こんな設定あったらいいな、個人的にこういう奴らいねぇかな。   作:合間な人

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今回もムク編です
やりたいシチュは
1.鬼殺隊士との遭遇
2.猗窩座や童磨に遭遇する
3.もう一人の逃れ鬼、珠代と兪史郎との遭遇
この二つです。
今回は隊士達との遭遇です。


自己満足な鬼滅の刃の設定と、短編 その三

満月の下で俺たちは歩く。一つの体に二つの魂の鬼、武苦。だが、俺たちはその名を名乗らない。理由は人を捨てていないからだ。人を捨てれば鬼としての名前を使うが、それが起きない限り、右衛門と左衛門の名はずっと使ってゆく。

 

俺たちはずっと歩く。夜が明けるまで、ただひたすら歩く。そして、鬼が出ようと人が出ようと、俺たちがすることは変わらない。追い払うか、気絶させる。時によっては俺が出て、右衛門が鎮まる。当然だ。俺たちの戦い方は全く異なる。右衛門は技を使い、敵を鍛えるように戦う。ひたすら受け流し、その隙に反撃を加え、戦意を削ぐ。俺はむしろ攻撃を加えながら駆け引きの様な戦い方を演じ、そして相手を気絶に追い込むように戦う。スタミナを削るか、一気に削るかの違いだけだ。そして俺たちは鴉の鳴き声を聞く。

 

「カァー!カァー!」

 

こんな夜中に鴉の鳴き声は少し珍しい。そして大抵鴉の鳴き声がするときは決まって鬼狩りが来る。そして、姿を現したのは、俺の知る限り、現花柱、胡蝶カナエだった。確証はないが穏やかな雰囲気からして違いないだろう。

 

「貴方ね、虚無僧の鬼というのは。」

「...いかにも。拙僧は鬼。主が狩るべき一人の鬼。鬼狩りとして拙僧を狩るも良し、話すもよし。どちらも主の自由。」

「...貴方は自分から「狩るべき」というのね...なんで、そんな悲しいことを言うの?」

「主らは鬼を狩ることを生業としている。主らにとっては鬼とは犯罪を犯す害獣のような存在。そうであろう?」

「いいえ、私にとって鬼とは、そんな卑しい存在ではないわ。」

「ふむ、大抵の鬼狩りなら拙僧が鬼だとわかったとたん斬りかかるところを、主からは殺気も、敵意も、ましてや拙僧を陥れる悪意も感じぬ。主にとって鬼とはどういう存在だ?」

「...私にとっては鬼とは悲しい生き物。人を棄て自らの欲望に走る悲しい生き物」

「興味深い答えだな。『人の棄て欲望に走る悲しい生き物』...か。それでなんだ?主は鬼を斬ることでしか救えないとでもいうつもりか?」

「...だけど私は信じている。悪い鬼がいれば、人を思うことができる優しい鬼もいるはずだって。だから私には夢があるの。『鬼と友達になる』という夢が。」

「夢物語にも等しい夢だな。だが、理想のために戦う。復讐心にとらわれ、ひたすら鬼を狩る鬼狩り共とは、大きな違いだな。」

「でもあなたのおかげで今叶いそうな夢になった気がするわ。普通なら人を見た途端すぐに襲い掛かるもの。」

「話す余裕のある鬼かもしれぬぞ?主は拙僧を買いかぶり過ぎだ。」

「なら、一つ聞いていいかしら?」

「なんだ?鬼狩りの小娘よ。」

「あなたが関わっている報告ではほぼ、隊士達は口を揃えて『斬りかかったら反撃されて気絶した。』、『虚無僧の恰好をしたただの鬼だと思ったら武術の達人だった』、『別の鬼と戦ってた』というわ。それに新しく水柱になった人たちは二人とも『虚無僧の鬼はある意味俺たちに戦う術を教えた』とも言ったわ。そしてお館様も虚無僧の鬼はご存じだったわ『彼はずっと隊士達に追われていても跳びかかる火の粉を振り払うがごとく食べようともせず、殺そうともせず、ただ追い払っただけ』と。あなたはずっと、そうやって隊士達を追い払ったり気絶させたの?」

「人を殺すことに意義を見出せぬだけよ。それに拙僧に人を殺す趣味もなし」

「どういうこと?」

「そこからは主が考えること。」

 

そういって右衛門はそのまま歩き去ろうとした。が、彼女の横を通り過ぎようとしたところ、肩をつかまれた。

 

「やっぱり、あなたは私の夢を叶えてくれる!友達になりましょう!虚無僧さん!」

「拙僧に友達は不要、犯した罪を償わねばならぬのだ。」

「犯した罪?」

 

あーあ、余計なことを言うから勘ぐられちまうじゃん。右衛門は鬼になってしまったこと自体を罪として受け止めているのだ。もし彼が強ければ、彼は鬼になることはなかった。彼はその罪を償うために鬼舞辻無惨を探し、そして殺す。彼の様な鬼を生み出さないために。悲しい生き物が二度と作られないために。面倒だから俺出てきていいかな?

(黙ってろ、主が出てきたら余計にこじれる)

(今すでにこじれてるじゃん...)

(すぐには出せぬ。)

(もしこれ以上こじれてきたら無理にでも出るからな)

(承知した。)

にしても本当に鬼と友達になろうとするとは、胡蝶家の隊士は漏れなく全員度胸がすさまじいようだ。一人は鬼と友達になる事を夢とし、一人は死ぬことを前提に作戦を密かに実行し、一人は仇の情報を得て、自分が壊れるのを覚悟のうえで戦い、そして一人はどんな相手であろうと堂々と喋る。

 

「あなたの罪は何なの?人食い?それとも盗み?」

「戯け。たとえ身が鬼になろうとも、心まで鬼になるつもりはない。戒律を背けばかつての友に顔向けなどできぬ」

「それってどういうこと?」

「つまり、右衛門は元は人間のお坊さんで、その戒律を守るために人を食ったこともないし、罪ってのは鬼になったことなんだよ。鬼狩りのお嬢さん。」

「...急に口調変わったわね。どういうことかしら?」

「申し遅れたな、俺は左衛門。堅っ苦しい喋り方をしてたいかにも虚無僧って感じの人は右衛門。俺たちはいわゆる、二重人格って奴なんだよ。」

(堅苦しいは余計だ。左衛門)

(事実じゃん...)

「ともかく、友達になる申し出に関しては、俺は良いぜ?最近は世間話をする相手も右衛門だけだったし、俺が鬼だとわかった瞬間斬りかかったり怖がったりする人もいるしさあ...君の様な人がいて少し救われたよ。」

(勝手なことを...)

「へっ?そんなあっさり認めていいの?」

「嫌だった?」

「ううん、全然そんなことないわ、ただびっくりしただけ」

「そんなに?」

「だって、こんな素直な鬼は初めて見たもの。びっくりするのも当然だわ。」

(もう戻るぞ左衛門)

(えっ?)

「左衛門は鬼になっても飲み込まれなかったからな。拙僧からすれば鬼に心を売らずに済んだのも左衛門のおかげだ。」

「あら、そうだったの?」

「語りはここまでだ。さらばだ、鬼狩りの小娘。」

「あら、名乗ってなかったわね、私はただの鬼狩りの小娘じゃないわ。私は花柱、胡蝶カナエよ。よろしくね、右衛門さん、左衛門さん。」

「...ふん」

 

今回は珍しく会話だけで終わった。ただししばらく経ってまた会うことになった。にしても原作で胡蝶カナエはあまり出てこない分、知らないことの方が多いな、胡蝶さん。

 

俺たちはまた歩いていた。朝のうちに鍛錬と瞑想。そして夜に動く。正直日の光で焼身自殺をする気はない。太陽を克服すればそれもまた面倒だ。だから鬼らしく夜に動く。

 

時は遡って蝶屋敷

「しのぶ!しのぶ!やったわ!夢が叶ったわ!」

「姉さん?!嬉しそうにしてどうしたの?夢ってまさか...」

「そう!ついに念願の鬼の友達ができたの!」

「...はぁ?!」

「虚無僧の鬼と友達になれたの!名前は右衛門と左衛門さんだって」

「いやいや、ちょっと待って姉さん!いきなり言われても情報量が多すぎて反応が」

「二重人格の鬼で二人とも戒律を重んじて人を食べたこともないんだって」

「ちょっと待ってって、カナヲももう寝てるから...」

 

姉の話を聞いて妹は困惑するしかなかった。帰ってくるなり『鬼と友達になれた』なんていわれたら誰だって「は?」ってなる。姉の語りは機関銃の如く(マシンガントーク)、妹の胡蝶しのぶはただただ困惑するしかなかった。

 

そして右衛門左衛門視点に戻る。

 

花柱、胡蝶カナエと友達になってから何週間か経った。最近鬼殺隊士と遭遇する頻度も高くなっていることから、おそらく報告したのだろう。最近よく鴉の鳴き声を聞き。隊士と遭遇し、いつものように右衛門が戦う。今もその真っ最中だ。

 

「風の呼吸、壱の型、塵旋風・削ぎ!」

「...」(ふむ、磨けば光るものがあるな、だが直線過ぎる)

「チィィ、また受け流しやがったァ...いい加減攻撃してきたらどうだァ?!虚無僧の鬼とやらよォ!」

「拙僧は戒律を守る故、殺生せず、盗まずだ。身は鬼に堕ちても、心まで鬼に堕ちる気はない!」

「どうだかなァ!人間を食わない鬼なんざァ!この世にいねぇんだよ!ボケがァ!!」

 

俺たちは傷だらけの隊士、不死川実弥と戦っている。彼は執拗に俺たちに攻撃する。自分の身なんざどうでもいいと言わんばかりに斬りかかる。彼は死にたがっているのか?それとも...稀血か...?稀血だな。どちらにせよ、鬼に対してはすべての仇と言わんばかりのの敵意を向けている。鬼のせいで大事なものを沢山、失ったのだろう。彼の過去を知っているからわかる。とても辛く、少年には過酷なものだった。俺たちがあの場にいれば、絶対に助けた。

 

「傷だらけの鬼狩りよ、なぜそこまでして、鬼を憎む。」

「鬼狩りは鬼を狩る!それだけで十分だろォ!」

「聞く耳を持たぬか。鬼というのはやはり、悲しいものだ。」

「ぐッ」

「まだ続けるか。拙僧に人を殺す趣味はない。」

「るせェ...ハァ!」弐の型、爪々・科戸風

「直線的な斬撃は読みやすい、多少趣向を凝らしても、一朝一夕でこなせるわけではない。」

「ぐァアッ!」

 

四つの斬撃を俺たちに繰り出すが、右衛門はそれでも受けなし、避ける。そして懐に入り。五回連続で突き、最後の一突きは手加減したにせよ、音だけ聞くと、岩を砕くほどの威力の突きを繰り出した。当然それほどの一撃を受けた隊士は吹っ飛ばされた。辛うじて受け身は取って様子だが、刀で自分を支えなければならないほど、消耗している。これ以上は彼が危ない。

 

「鬼を...狩るまで...俺は...倒れてらんねェんだよ...」

「見事な志。だが主の体は限界に近い。」

「引けってかァ?鬼相手にそんな真似ェ...出来るワケねェだろうがァ!」

「剣士なら引き時を知れ。血鬼術、鬼気解戒...」

 

螺旋状の斬撃を繰り出しながら突撃する不死川を見て、右衛門は血鬼術を発動させた。鬼気解戒、鬼としての力を最大限までに底上げする血鬼術。運動能力、動体視力、再生能力、すべてが異次元の領域に達する状態になるが、調整もできる。本気の鬼気解戒ではないが、不死川を気絶させるには十分だろう。

 

「は?消え、...がッ」

「少し眠れ。傷だらけの若き鬼狩りよ」

 

右衛門はそんな状態になっても、力加減が驚くほど上手だ。すぐ隊士の後ろに回り込み当て身を食らわせ、そして倒れるとこを彼は支えた。幸い、戦っていたのは森の中だったので、近くの木に寄りかからせる。そしてまた声が聞こえてくる。

 

「実弥!どこだ?!実弥ィ!居たら返事してくれ!」

 

声がだんだん近くなってくる。疲れてきたら交代も考えるべきかな。右衛門はまだ余裕そうだけど。柱相当の実力を持った人とかなり長い時間戦っていたんだ。彼の戦闘技術は俺よりも高いが、戦意を喪失させるという方法でいえば、彼は相手に諦めさせる。そういう意味ではあの隊士の様な執念深い人とはかなり相性が悪い。

 

「実弥!?実弥?!...お前、実弥に何をした!虚無僧の鬼!」

「気絶しているだけだ。そう騒ぐな。拙僧に人を殺す趣味はない」

 

ここ最近、何回も同じセリフを言っている気がする。

(うるさいぞ左衛門)

それはさておき、また傷のある隊士が出てきた名前は確か、条野匡近...だったっけ?それはさておき、やはり傷のある隊士は多い。鬼狩りという仕事はいうなれば鬼と剣士の殺し合いだ。お互いが殺し合い、それで自然と傷もつく。だから、顔や体に傷のない隊士は逆に珍しい。おそらくその人たちは医療施設か何かで傷が完全に癒えるまでしっかり安静にしているのだろう。死亡率が多くても、実力のある隊士が少なからずいるということは、どこかに医療施設がある。逆にもしなかったら鬼狩りたちはどうやって重症などを処置しているのかが気になるところだ。

 

「...虚無僧の鬼。なぜ、人を食おうとしない?いまこの場で実弥を食っても良かったはずだ。それにほかの隊士だってそうだ。あいつらもお前と戦って気絶したと言った。人を食える好機をなぜ逃すんだ?」

「拙僧は、拙僧であるため。人を食らってしまえば、人の道を逸れる。それは寺の虚無僧として恥ずべき事。」

「元お坊さんの鬼だっている。」

「身が鬼になろうと、拙僧は人を食わぬ。人を食えば、友や同胞に顔向けが出来ぬ。これで満足か?」

「...」

「さらばだ、若き鬼狩りどもよ」

 

そういって俺たちはその場を去ろうとした瞬間、また鬼狩りが出てきた。...あれは、義勇くん?

 

「...(鎹鴉から虚無僧の鬼が隊士と交戦、のちに気絶と聞いた。応援も来ているとも聞いたが、まさかお前だったとはな)右衛門。」

「義勇か。あの黒髪の童が随分と立派に育ったものだ。傷の童、錆兎は元気か?」

「あぁ(別の任務で最近は会えてないが)達者だ」

「主も鬼狩りだ、拙僧を狩るのなら、拙僧は止めはせぬ。」

「...あの時は感謝する。」

「何のことだ?」

「人を殺すだけの鬼以外にも稀に人を失わない鬼もいるということを教えてくれた。」

「...やはり、嘆かわしいものだな、。」

「...」

「鬼になって人を棄てることが当然だと思われるのも、人を棄てることしかできない人も...」

「そうだな。」

「...義勇、主は人を棄てぬ鬼が、またいつか現れると思うか?」

「どうだろうな(それはその人の強さしだいだ。だが、高潔な精神を持っている奴なら、鬼になってもきっと人を棄てないはずだ。)」

 

まさか、義勇君が出てくるとは思わなかった。錆兎も達者といったことから生きてはいるのだろう。にしても、目に光があるとはいえ、ちょくちょく何か抜けている気がするな。あの気弱な子供が、ここまで冷静な表情をした青年にするとは、時間とはすごいものだと実感する。そんな感じで話をしていると横から声を挟んだ。頬に傷のある若い鬼狩りだ。傷だらけの実弥という隊士を心配していた。

 

「水柱様、この鬼と知り合いだったのですか?」

「...あぁ、あれは8年前だったか...」

「冨岡君、そこまでその子は詳しく聞いてないわよ?」

「...胡蝶。」

「花柱か何日ぶりだな。」

「冨岡君、右衛門さんこんばんわ。今日は月が綺麗ね。」

「...満月だな。」

「確かに綺麗に見えるな。」

「それで、これは何の集まりなのかしら?冨岡君に風の呼吸を使う隊士、それに右衛門さん、なんだか、面白い組み合わせね。」

「集まりというか、隊士に斬りかかられただけだ。」

「鬼狩りなんだから鬼に斬りかかるのは当たり前だと思うぞ、虚無僧の鬼」

「もっともな判断だな。」

 

確かに鬼狩りとして、鬼を斬ることは正しい。しかし、善良な鬼からすれば、斬りかかられた方は溜まったものではない。むしろ、義勇くんと胡蝶さんが来たことに関してはありがたい。この話し合いの場面で斬りかかってくる隊士は余程無粋な人か、鬼に余程の恨みのある人だろう。正直、相手にするだけで面倒だ。話し合いはお互いの情報の提供ややり取りをする手段。行動もそうだが、情報を碌に引き出さず鬼を殺す隊士はかなりもったいない。それに、鴉などの連絡手段があるのに、それを鬼の能力に関しての情報交換、話し合いで引き出すことができた情報などをお互い報告することもできるはず、やっているのなら良いのだが、それをやる前に死んでしまっては元も子もないし、やってなかったら驚きだ。俺たちは月から視線を逸らし、隊士達に向き直る。

 

「それで、柱二人に、隊士一人、そして気絶した手負いの隊士。拙僧はお暇するが、主らは去ろうとする虚無僧の鬼を逃すほど優しくはない。ここで斬りかかるならそれを反撃はすれど、それを咎めることは無論しない。傷の隊士が言う通り、鬼を斬るのが鬼狩り故、咎めることはしない。しかし、斬りかかろうとするなら、拙僧も少しばかり本気を出すとする。」

 

そういい、右衛門は血鬼術を発動させた。そして、無表情だった義勇くんも、笑顔だった胡蝶さんも、匡近も全員険しい表情で刀を構える。

 

「来るなら来い。だが、手加減は出来んぞ。」

「...はい、右衛門さん」

「...昔を思い出すな...(右衛門)」

「これはきつい戦いになりそうだな...」

「いや、すぐ終わる。」

 

そういい、僕たちは素早く移動し、傷の隊士を気絶させた。おそらく傍から見れば消えて、それで次の瞬間匡近が気絶したように見えただろう。そして、次は義勇くんに向かって叩こうとするも、錫杖を防がれた。右衛門の「少しばかりの本気」は一瞬で何撃も加えることができるくらいの速さだが、それをすべて防がれた。そして少し離れると彼は刀を斜め下に構えていた。表情は凪いでおり、刀は下に向いている。試しにもう一回急接近して叩こうとするもすべて防がれた。昔の凪になりうるものが完全にものになったようだ。

 

「ほう、童だった頃の偶然を昇華させたか。」

「...偶然、か(もう子供だった頃の俺じゃない、俺をあの時の子供とは思わないことだ)」

「面白い、拙僧から一本取ってみなさい、若き剣士たちよ」

「なら遠慮なく。」

「...」

 

静かな呼吸音が場を流れる。聞こえるのは二つの呼吸音、そして感じるは空気の揺れと場の緊張。

 

「フゥー...」

「ヒュー...」

「ふむ、鬼狩りの呼吸か、随分と高い練度だな。だが今の拙僧からそう簡単に一本とれると思わないことだ。」

 

先に仕掛けたのは胡蝶さんだ、9連撃を仕掛けてきたがそれをすべて防ぐが、無理に反撃を入れたせいか、少し体勢を崩す。それを柱を見逃すはずがなく、そこで義勇くんは水面斬りを放つがここで右衛門は抜刀して真っ向から防ぎ、そして押し返した。これには流石の義勇くんも無表情ではいられなくなり、少々驚愕した顔になった。力いっぱい出斬りかかって、それを押し返されたのだから少し驚くだろう。胡蝶さんも反撃を食らったのが痛かったのか遅れて少し痛がるような体制をした。確かに腹を突いたが、そこまで力を入れていない感じだった。...あれ?今日ってそういう日?

 

「...うっ」

「拙僧に刀を抜かせるとは成長したな、義勇。」

「仕込み刀か(子供の頃には見せなかったが、棒術のほかに剣術を使っていたのはこれが理由か)」

「昔は見せなかったな。童に本物の剣で斬りかかるのは良しとしないのでな花柱の方は少し痛みに堪えているか様子だが。」

「そうだな。胡蝶、下がっていろ。」

 

義勇くんの指示に従い、胡蝶は少し後ろに下がった。だが、刀は収めない。おそらく頃合いを見てまた参戦するつもりだ。その前に終わらせる必要がある。夜明けまでの時間も迫っている。こちらは隙を見て逃げなければならないけど、右衛門は何としてでも気絶させようとするだろう。負けず嫌いだし。そう思っているうちに義勇くんが仕掛けた。肆の型・打ち潮だ。さっきの水面斬りもそうだが、義勇くんも成長して技は全て高い練度に達している。型一つ一つは流麗で力強い。すべて防がなければこっちが危ない。正直右衛門も完全な余裕から転じて、少し焦っているのがわかる。

 

「ふむ、主の成長が見れて嬉しいぞ、義勇よ。」

「そうか」

「確かに、どこかでまだ童だと思っていたらしい。そろそろこちらも本腰を入れるか...」

 

そういって右衛門は少し中途半端な構えから本気の構えになった。が、まだ本気ではないのがわかる。彼の本気を見た俺だからわかる。彼はまだ脱力していない。彼の本気の構えは脱力して、そして一撃を入れるときに力を入れ、それが驚異的な威力の一撃となる。それを抜刀術、槍術、棒術と格闘術で出来るのだから彼は多芸である。ちなみに俺はそんなことはできない。体術はある程度できるが、それでも右衛門ほどではない。何度か上弦を相手にした俺たちであるが、右衛門のほうが立ち回りが上手いし、体の使い方も上手い。俺はどちらかと言えば血鬼術で自分が得意なフィールドを作ったりしながら戦うからこそ、戦い方も強さの方向性も全然違うとも言える。最近だと、上弦の参、猗窩座と言う戦闘狂の鬼と夜明けまで戦い、そして彼を追い払えたがそれも正直交代交代で、俺が血鬼術で右衛門の得意なフィールドを展開して、援護しながら、右衛門の本気二歩手前の体術でやっと猗窩座を戦意喪失させたのだから、彼の強さがわかる。二歩手前はまだ大したことないとか言われそうだが、少なくとも俺たちを完全な本気にさせた相手が柱6人同時か上弦の壱だけなので、そこは仕方ない。ちなみに俺が猗窩座と戦っていた時は俺は8割方本気だった。本気出さないと殺されちゃうし、それにあいつの攻撃ってえぐいし。そんなことはさて置き義勇くんとの立ち合いだ。一応長く語っていたつもりだが、実際、まだ1秒しか経っていない。

先に動き出したのは義勇くんだ。やはり鱗滝さんの弟子だけあって判断が早い。彼は得意技、打ち潮を放ち体勢を崩そうとする。しかし、そこは本気の右衛門。難なく打ち潮の連撃を防ぎ、受け流し、剣撃の衝撃を逃がす。義勇くんは俺たちの後ろに受け流されたが、流れるように流流舞で方向転換し、俺たちの周りを縦横無尽に立ち回りながら一撃を入れてこようとする。そしてそのうちの一撃が軽く入り、俺たちが怯んだら、思わぬ伏兵が来た、錆兎と不死川実弥だ。怯み、後ろに下がったら上から滝壺をもろに受けかけ、辛うじて致命傷は避けたが、その後の不死川実弥が上から放った竜巻状の斬撃をくらい吹っ飛ばされた。これも致命傷にはならなかったのか、森の木を蹴り少し離れたところに着地し、大きく体勢を崩す。やはり致命傷にならなくてもかなり効いたようだ。

 

「ぐっ。まさか起きていたとはな、傷だらけの隊士よ。それに錆兎も久しぶりだな。」

「不死川実弥、てめェの頚を掻っ切る風だァ!」

「鎹鴉から「義勇が交戦中」と聞いて駆け付けたんだ。あの義勇が苦戦しているのだから余程の相手だと思ったが、まさかお前だったとはな、右衛門。」

「錆兎、俺一人でも行けそうだったぞ。」

「見事に全部受け流されてたやつが何を言う。だが、あの隙を生み出せたのは大きいぞ。」

「感謝するぜェ、水柱共...よくも気絶させてくれたなァ!今度はそう簡単には行かねェぞォ!」

 

(どうする?夜明けが近い、日光を克服したという保証もないし、森である程度遮られても、限界がある。)

(拙僧が一人でやる、全力を出す。)

(うわあ、大人げない)

(仕方なかろう、鬼舞辻無惨を仕留めるまで、日光に当たり、死ぬわけにはいくまい)

(そりゃあそうだな)

 

「何度やっても同じことよ。」血鬼術・鬼気解戒・全

 

今までとは比にならないくらいの闘気があふれ出る。一応「全」と銘打っているがこれより上に「極」がある。ちなみに「全」はいわゆる本気の一歩手前である。そして、右衛門が動いた。全員が驚き、そして一瞬で決着がついた。まずは傷だらけの隊士の後頭部を軽く叩き、気絶、そして、義勇くんと錆兎くんのうなじ当たりに当て身の要領で錫杖を叩きつけ、そして気絶させた。これを僅か0.1秒でやった。もう一度言うが文字通り一瞬で決着がついた。胡蝶さんを残したのには理由がある。彼女にあることを伝えるためだ。

 

「花柱よ、強引な手段を使い申し訳ない。拙僧はこれにてお暇する。」

「やはり、気絶だけさせて逃げるんですね」

「あぁ。それと伝えることがある。」

「はい、なんでしょう?」

「彼らに医者を呼んでおけ、そして主らの追うものは赤い目に、うねりの入った髪が特徴の青年だ。少なくともこれは拙僧の知る鬼舞辻無惨の見た目の一つだ。ではさらばだ」

「...見た目の一つ?それってどういう」

 

意味の「い」を言う前に俺たちはその場を去って日光を凌げる洞窟を探した。すごい勢いで探しているがなかなか見つからない。日が完全に上り、森に光が差す直前に見つけ、すぐ駆け込んだ。正直ここまで焦ったのも珍しい。危なかったなぁ...

(全くだ。まさか思わぬ伏兵がいたとはな。)

(...元気そうだったね、錆兎くんも、義勇くんも。)

(ふん、再会を喜べる主の余裕が羨ましいものだ。)

(そういいながら右衛門も喜んでいたじゃん、錆兎くんの成長も、義勇くんの成長もさ。「成長を見れて嬉しいぞ」とか言っちゃってさ)

(...確かに、錆兎も義勇も比べ物にならないぐらい成長していた。あそこまで焦ったのも久しぶりだ。)

(でも、俺知ってるよ。右衛門、一撃を入れた後の連携に対して結構うれしかったよね)

(あぁ、あの連携は見事なものだ。もう少し長引いていたら危なかったな)

(修行が一層に厳しくなりそうだ)

俺たちはそこからまた、修行を始めた。鬼舞辻無惨を仕留めるため、そして強い隊士を育てるため。

 

数日後の蝶屋敷。

「姉さん、虚無僧の鬼から鬼舞辻無惨の情報を貰ったって本当なの?」

「えぇ、でも少し引っかかったわ...」

「何が?」

「だって、見た目の一つって言ったのよ。」

「...確かに引っかかるわね。でも、それ次の柱合会議に絶対持ち出したほうが良いわ、無惨の情報を少しでも公表すれば私たちは有利になるもの。」

「そうね!...にしてもしのぶ?」

「なに?姉さん...」

「さっきから訓練場から凄い声が聞こえるんだけど。」

「...うん、ある程度回復して、冨岡さん、不死川さん、鱗滝さん、そして粂野さんががすごい勢いで訓練しているの。」

「...傷に響かないといいわね」

「もうほっときましょ、何回も忠告したけど、聞かなかったし。」

「不死川!粂野!もっと来い!こんな程度では虚無僧の鬼、右衛門は倒せないぞ!」

「うぉおおおおおああああ!!!」

「来い!まだまだいけるはずだ!次は絶対に一本取るぞ!」

「ハイッ!」

しのぶは頭が痛いと言わんばかりに手を頭に当て溜息をつき、さすがのカナエも苦笑いしかできなかったとさ。

 




錆兎を一瞬しか出せなかった...またこれやろうかな...
次はどのシチュがいいですか?
鬼舞辻無惨の配下と遭遇
or
逃れ鬼と遭遇

11/10/2020:見返して誤字があったので修正しました。描写にも設定的な矛盾があったためそれも修正しました

即存のキャラでやりたいシチュをやるか新しいキャラを色んな世界観にぶち込み続けるか

  • 新しいキャラを作り続けろ!
  • 今あるキャラでやりたいシチュをやっとけ
  • 好きにすればいいんじゃないかな?
  • 読み専に戻っていいぞ
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