【完結】川口息吹は憑依転生者な器用貧乏だけどかわいい   作:風早 海月

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今回は台本形式でお届けいたします。
あくまで幕間ですので、苦手な方は読み飛ばしても大丈夫です。

また、台本形式は一部の幕間などでしか使わないので、タグやあらすじでの警告はする予定ありませのでご了承ください。


幕間 夏の甲子園直前番組『爆熱甲子園!』

下沢「さあ、やって参りました。毎年恒例、爆熱甲子園のお時間です!今年はわたくしテレビ夕日アナウンサー下沢杏莉がお届けいたします!

 さて、熱い夏の甲子園の開幕は明日に迫っています!今年は、野球解説者で元プロ野球選手の森永梨亜子さんと、聖光学院高校伝説を作り上げて現在は作詞家・作家・書家と幅広く活躍している今井美波さんにお越しいただいております。お二方、本日はよろしくお願いいたします」

 

森永・今井「「よろしくお願いします」」

 

下沢「まずは、一昨日の組み合わせ抽選会がありました。お二人の注目カードなどはありますか?まずは森永さんいかがでしょう?」

 

森永「はい、うちが注目してるカードは、5日目の第2試合ですね」

 

下沢「栃木の聖光学院対愛媛の今治中央ですね」

 

森永「聖光学院についてはとなりに第一人者がいますから、お分かりになるとおり猛打のチームです。特に今年のキャプテンで4番を務めています岡野さんはこの夏の地方大会で8割の打率をマークし、打点は18。正しく猛打のチームを率いる将でしょう。

 それに対して今治中央は守備に優れており、地方大会での失点は決勝戦の1点のみという非常にハイレベルの守備力を誇ります。このカードは正しく『矛盾』でしょう」

 

下沢「確かに、猛打の矛が堅い盾を突き破るのか、はたまた突き立てられた矛の刃を盾が折るのか…非常に楽しみなカードですね。

 今井さんは注目しているチームなどはありますか?」

 

今井「個人的にも高校野球ファンとしても注目しているのは埼玉県の新越谷高校です。従妹が所属してるんです」

 

下沢「確か川口息吹選手ですね。1年生ながら、地方大会では24打席、19打数、13安打、13打点、3本塁打、打率.684の強打者で、スイッチヒッターでした。ですが、彼女の有名な点は―――」

 

今井「『ジャイロボーラー』、『ゼロの守護神』、『擬態職人(コピープレイヤー)』辺りですか。2つ名がいくつも付いてるとは、あの子も有名になりましたね」

 

森永「うちも彼女のプレー映像で見たけど、あれはエグイです。正直、抑えとしてなら今すぐにでもプロの一軍でセーブをかっさらっていけるほどでしょうね」

 

今井「ほんと、最近もよく一緒に遊んでましたが、あの子この春まで野球は趣味程度でしかやってなかったから、まさかまさかでした。妹の芳乃まで最近は試合に出てるし…」

 

下沢「他にも、2年生の川原光さんも話題になっていましたね」

 

森永「川原さんは今大会で最多種の球種を持っていながら、打撃でも貢献する二刀流選手です。カーブかスラーブの習得と、球威の向上があればプロ野球で二刀流も夢ではないでしょう」

 

今井「確かに、あの子は脅威ですね。かわいいから話題もあるし。でもあの小さい体で良くあんなにかっ飛ばせますよね」

 

森永「天賦の才でしょうか…筋肉の質が良いのでしょう。ただ、筋肉のつけ過ぎは成長を阻害してしまうことがあるので、それが小柄な理由かもしれませんね」

 

下沢「新越谷高校は歴史的にも非常に稀に見る条件で地方大会を突破しています。部員は僅かに11人、3年生は無し…これは昨年度初旬に発覚した部内不祥事により対外試合禁止処分を受け、ほとんどの生徒が野球部を去ったことが理由でした。

 そこに集まった新入部員は、ガールズで名を鳴らした山崎珠姫選手と福岡の箱崎松陽出身の中村希選手を除き、ほとんど無名の選手…特に川口息吹選手と川口芳乃選手は野球観戦やキャッチボールなどの趣味程度の経験から、僅か数ヶ月でこの甲子園の土を主力メンバーとして踏んでいます」

 

森永「うちの知る限りではありますが、選手権大会ではこの人数は大正時代に優勝した静岡県清水中以来でしょうか。なんにせよ、このチームがダークホースとなるのは間違いないですね」

 

下沢「さて、というわけで爆熱甲子園、前半は新越谷高校について深掘り!というわけで、まずは新越谷高校のメンバーをご紹介しましょう。背番号順に紹介して参ります。

 まずはエースナンバー1番、武田詠深さん。1年生ながらも160cmの身長から投げ下ろされる丁寧なピッチング。変化球は落差の大きい縦スラを主力に4種類を備える技巧派。

 続いて正捕手の2番、山崎珠姫さん。中学2年生の頃、3年生をさしおいて正捕手として全国を戦うほどの守備力を誇ります。

 3番は中村希さん。福岡の箱崎松陽出身で、打撃の天才とも呼べるほどミート力が高いのが特徴です。新越谷高校のチャンスメーカーです。

 4番、藤田菫さん。丁寧な職人タイプ。地方大会決勝戦で倒れたのがどう影響しているか心配なところ。

 5番、藤原理沙さん。力強い打撃と重いストレートを持っています。

 6番、川﨑稜さん。地方大会準決勝から見せた左打ちは本領発揮か?

 7番、川口息吹さん。地方大会でのOPSは脅威の2.329。投手としても投球回8.1で防御率ゼロ。

 8番、主将岡田怜さん。チャンスに強い打点マニア。足の速さに由来する外野の守備範囲の広さも圧巻です。

 9番、大村白菊さん。昨年度の剣道全中覇者で、そのパワーは詰まった当たりも外野に飛ばす、パワーヒッター。

 10番、川口芳乃さん。チームの参謀役で、監督よりも指示を出している姿がよく見られます。挟殺プレーを躱すすばしっこさも。

 11番、川原光さん。チーム唯一のサウスポー投手で、5つの変化球を持ちます。小柄ながらスイングのパワーは強く、打者としても優秀です。

 そして、監督は8年前に新越谷高校の選手として甲子園の土を踏み、今年の春からこの新越谷高校野球部を率いる藤井杏夏教諭。

 以上が、新越谷高校野球部のメンバーです」

 

森永「このチームは各人の欠点を、チームメイト同士で補い合っているからこそ、甲子園の土を踏むことが出来たのでしょう。

 例えばエースの武田さんは先発投手としての能力は、全国区で戦えるラインに達してはいますが、打撃は不振どころか15打席、0安打、4三振、1併殺打。

 主将岡田さんは得点圏内にランナーがいない時には安打を打てていませんから、彼女の足の速さなら1番に据えたいのに置けないのでしょう。

 藤田さんと川﨑さんも、1年生としてはそこそこの力量ですが、甲子園で戦うには力量不足。

 大村さんも、ホームランを期待出来るとは言えども22打席、3安打。

 他の人も多かれ少なかれ欠点があります。ですが、その多くの人がキラリと尖るなにかを持っています。

 そう、新越谷高校の躍進の理由はそこにあると、うちは考えてます。個性と個性が重なり合って出来たバランス…それがこの新越谷高校野球部なのではないかなと」

 

下沢「確かに数字だけを見れば、尖ったところと劣るところ、どちらも混在しているように感じます」

 

今井「とは言え、甲子園では一芸では勝ち残れない。新越谷がどう甲子園で活躍するか、注目して行きたいですね」

 

 

 

☆☆中略☆☆

 

 

 

下沢「さて、番組後半は噂の件についてです!

 U-17の国際大会のメンバーを集めているらしいですね、森永さん」

 

森永「U-17国際平和記念野球大会ですね。

 選出されてU-17野球日本代表チームに参加した場合、国際大会に桜ジャパンとして出場する栄誉と、その人が所属する高校に春のセンバツへのシード権も与えられます」

 

下沢「シード権…ですか?」

 

今井「それはもちろん必要でしょうね。この国際大会で拘束される期間は長ければ9月から1月頃まで。秋季大会はおろか明治神宮大会ですら出れませんから、国際大会に呼ばれるほどの実力者を失ったチームからすれば当然のことでしょうね。

 例えば人数の少ない高校から引き抜くことで、9人にも満たなくなってしまうということが起こりえますから」

 

下沢「なるほど。では、選出はどのように行われるのでしょうか?」

 

森永「選出については、監督陣の求める戦術に適する実力者を集めるつもりです。具体的には、1999年1月1日以降に生まれた人が対象です。1年生と2年生は全員、3年生は早生まれの人だけとなります」

 

今井「多くの3年生は対象外ということですね…今年の夏の甲子園を、そういった視点で見るのも楽しそうです」

 

森永「今井さんも指揮官陣としてお呼びしましょうか?」

 

今井「締め切りの仕事が多々あるのでよしておきます」

 

下沢「選考対象試合などは指定していますか?」

 

森永「いいえ。もちろん、公式戦を中心に拝見していますが、練習試合なども候補となりうる選手を見つけた場合は足を運んでいます」

 

下沢「選出人数は何人でしょうか?」

 

森永「計20人です。

 また、先程今井さんにもお誘いしてみたコーチ役も3人前後選出する予定です。コーチは年齢実績関係なく、我こそはと思う方はU-17桜ジャパンのホームページからコーチ希望の方はこちらというボタンから野球に関するテストを受けていただいて、それを送信した段階で応募完了となります」

 

下沢「コーチですか…どんなことをするのですか?」

 

森永「主に選手の健康管理や食事管理、試合時にはコーチャーとプルペンコーチを頼む予定です。是非奮ってご参加ください」

 

 

☆☆後略☆☆

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

千葉県の某所。

1人の老女が高らかに笑った。

 

「森永のやつ、まだあたしのこと隠してやがるぜ…聞いたらびっくりするだろうな…ガキども」

 

年齢の衰えを感じさせないその肉付きは、とても70過ぎの老女には見えない。

 

「さて、どんな面白いガキが出てくるか…楽しみだな」

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