こんな設定あったらいいな、個人的にこういう奴らいねぇかな。 作:合間な人
他に状況が思い浮かばなかったので炭治郎と似たような遭遇の仕方にしました。
鬼になる前もあまり来なかった浅草。鬼になってからは...大した用もないので来ることもあまりなかった。今見るとやはり時代を感じる都会ではあるが、ところどころ現代の面影が見え隠れする。二つの魂を宿す鬼である俺たち、虚無僧の右衛門と、俺、左衛門は夜なのに明るい街の浅草の路を歩いていた。やはり都会だけあって賑やかだ。人は笑顔で商売をし、娯楽で英気を養う。裏の方では何が起こっているかはさておき、こういう平和な町は俺も右衛門も好きだ。ただ、人が多いということは一人いなくなっても気づかないって事なんだよなぁ。鬼だからか、人の食べ物があまり美味に感じられないが、そもそも今は食事が必要ないのでとりあえず風景を楽しむ。
「何年振りか、浅草。ここに来るたびに、何か新しいものがそこにある。」
そう、俺たちは何度かここに来ている。右衛門は鬼になってからはたまに来るが、何年、何十年に一回程度である。にしても、さすが都会。やはりどこも賑やか、見ているこっちも少し楽しくなる。
「ふむ、簪、着物、楽器、小道具。やはり都会だけあって洋の物もあって品ぞろえが豊かだな」
感心しているが、彼は何も考えずにただ用もなくここをふらついているだけである。それに慣れたが、「ねえ、あれ何?」やら「怪しい人」やら少し声も聞こえる。警察はもう事情を知っているためあまり触れてはこないが、仕込み杖の事は知らない。俺が血気術で切り目を見えなくし、引き抜けないようにした。それゆえ、ただの錫杖として認識されている。
「さて、宿も取れた事だ、もう少し都会の景色とやらを満喫するのも一興だろう」
(そうだね、少し怪しまれたけど金を出せばどうにかなるものだね。)
ここでなぜ鬼の俺たちに金が来るのかというのだが、俺たちが鬼や剣士を倒したことが噂になる。そうなれば要人暗殺などに対しての用心棒として雇われることもある。右衛門は無暗に受けるなどの事はしないが、世の中金がないとどうにもならないことだってある。よって、期限を決めて護衛として雇われることもあるのだ。あまり信じられない話ではあるが。場所によっては『武を極めた虚無僧』やら、『決して殺すことをしない慈悲の象徴』やら、囁かれる。あまりこういう噂は嫌いではないがやはり、買いかぶり過ぎでもあるためあまり良い気もしないが。鬼殺隊からは「虚無僧の鬼」として恐れられ、たまにその道の人から「武を極めた虚無僧」として立ち合いや稽古などを申し込まれたり、上の立場の人から「護衛になってほしい」と仕事を申し込まれたりと、時によってはかなり多忙になる。そんなことはさておき、俺たちは用もなく浅草の街を歩いている。そうしていると洋装の人にぶつかった。
「すまぬ、考え事をしていた故、周囲を少々いい加減になっていたらしい。」
「いいえ、こちらこそすみません。その笠、見えにくいですもんね、仕方ありませんよ。」
ここで普通の会話っぽく見えるかもしれないが、服を見て分かった。彼は長袖、帽子、長ズボン、洋装でペイズリー柄のネクタイ。そしてよく見えなかったが顔もかすかに青白く、目が少し赤かった。偶然かもしれないが、彼は鬼舞辻無惨とよく似ていた。といっても頭無惨な彼の事なので数年前に鬼にした後、放置した虚無僧など気にも留めないだろう。猗窩座と戦ったときも無惨とのつながりを断つように結界を張って戦っていたし、おそらく彼は俺たちが虚無僧であることを気付いていない。珠代を追っているけど千と何百年、全く逃れ鬼のしっぽも噂もつかんですらいないし。大方、青い彼岸花探しで頭がいっぱいなのだろう。
(左衛門、この青年、もしや)
(わからない、早計過ぎると思うけど、似ていた。)
(主も自信がないのか。少なくとも服の柄と、容姿は似ていたが、空似という可能性もある。)
(そうなんだよ、だからまだ自信がない。何か決定的なものがあれば良いんだけどなあ...)
(用意周到な彼奴の事よ、そう簡単に彼奴は尻尾を掴ませることはしないだろう。)
(呪いまで使う徹底ぶりだしね。)
彼に近い容姿なだけで疑うのは流石に早計だ、炭治郎がすぐに無惨だとわかったが、それは彼の並外れた嗅覚によってわかったものだ。敵意などの察知は出来るが、さすがに気配による人の識別までは出来ない。右衛門もそこまで精度は高く無いため、結局「無惨似の青年」止まりになった。そして静かに言うことにした。
「では、失礼仕る。...どこかで見たか?無惨?」
「...いえ、お気になさらずに。では。」
あまり反応のないところから白だと思っていた。そこで何も起きずに俺たちと「無惨似の青年」が会釈して終わらせれれば確信にならなかったと思う。
「ゥゥアァアアアアア!」
「どうしたの?!あなた!」
近くから声が聞こえた。痛みから来る男性の叫び声、そしてそれを心配する女性。これで一気に確信できた。彼は鬼舞辻無惨に繋がっている。彼を追うと考えるが、これがもし鬼になりかけるのならば大変だ。右衛門には悪いが変わってもらうことにする。
(ごめん、右衛門!変わってくれるか?!)
(そろそろ主が出てくるころだと思った!)
「すみません!ちょっとごめんなさい!通ります!」
「ゥゥゥウゥゥ...ゥゥゥウウゥウゥゥ...」
「...嘘だろ...早いな...」
俺たちはかなり長い時間悶絶していたのだが、彼はかなり落ち着くのが早かった。おそらく、無惨が調整が上手くなったということだろう。そうしていると獣の様な唸り声がどんどん大きくなった
「ウゥウウ...ガァアアアアア!」
「! 不味い!その人から離れてください!」
「へっ?」
「ちッ!拙僧は嘘吐きである、其は真実か否か」結界展開・四方護結界
「ガァアアア!ァアアアアアアア!」
見えない壁に当たり「バチィッ!」と音を立てる。それに対して鬼に成り立て、理性を失った男は無理矢理突破して一緒にいる妻らしき人に襲い掛かろうとする。傍から見れば男は見えない何かに遮られて、襲えないようにしか見えないだろう。檻の中の獣の様な印象を抱かせる。俺は鬼を取り押さえ、首の後ろに衝撃を加え気絶させ、人を呼んだ。
「誰か!医者は居ませんか?!特殊な症状の病です!」
「警察だ!...武の虚無僧?取り押さえたのか?!」
「...はい、でも今の状態でこの人の身柄を引き渡すわけにはいきません。説明は省かざるを得ませんが、このまま目覚めてしまってはまた暴れだすかもしれないのでな、身柄はこちらで確保していただきたい。」
「...武の虚無僧の言うことなら余程の事なのだろう。わかった、しかし事情聴取させてもらうぞ。」
「はい」
「私が診ます。」
「君は?」
会話の中に入ってきたのは女性だった。気配からはまだわからないが俺たちと同じだろう。後ろに色白な少年もつれており、やわらかい雰囲気の女生徒は対照的に少し刺々しい雰囲気と信用ならないものを睨むような眼で俺たちを見ていた。
「時間がありません、彼を私にいったん預けてください。愈史郎、事情聴取が終わったら彼を私のところへ。」
「わかりました。珠世様」
「それでは、まず、----」
少し長い事情聴取が終わったのち、愈史郎からぶっきらぼうに「こっちだ」と言われ着いていく。
「お前、無惨の呪いを脱した割には鬼の中で随分強いな。」
「まあ、与えられた量が量だからな」
「よく死ななかったな、よほど行き意地汚さそうだ。」
「誰も死にたくはないだろうよ」
ちょくちょく刺々しい言葉や嫌味を言ってくる愈史郎だが、やはり珠世様を第一に考えているからか、案内はちゃんとしている。歩みを止めて「ここだ」といい、本来壁だったところをすり抜け、すり抜いた先には屋敷があった。そろそろ交代するよ、右衛門。
(何故、歩くところから交代しなかった?)
(愈史郎の言葉に一々反応するかと思って。)
(拙僧とてそこまで器は小さくない、戯けが。)
(鬼や鬼殺隊のしつこい挑発に乗るのにな?)
(チッ...)
玄関を上がり、扉を開いた先に珠世様がいた。確かに愈史郎が「珠世様は今日も美しい」と言っていたのがなんとなく理解できた気がした。
「おかえりなさい、愈史郎。そして、初めましてですね。私と同じく、逃れ鬼の虚無僧ですね。私は珠世と申します、その子は愈史郎。」
「珠世様!危険です!」
「愈史郎、大丈夫です、彼は信用できます。」
「会ったことがないのに何故そんな事が言えるのです!」
「彼に遭遇した鬼は気絶をする事はあっても、手を下さないと、追っ手から聞いたでしょう。」
「それでも、万が一...」
「主らが何者であろうが、拙僧の敵でないということが分かった。」
「?!」
「案ずるでない、拙僧が手を下すは人食いの鬼、主らからは殺気は感じられぬ。大方、交渉が目的。そうであろう?医者、そして白の童。」
右衛門はぶっきらぼうな口を開き、無理矢理会話を遮った。愈史郎と珠世様が軽い言い合いになるのを見かねたのか、それとも本題に行かないのが苛ついたのか、彼から微かに苛立ちを感じた。彼は確かに静かな人物だが、中身のない話が嫌いだ。今の言い合いに中身はあるにはあるが、彼はどちらかというと彼が聞く必要のない口論などは彼にとっては時間の無駄というストイックな物の見方をする。悪く言えば自分本位だ。
「貴様、客人の癖に何を」
「愈史郎、やめなさい。」
「はいっ、珠世様」
「...話を続けてもらいたい」
本格的に苛立ってきたようだ。彼は俺より冷静で戦いが強い分、こういう交渉の面では俺より沸点が低い。頃合いを見て交代した方が良さそうだ。
(引っ込んでろ左衛門。)
(右衛門、かなり苛ついているでしょ、交渉で感情を優先するのは悪手だよ?)
(...頼んだ、追っ手が来たら変われ。)
(安心してよ、来ないから。)
(使うのだな。)
(お互い逃れ者だからね、彼女に人を陥れるような趣味はなさそうだし)
脳内での、会話は終わり主人格は右衛門から俺、左衛門に変わる。これを信用してもらえるかどうかだな。
「ごめんな、俺の主人格は少し気難しいやつなんだ。許してやってくれ。」
「お前、さっきからなんなんだ?コロコロ話し方を変えて、気持ち悪いぞ。」
「愈史郎、客人にそんなことを言うのはいけませんよ。」
「はいっ、珠世様」
「さて、交渉する前に俺は少しやることがある...拙僧は嘘吐きである、其は真実か、否か...さて、これでいいだろ。」隠蔽結界・展開。
僕は血鬼術である結界を展開した。四方護結界などは文字通り守るための結界。そしてこれは隠すための結界。やったことは単純明快で、壁に実体を与えた。文字通り通り抜けられる壁がただの壁になり、ここまでくる道のりが隠蔽され、無かったことにされた。たとえ、追っ手の鬼が来ようとも、ここに来ることはない。この屋敷にたどり着くことはない。少なくとも俺がいる限りは絶対に追っ手が来ることはない。
「何をした?虚無僧...」
「血鬼術を使っただけだ。神経質って言われるかもしれないが、さすがに交渉中に鬼狩りか追っ手が来たら交渉どころじゃなくなる。」
「...信じても良いのですか?」
「少なくとも、追っ手の鬼よりかは信用できると思いますよ、お医者さん。」
「自分で『嘘吐きである』って言っておいて信用できる奴がいると思うか?」
「確かにな、まあ、君が俺たちを信用しようがしまいが、俺たちのやることは変わらないよ。鬼舞辻無惨を見つけて仕留める。それに、彼を見た。彼の姿の一つをまた見た。」
「鬼舞辻無惨を見つけたのですか?!」
「あぁ、浅草にいた。少しかまけても動揺しなかったようだけど、俺たちは彼の向かった先に鬼を作ったのを見た。それに俺たちは鬼舞辻無惨の作った鬼の一人だ。見ないはずないだろう。」
「...そうですか、ここにいたのですね。」
「姿を隠していたけどな。少なくとも、彼を仕留めるのは今じゃない。一応俺は鬼殺隊の奴らとも交流関係はある。奴らにも言っといたよ、鬼舞辻無惨の姿は一つじゃないって。」
「今追わないのも納得です。今奇襲を仕掛けても、彼を完全に殺す手立てはありません。」
「やっぱりそっちもまだ準備が整ってないんだな。」
「待ってください珠世様、怪しいです!鬼が鬼殺隊と繋がりがあるなんて!それに俺達の目的を無暗に言うべきではありません!」
「鬼殺隊に関しては信用しなくても別にいい、協力してほしいんならするさ。俺たちに鬼舞辻のクソッたれを倒すお膳立てを手伝ってほしいのなら協力はするさ。現に俺たちは何回か鬼に遭遇しているし、君たちにも情報が来ていると思うよ。口の軽い鬼どもは結構多いみたいだしさ。それに...今鬼が屋敷前を通った。」
「(鬼舞辻のクソッたれ...)...貴方を信用してもよさそうですね、何より呪いが発動していません。愈史郎、例の物を。」
「ハイッ...オイ、胡散臭い方の虚無僧、これを鬼に刺して血を採れ。俺はまだお前のことを信用してないが、珠代様の意向だ。」
「愈史郎、無礼な事を言うのはよしなさい。」
「良いの良いの、胡散臭い物言いなのは自覚しているし。そんじゃあさっそく...」
俺は採血の小刀を自分の手に刺し血を吸わせた。二人はそれを見て少し引いたようだが、そんなことは気にしない。
「お前、何をやってるんだ?!」
「...俺の血だ。俺は血鬼術を二つ発現させている。俺の記憶が正しければ、血鬼術を発現させる条件ってのは、鬼舞辻のクソ汚い血を貰うことだったはずだ。俺たちは一回しか貰ってない。だから、必然的に一回でもらった血が多いってことになる。」
「その通りです、彼の血は鬼を作ります。私も彼から血を貰い、そして血鬼術を発現させました。...何年前に鬼に成ったのですか。」
「...うーん、かなり前だったかな...平安だったかも。まだ電気もそこまで普及してなかったころだし。」
「...随分前から鬼だったのですね。」
「随分と長生きなんだな。虚無僧、それにその短刀の回し方。余程その類の物を使い慣れているな。」
「あぁ、一回でもらった血もかなり多い。まだ把握しきってなかったのかもね。それに、虚無僧なのは元々だ、武僧になる予定の修行僧だったからね。」
「そうですか...」
俺は珠世様に採血の短刀を渡して錫杖で二回、床を叩いた。
「それじゃあ、俺たちは失礼するよ。結界も少しずつ解けていく。鬼舞辻のクソッたれはまだここにいると思うけど、あの短絡的なバカの事だ。気付かないだろうな。」
「なぜあいつが馬鹿だとわかる?」
「奴は今まで作った全ての鬼に『虚無僧の鬼を殺せ、逃れ者の鬼をすべて殺せ、鬼狩りも束で襲え』と言ってない時点で頭が足りてないだろ。それに俺たちがあいつの呪いを外した時も、元号どころか時代が何回か変わるほどの年月が経ってからほかの鬼も認知し始めたんだ。それまであいつが気づいていなかった証拠だろ。さすがに馬鹿が過ぎる。」
「...確かにな。無惨が頭良ければそもそも俺たちは全滅だった。それとこれ、もう一つの短刀だ。」
「そういうことだ、裏切り者の察知が早ければ、俺達や珠世さんも死んでいたわけだし。そもそも、鬼殺隊も壊滅していたかもな。ありがとな、貰っておくよ。」
「そんな未来は考えたくないものですね。」
「全くだよ。それじゃあ今度こそ失礼するよ。」
「短刀は茶々丸という猫が回収しに来る、二回手を叩けば来るはずだ。」
「了解だ。武運を祈る。」
「はい、そちらも。」
案外長話してしまった。かなり時間が経った。さて、宿に戻ろう。日を避けるために。そして、この短刀。次からは鬼を気絶させたのち、これを刺して珠世様の鬼血コレクションを増やすことに協力して、鬼用の薬の開発を手伝うことにする。右衛門も話を聞かないほど頭のないやつではないはずだから、忘れないはずだ。
(聞こえてるぞ、左衛門。)
(ごめんって。)
俺たちは歩く。鬼を滅するまで、自らを鍛え、そして歩く。それが鬼に成った罪を清算する方法なのだから。
(交代するぞ、左衛門。)
(わかったよ、右衛門。)
意識は左衛門から右衛門に戻る。
「この短刀を刺せばよいのだな、容易いことだ。」
右衛門は短刀を見て微笑む。協力者が増えたことが少しうれしいのか、鬼舞辻のクソッたれが倒せる準備がまた進んだのか、わからない。そんなことを考えながら俺たちは半月の下で歩き続ける。
少し強引になってしまいました。ちなみに無惨にカマかけたときの声は無惨にしか聞こえないくらいの小さな声です。
次は十二鬼月です。
珠世と愈史郎のキャラが掴めたかどうかが少し不安です。
ここまで読んでくれてありがとうございました!
即存のキャラでやりたいシチュをやるか新しいキャラを色んな世界観にぶち込み続けるか
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新しいキャラを作り続けろ!
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今あるキャラでやりたいシチュをやっとけ
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好きにすればいいんじゃないかな?
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読み専に戻っていいぞ