もし炭治郎のところにしのぶさんが来てたなら?   作:卵かけ太郎

6 / 38
第六話

「では、今日から本格的な訓練を始めます。」

 

「はい…」

 

「どうかしましたか?」

 

「あっすいません。先程冨岡さんと少し話したんですが、その時失礼なことを言って傷つけてしまったようで…」

 

「そうですか、ちなみになんと聞いたんですか?」

 

「はい、冨岡さんはすごい人だと言っただけなんですけど、その時に悲しい感情の匂いが冨岡さんからしまして…」

 

「(匂い?)それは……いいですか炭治郎、鬼殺隊にいる人は基本的に守りたかった人を守れず無力さを嘆いてここにいます、そしてその後悔を引きずっている人間が、今の自分を誇ることは絶対にできない…」

 

「そんな…(俺は馬鹿か相手の境遇も知らずに無神経なことを…)」

 

「ですが別に炭治郎が悪い訳ではありません、相手の良きところを見つけ褒めるのは決して悪い行いではありません、相手が認められるかそうでないかの違いです。」

 

「でも俺は冨岡さんを傷つけてしまいました…」

 

「そうですね…しかしここで謝ることは許しません。どうあれ冨岡さんはここまで歩いてきています。炭治郎がすごいと思った彼の姿を否定しては、いつまでも冨岡さんは自分を認めることができません。」

 

「それは…わかりました……」

 

「それにこれから1ヶ月姉さんの護衛で嫌でも顔を合わせます、少しずつ話していきましょう」

 

「はい!」

 

「では訓練に入ります。」

 

「まずは柔軟から始めますか、そこに足を広げて座ってください。」

 

言われた通りその場に足を広げて座るとしのぶさんが、俺の後ろにまわり俺の両腕を掴んで抱きつくような姿勢になる。

 

「っ!!」

 

「はい少しずつ力を入れていきますよ〜」

密着したまま体ごと後ろから押される。

ムニュ

「!!!」

背中に柔らかい感触が伝わる

「ほら力を抜いてください。」

 

グイグイ

 

「アァアアアアアアア(がんばれ耐えろ俺!!長男だろ!!恩人に邪な気持ちを持つな!!)」

声を出して煩悩を精神力でねじ伏せる

 

「まだそんなに力入れてませんよ?」

グイッ!!

 

「ア“ァ”アァアアアア」

しかし今度は物理的な痛みに悲鳴をあげることになる…

 

 

 

 

「はい次は、この濡れ手ぬぐいで口を覆ってください」

 

「?…はい!!」

言われた通り、手渡された手ぬぐいで口を覆う。

 

「(結構息苦しいな…)できました!」

 

「では屋敷の周りをそうですね…私が呼びにくるまで走っていてください」

 

「えっはい!!」

 

 

結果真上にあったお日様が正面に見えるくらいまで走らされた…

 

 

「お疲れ様です、ちゃんと走り切りましたね。」

 

「はい…(危うく気分が高揚し始める所だった…)」

 

「次は刀を渡しますね。」

そう言うと持っていた刀を渡してくる

 

「これが刀ですか…」

 

「えぇ刀は横からの力に弱いので基本的に真っ直ぐ振ってください。いいですね?」

 

「はい!!」

 

「では素振りをしてもらいます。とりあえず綺麗に振れるまでやってみましょう。」

 

「はい!!」

 

合格が出るまで1000回は振らされた……

 

日も落ちた頃

「では、お風呂に入って柔軟したらご飯にしましょうか。」

 

「はい!」

 

炭治郎がお風呂に入っている間に晩御飯の準備だ。

 

「しのぶ〜今日のご飯は、なにかしら?」

 

「あっ姉さんまだ安静にしてないと。」

 

「ふふっ大丈夫よ、いざとなったら冨岡さんも近くにいるんだから…ねっ」

後ろに立っている冨岡さんに声をかける。

「あぁ」

仏頂面で答える冨岡。

 

「もうほとんど治ってるけど、もう少し安静にして欲しいのに……もういいわ、今日は、ご飯に里芋の煮っ転がしと、ほうれん草の胡麻和え、あとは豆腐とネギの味噌汁よ。」

 

「いいわねぇ、とっても美味しそう!!」

 

「あとは盛り付けして完成なんだけど、姉さんちょっとお願いしてもいいかしら?」

 

「えっ、いいけど。どうしたの?」

 

「ちょっと炭治郎の柔軟を手伝ってくるわ。」

 

「うーんいいけど…もしかしていつもの私がしのぶにやるようにやったのかしら?」

 

「?えぇそうだけど?」

 

「あ〜その時、炭治郎くん様子おかしくなかった?」

 

「うーん特に変わったなかったと思うけど…あっそうだ、力を込める前に突然叫び出したわ、あの柔軟そんなに効くのかしら?」

 

「あぁーまぁ結構効くから強くやり過ぎちゃダメよ(ふふっ炭治郎くん耐えてたのね、面白そうだからもう少し泳がせておきましょう)」

 

「えぇわかったわ」

そのまま、しのぶは炭治郎の柔軟を手伝いに行く。

 

 

「…いいのかあれは?」

 

「いいのよ、楽しいから。」

 

 

 

ア“ァ”アアアアアアアア

 

シズカニシナサイ、タンジロウ!!

 

「……(苦労するな、炭治郎…)」

 

 

 

 

「みんな集まったわね。」

 

「えぇ姉さん」

 

「はい!!」

 

「……」

食卓を4人で囲みカナエさんが号令をかける

 

「じゃあいただきます!!」

 

「「いただきます。」」

 

「……いただきます。」

 

「そういえば、炭治郎くん禰豆子さんはご飯食べないのかしら?」

 

「はいカナエさん、一度食べさせようと思ったんですが、見向きもしませんでしたね、それに最近では寝ている時間が長くなってきましたね。」

禰豆子は蝶屋敷についてから、偶に起きるが睡眠時間が増えて来ている。

 

「うーんそっか…普通にご飯を一緒に食べたかったけど残念ね」

 

「この前診察してみたけど体に異常はなさそうだから、多分人を食べる代わりに、眠ることで体力を回復をしているんだと思うわ。」

 

「なるほど… カナエさん禰豆子が人間に戻ったら一緒にご飯を食べてあげてください。」

 

「えぇもちろん、楽しみにしているわ。」

 

「あら炭治郎私は誘ってくれないのかしら?」

 

「何言ってるんですか、当然しのぶさんも一緒に決まっているじゃないですか?」

 

「なっ…(なんでこうもあっさりと返すのかしら。)」

 

「あらあら、しのぶと一緒にいるのはもう当然なのね。」

 

「?えぇそうですよ。(しのぶさんから焦り?なんの感情だろうこの匂い)」

 

「ちょっと姉さんもうやめて!!(この天然はもう!!)」

 

「……(うまいな)」もぐもぐ

 

この後、顔を真っ赤にしたしのぶを弄り倒すカナエに、ブチギレたしのぶの八つ当たりで、炭治郎の翌日の訓練密度が倍になることが決定した。

 

 

「あっそうだしのぶ、明日少し出かけてもいいかしら?」

 

「正直大人しくして欲しいけど、走ったりしないならいいわよ。」

 

「わかったわ、なら冨岡くん明日街に買い物に行くから準備しといてね。」

 

「俺は行かない…」

 

「冨岡くんは私の護衛でしょ、なら一緒に行くわよ」

 

「……承知した」

 

「私は炭治郎の訓練を見ないといけないから行けないわね……冨岡さん、姉さんにつく悪い虫は蹴散らしてくださいね!!」

 

「……あぁ」

しのぶから感じる圧に思わず返事をしてしまう

 

「なら姉さんのこと任せましたからね。炭治郎、少し話があるのでついて来なさい」

「はい」

そう念押しすると炭治郎を連れて部屋を出る

 

「あらあら、嬉しいわ!明日はエスコートしてくれるのかしら〜」

 

「(エスコート?護衛のことか)あぁ任せろ。」

 

 

しのぶさんに連れられて道場に来る

「しのぶさんどうしたんですか?」

 

「炭治郎…あなたの呼吸方法に少し疑問があります。」

 

「呼吸方法ですか?」

 

「えぇ、柔軟の際、密着してわかったのだけど、普通の人の呼吸方法とは明らかに違います、それこそ全集中の呼吸を会得している人間にとてもよく似ている、何か心当たりはありますか?」

 

呼吸方法について少し考えた後

「あっ、この前話した実家の神楽を踊る時、父に呼吸を意識しろと言われて、正しい呼吸をすれば疲れずにずっと踊っていられる。そう教えられました。」

 

「まさかその呼吸方法が全集中の呼吸?」

 

「でも、うちは代々炭焼小屋の家系ですよ?」

 

「そうね…でも明日姉さんたちが帰ってきたら、その神楽見せてもらうわね」

 

「はい」

 

様々な疑問を残して夜は更けていく…

 




次回、ぎゆカナになります
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。