【完結】川口息吹は憑依転生者な器用貧乏だけどかわいい   作:風早 海月

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第41話 壮行試合 前編

長本監督が提示したスタメンは以下の通り。

 

1番 山谷彩 レフト

2番 風間花詠 ライト

3番 小林依織 キャッチャー

4番 岡本美穂 ファースト

5番 川口息吹 センター

6番 楠川由梨 ショート

7番 平沢萌恵 セカンド

8番 清藤奏子 サード

9番 睦月久乃 ピッチャー

 

私は5番センターでスタメンとなった。守備位置はまぁまぁ妥当な配置。このチームで2番目にセンター適性高いと自負してるもの。1位はもちろん怜先輩だけど。

2人の敬遠があることを加味すると、実質3番を打たせてもらえてるらしい。

 

対して、プロ野球オールスターチームのスタメンが以下の通り。

なお、オールスターチームは所属チーム等は面倒くさいので省略。

 

1番 西田恵 ファースト

2番 村上蒼 ライト

3番 菊池涼子 サード

4番 阿部蒔菜 キャッチャー

5番 岡本和美 セカンド

6番 坂本颯奈 ショート

7番 吉田澄 レフト

8番 加藤典子 センター

9番 千牧大那 ピッチャー

 

後攻有利の傾向から、オールスターチームが先攻となる。

 

観客の球女たちが続々と入場してくる中、オールスターチームを応援する子達は三塁側、桜ジャパンを応援する子達は一塁側に自然と寄る。

新越谷の面々も来ていた。

もちろん、エキサイトシートの芳乃・希・理沙先輩は一塁側エキサイトシートに既に入ってる。

三塁側エキサイトシートはプロ野球関係者が座っている。

 

私は光ちゃんとキャッチボールをしながら、後楽園ドームを見回す。

 

 

ドーム球場最高!ビバ、エアコン!マジ快適!

 

青空の下でって言ってもさ、いくら日焼け止め塗ったところで日差しは痛い。乙女の柔肌をなんだと思ってるのか!ドーム球場を増やせ!

…っと、個人的な感情が迸ってしまった。

 

なんにせよ、ドーム球場の利点は猛暑だろうと雨だろうと雪だろうと寒かろうと風が吹こうと野球が出来る。万全な環境を整えてくれる。ありがたやー。

 

ドーム球場が時代遅れだとかなんだとか、日本の気候的に必要だから!真夏とかシャレにならないし。

 

そうして身体を温めていると、楠川さんが寄ってきた。

 

「どう、調子は?」

「そこそこ、ですね」

「私も、そこそこ、です」

 

私と光ちゃんは同じような笑みを浮かべながらそう返す。

 

「あはは。まぁ今日はプロ相手だし、胸を借りるつもりで、気負わずにね」

 

楠川さんはそれだけ言うと、また他の人に声をかけに向かったみたい。

 

「あーゆうのが主将の仕事なのか…」

「ひぃっ!?主将…じゃなくて怜先輩、いきなり後ろに立たないでください」

 

感心と羨望を混ぜた怜先輩の眼差しは楠川さんに注がれていた。

 

「まぁチームとかその主将によってだと思いますよ?楠川さんは、あぁした方が桜ジャパンでは良いって思ってるってことで」

「まぁそうだよな…すまんな」

 

怜先輩はベンチに下がっていった。

 

 

 

目を輝かせて有名高校球女や相手のプロ選手に奇声を発している我が妹に目を向けないようにしながら、私たち桜ジャパンは投手を除いて守備に散る。

 

始球式の投手役には何故か美波が登板していた。

仕事は?担当さん呼ぶわよ?

 

 

 

つつがなく始球式を終えて、投手の睦月さんが登板する。

プレイが球審によって宣言され、試合が始まった。

 

1回の表、オールスターの攻撃。

1番、西田恵、背番号38。

 

一塁手の左打ちで、今シーズンの出塁率が1位の選手ね。選球眼もある上にミート力も高い。

 

だけど、長本監督はそれを見越して…というか、西田選手対策に睦月さんを先発にしたと言っても過言ではないと私は予想してる。西田選手はカットボールとツーシームへの苦手があるらしく、この手の変化球での打率は低い。

 

初球、チェンジアップをタイミング外して空振り。

2球目、カットボールを引っ掛けてピッチャーゴロ。まずはワンアウト。

 

 

2番、村上蒼、背番号55。

 

ライトを守備しているけど、元々はセンターを本職とする外野手。

そして、芯を外した打撃でもヒットにできる打力がある強打者だ。

 

初球、高めストレートを見送ってボール。

2球目、アウトローのチェンジアップを正確に捉えて、センター方向へ。私は落下点に走るけど、さすがに間に合わず。ツーベースとなる。

 

 

3番、菊池涼子、背番号33。

 

サードを守る菊池選手も出塁率の高い選手で、こちらは容易に突ける隙はない。正直1点は失う覚悟ね。

外野は長打警戒に下がる。

 

初球、捕手の小林さんはカットボールのアウトコースを要求したものの、失投。ど真ん中に入ったその球に、思わずフルスイングした菊池選手。たーまやー。

スタンドイン。ツーランホームランとなる。

 

ワンアウトノーラン。

 

 

4番、阿部蒔菜、背番号10。

 

日本一有名なキャッチャーと言っても過言ではない超強打者。

その知名度は伊達ではなかった。

 

3球見送ってカウント1-2。

4球目、もう見切ったと言わんばかりのフルスイングでインコース高めのカットボールを捉えられた。

 

私はフェンス際まで走る。レフトの山谷さんがフォローに入る位置取りだけど…

ふわりとブレる打球。

 

そのままスタンドに入った。

2者連続ホームラン。

 

ゆうゆうとダイヤモンドを回る阿部選手を遠目から見ることしか出来なかった。

 

 

5番、岡本和美、背番号25。

 

トップチームの日本代表で4番を任されている岡本選手。

私なら勝負せず逃げるけど…流石に初回から敬遠するとだだ下がりだものね。新越谷でやってた勝つための試合じゃなくて、アピールの試合だから。

 

初球、アウトコースにカットボール。空振り。

2球目、インコース高めのチェンジアップに反応した岡本選手はコンパクトに畳んだスイングで内角の球を捌いた。快音1つで私の前に落ちる。

ワンバウンドで捕球した私は送球せず。ワンアウト一塁。

 

 

6番、坂本颯奈、背番号6。

 

一塁に睦月さんは牽制を入れる。岡本選手は飛び込んでセーフ。

もう一度牽制を入れてから、初球を投げる。

 

初球、カットボール。引っ張りすぎてレフト線に切れてファール。

2球目、投球を起こしたところでランナースタート。チェンジアップの握りだったため、依織バズーカの牽制球が入るも不発。盗塁成功でランナー二塁に変わる。

3球目、ストレートを膝下に投げ込み空振りで三振。

 

ツーアウト二塁。

 

 

7番、吉田澄、背番号34。

 

二塁を視線で牽制しつつ、初球投げた!

初球打ち!左打者の吉田選手は一二塁間に引っ張った当たりを出す。ライト前か…?と判断しそうになった次の瞬間、セカンドの平沢萌恵さんの横っ飛びでのファインプレーがあり、スリーアウト。

 

 

 

1回の裏、桜ジャパンの攻撃。

 

1番、山谷彩、背番号12。

2番、風間花詠、背番号1。

 

特別ルールに従って、先頭2人を敬遠する。

 

オールスターチームの投手は千牧大那選手で、チームでは開幕投手を務め今シーズンの防御率1点台という安定した投手だ。

 

そんな相手に、高校2年生がいくら金属バットがあっても太刀打ちするのは至難の業。だけど、その至難の業をやってのけることが出来る尖りがあるのがこのチームで…

 

 

3番、小林依織、背番号2。

 

依織バズーカの異名は打撃でも通用した。粘り強く11球目、難しい厳しいコースのシンカーをすくい上げ、右中間へ。

ランナー2人は快走して山谷さんはホームイン、風間さんは三塁に進んだ。

ノーアウト一三塁。

 

 

4番、岡本美穂、背番号17。

 

チャンスのノーアウト一三塁。

本来の4番は楠川さんだけど、今回は2人敬遠ルールもあるので、少し違う打順。

故に、打力自体は正直楠川さん以下。だけど…

 

今日の岡本さんは絶好調だった。

 

調子の波が激しい岡本さんが乗ってる時…その時に限っていえば、楠川さん並かそれ以上の打撃を見せることもある。

 

フェンス直撃で、追ってた外野手を避けるような形となる。

ランナー2人は本塁に生還して2点を返す。ネクストにいた私が最初にハイタッチを交わす。

センターを守る加藤典子選手が捕球して遠投をホームに向かって投げる。

加藤選手の遠投は上手い具合に2バウンドで捕手の構える位置の近くに届く素晴らしい送球となったはずだったが、イレギュラーバウンド。

三塁ベースコーチに入っていた森永コーチが腕を回して走塁指示。岡本さんは三塁を蹴って本塁へ。サードの菊池選手がバックアップするも、岡本さんは既に本塁を踏んでいた。

4点を返して逆転に成功、ノーアウトノーラン。なおも攻撃が継続中だ。

 

 

5番、私。

 

初球、沈む球を見送ってボール。

2球目、外角低めの逃げてく球も見逃してボール。

3球目、ストレートが低めに入ってきた。これをサードの頭を超えるポテンヒットとなり、一塁へ。

本当ならレフト線にかっ飛ばすはずが、シュート方向に地味な変化があって芯を外されてしまった様子。

ノーアウト一塁となったところで、桜ジャパンの誇る最強の打者に回した。

 

 

6番、楠川由梨、背番号6。

 

楠川さんも木製バットを構えた。

楠川さんはもちろんプロを目指している。そのため、木製バットへの適応は昨年からとうに始めていた。

 

2球のボール球を見送ってから、3球目。

特大アーチが生まれた。

 

これが楠川由梨だと言える、素晴らしいフォームだった。

 

6-3。ノーアウトノーラン。

 

 

これは持論だけど、打者を打ち取るのに大袈裟な球速なんていらない。あればラッキーくらいなもの。大事なのは、球種に関わらず同じフォームから投げること、変化球は変化を始めるタイミングをなるべく打者側に寄せること、そして投球以外の技術。

 

立ち上がりが不安定だった千牧投手はここから本領発揮をし始めた。

高校生…しかも3年生はほとんどいないチームを相手に、球速で押すことが念頭にあったのを、改めただけだった。

 

精細なコントロールと変化球は手も足も出ず。

 

7番の平沢萌恵さん、8番の清藤奏子さん、9番の睦月久乃さんの3人を凡退させてスリーアウト。

 

 

 

2回の表。

 

8番の加藤典子選手をフライに打ち取り、9番の千牧大那選手に四球でワンアウト一塁、1番の西田選手はレフトフライでツーアウト二塁となり、2番の村上選手に再び四球を出しツーアウト一二塁。

ここで前打席で本塁打の菊池選手。

 

長本監督がタイムをかけて、選手交代が行われる。

私が投手に入って、投手の睦月さんに代わって光ちゃんがレフトへ、レフトの山谷さんがセンターに入る。

 

菊池選手の後には伝説級とも言われる強打者の阿部蒔菜選手、その後ろには日本代表のトップチームで4番の岡本和美選手と怖い3人が並んでいるため、緊急登板となった様子。

 

初球、フォーシームジャイロで空振り。

2球目、ツーシームジャイロで空振り。

3球目、ストレートを外角低めに外してボール。

4球目、詠深の「あの球」のコピーで三振。

 

きっちり抑えてスリーアウト。

 

 

プロオールスターチームを相手に3点のリードで2回の裏の攻撃に移っていく。

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