Re:とあるヒーロー達の異世界生活   作:ちるみる

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早々に退場したパックだけど、どうせ1週目はそんなに役に立ってないからいいよね(適当)


第1話『ハーフエルフの少女』

少女の徽章を探し始めて1時間が経った。

 

「見つかるどころか、手がかりさえないな...」

 

「いやはやこんな事態になるなんて、この俺の目を持ってしても予想できなかったぜ...」

 

「そういやスバルの目つきって人殺したことありそうなくらい悪いよな」

 

「うるせぇよ!? 人のコンプレックスを簡単にえぐるんじゃねぇ!」

 

やいのやいのと言い合う2人を見て、少女は大きくため息をついた。

 

「手伝って貰ってるこっちが言えることでもないんだけど、もうちょっと真面目にやってくれない?」

 

「はい、すいませんでした」

 

あれだけふざけていた割には素直に頭を下げるスバルを横目に、上条は少女に向かって尋ねる。

 

「そういや、アンタの名前は?」

 

「っ、それは、えぇと...」

 

「そうか、自己紹介がまだだったたんだよな。 じゃあ俺からいかせてもらうぜ」

 

スバルはそう言うと大きく息を吸い込み、

 

「俺の名前は『ナツキ スバル』! 無知蒙昧にして天下不滅の無一文だ!!」

 

上条にした時と同じように、指をビシッと上に突きつけて言った。 それを見届け、上条も自己紹介をする。

 

「俺は『上条 当麻』。 人呼んで不幸の避雷針だ」

 

「えっと、2人とも、すごーく不安になる自己紹介をありがとう」

 

「この子意外と辛辣だ!」

 

「で、君の名前は?」

 

スバルに尋ねられ、動揺を浮かべる少女。 もしかしたら、何かしらの理由で名前を教えられないのか。

 

そう思った上条は口を開こうとしたが、それを遮るように少女は小さく呟いた。

 

「――サテラ」

 

「お?」

 

「サテラ、とでも呼ぶといいわ。 家名はないの」

 

名乗っておきながら、そう呼ぶのを拒絶、嫌悪するような態度だった。

やはり、何かしらの事情はあるのだろう。 だが、そこを深く聞くほど上条は図太くはない。 空気を変えるために、違う話題を口にする。

 

「そうだ、俺が消しちゃった猫はなんて名前なんだ?」

 

「消しちゃったって何食わぬ顔で何言ってんのお前!?」

 

予期せぬ上条の言動に驚愕するスバル。 だが、実際にその通りなのだから仕方ない。

 

「あぁ、パックのことね」

 

「「パック?」」

 

「...大精霊だから、そう簡単に消えないはずなんだけれど...」

 

少し不安そうに呟くサテラを見て、罪悪感が湧く上条。 向こうからやってきたこととは言え、その結果はある程度は予想のつくものだった筈だ。

 

「悪かった。 次は気を付ける」

 

「別に謝ることないのに。 あれはパックが勝手にやったことなんだし」

 

もう、ほんとに後先考えないんだから、と文句を言いながらぷんすかと怒るサテラ。

 

「そういえば俺も猫を飼ってるんだ。 スフィンクスって言うんだけど...」

 

「ネーミングセンス!」

 

スバルの突っ込みを適当にあしらいつつ、上条は今後の行動について考える。 このまま3人で探すか、それとも3手に分かれて探すか。

 

サテラにそのことを聞くと、

 

「一緒に探すわよ。 貴方達、目を離すとすぐ何処かに行っちゃいそうだもの」

 

「いやいや、そんな、子供じゃないんだから..」

 

思わぬ答えにしどろもどろになるスバルに、サテラは更に追い討ちをかける。

 

「じゃあスバルはここが何処か分かる? というかずっと思ってたんだけど、貴方達は何処から来たの?」

 

珍しい服を着てるし、と呟くサテラ。 一方、問いかけられたスバルは胸を張って自信満々に答えた。

 

「テンプレ的な答えだと、たぶん、東のちっさい島国から来たってことになるな! ちなみにここが何処かは全くもって知らないぜ!」

 

その答えを聞いて、サテラはスバルを白い目で見る。

 

「ここ、ルグニカは大陸図で見て一番東の国だけど」

 

「あれ、マジで!? ここが東の果て? 憧れのジパング!?」

 

「ごめん、ちょっと何言ってるかわからない」

 

(サテラにとっては)訳の分からないことを言うスバルを見て、サテラは大きくため息をついた。

 

「んじゃ、自己紹介も済んだことだし、そろそろ再開するか」

 

「えぇ、日が暮れると危ないもの」

 

異世界での無防備な夜だなんて、想像するだけでゾッとする。 見ぐるみ剥がされて売り飛ばされるか、やばい生物に食べられるかがオチだろう。

 

「っしゃあ! 気合入れていくかぁ!!」

 

気合十分のスバルと共に、上条達は徽章探しを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に1時間が過ぎた。 その間、特に何もなかった。

 

「やばい...これはもしかして、もしかしなくても足手まといになっているのでは...!?」

 

「サテラも頑張ってるっぽいけど、進捗は微妙だな...」

 

スバルが見たと言う盗人の特徴を元に聞き込みをしていた上条達だったが、進展は芳しくなかった。 上条はともかく、スバルは人との会話が苦手なようで、まず人に話しかけるところから苦労しているようだ。

 

それに、サテラに関しては心なしか避けられているように見える。 いかにも上の身分に見えるあの服装が原因なのかもしれない。

 

「ところで、スバルは何歳なんだ?」

 

重い空気を払拭しようと、上条はスバルに声をかける。 サテラは今聞き込みをしているので、会話を聞かれる心配もない。

 

「17だ。 見たところ当麻も同じぐらいだろ?」

 

「俺は16....あれ!? ってことはスバルって俺の先輩!? 同じ高校だったら敬語使わないといけないところだな」

 

ちなみに、出席日数の問題上、上条は進学できるか怪しいところにいる。 もしここにいる間も向こうで同じように時が流れていたら、流石に留年かなぁ...と遠い目をする上条だったが、そんな彼の耳に意外な言葉が聞こえてきた。

 

「そっ、か、当麻は高校にちゃんと行ってだんだな。...ま、普通はそうだもんな」

 

ぽつりとそう漏らしたスバルの目には、うす暗い感情が浮かんでいた。

 

(やべっ地雷踏んだか?)

 

慌てた上条は何とか話題を逸らそうとするが、その前にスバル自らがこちらに話を振ってきた。

 

「何処に住んでたんだ? 流石に日本国内だよな?」

 

「あぁ、俺は『学園都市』の学生だ」

 

「??? ガクエントシ...?」

 

知らない単語を耳にしたかのようにスバルは首を傾げる。

 

「何処だそこ? 俺ってば、あんまり地理は詳しくないんだが...」

 

「おかしいな。 日本に住んでれば、いや、例え何処に住んでいようと嫌でも耳にする筈なんだが」

 

と、ここでスバルが何かを閃いたかのようにポン、と手を叩いた。

 

「もしかして、俺達も元の世界が違う、とか...」

 

「...なるほどな。 それは考えてなかった」

 

「ちなみに、そのガクエントシってのは?」

 

「超能力を開発するところ」

 

「間違いなく世界が違ぇ!」

 

どうやら、スバルの推測通りのようだ。 話を聞けば、スバルの世界は魔法も超能力もない至って普通の世界らしい。 自分もそっちの方が良かったなぁ、と思わず上条は呟いてしまった。

 

「いやいやめちゃくちゃ面白そうじゃねぇか! ...で、当麻はなんか能力持ってんのか?」

 

「うんにゃ、無能力。 生まれつきの能力っぽいものはあるけどな」

 

「どういうことなの...。 てかそれに比べて俺ってば恵まれなさ過ぎじゃねぇ!? 異世界召喚されたのになんのチート能力もないなんてありえねぇだろ!」

 

確かに先ほどチンピラ達に土下座していたところを見るに、スバルの戦闘力は大して高くないように思える。 まぁ、上条も人のことは言えないのだが。

 

「ここはいずれ芽生えるだろうスバルの能力に期待だな」

 

「任せろ! 異世界転移者にふさわしい能力を必ずや開花させてやんよ!」

 

と、各々が元の世界について話し合ったところで、サテラが聞き込みを終えて戻ってきた。

 

「随分と仲良しね」

 

「ほっとけ。 で、なんかわかったのか?」

 

「特に進展はなし。 ほんとに困っちゃう」

 

案の定、聞き込みはうまくいかなかったようだ。 どうしようか、と上条が考えていると、スバルがサテラに向かって言った。

 

「盗まれたってことはスリがいるってことだよな。 でも、見た感じ表通りはそんなに治安が悪いようにも見えない。 もしかしたら、こことは別の場所にスラム街みたいなところがあって、犯人はそこに住んでるのかもな」

 

「すらむ...よくわからないけれど、一理あるわね」

 

スバルの言葉を聞いて、サテラは難しい顔で思案する。

 

「ってことは、そっち方面に詳しそうなヤツに当たるってことか。 さっきのチンピラ達に聞いとけばよかったかもな」

 

上条はスバルに絡んでいたチンピラ達を思い出してため息をついた。 テンプレも呆れるくらいのテンプレだったが、だからこそ何かのヒントになっていたかもしれない。

 

「あのチンピラ共も君がパパッと脅せば1発で情報吐きそうだな...」

 

「脅すだなんて、そんなことしないわよ」

 

お人好しだもんな、その一言を何とか飲み込んで上条は辺りを見回す。 もしかしたら、柄の悪そうか人物がいるかもしれない。

 

と、ここでサテラが口を開く。

 

「このままじゃらちも開かないし、私は精霊に聞いてみる」

 

「「精霊?」」

 

「そ、こう見えて私は精霊使いなの」

 

至って普通のことのようにサテラは言ったが、上条達にとっては別次元の話なのでいまいちピンとこない。 そういえばパックが大精霊だとか言ってたな...などと考えながら上条は曖昧な笑みを浮かべた。

 

一方でスバルは精霊使いという響きに興奮したようで、サテラに詰め寄っていた。

 

「すげぇ! 見たところ俺達と同い年くらいだよな? それなのにそんな凄そうなことができるとか...」

 

「その予想は当てにならないと思う。 私、ハーフエルフだから」

 

驚嘆を口にするスバルだったが、それはサテラの呟きに遮られた。

 

「なるほど、出会った時からエルフだとは思ってたけどハーフエルフかぁ……」

 

納得したように頷くスバルを見て、サテラの瞳に諦観と失望の感情が浮かんだように見えた。 しかし、そんな彼女と正反対に明るい笑みを浮かべたスバルは、

 

「どうりで可愛いと思ったぜ!」

 

「え?」

 

スバルの返答が思わぬものだったのか、サテラが目を丸くする。

 

「なるほどな、ハーフエルフだから見た目の年齢と実年齢が違うって訳だ」

 

「あぁ、よくいるよな」

 

「いやいねぇよ!? お前マジでどんな世界で生きてきたの!?」

 

サテラはやいのやいのと騒ぐ上条達を見て、

 

「――――ぁ」

 

かすかに喉を震わせ、二人から顔をそらして後ろを向く。そして距離を少し取り銀髪に手をやり頭を抱え込んでしまった。

 

「...えっと、また俺なんかやっちゃいました?」

 

「女の子に実年齢を聞いたからじゃ? 重罪だぞ」

 

「あれ!? もしかして意図せぬセクハラを!?」

 

慌てるスバルだったが、どうやらサテラが動揺した理由はそれではないみたいで、

 

「もう、2人のオタンコナス」

 

いつの間にか立ち直った彼女は、開口早々そんなことを言った。

 

「オタンコナスってきょうび聞かねぇな...」

 

「きょうび聞かないってきょうび聞かねぇな...」

 

「もう、茶化さないで! ほら、徽章を再開するわよ!」

 

照れ隠しのようにそう叫ぶサテラに、思わず苦笑する。

 

今度こそ、と意気込むスバルと共に、上条は微妙に早足で先を行くサテラの後を追いかけていった。




なにぶん僕の性格が適当なので、たまに原作の会話が違う場面で行われることがあります。 出来るだけ気を付けますが、把握しておいてくださると幸いです。
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