〇〇泊地所属軽空母「ほうしょう」   作:堀井 椎斗

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堀井 椎斗です。
先の話はポンポン出てくるのに今書いている話をどう進めるかについて全然構想が固まらない現象に陥っています。悲しきかな。

対潜戦闘のお話です。
内容の完成度はあまり突っ込まないでほしいです。



17話 対潜掃討

 

『ひゃっはああああ!うちらドルフィン隊や、そこどきゃああ!!進め進めえええ!!』

「なんだこのテンション高いの。」

「んまぁ...あいつキャラが不安定だから...」

 

対潜試験開始後、ほうしょうから発艦したシーホーク5機は、対潜用の魚雷を抱えながら洋上を進んでいく。

ドルフィン隊、というのはSH-60Kを操るパイロット妖精さん達が付けた編隊名だ。

F-35の方は小隊ごとに名前があるのにSH-60Kの方は愛称だけで無名の小隊なのは嫌だと、ほうしょうに駄々捏ねて(交渉して)付けてもらったらしい。

 

今回の対潜試験は爆薬とともに沈められたドラム缶を擬似潜水艦と見做し、1つずつ潰していくのが目的だ。一応今回の試験では時間制限こそないが、現実に即して考えれば素早く無力化しなくてはならない。万一もたもたして仕留めあぐねれば、輸送艦をはじめとした水上艦がやられてしまう。水上艦がやられてしまえば、特に日本においてはそれこそ物資が欠乏していき、心臓を止められたような状態になる。

 

「索敵用意、ソーナー降ろせー!」

「ソーナー降ろーせー。」

 

ディッピングソーナーが海面へ向けて降ろされる。降ろされたソーナーは自ら音を出し、目標の捜索を始める。

相手が現代の潜水艦である場合、探知されないために表面に無反響材を使用していることもあり、捜索は難しくもある。ただ、今回は何の変哲もないドラム缶がターゲットだ。無反響材を使ってるわけでもなければ響きにくい塗装が施されているわけでもない。それ故に反響音がものすごく響く。

 

「ソーナー探知ー、ドップラー高いー。」

「数は?」

「近距離に2つー。方位70と280ー。」

「よーし、こいつの力を見せてやれ!方位70の敵、短魚雷用意!てー!」

「痛いのをぶっ込んでやるぜ!」

 

妖精さんたちの合図とともにSH-60Kから短魚雷が切り離される。切り離された短魚雷は海面に打ち付けられた後、目標へ自走を開始する。

 

「ソノブイ回収、もう一つのやつも狙うぞ!」

『...あー、あー。テステス。うちがもいっこ狙っとこかー?』

「ん、すぐに撃てるなら頼みたい。」

『よし、んじゃあちょっち待っときゃー。すぐ沈めたるから。』

 

 

「君らぁ、聞いてたな!短魚雷用意!目標、僚機の左にいるやっちゃ!観測員、うちらの向く方位間違えてないな!?」

「方位、間違いなしでっせー。」

「よっしゃ!ささっとぶっ潰してまえー!」

「短魚雷用意、撃てぇ!」

 

僚機のソノブイから得られた情報を元に、近くにいたもう1機が短魚雷を撃ち込む。それぞれの魚雷は落ちた瞬間に指向していた方面へ向けて、アクティブソーナーを放ちながら海中を進んでいく。一つは深度をほぼ変えずに進み、一つは更に深くへ。数十秒経った後、二つの水柱が海面に立った。

 

「うぉー...こりゃド派手な海中花火だ。」

「炸薬どんぐらい詰めてたんだあれ...ともかく、戦果確認。急げ。」

 


 

一方、離れた場所では艦娘たちも一部始終を目撃していた。

 

「SH-60K...別名“シーホーク(海の鷹)”とも呼ばれてるみたいだけど、どんな戦い方を今度は見せてくれるぅ...?」

 

双眼鏡でSH-60Kを追う北上の隣では、時雨が聴音機を耳に当てながら機器類のチェックをしていた。

ドラム缶の中には炸薬が詰められているのはもちろんだが、目視や水中聴音で完全に撃沈したかどうかの判別が付きにくいため、小型の豆電球と乾電池、ソーラーパネルや単音を発し続けるモールス信号機などをぎゅうぎゅうに詰め込んでおり、モールスの音が消えたかによって撃沈判定をしている。モールスの音もバラバラになるよう事前に北上が調整しているため、判別もしやすい。

 

「お、何か降ろした...多分ほうしょうさんが言ってた探信儀かな。どのぐらい聞こえるか耳澄ませておいてね〜。」

 

北上の呼びかけに頷きを返す時雨。SH-60Kから降ろされたソーナーが海中に入ってから数十秒経ったぐらいだろうか。九三式水中聴音機でディッピングソーナーから発されたソーナー音を観測する。だがその音量は今まで聴いたものよりもかつてなく大きなものだった。

 

「うぅ...ちょっと耳やられそうかも...。」

 

片耳から聞こえて来る音に集中していたため、突然の大音量に思わず聴音器を耳から遠ざける。離された聴音器から思い切り音漏れするソーナー音は、少し離れた北上にも聞こえていた。

 

「うへぇー...こりゃ”死の宣告“だー...私が潜水艦なら絶対これだけは聞きたくないわー...」

 

ソーナーで敵を探知できたのか、SH-60Kから魚雷が切り離され、海面へ自由落下させる。

その後、先程と同等程度のソーナー音が聴音器ごしに聞こえて来る。ただ、ソーナーを落としていたSH-60Kは既にソーナーを巻き上げている最中だ。他の機体もソーナーを落としているものはない。そうなればつまり...

 

「...ほんとに魚雷から探信音出してるんだ...ひぇー、これはおそろし...」

「え...?魚雷から探信音...?」

「そ。ほうしょうさんが言うには、あのオートジャイロ、んまぁヘリって言った方がいいのかな。それが持ってる魚雷には探信儀が積まれてて、自分で潜水艦を探して倒すんだってさー。そんなの相手にしたくないよねー...」

「へ...へぇ...?」

 

時雨もひとつ聞いただけでは何が何だかという顔をしている。北上以外は、ほうしょうの戦闘能力について何も知らない状態で来ているのだから、それもそのはずだろう。

ここで思わぬ行動を見かける。ソーナーを下ろしていた機のすぐ近くにいた別の機が、今度はソーナーを下ろすことなく魚雷を投下した。

 

「...ん、え、ちょ?何も索敵なしで切り離すの?まさか缶1つに2本攻め?でもそれ禁じ手だったよねぇ...?」

 

事前に通達したルールでは、攻撃は1度のみ。単騎の性能を確認するためにも、複数による攻撃は認めていない。そのルールを無視して試験に臨んでいるとは思ってはいないのだが、ただ目撃したことに対する予想の処理が追いついていない。

 

処理が追いつかないところへ、2つの水柱が上がった。それとほぼ時を同じくして、不協和音を奏でていたモールスからいくつか音が消え、三重奏に変わる。

 

「ドラム缶、2つとも撃沈したみたいだよ。...って、北上さん?」

「...あ、あばば...?」

 

処理能力を一時的にオーバーして、口を開いたまま反応できないほど呆然している北上が少しの時間見られた。

 

その後も各機は目標を発見しては一発で仕留めていく。一撃必殺。この世界ではそんな芸当はまともに出来る試しがないのだが、さも当たり前のように短魚雷を落としては、落とした数だけ確実に潰していくのだ。

 

「ぽいー...」

 

時雨同様、夕立も起きていることが分からないまま遠くから対戦試験をするSH-60Kたちを眺める。あれが未来で繰り広げられる対潜戦闘の一部分。ふと、自分もあの装備を乗せれたら、もっと強くなるのかなと一瞬思ったが、そもそも駆逐艦には水上機自体を乗せるスペースはない。高望みだというのは分かっていたのでその考えはすぐに飛ばしてしまった。ただ自分の名を冠した艦が、元の世界で同じようにSH-60Kを飛ばしていると知るのはまだ先の話。

 


 

あっという間に5つの目標を仕留め上げ、着艦作業も終えたほうしょうは北上の元へきていた。のだが...

 

「...あの、北上さん...?」

「ばばば...あば...あばばば...」

 

「...1つ目のドラム缶を撃沈させてから、ずっとこんな調子なんだ。まともに会話ができそうにないし...とりあえずこの後何か試験あっても記録に影響するから延期したって言っておくね。」

「そうしていただけると助かります。おそらくこうしても...」

 

「ぶぶ...うぶぶ...ぶ...?」

 

北上の両頬を手で軽くつねってみるほうしょう。もちろんつねれば声音も変わるし言葉も聞き取りづらくなるのは分かっていたが、北上のその様子が少し可笑しくて、思わずちょっとだけ吹き出してしまうのだった。

 




性能試験は特に書きたいものがない限りはこれで終わりです。
次の話は何を書きましょうかねぇ...
むらさめ視点かほうしょう視点、どちらが見たいかアンケートに参加してくれると助かります。

ちなみにこれとは別で文字数ノルマを度外視した適当な連載小説を一個書いています。
長編小説等はまだお待ちを。
あと更新がないなと思ったら活動報告を見てくれれば、ちょくちょく更新してたりします。生存してるかどうかの指標に。


P.S. もう1か月前の話ですが、22歳になってしまいました。時間の流れがどんどん早くなっていく...

次話はどちら視点が見たいですか?

  • ほうしょう視点
  • むらさめ視点
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