インフィニット・ストラトス~無敵の刑事は今日も飛ぶ~   作:とあるP

3 / 10
とあるPです。

今回はIS学園入学1日のことについて投稿しました。

最初に言っておきますが、一夏アンチは考えていません。但し、オリ主が一夏の行動に対して厳しく接する場面は何回もあるかもしれません。


それでは、本編をどうぞ!!


第1章 IS学園入学とクラス代表決定戦
第1話 IS学園入学


4月。子供達にとっては、入園式、入学式と言った新たな門出と新しい学び舎での生活が始まる月でもある。

 

社会人にとっては入社式、転勤と社会の荒波に身を置き、己の力を試し衣・食・住を確保する年の始まりでもある。

 

そんな新たな門出を祝う日に、ここにいる山田 修司(やまだ しゅうじ)は何故か学生達に交じり学び舎に居た。

 

御年30歳。

 

「なんで俺はここにいるのだろう…」

 

「それは、修司さんがISを起動させからだ」

 

「お、千冬か」

 

「織斑先生と呼べ!」

 

織斑先生こと、織斑 千冬(おりむら ちふゆ)は出席簿で殴ろうとした。しかし…

 

「殺気が駄々洩れだ。織斑先生」

 

「なっ!」

 

襲い掛かる出席簿をいとも簡単に止めてしまった。これには周りの人が「お~!」と唸るほどであった。

 

それもそのはず、千冬に剣道の師事をしたのは修司だからである。

 

しかし、このままではマズイと思った修司は千冬に向き合って謝罪した。

 

「しかし、SHRの邪魔をしてしまってすみませんでした織斑先生」

 

「……わ、分かればいいんだ///さて、SHRの続きをお願いします山田先生」

 

「は、はい!」

 

そう言って、朝のSHRに戻る。その間、修司はここに来るまでの流れを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

幼い頃、修司は父・母の3人家族だった。

 

しかし、家族で楽しく遊んだ遊園地の帰り道に事件は起きた。見通しの良い交差点で右折しようとした修司達の車に対向車線をはみ出してきた車が激突。

 

両親と対向車を運転していた運転手は事故に巻き込まれ帰らぬ人となった。その時修司はまだ3~4歳だった。事故の事に訳が分からずその時はずっと泣いていた。

 

身寄りもない修司は縁戚のツテを借りて孤児院に入り、そこで数年間育てられてきた。周りの子供達にとって修司は下の子達の面倒を見るいい兄貴分であった。

 

ある日、1組の夫婦が修司を引き取りたいと申しだしてきた。聞けば夫婦には一人娘がいるが母親が出産後に不妊となり、子供が出来ない体になってしまった。

 

そこで、頼れる兄を持ちたいと思った夫婦が孤児院を訪ねて来た。

 

初めは、断っていた孤児院側も試しにその一人娘と遊んで楽しそうに笑っている修司を見て「修司なら任せても安心出来る」と思い、夫婦側に打診した。

 

夫婦側も二つ返事でOKを出し修司の引き取りが決まった。

 

数か月が経ち、引っ越しの日。多くの孤児院の子供たちと、院長さんが見守る中修司は孤児院を後にした。

 

そして、引き取り先の一軒家に着くのであった。

 

「修司君、今日から君は山田修司だ。良いかね?」

 

「遠慮なく言ってもいいのよ」

 

「はい!」

 

「…よろしくね。修司さん…」

 

「違うよ、真耶。僕の事はお兄ちゃんでいいんだよ」

 

「…うん!お兄ちゃん!」

 

こうして、修司は山田修司となり、すくすくと成長した。修司が18歳になり、ある決断をするのであった。

 

「父さん、母さん。僕、警察学校に入るよ」

 

「どうしたんだい一体?」

 

「急にどうしたの?」

 

「僕、前々から思っていたんだ。人の役立つ事は何だろうと…それなら、警察官になってこの世の中をいい方向に持っていきたいと思ったんだ」

 

「立派な考えだな」

 

「ええ、そうね」

 

「凄いよお兄ちゃん!」

 

「ありがとう。真耶」

 

「それじゃあ、私達は反対しないわ。ねぇ、あなた」

 

「そうだな、修司が決めたことだ。私達はどんな事でも応援するぞ」

 

「うん!僕頑張るよ!」

 

そこからは、必死に勉強や己を鍛え上げた。

 

そして、見事に警察試験に一発合格し、警察官になる事が出来た。更に、犯人逮捕の検挙率が認められ刑事にまで抜擢された。

 

 

 

 

しかし、幸せな日々はそう長くは続かなかった…修司25歳、真耶15歳に真耶の両親が他界。そこからは、男手一つで真耶を育て上げた。

 

その時から、剣道の道場で同じ釜の飯を食う千冬と出会うのであった。

 

彼女も女手一つで弟の面倒を見ていると聞いた。同じ境遇の2人は直ぐに意気投合した。

 

千冬の紹介で束とも出会ったのもその頃であった。束にも妹がいるのだが、余り仲が良くなく、よく相談に乗っていた。

 

彼女は卓越した頭脳によりIS(インフィニット・ストラトス)と言う宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツを開発していた。

 

しかし、女性しか操縦出来ないというデメリットを抱えたままの発表により、犯罪は減ったが女尊男卑に世の中になってしまった。

 

そんな世界に嫌気がさした束は『修ちゃんの力で世の中を変えて欲しい!』と、修司に依頼し修司でもISを動かせる(・・・・)ように設計・改造までしてくれた。

 

そして、倍率が天文学的数字を持っているIS学園へ高校生(・・・)として入学した。

 

今は朝のSHRで、自己紹介をしている。そして、もう1人の男性操縦者が自己紹介をしている所だった。

 

彼は、千冬の弟で織斑 一夏(おりむら いちか)。修司と違って、私立藍越(あいえつ)学園を受験するはずが、間違ってIS学園の試験会場に入り、偶然、受験者用のISを男性でありながら起動させてしまった。

 

その後彼の姉がクラス担任する、1年1組に修司と同じく入学する事になったのだ。

 

「お、織斑一夏です」

 

「………」

 

「い、以上です!!」

 

 

 

ズデーン

 

 

 

教室に居た人間が一斉にコケタ。あの千冬でさえ踏みとどまるくらいの衝撃だったらしい。

 

復帰した千冬は一夏の前まで行きげんこつで、気合いを入れた。

 

「貴様はまともに挨拶も出来んのか!」ドゴッ

 

「痛い!けど、千冬姉!」

 

「ここでは、織斑先生だ!」ドゴッ

 

2度のげんこつを一夏に喰らわせた千冬は真耶に次に進むように指示を出し修司の番となった。

 

「では、次に山田君お願いします」

 

「はい、えーご紹介頂きました、山田修司と申します。年齢は君たちよりも遥かに上の30歳です。最近まで刑事をしていましたが、ISを起動させてしまったので、こちらに通うことになりました。特技じゃありませんが剣道は段位持ちです。趣味は料理と音楽を聴くことです。2度目の高校生になりますがよろしくお願いします」

 

そう言って、頭を下げた。クラスからは拍手のほかに(素敵!格好いい///)などの声が上がった。

 

「織斑、あれが、自己紹介というものだ」

 

「む~」

 

何やら千冬から指摘されてむくれている一夏をほっておいて修司は他の子の自己紹介に耳を傾けていた。その時、1人の女子生徒がこんな事を聞いてきた。

 

「先生~!修司さんは、山田先生と関係あるんですか」

 

「えっと…」

 

言葉に詰まった真耶は、助けを求める様に修司を見てきた。そこで修司は、波風が立たないように説明しようとしたら第三者の声にさえぎられてしまった。

 

(助けてお兄ちゃん!)

 

(しょうがないな。今度の休日の朝飯のおかず頼んだぞ)

 

(あぅ…わかったよ)

 

「実は、「山田先生と修司さんは義理の兄妹だ」え?」

 

「更に言うと、私の好きなタイプでもあるぞ」

 

「はい?」

 

 

 

『えーーーーーー!』

 

 

 

「ちょっと千冬さん!」

 

「お、織斑先生!」

 

「ん、何だ?事実を言っただけだぞ?」

 

「ここで言わなくてもいいでしょうが!時と場所を考えて下さい!」

 

クラスが騒然となる中シスコン全開の一夏が、修司に襲い掛かった。どうやら、千冬が修司に取られると思ったらしい。

 

「てめぇ!よくも千冬姉を!」

 

襲い掛かる一夏は修司の胸ぐらをつかもうとした。しかし、修司は持ち前の動体視力で躱し逆に関節技をキメて無力化していた。

 

「いででで」

 

「落ち着け織斑君!」

 

「放せ!これが落ち着いていられるか!」

 

「落ち着かないようなら、このまま落とすぞ」

 

「うぅ…わかりました…」

 

一夏は大人しくし、それを確認した修司も右手の力を緩めて行った。

 

「君が織斑先生を大事にするのは良くわかる。僕も真耶が大事だからね」

 

「…すみませんでした」

 

「分かればいいんだよ。さぁ席についてくれ」

 

「はい…」

 

「それと、織斑先生」

 

「な、なんだ!」

 

「あとでお話があるので…ニゲナイデクダサイネ

 

「ひ!わ、わかった…」

 

その後、千冬は変なちょっかいを出さずに自己紹介は終了し、朝のSHRは終わった。

 

SHR終わり後に一夏は先程の過ちを詫びるために、修司の席に向かっていた。

 

「あの~少しいいですか?」

 

「僕ですか?」

 

「ええ、さっきは突然暴れだして悪かったです」

 

「気にすることないよ。人間だれしも、気に障る事を言われたら、怒らずにはいられないですからね」

 

「そう言ってもらうと助かります。あの!俺、織斑一夏って言います」

 

「そうか。ならこちらも自己紹介をしないとね。改めて、山田先生の兄で山田修司です。よろしく織斑君」

 

「よろしくお願いします。俺の事は一夏と呼んでください」

 

「そうか、なら僕の事も好きに呼んでください。一夏君」

 

「はい!修司さん」

 

お互い握手をして、とりあえず一夏との蟠りは無くなったと思う修司であった。その直後ポニーテールの女の子が、一夏に対してオドオドしながら近づいてきた。

 

「…ちょっといいか」

 

「箒か!懐かしいな!元気だったか」

 

「う、うむ///」

 

「ちょうど良かった、紹介したい人がいるんだ」

 

「久しぶりかな?篠ノ之 箒さん」

 

「お久しぶりです。修司さん」

 

「え?知り合いなのか?」

 

「ああ、剣道の全国大会でちょくちょく見かけていたからな…」

 

「僕は青年部で篠ノ之さんは高校生の部で全国優勝していたからね」

 

「うおーー!すげぇな箒!」

 

「う、うむ///」

 

「それで用があるのは一夏君の方かな?」

 

「ええ、一夏を少しばかり借りて行きたいんですけどいいでしょうか?」

 

「僕の事はいいから、2人で話して来ていいですよ」

 

「わかりました」

 

「それじゃあ、失礼します」

 

そう言って、箒と一夏は修司に断りを入れて何処かに行くのであった。修司は(青春だね~)と思っていると、金髪縦ロールの少女が修司の席に向かってきた。いかのも高圧的で優雅に歩く姿は洗礼された動きであった。

 

その子の事について修司は知っていた。彼女の名はセシリア・オルコット。イギリス代表候補生で名門オルコット家の令嬢である。そんな子が修司に興味を持ったらしく、訪ねてくるのであった。

 

修司は語学が堪能であったため、イギリス英語で喋ってみた。それに対して、セシリアも母国語で返すのであった。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

『何かな、セシリア・オルコット嬢?』

 

『!…まぁ、紳士的のほかに、国際的なのですね』

 

『昔、ちょっと勉強していた時がありましたので。それでご用件はミスオルコット?』

 

『いぇ、織斑先生が認める殿方が如何様な方かと思いましたが、問題ありませんでしたわね』

 

『それは良かったです。他には?』

 

『そうですわね「キーンコーンカーンコーン」あら?』

 

『そろそろ時間ですね』

 

『では、次の休みでもまた、お話しをしたいですわね。ではごきげんよう』

 

『ごきげんよう』

 

そう言って、スカートにレースをあしらったIS制服をなびかせてセシリアは自分の席に戻って行った。時を同じくして一夏と箒も滑り込みセーフで戻って来た。

 

2時限目はIS関連の授業であった。事前に「必読」と書かれたタウン〇―ジ厚の参考書を勉強していた修司は、問題なくついて行けた。やはり、真耶が教える授業はわかりやすい。

 

生徒一人一人に対して、丁寧に教えている。そんな中、頭を抱えている生徒が1人いた。

 

(この、後付装備(イコライザ)換装装備(パッケージ)拡張領域(バススロット)とかわかんねー)

 

「…君、…斑君!織斑君!」

 

「は、はい!」

 

「ここまで、わからない所とかないですか?分からなければ教えてあげますからね。何せ私は先生ですから!」

 

「…山田先生」

 

「はい!」

 

「…ほとんど全部わかりません」

 

 

ズゴーー!

 

 

「え?ほとんどですか?他にはいませんか?」

 

「………」

 

一夏以外の人は誰も手を上げなかった。どうやら一夏は修司も手を上げるかと思っていたが、そんな事はなかった。

 

一夏は修司を見ると(裏切り者!)と言わんばかりの視線を向けてきたが、修司はどこ吹く風と飄々としていた。

 

「織斑、入学前に送った参考書はどうした?」

 

「電話帳と思って捨てました」

 

 

 

スパーーン!

 

 

 

豪快な音共に、一夏の頭が揺れた。

 

「再発行するから、1週間以内で覚えろ!」

 

「いや、あの量は「いいからやれ!」…はい」

 

「山田は教えないでくれ。こいつの身になりませんから」

 

「元よりそのつもりです。こればっかりは一夏君の自業自得ですからね。まぁ、助言はしますけど…」

 

そして、一夏が俯いている間にも授業は進み終わりを迎えた。授業後先ほどと同様にセシリアが修司の席に近づいてきた。

 

「先ほどは時間がなかったもので、申し訳ありませんわ」

 

「いえいえこちらこそ。代表候補生に、声をかけてもらえるだけでも光栄なことだと思いますよ」

 

「まぁ!お上手ですこと」

 

「それで、君の目から見た一夏君はどうでしたか?」

 

「……正直、織斑先生の弟だと思っていて期待しておりましたが拍子抜けですわ」

 

「ほう?それはどうしてですか?」

 

「基礎知識を全く知らずにここに来たと思うとガッカリいたしましたわ」

 

「それは、買い被り過ぎだと思いますよ」

 

「それよりも、わたくしは貴方に興味が湧きましたわ。是非ともお近づきになりたですわね」

 

「僕に?僕は普通の人だから、興味がわいても仕方ないと思いますよ」

 

「美徳は時として残酷な行為となりますわよ。それでは、ごきげんよう」

 

そう言って、セシリアは自分の席に戻って行った。修司は厄介な事に巻き込まれなければいいと思っていた。

 

3時間目は千冬の担当であった。その前にある連絡事項が発表された。それは結構重要なことなのにあっさりと伝えるのであった。

 

「そう言えば今度、ウチの『クラス代表』を決める。クラス代表とは、そのままの意味で生徒会の会議や委員会への出席やその他諸々を決定する時に必要な奴だ。決まれば一年は変更なしだからな。自薦、他薦は問わない。誰かいないか?」

 

「はい!織斑君がいいです!」

 

「私も!」

 

「私も!」

 

「ちょっと待ってくれ!俺はやるつもりはないぞ」

 

「決まりだな、じゃあ一組のクラス代表は織斑になるが」

 

「じゃあ!俺は修司さんを指名するぜ」

 

「僕ですか?」

 

「何故だ?」

 

「そ、そりゃあ「納得できませんわ!」」

 

それに意を唱えたのは、先ほど話していたセシリアだった。大方自分の名前が出てくると思っていたのであろう。

 

しかし、クラスメイト達の興味は2人しかいない男性操縦者に向けられていた。

 

「一組の代表はこの入試主席の私セシリア・オルコットではありませんか!大体、男がクラスの代表なんて恥さらしもいいところですわ!そのような屈辱耐えらせませんわ!」

 

先程の淑女としての振る舞いから一変、どうも皆の結果に納得が出来ないと主張してきた。

 

そんなセシリアは、怒りで我を忘れており言ってはならない事を言ってしまった。

 

「そもそも、山田さんはいいとして…大体このような極東の地まで来てIS技術を学びに来たのに男が珍しいだけの理由でクラス代表になるなんて、甚だおかしいですわ!あろうことか、その男の内1人は基礎知識を知らない愚か者」

 

「イギリスだって日本から見れば、極東だろうが、それに世界一メシマズ選手権で何年の覇者だよ」

 

「な!貴方、わたくしの祖国を侮辱しましたね!」

 

「事実だろ」

 

「落ち着け2人共!」

 

『修司さん(山田さん)』

 

2人を落ち着かせる為に、修司は割って話しをし始めた。2人程冷静にかつ怒りに身を任せてはダメだと思いながら。

 

「まず、オルコット嬢。君はイギリス代表候補生だ。先程の発言はイギリスからの発言として、受け入れられても仕方いと思われますよ。それにここにいる人はほとんどが日本人です。その人達にとっては侮辱と思いかねない発言をしています」

 

「そ、そんなことは…」

 

「事実、ISの生みの親である篠ノ之束博士は日本人です。それを忘れて怒りに任せて発言してしまったのではないかい?」

 

「!」

 

「そして、次に一夏君。君ミートパイは好きかい?」

 

「好きだけど…」

 

「あれは、イギリス料理だよ」

 

「え!」

 

「他にも、アップパイ、スコーンにマフィンもイギリス料理だよ。それも知らずに、先程の発言は致し方無いな」

 

「……」

 

「はぁ…君たちはもう少し落ち着きなさい」

 

『だって、こいつが!(この人が!)』

 

「止めたまえ!仮にもこれから3年間同じ学び舎で勉強する仲間だろう!」

 

『ぅ!』

 

「織斑先生。クラス代表決定戦ですけど、僕も参加します」

 

「良かろう、なら、織斑・オルコット・山田は一週間後に第三アリーナで代表決定戦を行う。それまで準備をしておくように」

 

そう言って、授業を再開するのであった。そして、放課後、修司と一夏は教室で待っている様に指示された。一夏は必死に勉強しており修司も明日の予習をしていた。

 

そこに、ボストンバッグとアタッシュケースの2つを持って来た千冬と真耶が現れた。

 

「織斑、山田の2人にはこれから寮で生活してもらう」

 

「しばらくは、自宅から通うことになっていたと思いますよ?」

 

「事情が事情だからな」

 

「けど、着替えとかは…」

 

「私の方で準備した。織斑はスマホの充電器と1週間分の着替えがあれば、十分だろう」

 

そう言って、一夏と修司にボストンバッグを渡した。寮の鍵も同封されており、一夏には「1025」、修司には「1045」と書かれた鍵を渡し、真耶から諸注意を言い渡されるのであった。

 

「朝食は7:00~8:00。夕食は18:00~19:00。就寝時間は22:00です。室内には洗面所とシャワーが設置されています。それと、お二人は当面の間お風呂は使えません」

 

「え!なんで!」

 

「はぁ~一夏君、君は犯罪者になりたいのですか?」

 

「そうだぞ、馬鹿者!」

 

「なんでだよ!」

 

「IS学園の大半いや僕達を除けば女子生徒ですよ?そんな中で女子生徒が入っている大浴場に入った途端、僕が軽犯罪法1条23号「窃視の罪」で逮捕するからですよ。それでも入りたいんですか?」

 

「は、入りたくない!」

 

「それでいいですよ。なに、今は無理でも何時かは入れる日が来ますよ」

 

そして、それぞれ割り振られた部屋に向かうのであった。1025号室の前まで来て、一夏と修司は別れるのであった。

 

「えっと…ここが1025だな」

 

「はい。それじゃあ、また明日ですね」

 

「はい!」

 

「忘れないで下さい。ここには女子しかいないのですから必ず確認するんですよ」

 

「はい!」

 

そう言って一夏と別れた修司は「1045号室」へ向かうのであった。そして、部屋についた修司はノックを3回し中に人がいないか確認した。

 

その直後「はーい」と女の子の声が聞こえ修司は(マジかよ。1人部屋じゃなかったのか…)と後悔した。

 

しかし、ノックした手前入らないとマズイと思い、意を決して入ることにした。

 

「すいません。今日から入学して来た山田修司と申します。ここで住むことになりました」

 

「え!噓!修司さんですか。少々お待ちください!」

 

何やら部屋の中からドタバタしている音が聞こえて来たが修司は聞こえないふりをしていた。そして、数十分経って今日から同室になる子が現れた。

 

その子はクラスで一緒になっていた子だった。

 

「お、お待たせ致しました…」

 

「お邪魔しますね」

 

若干気まずそうになりながらも、部屋に入り改めて自己紹介をした。

 

「あ、あの!」

 

「はい?」

 

「え、えっと…」

 

「?」

 

「申し訳ありません。殿方とましてや父以外の異性と話すのは、些か緊張して…」

 

「大丈夫ですよ。ゆっくり、落ちついて喋ってください」

 

「ありがとうございます。お優しいのですね」

 

「そんな事ありませんよ。では、改めまして、山田修司です」

 

四十院神楽(しじゅういん かぐら)と申します。以後お見知りおきを」

 

「よろしくお願いしますね」

 

「はい!」

 

「ウフフフ…」

 

「アハハ…」

 

同室の子は四十院 神楽(しじゅういん かぐら)と言う子だった。聞けば彼女は旧家の出身なのでいかにも大和撫子といった容姿をしていた。そして、気品がある。

 

その後、いくつかの細かいルールを決めてその日はお開きなる予定だったが、そんな現状をぶち壊す出来事を一夏(トラブルメーカー)が厄介ごとをもたらした。

 

「修司さん助けてくれ!」

 

「どうしたんですか?騒々しいですよ」

 

「あの、俺の部屋まで来てください。お願いします」

 

「はぁ、すまない四十院さん。ちょっと出かけてくる」

 

「はい、わかりました」

 

「それじゃあ行ってきます」

 

「はい、いってらっしゃいませ」

 

なんとも新婚生活みたいなやり取りをしつつ、現場である一夏の部屋に向かって行った。その途中騒ぎを聞きつけた子達がついて来て、ちょっとした大行進となった。

 

そして、現場となった一夏の部屋に行くと木製のドアには無数の穴が空いていた。

 

修司は巻き込まれたくないと思いつつ部屋に入って行くのであった。そこには、道着姿で手には木刀を持っていた箒がいた。

 

「篠ノ之さんお邪魔しますよ」

 

「む!修司さんか…」

 

「これは…また派手にやらかしまたね。一体どういうことか説明してもらいませんか

 

「う、うむ…」

 

箒は若干の緊張しながらもことの顛末を話し始めた。それは一夏が部屋に入って来た時箒はちょうどシャワーを浴びていたのでノックの音に気がつかなかった。

 

そして、浴び終えてシャワー室から出て来たところに鉢合わせしてしまい恥ずかしさのあまり大声を出してしまった。

 

それで済めば良かったものの、気が動転した一夏は竹刀の先に付いていた箒の下着を持ち「箒も立派になったんだな」と言ってしまい堪忍袋の緒が切れて木刀で襲ってしまったとの事であった。

 

それを聞いた、修司は頭を抱えてしまい(初日から面倒ごと増やさないでくれよ…)と思うのであった。

 

「篠ノ之さん、木刀がどんな威力を持っているなら剣道をしている人ならわかるだろう」

 

「……」

 

「それと一夏君。きみにも非があるんだよ」

 

「お、俺ですか?」

 

「だれかが部屋の中にいるのが分かったのなら、玄関先で待っているとか、大きな声で確認するとかあるでしょう?言ったはずですよ。ここには、女の子しかいないんだから注意しないといけないと…」

 

「す、すみませんでした…」

 

「まぁ、次からは気をつけることですね。この事は織斑先生と山田先生に報告しておきます。いいですね!」

 

『は、はい…』

 

「そう暗い顔をすることないですよ。今回の失敗を次に活かせばいいんですから」

 

「はい」

 

「じゃあ、仲直りの握手だ」

 

「すまなかった一夏」

 

「こっちこそ、ごめんな箒」

 

そう言って、2人は握手をするのであった。それを見届けた修司はその足で「寮長室」に向かって行った。先ほどの事件を千冬と真耶に報告する為である。

 

そこには、昼間の様なビジネススーツを着こなした千冬とは別に、Tシャツ、スエットと言ったラフな格好になっていた。真耶に至っては寝る直前だったのか、ネグリジェ姿といかにも大胆な格好だった。

 

「夜分に失礼いたします。織斑先生、山田先生」

 

「修司さん?どうしたんです?」

 

「どうしたの、お兄ちゃん?」

 

「すまんな。ちょっとした騒ぎがあってな。その報告に来た。入ってもいいかな?」

 

「ええ、どうぞ」

 

修司は秘密にしていることがある。それは、心許せた人にしか素の自分を出さないことだ。

 

孤児院時代の名残で常に、みんなの兄貴分でいた修司は弱みを見せる事はなかった。そんな修司がこの2人の前では素の喋り口調になっていた。

 

この2人の他には束と今亡き真耶の両親。そして、仕事仲間の人達である。そんな修司は先程起こった事を話した。

 

「~と言う事があってな。大変だったよ」

 

「うちの愚弟がすまなかったな」

 

「まぁ、本人達は反省しているからいいけどな」

 

「篠ノ之さん、いい子なんですけどね~」

 

「ああ、一夏も悪気があってやった訳ではないようだしな」

 

「本当に、最近の若い子は無茶してくれるよ」

 

「修司さんだって若い頃は真耶の為の色々無茶をしただろう?」

 

「…何の事かな?」

 

「聞いているぞ。真耶に変な虫が近寄らない様に剣道を極めていたとな」

 

「うるせー」

 

「ふふ、お兄ちゃん昔から強かったからね」

 

そう言った、修司はぶっきらぼうに返事をした。そして、千冬と真耶に一夏の部屋に新しいドアを設置するように依頼して、寮長室を後にした。

 

時刻は11時。流石の修司の眠くなってきたので、部屋に帰ってシャワーを浴びて寝ようと思っていたら、まだ明かりがついていた。入ると神楽が起きていた。

 

「四十院さん。まだ起きていたんですか?」

 

「ええ、何故か目が冴えて眠れなくて」

 

「すみません。直ぐにシャワーを浴びてしまいますね」

 

「はい」

 

そう言って、修司は着替えを持ってシャワーを浴びた。そして、眠る時に神楽がこんな提案をして来た。

 

「あの、山田さん」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、初日から我儘を言ってもよろしいでしょうか?」

 

「いいですよ」

 

「なら、私の事を神楽と呼んでもらえないでしょうか」

 

「……」

 

「はしたないと思っているのですが…」

 

「いいですよ。神楽さん」

 

「まぁ!ありがとうございます山田さん///」

 

「いえいえ。僕ことも名前で呼んでもいいですよ」

 

「は、はい修司さん///」

 

「それじゃあ、おやすみなさい。神楽さん」

 

「はい、修司さん」

 

こうして、神楽と修司の長い一日は終わりを告げた。

 




IS学園入学とセシリアとの出会いでしたね。

そして、同室は悩んだ末神楽にしました。1人部屋でも良かったんですけど、そうしたら、IS授業までヒロイン達との絡みがなくなりそうだったので神楽と同室にしました。

ちょっと丁寧語の使い方が合っているか微妙ですが、これで進めていきます。

次回からクラス代表決定戦です。修司のISについては番外編で説明する予定です。

感想・評価・誤字報告お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。