ONE PIECE アンリミテッドドリーム ~羽ばたく天使と夢の狭間に~ 作:陰陽の使者
「…ん。」
朝起きると、女部屋の窓からの雲にさえぎられない暖かな朝日。まあ、雲の上だから、曇りという天候はないが。
「うう…二日酔い…?やっぱり酒はなれないな…」
別に嫌いってわけでもない。ただ、ゾロやナミのような大酒豪でもなく、一番酒の経験のないアイルにとって、昨日のような宴の後は、どうしても頭が痛くなる。複数な意味で。
(でも、仕方ない。この一味だから、むしろこれぐらい慣れなきゃいけないし…)
昨夜、ルフィの提案により開かれた「
…本当に、いろいろあった。アイルが一味に入って以来の短い時間を振り返る。
魚人島のときも、パンク・ハザードのときも。
あらゆる強敵と戦ったり、思わぬ仲間ができちゃったり。
信じられぬ真実を付きぬけ、それでもなお突き進んで。
最後は決まりのように、戦ったもの同士、敵も味方も勧誘した宴を開いて…
本当に、いつも騒がしい。
「ん?黒丸?」
カァ~
「あ、ちょっと、どこへ行くのよ!そっちは森よ!」
だから…あの時、憧れたのかもしれない。
「ああ、もう、何なのよ、この鎌ガラス!」
初めて、
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「八千七百十七…八千七百十八…」
欠かせない特訓を行うゾロの声で、じょじょにみんなも目を覚ます。
「んん、昨日は飲んだわね~。ねえ、アイル知らない?部屋にはいないけど。」
「そうね。いつの間にかいったのかしら?」
「どっかで飛んでんじゃないか?もしかして、空飛ぶ猪怪獣を見つけたりして。」
「ええ~!そうなのか!」
「何だそれ、うまいのか!?」
「へえ、そりゃ調理のやりがいがありそうだ!」
ウソップのホラ吹きを本気にしてしまった三人の会話と、朝食が作り上げられる香ばしい香りとともに、作戦会議が開かれる。
「はい、こちら、林檎とハニーの愛の煮込み合わせです、ナミさん。今日の私の自信作でございます。」
「ん、ありがとサンジ。さあ、みんな、聞きなさい!」
まだ帰ってこないアイル以外全員が座ったところで、ナミは拡大地図を取り出し、島の南側の浜辺を指差す。
「今、私たちはここにいるわ。で、お宝は、きっと島のどこかに潜んでる!」
「ああ、そうだな。で、どこだ?」
「知らない。」
「何だ、その根拠なしの自信!」
「オイオイ、てめえこそナミに信頼持て!」ウソップに強烈な蹴りを送り込むサンジ。「きっとナミさんはおすばらしい作戦を立てているはずだ!黙って聞け!」
「でも、確かに知らないことばかりね。」ロビンは冷静に鋭く、「もし、財宝があったとしても、どこを探すか。それぐらいの目的もほしいわね。」
「そこよ!」ナミは見計らったかのように、指差す。「ここで、今日の日課を発表するわ!」
「お、おい、ナミ、まさか…」
「そう!「幻の島お宝目印探索作戦」よ!」
「おめえ、それ今作った名前だろ!」
「ああ、いいな!冒険のにおいがする!」早速ルフィはやる気のよう。「サンジ!特大海賊弁当!」
「あいよ。」
「ちょっと待って、ルフィ!まだ大切なことを忘れてない?」
「ん?何だナミ?」
「ロビンのいうとおり、ここのことはまだわからない。当然、怪物とか化け物とか、怖いものばかりかもしれないのよ!」
「知らん!俺がぶっ飛ばす!」
「そう!あなたの役目はそれよ!」
(暴れてもいいんだ)全員、頭の中でつぶやいたのは、いうまでもない。
「でも!もしものことが起こったときの逃げ道も用意するのも大切よ!」
「ええええ!!昨日来たばかりなのに、もういくのか!」
「そうだぞナミ!男としての誇りはどこ行った!」
「女よ!だって怖いやついたらいやじゃん!」
「そうだぞ!ナミさんやロビンちゃんの身に何かあったら、どう責任取るつもりだ!」
「あほコック…そんなびびる事ねえだろ。」
「アァ?誰がびびってるって、このクソ剣士!」
会議開始五分後。すでに混乱状態。それに終止符を打ったのは…
ドッゴォォォォォ!!
島の奥の森から鳴り響く、大爆発。
「!!」
全員、戦闘態勢を急いで整えるが、とたんに不要なことがわかった。爆発以外、何も起ころうとしないからだ。
「…まあ、これでわかったわね。この島に何かある!」
「こ…コエェ!」
「ななな、なにびびってるんだチョッパー!あ、あんな爆発、dddどうって事…」
「なな、なんと!もう耳が爆発しそうでした!耳がないのに!」
「この面子があれば何とかなるだろうけど…」ナミは全員を見渡す。抱き合うチョッパーとウソップとブルックを尻目に。「責めての保障として、島を探検する「探索組」と、サニー号を死守する「船番組」を作るわ!」
「ああ、俺俺!俺絶対冒険!」
「俺も、行くぞ!久しぶりの息抜きにはなりそうだ!」
「おれは残るぜ!このサニー号を守れるほどの変体はそういねえからな!」
「俺もだ!この船の副キャプテンとして、絶対船を!最後の息を引こうと!」
「まあ、ルフィとフランキーは決めといて…」ナミは森へと目を向ける。「アイルは探索組として…ほかのみんなは、これで決めてもらうわ!」
「え…お、おい、まさか!」
ナミの手には、七本のクジ。
「この中に、「ハズレ」が四本!「探索組」五人と「船番組」五人なら文句ないでしょ!」
「ゲェ!」
パンクハザードで起こった悪夢を思い出してしまったウソップは、ナミに拝む。
「お願いだ!絶対!船番にしてくれ!金なら払う!」
「ち…またこれかよ。」ゾロは、一本のクジを引く。赤い先端を見て、笑う。「ま、当然だけどな。」
次にサンジ。
「おお、勝利の女神様よ。どうかナミさんと同じ時間を長く過ごせますように。」
地獄のように燃える信心を持ったサンジが引いたのは、先端が白のクジ。船番の役だ。
その後、チョッパー…
「ああああ!誰か変わってくれ~~~!」
ブルックも引き…
「あれま、お気の毒に、チョッパーさん。」
「ブルック!役目変わってくれ~~!」
「ええ!いやですよ!」
さらにロビンは…
「…あら、船番ね。残念。」
いよいよクジは二本。赤と白が一本ずつ。ウソップは再び余り物の勝負と向き合ってしまった。
「よ、よおし。落ち着け。落ち着け、俺様!」
「いい、ウソップ。私が探索になっちゃったら、罰金三億ベリーよ!」
「余計なプレッシャー掛けるな!よ、よーし!」
彼から見て、右側のクジを握り…
「この一生…いや、いっそのことこの大いなる地球の全ての運よ!ここに集まれ!ノ~リャ~~~~!!」
勢い良くクジを引く。息を止めるナミとほかのみんなが目撃者。ウソップはは目を閉じたまま、クジをなかなか見ない。
「…なんだ、ハズレか。残念だな。」
やがて沈黙を崩したのは、ルフィ。
「な!何だと!」
ウソップは慌てるが、同時に…
「ちょっと、待ってよ!」
っとナミも叫ぶ。明らかに全然うれしくなく、視線はウソップの持つクジ。
…先端が真っ白の、一本のクジ。
「…へ?」
「ああ、確かに、外れだ。」
「当たりだよ、ゾロ!ウソップ、変わってくれ!!」
「へ?へ?」
「うふふ…運がよかったわね。」
「おう、長っ鼻!船の修理を手伝わせてもらうぜ!」
「へ?へ?へ?」
「ちょっと…なんで、こんな純粋な私が、凶暴の島を探索しなきゃいけないんだよ!不公平よ!」
「だってナミ、お前のクジだろ?当たりなのに、いかねえのか、冒険?」
「うっさい!ルフィは黙れ!」
「へ?へ?へ?へ?」
「…てめえ、ウソップ。」
成り行きをただただ呆然と見届けるウソップの後ろに、爆発的に燃える視線。
「なんてことを…しやがった…」
「う…」
そっと振り向くと、そこには一人の魔王。全ての獲物を凍りつかせる眼差し、口から吹き出る情熱の煙。地獄の炎で暑く鍛え上げられた立派な脚は、容赦なく…獲物を捕らえる。
「このやろせっかくナミさんとラブリータイムを過ごす予定だったのにありったけの恋をこめて作った料理をどうするつもりだ一万回おろすぞこの野郎!」
「い、いや、あの、その、ゆ、ゆる…」
「地獄のそこまで燃え落ちろ!
世界中の運も持っても…不幸しか訪れなかった者悲鳴が、空中鳴り響く…
地上で、空から聞こえる、ゾッとする音は、後に「天使の悲鳴伝説」として語られる…
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「あれ、何かしら?なんかの動物?…ってそれより、黒丸!見つけた!」
やっとの思いで相棒に追いついたときは、アイルはもうすでに森…いや、さまざまな華やかな花や太い蔦からして、ジャングルのかなり奥まで入り込んでしまった。いつでもそこを出られサニー号へ戻れるアイルだが、それでもとても不気味なジャングルと感じた。
「ほら、さっさとこの薄気味悪いところから出るわよ!」
カァカァ
アイルの指示に従わず、黒丸はアイルの指し指の反対方向へと飛ぶ。
「ああ、もう!なんかおいしいものでも見つけたわけ?確かにいいにおいはするけど、そういうのは信じちゃだめ!サンジの料理でいいじゃんか!」
そういいきったところで、黒丸がある場所に立ち止まったことに気づいた。
「やっと、止まった…何これ?花?いや、違う…」
黒丸が乗った石像を、アイルが興味深く観察する。花びらの形をした門で、特にどこにもつながってない。普通に通ることのできる、トンネルのよう。その穴の上に、球の形のへこみがあり、何かをはめ込むようだ。
「なに、これ…人が作った?この幻の空島で?誰が何のために…ええい、ロビンがいたなら!」
せめて一味一緒に発見したかったアイルは、黒丸を背中に誘導する。
「ともかく、戻るわ。黒丸、またここへこれるかしら?」
カァ!と自信満々に羽で大きな胸をたたく黒丸。
「わかった。早くみんなに知らせて、何かわからなくちゃ。」
「その必要はねえ。」
「!!」
突然どこからもなく、男の声が響き、飛び立とうとするアイルは動きを止める。黒丸は急いで、自分を鎌に変形して、アイルの横の地面に突き刺さる。
「…誰?どこにいるの?」
背の高さの鎌を構えながら、アイルは周りを見回す。しかし、緑が密着した場所では、視界がとてもよくない。
(く…こう光がなくちゃ…よし、見聞色で!)
「誰なのかは関係ねえ。大切なのは、お前がここにいることだ。」
(…後ろ!)
すぐ後ろから人の気配を探知したアイルは、再び不思議門へ振り向く。そこには、いつの間にかひとつの影が、門にもたれかかる。彼の帽子のせいで、顔は良く見えない。
しかし、その人物を見て、アイルは驚く。だって…
「まあ、お前が要るってことは、
「あ、あなたは…」