もし炭治郎のところにしのぶさんが来てたなら?   作:卵かけ太郎

18 / 38
第十七話

「なんだあの鬼…」

「すごく大きい…」

「やばすぎるだろなんだよ…あれ…」

複数の手が身体中から生えた巨大な鬼いた。

 

様子を伺っていると、無数の手が伸びて、先程逃げていた人が捕まってしまう。

 

「まずい!!」

炭治郎は隠れていた木の影から飛び出し掴んでいた鬼の手を切り落とし助け出す。

 

「大丈夫か、ここから早く離れろ。」

「すっすまない…」

 

助け出した人を逃がし鬼と向き合う。

 

「なんだ?お前は?」

 

「なぁお前少し聞きたいことがある、鬼を人に戻す方法を知っているか?」

 

「クヒヒッ、大層長い間ここに居るがそんなアホな質問してくるやつは初めてだぞ、知るわけないだろそんなこと」

 

「そうかなら、もう用はないな…」

 

「クヒヒッ、そうだ小僧。狐の面をしたやつは今回いたか?」

 

「それが何か関係あるのか?」

 

「いやなぁ鱗滝って言う鬼狩りが昔いてな、そいつに復讐をしているんだ〜あいつの弟子を殺すことでな!!」

 

「(鱗滝って言えばさっきカナヲが言っていた、義勇さんの師匠…まずいカナヲが狙われる)」

 

「…そこの鬼」

鬼の話が聞こえたのかカナヲが出てきてしまう。

 

「なんだ〜別のガキが来たのか?」

 

「ねぇこの面に見覚えはない?」

 

「それは鱗滝の面じゃないか、自分から出てきてくれるなんてなぁクヒヒッいい心がけだなぁ」

 

「カナヲ逃げろ、狙われているのはカナヲだ!!ここは俺と善逸に任せて少し下がれ。」

 

「えぇ!!!俺もぉ!!?」

 

「ううん、下がるのは炭治郎の方だよ…こいつは私が、ぶちのめさないといけないから。」

 

「(なっカナヲ!?)」

カナヲから発せられる圧に少したじろぐ…

 

「俺をぶちのめす?クヒヒッできないことは、言うもんじゃないぜ。俺の首は宍色の髪のガキでも切れなかったしなぁ。」

 

「(こいつが義勇兄さんの…)よくも、私の家族を傷つけてくれたな!!!」

 

「クヒヒッ、ならせいぜい頑張ることだな!!」

鬼から凄まじい勢いで無数の手がカナヲに殺到する。

 

『全集中 水の呼吸 捨壱ノ型 凪 』

バサッ

 

「(すごいあんなに無数に手がカナヲの間合いに入った瞬間にバラバラになった、前に見た時より格段に精度が上がってる)」」

 

「なっなんだその技は!!」

 

「どうでもいいでしょ、ここで終わるんだから。」

 

「(なら地中から奇襲してやる、クヒヒッ)」

 

スン「(地面から鬼の匂い?) カナヲ地面に気をつけろ!!」

 

「大丈夫、わかってるよ。」

『全集中 水の呼吸 捌ノ型 滝壷』

 

地面に刀を強く叩きつけ奇襲を仕掛けてきた手を全て切り落とす

 

「じゃあ、そろそろ終わりにするね。」

 

『全集中 水の呼吸 壱ノ型 水面切り』

ザンッ

一足跳びで一気に間合いに入り鬼の間合いに入るとそのまま首を切り飛ばす。

 

はずだった…

 

切り飛ばしたかに思えたが、首の中程で刀が止まってしまう。

 

「……!!(抜けない!)」

刀を引き抜こうとするが肉に挟まれて抜くことができないカナヲに、鬼の腕が伸びる。

 

「まずい!!」

急いでカナヲの援護に向かおうとした時、

 

『シィイイイイイ』

 

「善逸?」

突如として聞こえる呼吸音の方を見ると善逸が型を繰り出そうとしていた。

 

『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃』

 

善逸の居合により鬼の脚が切り飛ばされ大きく体勢が崩れ、その隙にカナヲが離脱する。

「なんて速さだ、すごいぞ善逸!!カナヲ大丈夫か?」

 

「うん…でも刀離しちゃった…」

 

「ならちょっと待ってろ、すぐに取ってくる。」

 

「さっきから邪魔ばっかりしやがって!!なんなんだお前らはあああああ!!」

 

「カナヲの刀を返してもらうぞ。」

 

『ヒノカミ神楽 陸ノ型 日暈の龍 頭舞い』

 

鬼の脇を抜けるように腕を切り払いながら通り過ぎ、首に刺さったカナヲの日輪刀を回収する。

「(なんだこの攻撃は!?、腕が回復しない!!)」

 

「カナヲ!!」

名前を呼び刀を投げ渡す。

 

「炭治郎!ありがとう!!」

カナヲも飛び上がり、空中で日輪刀を掴み、そのまま型に移行する。

 

『全集中 水の呼吸 肆ノ型 打ち潮 重ね』

 

本来複数の鬼を切るための型だが、炭治郎の神楽を参考に、水の呼吸の柔軟さと、花の呼吸の手数の多さを利用して鬼の首を左右からほぼ同時に切る。

 

ザンッ!!!  ドサッ

 

カナヲに切り裂かれた首は宙を舞い、地面に落ちる。

 

「やったぞ!!」

 

「ふがぁ!!えっ鬼倒したのすごいよ!!2人とも!!」

 

「炭治郎、善逸、二人のおかげで助かった、ありがとう。」

 

「えっカナヲちゃんにお礼言われるようなことしたの?俺?」

 

「凄かったぞ善逸!!」

 

「えっ何言ってるのか、わかんないけど倒せてよかったな。」

 

「うんそうだね、あれ炭治郎どうしたの?」

 

炭治郎が先程の鬼に触れて何かを祈っていた。

「この人が今度生まれてくる時は鬼になんてなりませんようにって思ってね。」

 

「そっか…」

「変わってるな炭治郎は…」

 

「あぁ、でもこれが俺だから…じゃあそろそろ移動しようか。」

 

「うん」

「でもどこ行くんだ?」

 

「とりあえず東に行こう、なるべく早く朝日を迎えよう、それとまたあの強さの鬼が出たら、万が一があるから単独行動はなるべく避けよう。」

 

結局その後、積極的に鬼を倒しに行くことはなかったが、手の鬼を超える異形の鬼は現れることはなく7日間を生き抜き最終選別を終えた。

 

 

七日前の合流地点に戻ってくると、俺たちの他に1人だけ残っていた

「おかえりなさいませ、おめでとうございます、ご無事で何よりです」

 

「(俺たちを含めてたった4人…あの鬼から助け出した彼も見当たらない…)」

 

 

その後、鎹鴉と隊服の支給を済ませて、玉鋼の支給の際、問題が起きた。

 

「どうでもいいんだよ鴉なんて!刀だよ、刀!!今すぐ刀をよこせ!!鬼殺隊の刀!色変わりの刀!!」

合格者の一人が、白髪の女の子の髪を掴み、声を張り上げる。

 

「この子から手を離せ!!離さないと腕を折る!!」

 

「あぁ?なんだテメェは?やってみやがれ!!」

 

『ゴォオオオ』

バキッ

「ぐっ…」

結局腕をへし折り、女の子を庇うように立つ。

 

「げっ、炭治郎ほんとに折ったの?」

 

「うん炭治郎ならやるよね…」

 

「話は済みましたか?では、あちらから刀を作るための鋼を選んでください。」

 

全員用意された鋼を選び終え、支給された隊服を持ち各育手の元に一度帰ることになった。

 

「じゃあ二人とも一旦これで別れようか。」

 

「うん…二人ともありがとう。」

 

「こちらこそありがとう。炭治郎、カナヲちゃん、また助けてくれよなぁまたな〜」

 

「うん…またね善逸…」

 

「あぁ善逸またな、カナヲもまたな、カナエさんと義勇さんにもよろしく伝えてくれ。」

 

「うん、またね炭治郎」

 

再会を約束して暫しの別れを済ませて蝶屋敷に帰宅する。

 

 

しばらく歩いて、日はまだ登っているが選別の疲れが出てきた頃、蝶屋敷が見えてきた。

 

「やった…帰ってきたんだ…(あれ門の前に誰かいる?)」

よく見ると蝶の様な羽織を着た少し小柄な女性が門の前で待ってくれていた。

姿を捉えると安心感から思わず力が抜け膝から崩れる。するとこちらに気がついた彼女が走ってきてそのまま抱きしめて、

 

「炭治郎、よく無事で帰ってきてくれたわ。」

 

「はい!しのぶさん!!無事帰って来ました!!」

 

「本当によかった…」

瞳に涙を溜めながら、泣きそうな顔で無事を喜んでくれる。

 

「はい、俺は無事です。生きてます。しのぶさんのおかげです!」

 

無事に帰ってきた実感を、しのぶさんの体温を感じることでようやくできた俺はしのぶさんを少し抱きしめて二人でちょっと泣いた。

 

 




今回で最終選別最後です!!
誤字脱字報告、いつもありがとうございます!!!
設定ガバ多々ありますが、楽しんで読んでいただけるように、なるべく頑張りますので今後ともよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。