もし炭治郎のところにしのぶさんが来てたなら? 作:卵かけ太郎
「……炭治郎」
「…はい」
何度目だろうか…またも道場でしのぶさんの前で正座をするのは…
「いいですか?軽々しく女性を口説くような文言を言ってはいけません!!」
「はい、でもしのぶさんにしか言いませんよ?」
「っつそう言う所です!!!」
少しのお説教、もと言い照れ隠しを済ませて
「では炭治郎、あなたが鬼殺隊の最終選別に行くための条件をそろそろ教えておきます。」
「はい!!」
「この瓢箪に息を吹き込み割ることができたら、最終選別に向かうことを許可します。」
そう言いながらしのぶさんの横に置いてあった巨大な瓢箪を前に出す。
「この座った状態の俺よりでかい瓢箪をですか?」
「えぇそうですね、まず見本を見せておきますね。」
そういうと、おもむろに瓢箪の先を咥えて
「ふぅっ」バキッバンッ
一気に息を吹き込むと瓢箪が砕け散る。
「なっ…」
「はい、これだけのことです。」
「えっこれだけですか?」
「えぇ一度試してみますか?」
「はい!!」
もう一つ瓢箪を用意してもらい息を吹き込んでみる。
「はーふぅうううううううううう(なんだこれ全然割れる気がしない!!どう言う肺活量をしているんだ、しのぶさんは!)」
「ぷぁはぁ、はぁはぁ」
「ふふっやはりまだ厳しいですね、まずはこのぐらいの大きさから、割れるようにしていきましょうね?」
懐から小さめの瓢箪を取り出しながら言う。
「はい!!(初めから、そちらで説明してもよかったのでは…)」
「ではいつもの訓練を始めてくださいね。」
「はい!!!」
それから半年経った頃、
「ふぅううううう」バキッバン!!
ようやく小さい瓢箪を割ることができた。
「ようやく一歩前進ですね、炭治郎さん!!」
「はい!やりました!アオイさん!!」
「しのぶさんが帰ってきたら一番に報告します!!」
しのぶさんは現在任務で蝶屋敷を離れていて、アオイさんも手伝ってくれるが、その間の鍛錬は一人で行なっている。
「そうですね、きっと喜ばれますよ。」
「オイテメェら、胡蝶妹はどこだ?」
突如、声をかけられる。
「風柱様!!、はっはい現在しのぶ様は任務で留守にしております。」
「ちっ、そうか邪魔したな。」
「どうかなさいましたか?」
「あ“ぁ包帯が切れたからもらいにきただけだ。」
「では少しお待ちください。今からお持ちします。」
「あぁ悪りぃな」
包帯を取りにアオイが屋敷に駆けていく
「(柱会議の場では怖そうな人だと思ったけど、意外と礼儀正しいな)」
「おいテメェ。」
「はっはい!!」
「御館様の許しがあるから生かしてあるが、俺は鬼の存在は認めねぇ、せいぜいしっかりと見張っとくんだな。」
「はい!!見張っておきます!!」
「チッ…あとテメェの日の呼吸に興味がある、少しやってみろ。」
そういうと、訓練場に置いてあった木刀を二本持ち片方を投げ渡してくる。
「えっ」
「いいから俺に打ち込んでこい。」
「はっはい!!」
急いで構えを取り、呼吸を整え、
「行きます!!!」『ヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞い』
「(なるほどなぁ、まだまだ呼吸の精度があめぇが、結構威力がありやがる)そんなんじゃあめぇよ!!」
炭治郎の斬撃をいなしガラ空きの胴体に打ち込もうとする。
「(なっ型見せるだけじゃないのか、聞いてないぞ!くっ避けろ!!)」
『ヒノカミ神楽 斜陽転身」
不死川の胴打ちを回避して宙で体の天地を入れ替え打ち込む。
「はっやるじゃねぇか!!」再度攻撃を受けきる。
「(これでも通らないのか)」
「今度はこっちから行くぞ!!」 『風の呼吸 壱の型 塵旋風」
「ちょ!!」ボコン!!
「あっやべ…」
「何をやってるんですか!!!!」
結局、受け切れなくて失神させられた炭治郎
意識を失う寸前、しのぶさんの怒号が聞こえた気がした。
1ヶ月後
「ふぅううう」バキッバン!!!
以前割った瓢箪より一回り大きな物を割ることに成功する。
「よしこれで、二つ目まだまだ先は長いけど確実に前に進んでいるぞ!!」
「おーおー派手に鍛錬してるな!!」
「(なのやら派手な人が来たぞ)えっと確か、派手柱様。」
「違う!!けどお前は見込みがありそうだな。俺は音柱 宇髄天元様だ、覚えておけ!!」
「はい、音柱様!!」
「確か不死川が言う通り、隊士でもないのに結構やるみてぇじゃねぇか、いっちょ揉んでやるからかかってこい。」
「えっ?」
「さっさとこい、胡蝶に見つかるだろ。」
そういうと、立てかけてあった木刀を拾い上げ打ち込んでくる。
「なっあぶなっ」
なんとか回避するが音柱様が次の攻撃を放ってくる。
「(当たる避けなきゃ)」『ヒノカミ神楽 幻日虹』」
「おぉ今のを避けるか!!次行くぞ」
「(守ってたら風柱様の時の二の舞だ)『ヒノカミ 神楽 炎舞』
「攻めてくるか!派手な選択肢だな!!」
「(手を止めるな!、繋げろ)『ヒノカミ 神楽 円舞』
「はっ三回も繋げやがった。おっとここまでだな、胡蝶が帰ってきたみたいだ、じゃあな坊主!!」
「はぁはぁ、なんなんだ、あの人は…」
訓練の様子を見にきたしのぶに声をかけられる。
「炭治郎?どうかしましたか?」
「あっしのぶさん、今音柱様がきて、少し手合わせしてもらいました。」
ピキッ
「そう炭治郎は、少し休んでいてください。」
青筋を浮かべ、それだけ言ってその場を離れる。
さらに2ヶ月後
「ふうううううう」バキッバン!!
前回よりも大きな瓢箪の破裂を成功させた。
「よし、これであと二回り大きい瓢箪を破壊できれば条件達成だ。」
「よもや!!、もうすでに常中の訓練をしているとは!!!、見込みがあるな胡蝶の継子は、素晴らしい!!!」
「(確かあの人は…)炎柱様。」
「あぁ俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ!!、よろしく頼む!!、竈門少年!!!」
「はいよろしくお願いします!!、炎柱様!!!」
「では、早速これを受け取れ。」
そう言うと木刀を投げ渡してくる。
「えっ?」
「よし、来い!!!」
「えっ?」
「来ないのか?、ではこちらから行くぞ!!」
結局、四回型を出して最終的に炎柱様の型を一つ食らって気絶した…
さらに半年後
「(最後の一つが全然割れない…どうしてだ?、肺活量が足りない?、もっと鍛えるべきなのは間違い無いが…だめだ!!ただ訓練するだけじゃ、考えろ…考えろ……あっ。」
「四六時中全集中の呼吸を行う技があるの。」
「よもや!!もうすでに常中の訓練をしているとは!!」
「はっ!!」
「(そろそろ炭治郎が最後の瓢箪を割れずに苦労している頃ね…)」
「しのぶさん!!全集中の呼吸を常にやる方法ってありますか!!」
突然扉が開かれ、忙しなく炭治郎が質問してくる。
「!!誰かに聞いたのかしら?」
「カナエさんと炎柱様がそのようなことを言っていたので。」
「(もう…私が教えたかったのに……)」
「しのぶさん?」
「えぇたしかにあるわ。」
「やっぱり…難しい技なんでしょうか?
「もうできるわよ、炭治郎の肺なら。」
「えっ?」
「あとは癖をつけるだけね、座ったまま全集中の呼吸を行なってみなさい。」
「はっはい!!『ゴォオオ』」
「はい、そのまま続けて。」
「『ゴォオオオオ』(確かに…出来なくはなさそうだでも油断するとすぐ解いてしまいそうになる…)」
「ではこのまま聞いてください。今日から蝶屋敷で子供を引き取ります、名前はナホ、キヨ、スミと言って鬼に両親を殺された子供達です。」
「なっ…」
「炭治郎、呼吸が解けています。続けなさい。」
「はっ!はい。 『ゴォオオオ』」
「炭治郎には訓練の合間でいいので、その子達と一緒にいてもらいたいんです。」
「はい!わかり『ゴォオ』ました『ゴォオオオ』」
「ふふっなれてないと呼吸音がうるさいですね。」
「ちょっと、しのぶさん笑わないでくださいよ〜『ゴォオオ』」
「ふふごめんなさい、ではよろしくお願いしますね。」
「はい!!わかりました!!!『ゴォオオオ』」
それからすぐに言われた場所に向かうと三人の女の子がいた。
「「「……」」」
「こんにちは、君たちが新しくここに来た子達かな?」
目線を合わせて挨拶をする。
互いに顔を見合わせて、一人の子が勇気を出して頷いてくれた。
「そっか、俺は竈門炭治郎。ここの主人の胡蝶しのぶさんの継子をやってるんだ、よろしく!よければ名前を教えてくれないかな?」
再び顔を見合わせて少しして、
「…なほです。」
「…きよです。」
「…すみです。」
「よし偉いぞちゃんと挨拶できるなんて、よろしくな。なほ、きよ、すみ。」
そして一人ずつ頭を撫でていく。
「「「…はい、よろしくお願いします」」」
挨拶を終えると三人で相談を始めた。
「(どうしたんだろう?)」
「…炭治郎さんにならいいかな?」
「…うん、大丈夫だと思う。」
「…そうだね、きっと大丈夫。」
「どうしたんだ、三人とも?」
なほが口を開く
「あの私たちここにいてもいいのでしょうか?」
「えっ?」
きよとすみも後に続く
「私たちは仕事らしい仕事を何もしていません。」
「そんな私達がここにいていいはずがありません…」
「そんなこと……(いやだめだ、ここにいてもいいと言っても、彼女達はそれをよしとしない…)そうか、なら俺の修行を手伝ってくれないか?」
「「「修行ですか?」」」
「あぁ!今している修行が一人だと難しい修行で手伝って欲しいんだ。」
「「「!!はい!」」」
「(その間にここで、できる仕事を探しておかないとしのぶさんに報告だな…)」
「じゃあ、今から寝るから呼吸が途切れたら三人で叩き起こしてくれ。」
「「「はい!!」」」
『ゴォオオオゴォオオオすーすー』
「これは戻ってるよね!!」
「うん!!」
「行くよー」
バンバン!!バンバン!!
「うわあああ」
文字通り叩き起こされる。
翌日
早朝の柔軟の最中に
「あっしのぶさん少し相談があるんですけど…」
「はい、どうしたのかしら?」ぐっぐっ
密着状態で背中を押しながら答えてくれる。
「昨日、言っていた三人のことなんですが…」
昨日のことをしのぶさんに伝えると、
「そうでしたか、まだ早いと思い仕事をさせてはいなかったんですが、返って不安にさせてしまいましたか…ありがとう炭治郎。」
「とりあえず、昨日は常中の訓練を手伝ってもらってましたけど、別の仕事があったら、そちらを任せてあげてください。」
「えぇわかったわ、ちなみにどんなことをやっているの?」
「えーっと寝ている時に呼吸が途切れたら叩き起こしてもらっています。」
「うん、いいですね、ではしばらく三人は主に、それをやってもらいましょう。それ以外の時間は、アオイに付いてもらってシーツの交換や配膳の手伝いをしてもらいましょうか。」
それから三人はメキメキと仕事を覚え、人手が増えた蝶屋敷は活気を増していく。
なほ達の問題も解決して、さらに時間が経ち
しのぶさんとアオイさん、なほ、きよ、すみが見守る中、長かった訓練の集大成を見せることになった。
「じゃあ炭治郎、成果を見せてちょうだい。」
「はい!!!」
あの時びくともしなかった、巨大な瓢箪に息を吹き込む。
「ふぅううううう」バキッ!バキッ!!バン!!!
瓢箪を破裂させることに成功した。
「「「やったーー」」」
「すごいわ炭治郎さん!!」
「はい!!!ありがとうございます!!」
「……炭治郎」
「しのぶさん……」
「よく此処まで鍛え上げたわね、最終選別に行くことを許可します。」
「はい!!」
「あとこれを」
懐から緋色の蝶があしらわれた綺麗な紐を取り出す。
「これは結紐ですか?」
「えぇ最近髪の毛が伸びてきたから、蝶の飾りがついた結い紐でまとめてもらおうと思って、飾りは小さいから恥ずかしく無いと思うけど、良ければつけてくれないかしら?」
「ありがとうございます!!とても嬉しいです!!早速つけてもいいですか?」
「えぇもちろんよ。」
小さな緋色の蝶があしらわれた結い紐で長くなった髪の毛を後ろで束ねて止める。
「どうですかね?」
「うん、とっても似合ってるわ。」
「すごく似合ってますよ炭治郎さん。」
「「「カッコいいです!!!」」」
「皆さん!ありがとうございます!!」
楽しそうに話す六人の後ろで二匹の紫と緋色の蝶が揺れる。
カナヲサイドとか蝶屋敷での日常とか書こうと思ってますけど本編がいつまで経っても進まなくなりそうなんで、最終選別手前まで一気に進めました。
誤字脱字報告いつも助かります…だらしない作者ですまない…
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