こんな設定あったらいいな、個人的にこういう奴らいねぇかな。 作:合間な人
設定準拠するために、一人称はおぼつかない感じになります。三人称気味になります。あまり慣れていないので、不安です。
設定
3歳の頃、大規模侵攻で目の前の家族がトリオン兵に殺されかけ、自分は攫われそのまま奴隷兵士として訓練、後に実戦の最前線に送られ、『有用な駒』として生き残った兵士。唯一覚えている事は名前と、攫われた当時の年齢。自己紹介を自分することにより、自分が誰なのかを忘れないようにしていたが、公では奴隷兵士として付けられた番号を名乗る。言葉を習うこともろくになかったので、会話は終始片言、答えは肯定か否定しか出来ず、人殺しも兵士として当然の事であり、同時に彼自身の死も常に間近だったため、目も死んでいて光が一切ない。
セリフ
「何、したい...?命令、何?」
「...18947番、任務、遂行...」
「敵、助ける...なぜ?」
「はい...情報、多い...知る...ない...」
「トリガー...渡す...」
「....桾本剛...三歳...」
奴隷兵、番号、18947。何度も、戦い、した。人、沢山、死んだ。いい人も、わるい人も、死んだ。また、殺さなきゃ。任務は、殺すこと。ミデンの兵、出来るだけ殺すこと...任務...やる。
奴隷兵18947番は、生きる意志を失ったような目を門に向けながら、ゆっくり歩いた。地球の三門市、通称、
『さっきから無表情だなこいつ...不気味だ...』
『なんであれ、
脳内通信で彼らは算段を付けていたが、18947はその間も警戒していた。が、どうにも引っかかっていた。日本語は幻聴だったのだろうか?どれだけ振り払おうと、その疑問がずっと頭にこびりついた。が、彼は疑問を持たず、斬りかかった。戦っている間に槍使いが話を18947に振った。
「お前、さっきからなんも喋らないな。もうちょい笑うとかなんかしないわけ?」
「...わらう?なぜ?」
弾使いと剣使いの少年は少し動揺した。彼の喋り方があまりにもぎこちなかったからだ。「そもそも、そんな言葉が存在するのか?」と言外に聞かれた気がして、不快感を露わにした。
「答えろ
「...??」
18947はその問いに首を傾げた。まるで意味が分からないと言わんばかりに。当然だ。彼は二年前、別のところにいた。が、その時に動きが止まった瞬間、頭を打ちぬかれ、戦闘体が解除された。
「馬鹿め、戦闘中に会話とは不自然に思わなかったのか?」
「....」
「おい三輪、こいつ全然喋らないぞ。寧ろこいつ、なんか、虚ろすぎねぇか?」
「...なんとか言ったらどうだ、
「...命令、何?」
「...は?」
「...は?」
二人は、呆気にとられた反応をした。それもそうだ。虚ろな少年18947は命令を聞いてきたから。が、その隙に彼は生身で斬りかかった。
「!やべっ」
シールドを起動して、何とか防ぐ。そして18947は刀の柄で殴られ、気絶した。
目が覚めたら、そこは尋問室のような場所だった。見たところ捕虜になっていた。そして、彼は見捨てられたことに気付いた。大柄な青年が彼に質問をした。
「ここはボーダーの本部だ。私の名は忍田真史。君にはいくつかの質問を受けてもらう。」
「...はい」
「なぜここを攻めてきた?」
「にんむ...へいし、ころす。」
「誰からだ?」
「じょうかん...えらい、ひと。ころせ、いった。」
尋問が続くにつれ、どんどん忍田の顔が険しくなった。喋り方が余りにもぎこちかったからだ。忍田は18947の経歴を本人から聞き、そうならざるを得なかったと理解してしまったからだ。そして忍田は最後の質問を聞いた。
「...君はいつからあちらに居た?」
「......桾本、剛....三、歳....」
「!!...わかった...情報と協力を感謝する。」
「...?...はい」
そういい、忍田真史は部屋から出た。そして一人残された18947は呟いた。
「...?...かん、しゃ?」
ボーダー、会議室にて件の近界民、18947の事について話していた。
「尋問の結果はどうだ?忍田本部長?」
「彼の所属していた星、与えられたトリガー、彼自身の経歴、そして彼の戸籍も見つけた。」
「名前は番号ではなかったのですか?」
「この戸籍だ。桾本剛。この情報によると11年前にトリオン兵に攫われている。まさか、奴隷兵として生きていたとは驚いたが。経歴に関してはあまり広げないほうが良い。はっきり言って今の彼は廃人の一歩手前だ。まるで、虐待をずっとされた子供を相手している気分だった。」
「あの小僧が嘘をついている可能性はあるのかの?それを名乗っているだけかもしれん。」
「鬼怒田技術長、そう思うのも無理はないが、彼の目と喋りのぎこちなさを聞けば、むしろ、それを言えるのが不自然とも考えられる。今でも言えるのはおそらく。」
「自我の維持だね」
「むしろ驚いたのはあいつのトリガーじゃ。思考速度を加速させるトリガー、マチェットの様な形の近接用トリガー、そして、自分に負荷をかけて無理矢理トリガーの出力を上げる補助トリガー。はっきり言って異常だ。それを常に使っていたあいつも、それを渡した国もな。」
その言葉で、会議室の雰囲気が一気に重くなった。
その後、会議は続き、結果ボーダーに置くことになった。彼自身の為にも、彼はしばらく戦場に居てはいけない。もう、心は限界のはずだ。
肝心の18947は虚ろな目で遠くを見つめていた。そして、薄ら笑いを浮かべていた。一人でいる方が、暴力も理不尽な物もない。
それを尋問室を外側から見ていた職員は彼を不気味だと感じたと同時に、同情の念も抱いていた。何せ、最初は番号を名乗ったが最後の質問で自己紹介をしたからだ。
どんな劣悪で歪んだ環境に身を置けばあんな虚ろな目が出来るのだろうか?ボーダーにも大人しい子は何人かいるが、虚ろな子はいない。しかも、彼は見た目的には中学生だ。そんな子供が虚ろな目で遠くを見つめているだけで、それは異常だ。しかもずっと、薄い笑みを浮かべているのが不気味だ。まるで軽く安心しているように。
また、誰かが入ってきた。茶髪で特徴的な色眼鏡を付けた青年だ。
「初めましてだね、桾本君。俺は実力派エリートの迅悠一。ぼんち揚げ食う?」
「ぼんち、あげ?」
「食いたいの?良い目の付け所だね。」
「...くえば、いいの?」
「...そうしたいのならばね」
「??」
桾本剛は首を傾げた。自分のしたいことを考えたことがないからだ。三歳から喜ぶことも、悲しむことも、泣くことも、人が当たり前に出来ることを出来なかった。いや、出来なくなっていったの方が正しいだろう。何せ、使い捨ての駒として戦地に送っていたら、彼は任務を達成し、帰ったのだから。それで、優秀な捨て駒として主に認知され、実験用のトリオン出力強化用のトリガーを付け、そして戦地に赴かせたのだから。そして、人殺しに慣れてしまった彼は、何がしたいか、これからどう動きたいかではなく、何をするべきかしか出来なくなった。自分が動いたら失敗する。泣いたら、笑ったら、怒ったら、決めたら処分される。自分は敵を殺すための駒。人以下の存在。自分の事をそう思うしかできなかった。
「...その様子だと何も食べてないんでしょ?食べなよ」
「....了解した」
迅から伸ばされたぼんち揚げの袋に手を伸ばし、彼の見様見真似で袋を破って開け、そして口の中に入れた。噛んで、そして飲み込んだ。舌にぼんち揚げを乗せると、塩気と微かな香ばしさを感じた。今まで味のない栄養食しか口に入れなかった彼にとって、味のあるものは久しぶりだった。だが、十年もそれが続いた彼にとって、それはもはや、初めての物と大差なかった。
「...おい、しい...おい、しい?...これ、なに?」
「それは良かった。...それを食って、もっと食いたいって思ったか?」
「...も、っと?....おもう、わかる、ない...めいれい、たくさん、ほしい...」
「それが美味しいって奴だ。」
「たべる、めいれい、もっと...おい、しい?」
「そうだ、その命令が欲しいって思うことは、もっと食べたいって思うことだ。それだけじゃない、その命令が欲しいって事は、それがしたいって事でもあるんだ。」
「...わか、った...」
玉狛支部に戻った迅はそこの支部長、林藤匠と話していた。
「迅、どうだった?」
「
「忍田本部長に聞いたよ、ずっと目が死んでいたんだって?」
「そうだね。それに、彼は命令に縛られている感じだった。三歳から、今までずっと戦場にいたんだろう。しかもあの様子だと、まともに人間扱いされていない感じだった。ぼんち揚げを食べたときだけ少し喜んでいたけど、それでもまだ目は虚ろだったよ。...それに、最初の方はどぎつい未来だったよ。」
「どんなだった?」
「みんなの死体が積み重なっていたよ。...恐らくだけど、彼は何も知らないんだ。」
「なら、こっちに置こう。彼は近界から帰ってきたんだ。それなら、こっちにいた方が安全だし、それに置くなら平和なところの方が良い。」
玉狛支部で、今回の件の方針が固まった。本部にとっては、桾本の存在はあまり喜ばしい事ではない。何せ、彼は近界から帰ってきたのだから。帰ってきた事実は吉報だ。だが、ネイバーに居た結果があれだと知られることは不味い。だから、出来るだけ秘密にしたいのだが、事はそうも進まなかった。
尋問室には、定期的に人が来る。質問する側と、聞く質問を促す側だ。そして、世間話をする人だ。桾本は技術者である、寺島雷蔵と話していた。
「...かん、しゃ...なに?...敵、なぜ、殺す、しない?」
「感謝は、してくれて嬉しいことや、助かった時に言うことだよ。」
「...」
「それに、敵だからって殺すのは少し短慮だよ。特に君は敵の国からのトリガーを持っていた上に、その国の情報まで持っていた。それに、君は元々ここの人だからね。殺すわけにはいかないんだよ。」
「...ひと、ちがう。捨て駒。」
「...ここでは人だよ。」
寺島は桾本の闇の深さに寒気を感じたと同時に、彼の今までの扱いを察し、かなり怒っていた。虚ろな目で、自分は人ではなく、捨て駒と断じさせた敵国の環境、そして今まで感謝ということを知らなかった事も、三門市では当たり前のことを彼は知らなかった。彼の今までいた環境が嫌でも分かった。寺島は「今日の仕事が終わったら木崎、風間、諏訪と飲もう」と心に決めた。
ちゃんと書けているかなとビクビクしています。