう。

 

「ネガネッ」

 

...と、順番が逆になってしまった。一度顔を洗って眠気を更に飛ばそうと思い、眼鏡を頭に一旦ずらして洗面台で顔を洗う。水がまだ冷たく感じる時期。こういう季節にこの顔を洗うのはかなり効果がある。

 

「ミズッ...ミズッ...」

「おうスペースブラザーズのテキトーこーかおんやめーや。」

「えー、いーじゃんか。べつにこーかおんつけるのぐらいー。」

「だとしてもミズッ...ミズッ...ってなんやねん。フツーバシャバシャとかやろ。」

 

...何やらしょうもないことで妖精さん達が言い争いしているが、気にしない方がいいだろう。

髪をとかして束ねていると、艦長妖精さんから声がかかる。

 

「あいかわらず“ねぼすけ”なのです。もうすこしすっきりおきれるようにするのです。」

「簡単に言いますが、ねぇ...ふぁあ...っ。」

 

ポニーテールを作りながら欠伸。起きた時よりは全然マシだがやはり眠気は取れない。

艦娘になった世界では、ほうしょうは朝にめっぽう弱かった。先程のように布団の中に入れば何があってもずっと寝ようとするし、脳が上手く働かず、何をするにものっそりと動く。

とはいえ、元の世界でもそのような兆候はなくはなかった。普段出港する際は機関始動から最大船速まで満遍なく動いてくれるのだが、早朝に出港する日に限り機関始動から1時間経つぐらいまで、フル性能で機関が動いてくれなかった。隊員はこの現象を「ねぼすけ」と呼んでおり、早朝毎にこの現象が起きるため最早慣れてしまっていたほどだ。戦闘艦として大丈夫なのだろうか?

 

「...あれ、眼鏡...眼鏡...?」

「...あたまにかかっているのです。」

「頭...あ、本当だ...」

(まいあさこんなちょーしでこれからダイジョーブなのですか???)

 


 

時刻は0730。眠気がだいぶ飛んだところで、朝ご飯を食べに食堂へ赴く。そういえば私の紹介もそのタイミング済ませると、昨日長門が言ってたか。

食堂の扉を開いて中へ入る。朝から和気藹々と食事をしている多くの艦娘。扉が開くのを見聞きして何人か振り向いたが、見た途端に突然混乱し始めている。

 

「んぇ...鳳翔さんが2人...!?」

「...ねぇ、私目おかしくなってないよね?大丈夫だよね!?」

「ドッペルゲンガーですわ...私達、このまま消え失せやがっちゃいますの!?」

「いや、違うでしょ...!だってめっちゃ背高いし...!」

 

「...すごいいわれようなのです。」

「ま、まぁこればっかりは...ちょうどおなじなまえのかんむすがいるようですし。」

 

妖精さんや艦娘達の会話を聞き流していると、いつの間にやらこちらに来ていた長門が手を叩いて皆の注意を引く。

 

「食事中にすまないな。昨日のことだが新たな仲間が加わってくれることになった。自己紹介を頼む。」

「あ、はい。海上自衛隊第一護衛隊ならびに、昨日より宿毛湾泊地所属になった、CVL-1、軽空母のほうしょうです。不束者ですが、何卒よろしくお願いします。」

 

「海上自衛隊...?何その組織...?」

「あの大きさで軽空母...?何か勘違いしてないよね...?」

 

またもちょっとしたどよめき。今の状況を説明するならば、まるで長門が「自分は重巡洋艦だ」と言っているのと似ているので、どよめくのも仕方がないことではある。

 

「彼女だが、どうやら我々とは別の世界から来た艦娘のようだ。聞き慣れない単語に見慣れない装備、お互いに色々と苦労するかもしれない。だが、少しずつでも構わない。打ち解けあって、良い関係を築いてくれ。以上だ。」

 

話が終わり長門が先程まで座っていた席へ戻っていくのと同時に、緑色の弓道着に身を包んだ青髪の艦娘に捕まり、空母勢の集まるテーブルまで連れて行かれる。

 

「あ、あの、まだ朝食取りに行ってないのですが...」

「まぁまぁ良いじゃないですか!とにかくまずはこっちに!」

「良くはないです!」

 

引き込まれるがまま、テーブルまで着いてしまった。取りに行けなかった朝食は、強引に連れてきた艦娘が代わりに持って来てくれるようだ。そうしてくれなければ朝食抜きになってしまう。

テーブルには昨日の飛鷹隼鷹も同席していた。隼鷹は食べ終わって話し相手を待っていたかのようにしていたが、飛鷹がまだ食べ進めているようで会釈だけした。隼鷹の様子を見るに、早速規則破りが起きてはいないようでひとまず安心だ。

 

「やぁ〜、空母の集いへいらっしゃ〜い。」

「おはようございます、隼鷹さん。早速規則を破って呑んだくれていないようで良かったです。」

「ちょ、そんな信頼度低い?私?」

「昨日の今日だから仕方ないじゃない。そのぐらいのことをやったのよ。」

 

呆れたように飛鷹が口を挟む。そこへ更に割り込むように、橙色の弓道着を着た声をかけられる。

 

「ほうしょうさん!とりあえず私から質問!あ、私は航空母艦の飛龍です!」

「何でしょう?」

「何で正規空母じゃないんですか!?」

 

艦船の全長がほぼ身長に置き換わるこの世界。確かに軽空母と名乗るには、二次大戦時の艦娘からすれば身長が高すぎる。

 

「うーん...もう二次大戦から75年近く経った世界ですから、正規空母の大きさもかなり大きくなっている、と言った方が良いでしょうか?私のような艦の長さでは、軽空母としか言いようがないんです。」

「それで軽空母サイズ...ちなみに、正規空母ってどれぐらいの大きさなんですか?」

「そうですね...例えば最近出てきたアメリカのジェラルド・R・フォード級原子力空母が、全長330m近くで「「「330m!!!???」」」

 

その場で話を聞いていた飛龍、飛鷹、隼鷹がそれぞれ声を上げる。今居合わせている中で最長の飛龍でも230mほど、当時世界最大の戦艦と言われた大和や一航戦の赤城でも260mほどなので、それよりも大きいともなれば驚かないはずがない。

 

「え...ち、ちなみに排水量は...?」

「よく覚えてはないですが...確か満載の状態で10万t近くだったかと...」

「...ねぇ、私達ってそんな恐ろしい相手と相見えたの?」

「恐ロシア、アメリカ...」

「それどっちなのよ...?」

 

米海軍が保有しているニミッツ級以降の原子力空母の満載排水量は、どれも10万tを超える。これは飛龍からすれば約5倍、赤城でも約2倍の排水量に相当する。大和を持ってしてもあと3万t足りない。

 

「ちなみに10万tクラスであればアメリカに10隻程度いますね。まだまだ建造もされているみたいです。」

「もうなんでもありじゃんそんなの...」

「...なんか、米艦娘相手に『どぉよっ!』とか言えなくなってきた気がするなぁ...」

 

二次大戦時は「日刊駆逐、月刊空母」というアメリカの海軍事情を比喩する言葉があるほど、工業力が極めて優れていることはもちろん彼女たちも知っている。ただ、それが時代が過ぎればこのような形で真価を発揮されるとは思いもよらなかったようだ。

 

「お待ちどうさま〜、ついでにあの人も連れてきたよ〜って...何で飛龍死んでるの?」

「そ〜りゅ〜...っ、アメリカこわい...まんじゅうこわいよぉ〜...っ」

「この短時間で何があったの...」

 

先程無理やりこの集いへ連れてきた艦娘、蒼龍が朝食を持ってきて置いてくれたと同時に、飛龍が抱きついて訴える。飛鷹隼鷹は何やら魂が抜けたかのように呆然としている。話題に入っていない蒼龍からすれば何があったのか分からなくて当然だろう。

 

「貴女が...ほうしょうさん?」

 

声をかけられ後ろを振り向く。そこには割烹着を着た背の低くて優しい微笑みを浮かべる、そう...自分がいた。まるで母とも言うべきであろう佇まいだ。気付けば彼女が誰なのか分かっていないはずなのに口に出していた。

 

「はじめまして...鳳翔さん。」

 

側から見れば会ってはならないドッペルゲンガー。だが彼女達からすれば時代を超えて巡り会えた母と娘。どこかを疾走しているあの護衛艦に引き続き、宿毛湾でも2人が初めて邂逅した。

 

 

それからというものの、蒼龍が「こんなところ見逃してどうするの!」と飛龍を叩き起こし、鳳翔とほうしょう2人を並ばせ、何故か食堂で記念撮影会が開かれた。

皆が皆手持ちのカメラなどを持ってきて、母娘2人の写真を撮る艦娘、間に入ってテーマパークのキャラクターと一緒に撮る感覚で撮ってもらう艦娘。秋雲はスケッチを描いているし、ほうしょうの見張り妖精さんはその様子を見て横で神を崇めるが如く崇拝の土下座を繰り返している。

そんな記念会が開かれている最中に2人が口を開く。

 

 

「「ひとまず朝食を食べさせてもらって(食器を片付けさせてもらって)もよろしいでしょうか...?」」

 

まだ1日は始まったばかりだ。




次回は工廠訪問、書けたら性能評価まで行こうかなと思っています。
アンケートまた用意しましたのでよければお願いします((
あと感想も寄せていただけると私のモチベが上がります((

※ちなみにアンケートですが、選択肢にないもので何かある場合メッセージなどで飛ばしていただければ。

P.S. 嫁艦白露、進水日おめでとう。これからも艦隊の1番を目指してください((

番外編初回はどんなものが見たいですか?

  • ほうしょうと空母勢でゲーム
  • むらさめと白露型でゲーム
  • ほうしょうとむらさめ、タイマンゲーム
  • 艦娘達が自衛艦娘達のいた並行世界を妄想
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